
ベンチャー企業への転職には特有の難しさがあり、勢いだけで飛び込むと理想と現実のギャップに苦しむことになります。
しかし実は、ベンチャーへの転職による失敗にはいくつかのパターンがあり、それを事前に把握しておくことでリスクを下げられます。
ベンチャーへの転職で後悔しないために、この記事でリスク回避のコツを確認しておきましょう。
この記事の監修者

岡本啓毅
YouTube「ひろさんチャンネル」運営 / 株式会社UZUZ 代表取締役
北海道出身。第二の就活を運営する「株式会社UZUZ」を立ち上げ、数多くの就職をサポート。“自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる”をミッションに、YouTubeでは「就職・転職で使えるノウハウ」を発信中。X、TikTokなどSNS等の累計フォロワー数は13万人を超える。
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ベンチャーへの転職を「失敗した」と感じやすい理由

ベンチャー企業への転職では、それが起こりやすいんです。
ベンチャー企業への転職後に「失敗した」と感じてしまう最大の要因は、入社前に描いていた理想と入社後に直面する現実に大きな乖離があることです。
ベンチャーは基本的に組織が未成熟であり、仕組みが完全には整っていない環境です。
働きながら制度が変わっていくこともあり、場面に合わせて柔軟に動いていくことを前提とした働き方が求められます。
そのため、転職者の期待値が市場や企業のフェーズとズレていると、どれほど熱意があっても「こんなはずではなかった」というネガティブな感情が芽生えやすくなります。
具体的にどのようなギャップが生じやすいのか、ここで確認しておきましょう。
また、ベンチャー企業ならではの特性を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
希望していた仕事ができないと感じる
ベンチャー企業は採用時に「裁量の大きさ」や「新規事業への挑戦」といった魅力的な仕事を強調して発信する傾向があります。
しかし実際に入社してみると、慢性的な人手不足から「誰もやりたがらない泥臭い雑務」や「全方位的な業務負担」に追われるケースが多々あるのです。
「特定の専門スキルを磨きたい」「事業部立ち上げのノウハウを得たい」と考えて入社したものの「何でも屋」として動かざるを得ない状況に陥ってしまいます。
そのため、本来希望していた仕事ができないと感じてしまうのです。
ベンチャー特有の「変化」を「不安定」だと感じる
ベンチャーの強みは、市場の状況に合わせて迅速に方向転換を行う流動性とそのスピード感にあります。
特に立ち上げ初期のベンチャーは、数ヶ月単位で組織図が書き換わり、ときには事業の軸を大きく変える「ピボット」が行われることも珍しくありません。
この変化を「エキサイティングだ」「色々な経験ができておもしろい」と捉えられる人はベンチャーに向いています。
その一方で、「何も決まっておらず組織が不安定だ」「腰を据えて一つのことに取り組めない」とネガティブに捉えてしまう人には、この段階のベンチャーは向いていません。
入社時に合意したはずの職務内容どころか、アサインされた部署そのものが一ヶ月後には消滅している可能性すらあるのがベンチャーの現実なのです。
想像以上にハードだった
ときとして、ベンチャー企業での働き方は想像を絶するほどハードな場合があります。
限られた人員で高い目標を達成しなければならないため、一人ひとりに課せられる責任と業務量が非常に重くなります。
定時退社できることは珍しく、そもそも定時の概念が弱く深夜までの業務や休日返上での対応が「当たり前」とされている場合もあるでしょう。
「ある程度の激務には耐えられるはずだ」と思っていても、ベンチャーの徹底的な成果主義や長時間労働は、一般企業の「激務」とはまた別種の辛さや気の休まらなさがあります。
ハードな働き方に飲み込まれてしまい、心身ともに疲弊して「転職は失敗だった」と感じてしまう人は少なくありません。
社風が合わなかった
ベンチャーは少人数の組織であるため、経営者の人柄がダイレクトに社風に反映されます。
体育会系の熱血な文化や数字に対するこだわり、あるいは独特の専門用語が飛び交う環境など、組織ごとに社風は色濃く分かれます。
この特有の社風が個人の性格に合うかどうかは大きな問題で、カルチャーに馴染めないとどれだけ仕事の能力が高くても周囲から孤立してしまい苦痛を感じるでしょう。
ベンチャーは大手企業のように大勢の社員がいて複数の部署があるわけではなく「異動して自分に合う部署を探す」という逃げ道もありません。
そのため、社風が合わなかったというのは、ベンチャー転職における失敗を感じる一因になりやすいのです。
期待するステージではないベンチャーに入社してしまった
一言で「ベンチャー」と呼んでも、その成長段階によって環境は劇的に異なります。
ベンチャー企業は、主に以下のような段階で成長していきます。
- スタートアップ・アーリー(シード)
