もくじ
しかしながら、大企業から転職するのも、状況によっては十分ありですよ。
むしろ、大企業から転職したほうが良い場合もあります。
では、大企業からの転職について、具体的に見ていきましょう。
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大企業から転職するのって…実際どう?
上記で触れていますように、大企業から中小企業/ベンチャー企業への転職はメリット・デメリットのどちらもあるので、良いかどうかはケースバイケースです。
従来の終身雇用が一般的だった時代においては、退職金が大きいことや、安定して働けることから、大企業への人気が高くありました。
しかし、日本の人口動態で見ても、若手よりもベテラン社員の方が多く、なかなか若手が活躍しづらいなどのデメリットもあります。
そのため、必ずしも大企業だけが素晴らしいともいえない状況になってはいます。
ここからは、それぞれの両面(メリット・デメリット)について見ていきましょう。
大企業のメリット
まずは大企業で働くメリットから紹介します。
ただし、大企業だからといって必ずしもメリットが当てはまるわけではなく、恩恵を受けられないこともあります。
あくまで参考程度に認識しておきましょう。
収入が高い
大企業は中小企業と比べて収入が高い傾向にあります。
国税庁による令和4年度民間給与実態統計調査から、この傾向が読み取れます。
1,000人以上5,000人未満の企業では、年間平均給与が約450万円であるのに対し、30人以上100人未満の企業だと約370万円でした。
収入が高いのは、中小企業よりも規模が大きい事業を行っており、収益性も高いためです。
参考:国税庁「令和4年度民間給与実態統計調査」
福利厚生が充実している
健康保険組合や、退職金制度、資格手当、住宅補助など、大企業の福利厚生は充実している傾向にあります。
多くの従業員を抱える大企業は、多種多様な人材をサポートするため、様々な福利厚生の用意が必要です。
また、福利厚生を充実させることによって、優秀な人材を集めるアピールにもなります。
福利厚生を充実させるには資金が必要です。
収益性の高い大企業は中小企業よりも福利厚生にかけられる金額が大きいため、このような福利厚生の充実を実現しやすいです。
社会的信用が高い
大企業は事業規模が大きく収益性も高く安定しており、社会的信用の高い傾向にあります。
そのため、大企業の従業員は収入が安定しやすいと考えられ、ローンの審査に通りやすいなどの恩恵を受けられることが多いです。
経営が安定している
大企業は中小企業よりも経営が安定しやすいです。
規模が大きく収益性の高い事業を手掛けていることから、資金が潤沢にあり、信用力も高いです。
資金不足の際には信用力で融資を受けやすいため経営が安定しやすく、倒産リスクを抑えられています。
銀行などからの融資以外にも、株式の発行によっても資金調達ができ、幅広い手段の選択が可能です。
このように、大企業は中小企業よりも経営が安定しやすい材料が揃っています。
事業のスケールが大きい
中小企業よりも資金調達しやすいことから、大企業はスケールの大きな事業を展開できます。
事業規模の大きな仕事に携われるので、やりがいを感じやすいです。
身近なサービスや商品であったり、インフラを支えたりといった社会貢献度の高い事業に携われる可能性が高いです。
大企業のデメリット
なんか、話を聞いているといいことの方が多そうだけど。
裁量権を得にくい
大企業では裁量権を得るまでの道のりが長くなりがちです。
マネジメントラインが確立されているのに加えて、裁量権は役職者に委ねられています。
担当者レベルでは裁量範囲が狭く、自由度は小さいです。
裁量権を得るにはマネジメントラインの上流ポジションへ昇格しなければならないものの、人数の多さから競争が激しく難易度が高いです。
派閥ができやすい
多くの従業員が働く大企業では競争が激しく、派閥が形成されやすくなっています。
特定の人物の考えに賛同する人で派閥が形成され、属すると意見に流されやすくなります。
無理に中立であろうとすれば社内で孤立するおそれがあり、人間関係が複雑になりがちです。
意思決定が遅い
大企業は中小企業と比べて意思決定が遅くなりやすいです。
マネジメントラインが長く、1つの物事を決めるのに意思決定プロセスを多く経る必要があるため、時間がかかります。
事の大小にかかわらず意思決定が遅くなりがちなので、スピード感を持って働きたい人には相性が悪いです。
上位役職になる難易度が高い
人数の多い大企業の中で、上位役職になる難易度は高いです。
上位役職の枠は限られているため、人数の多い大企業で役職者になるには、激しい競争を勝ち抜いて任命されなければなりません。
従って、中小企業よりも上位役職に就ける確率が低くなったり、時間がかかることが考えられます。
業務範囲が狭い
大企業で担当する業務範囲は中小企業と比べて狭い傾向にあります。
大企業では役割分担が細かく設定されており、業務範囲が狭くなりがちです。
多くの業務を並行して手掛けたい人にとっては、大企業での働き方に物足りなさを感じる可能性があります。
大企業から転職するメリット
でも、実際には中小企業とどっちがいいんだろうか…
ここでは、大企業から中小企業へ転職するメリットを紹介します。
意思決定が早い
中小企業では大企業よりも意思決定が早く、スピード感を持って働けます。
大企業と比較すると従業員数が少ないため、意思決定プロセスが短く済み、承認が素早いです。
提案の可否をすぐに決定してもらえるので、すぐ実行に移せます。
裁量権を得やすい
中小企業なら裁量権を比較的得やすいです。
限られた人数で業務をこなす必要があるため、1人あたりの担当範囲が広くなる傾向にあります。
そのため、現場に判断を委ねてもらえることも多く、やりがいを持って働けます。
上位役職のチャンスがある