- 成長段階(ミドル)
- 上場前後(レイター)
- メガベンチャー
ベンチャーの各ステージはまったく異なる会社であるかのように異なる性質をもっており、求められる人材も業務内容や性質も異なります。
創業間もないシード・アーリー期は創業者を含めて数名しか社員がおらず、カオスそのものといってもいい状況です。
それが上場前後のレイター期やメガベンチャーになると、組織図が整理されて大手企業に近い安定感をもち始めます。
スタートアップ期の熱狂やスリルを求めて入社したのに実態が大企業的なメガベンチャーだと、物足りなさを感じるでしょう。
逆に安定を求めてミドル期の企業だろうと期待して入社したのに実態はアーリー期のような多忙さだと、制度が整っていないことや理不尽な業務量に疲れ切ってしまいます。
このように、転職先のベンチャーのステージが期待と合っていないと「失敗した」という感覚が生じることになるのです。
ベンチャーへの転職で失敗する人の共通点
ベンチャーへの転職で後悔する人には、企業選びの軸や環境に対する覚悟に共通点が見られます。
ベンチャー特有の厳しさを直視せず表面的なメリットだけに目を向けて判断してしまうと、入社後のギャップを広げることになって「失敗した」と感じやすくなるでしょう。
ここでは、特に注意すべき失敗してしまう人の共通点について解説していきます。
キラキラしたイメージだけで選んでしまう
多くのベンチャー企業が採用ブランディングに力を入れており、SNSなどでオシャレなオフィスや自由な働き方を魅力的に発信しています。
しかし、こうした「キラキラ感」は、あくまでその企業の一側面に過ぎません。
その裏側には、泥臭い営業活動や数値管理、日々発生する不測の事態への対応といった地道な実務があるのです。
そういった具体的な実務を直視せずに入社先を決めてしまうと、入社後に「思っていたのと違う」と感じることになります。
イメージではなく、自分が日々こなすことになるタスクの解像度を高めておく必要があります。
福利厚生や教育に期待してしまう
一般的な企業からベンチャーへ転職する際、研修制度や手厚い福利厚生を無意識に期待してしまうパターンも危険です。
教育リソースが不足しているため、手取り足取り教えてくれる体制はなく「現場で背中を見て覚える」スタイルが基本です。
確かに、メディアで取り上げられるような「お昼寝カプセル」や「社内バー」といったユニークな制度を取り入れているベンチャーがあるのは事実です。
そういった一般企業にはない制度に目を奪われがちですが、実態としては一般企業であれば当たり前の福利厚生がないこともあります。
それどころか、法定通りの残業手当が満足に支払われないステージの企業も存在するほどです。
福利厚生や社内教育制度に依存する姿勢で入社すると、すぐに不満を抱えてしまうことになるでしょう。
大手企業と同じ働き方をイメージしている
「業務が細分化されており自分の仕事に専念できる」「誰かが仕組みを作ってくれる」「指示を待っていれば仕事をもらえる」というのは、大手企業ならではの働き方です。
そういった大手企業的なマインドのままベンチャーへ入社すると、ほぼ確実にギャップに苦しむことになります。
ベンチャーでは自分自身が仕組みを作る側であり、問題を見つけて自ら動く自走力が求められます。
新しい仕組みを作るために新しい業務があれば自分で担うことや、誰かを巻き込んで依頼することもあります。
大手企業のやり方が通用しない場面で過去の経験に固執して「前の会社ではこうだった」と不満を漏らしてしまう人は、周囲からも敬遠されるようになります。
大手企業とはまったく異なる働き方であるというイメージができていないのは、失敗の要因になってしまうのです。
ベンチャーと大手企業の違いを知っておきたい方は、以下の記事も合わせて確認してみてください。
経営者の理念に共感していない
ベンチャー企業は、良くも悪くも経営者の思想やキャラクターが組織に大きく反映されます。
企業が掲げるミッションやビジョン、パーパスといった経営理念は、単なる飾りではなく日々の意思決定の基準そのものです。
根本的な価値観に共感できていないと、組織が下す判断の一つひとつに違和感を抱くようになり、納得できずにストレスを溜めることになります。
給与や職種といった条件だけで企業を選んで理念を軽視すると、理念の不一致からくるストレスを解消できず組織のなかで居場所を見失ってしまうことにつながるのです。
監修者コメント
前職と比較してしまう思考は要注意
ベンチャー企業へ転職する際、最も避けるべきなのは「前職との比較」です。
ベンチャーは一般的な企業とは異なり、あらゆるものが不足しているのが当たり前の状態にあります。
「前職にはこんな制度があったのに」「前の会社ならもっとスムーズだった」と比べ始めてしまうと、不満はきりがありません。
前職との比較はベンチャー社員から見れば「ないものねだり」に映ってチームの士気を下げて「じゃあ転職しなければ良かったのでは?」と思われるでしょう。
過去ではなく未来に目を向け、ベンチャーの環境で何を得たいのか、何を作り上げたいのかを自分自身に問いかける姿勢が大切です。