大企業よりも従業員数が少ないため、役職に就きやすいです。
競争率が大企業と比べて少なく、役職へ就ける確率は高くなります。
役職へ就けば、そのまま上位役職へとステップアップできる可能性もあり、組織の上層部として働けるチャンスもあります。
多くの業務に携われる
中小企業は仕事の線引きが厳格でなく、1社に勤めながら多様な経験を積みやすいことが特長です。
部署をまたいで複数の業務を担う場合もあり、多くの業務に携わる機会に恵まれています。
好奇心を持って積極的な姿勢で働けば、様々な業務にチャレンジさせてもらえます。
大企業から転職するデメリット
大変だけどやりがいはありそうだ。
収入が大企業に比べて低い
大企業と比べて中小企業は規模や収益性が劣り、収入の低い場合が多いです。
事業資金が限られているため、事業規模や狙える市場が小さくなりやすく、得られる収益が大企業に比べて少ないです。
その結果、従業員へ還元される給与も少なくなる傾向にあります。
ただし、最近では一部のスタートアップやベンチャー企業の年収が上がってきているという例もあり、一概に低いとは言い切れません。
経営が不安定
中小企業は、大企業よりも経営が不安定になりやすいです。
中小企業は資本金が少ないため、融資を受けられる金額も大企業と比較して小さいです。
資金調達の手段も限られており、経営の安定性に劣ります。
事業の損失によるダメージが大きくなりやすく、最悪の場合、倒産するリスクもあります。
使えるリソースが少ない
中小企業は使えるリソースが少なく、限られた予算で事業を回さなければなりません。
予算が少ないため、導入できる設備やシステムが限られてしまいます。
最新設備やシステムを導入すれば、効率やクオリティを高められるものの、導入する予算がなく妥協せざるを得ない場面が生じます。
業務量が多い
中小企業は人数が少ないため、1人あたりの業務量が多くなりがちです。
担当範囲が広く、境界が曖昧であることが多いため、どんどん仕事量が増えていきます。
日々の業務をこなすのに必要な人数が不足している場合もあり、多くの仕事を並行して進めなければなりません。
複数の部署の役職者を兼任する形で任命されることもあります。
大企業から転職する際のポイント
自分にどっちが向いているのかを分かっておくと便利だね。
大企業から転職したほうがいい場合
スピード感のある仕事をしたい、早期に役職に就きたい、業務範囲を広げたい、会社全体を見渡しながら働きたい場合には中小企業が向いています。
中小企業は少数精鋭でスピード感のある働き方をできるのが特徴です。
会社の規模が比較的小さいことから、社内の全体像を把握しやすく、コミュニケーションも広くとりやすいです。
人数が少ないため、社会人経験が比較的少なくても役職に就けるチャンスがあり、早期からマネジメント業務を経験できる可能性があります。
複数の業務に携われる機会があり、多くの経験を積めます。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
大企業は高収入をはじめとする好待遇がメリットと紹介しました。
他にも、ベンチャー企業への転職で大きなリターンが得られる可能性もあります。
ベンチャー企業に転職したからといって、絶対にリターンが得られないというわけではありません。
ストックオプション(勤めている会社の株式を購入できる権利)など新株発行により、上場後に大きなリターンを得られる場合もあるので、総合的に考えるのが望ましいです。
例えば、1%のストックオプションを持っていた場合、時価総額が300億円の企業になれば、税引き前で3億円の資産を保有できます。
基本的にはマネジメント層以上になりますが、転職後に活躍することで、ストックオプションを得られる場合もあります。
大企業から転職しないほうがいい場合
現在の収入を下げたくない、社会的信用を確保したい、これからもスケールの大きい仕事をしたいと考えているなら、大企業から転職しない方が良いです。
中小企業へ転職すると経営資源が限られているため、現状の待遇を維持するのが難しくなります。
現状の働き方に不満がないのであれば大企業が向いています。
転職を望んでいるなら、再び大企業を選択するのが良いでしょう。
何を優先するのかを明確にしてから決めよう
大企業、中小企業を選ぶ際は、優先したいことを明確にしておく必要があります。
何を優先するかによって、どちらが自分にふさわしい転職先であるかが変わります。
仕事は生活の中で大きなウエイトを占めるので、どんな仕事および働き方をしたいのかを軸に決めるのが良いでしょう。
仕事内容や働き方よりも収入を優先したいなら、大企業を選択するのが望ましいです。
ただし、大企業、中小企業といった枠組みだけで判断するのではなく、各企業の事情や状況を踏まえて検討する必要があります。
自身に合った企業へ転職するには、じっくりと会社を比較しなければなりません。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
中小企業では「バッターボックスに立てる回数」が多い場合も
チャンスが巡ってくる回数が多いことを「バッターボックスに立てる回数」と表現することがあります。
中小企業では人手不足、エース級の人材不足などから、重要な仕事を任されることもあるでしょう。
その結果として、様々な経験を積み重ねることができ、大手企業で縦割りの仕事をしているだけよりも、実力がつく場合もあります。
実際にどのような社風なのか、OBや面接官に聞いたり、企業の口コミサイトなども確認しながら、検討してみるといいでしょう。
まとめ
給料高いから大企業が絶対いいと思っていたよ。
一方で、大企業で働いていて収入には満足しているものの、働き方を変えたい場合には、中小企業への転職も検討してみましょう。
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