岡本啓毅
ベンチャーへの転職で失敗しないコツ


ベンチャーへの転職失敗のリスクを抑えてキャリアを飛躍させるためには、事前のリサーチと自己分析の質を高める必要があります。
ベンチャーという広いくくりではなく、一社一社の実態を正確に把握するためのコツを確認しておきましょう。
まずは何のために転職するかを明確にしておく
転職によって叶えたい目的が曖昧なままだと、勢いに流されて転職して失敗したと感じるリスクを増大させます。
目的意識が欠けたまま入社してしまうと、各所の困難で心が折れてしまう原因になるため、軸をしっかりと固めることが重要です。
そもそも明確な目的がないのであれば、あえてベンチャーを選んでリスクを取る必要もありません。
年収を上げたいのか、新しいスキルを身につけたいのか、あるいは将来の起業に向けた経験を積みたいのか、転職目的の優先順位を明確にしましょう。
目的が定まっていれば、数あるベンチャーのなかから自分の要望を満たせる会社を冷静に選べるようになります。
自分が求める条件をどのように整理すればいいか分からず悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
スキルや年収など単一の条件で選ばない
「今もっているスキルを活かせる」「年収が希望通りだから」という一つの理由だけでベンチャーに入社を決めるのは非常に危険です。
年収は高くても固定残業代が異常に多かったり、退職金制度や家族手当がなかったりすることもあります。
ベンチャーは労働条件や福利厚生が一般的な水準を下回っていることが少なくありません。
「普通はあるだろう」と思う制度がないこともよくあるのです。
年収、業務内容、労働環境、将来性といったあらゆる要素を多角的に調査し、総合的なバランスで判断する習慣をつけて一つひとつ事実を確認する慎重さをもちましょう。
応募企業がどのステージか調査する
ベンチャーへの転職を成功させるには、応募企業が現在どのステージにあるのかを把握することが不可欠です。
ステージによって求められる人材の性質も働き方も劇的に変わるためです。
創業期であれば「何でもやるガッツ」が必要ですが、上場間近であれば「組織を整える管理能力」が求められます。
自分の強みがその企業が今必要としている能力と合致しているかを見極めなければ、入社しても「不要な人材」として扱われる恐れがあります。
企業の資金調達の状況や社員数の推移から、現在のステージがどの程度の段階なのか推測しましょう。
希望通りのステージのベンチャー企業に転職を成功させた方の体験談も参考にしてみてください。
現役社員や経営陣との面談を受ける
ベンチャー企業の大きな特徴として、経営陣との距離が近いことが挙げられます。
この利点を活かし、選考の過程で人事を通さない「現場社員との面談」や「経営者との直接対話」を積極的に申し出てみましょう。
特に、選考やその前段階で経営陣と会話する機会を作れるのは、大手企業ではまず不可能な対応です。
人事が同席しない場であれば、現場のリアルな多忙さや経営者が掲げている真の価値観が見えてきます。
特に経営者の人柄との相性は、ベンチャーでの働きやすさに直結します。
物理的に足を運び自分の目でオフィスの雰囲気や社員の表情を確かめることで、文字情報だけでは分からないカルチャーとの相性を肌で感じることができるでしょう。
監修者コメント
ベンチャーへの転職こそ勢いよりも慎重さが大事
ベンチャー企業は設立から日が浅いため、大手企業に比べて口コミサイトや公開情報が少ないのが現実です。
また「入ってみなければ分からない」というギャンブル的な側面があり、一般企業と比べたときに失敗したときの落差が大きいため、非常に危険な賭けといえます。
だからこそ、ベンチャーを目指すなら普通の転職活動よりも慎重に情報を集める必要があります。
カジュアル面談やオフィス訪問を通じて、自分から積極的に情報を引き出しにいく姿勢が重要です。
ベンチャーで働く際に熱意は必要ですが、転職する際には勢いで飛び込むのではなく、納得いくまで調べ尽くしてから転職することが必要不可欠といえます。

岡本啓毅
まとめ
ベンチャーへの転職で失敗しないためには、一般企業に転職するときよりもさらに慎重に、自分なりの判断基準で企業のリアルな実態を知ることが欠かせません。
表面的なキラキラ感や高い成長率という言葉の裏には、過酷な業務や未整備な制度といったリスクが存在することもあります。
それらを理解した上で自分のキャリアにとってプラスになると確信できる一社を見極められれば、組織とともに大きく成長して納得できるキャリアを築けるでしょう。
もし「自分一人でベンチャーの良し悪しを判断するのは不安だ」と感じているなら、ベンチャー転職について詳しい転職エージェントサービスを活用するのもおすすめです。
私たちUZUZもエージェントサービスを運営しており、これまで6万人以上の就職・転職をサポートしてきました。
企業担当者とのパイプがあるため、なかなか表に出てこない企業の内部事情やカルチャーとの相性を客観的にアドバイスすることが可能です。
少しでもベンチャーへの転職が気になっている方は、ぜひ一度私たちにご連絡ください。
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