あなたが知っている銀行はほんの一部分にすぎません
銀行に行ったことがない人はいないと思います。しかし、ほとんどの人は預金を引き出したり、預けにいったりするために利用しているだけです。もちろん預金業務は、銀行の仕事の一つですが、あくまで仕事の一部分にすぎません。知っているつもりでも、実際はどのような業務をしているのかがわからない、それが銀行です。
お固い職業の印象だけは、昔から世間に根付いていますが、はたして本当のところはどうなのでしょうか。あなたが少しでも「銀行業界で働きたい」と考えるのであれば、最後まで目を通してください。読み終わる頃には、銀行に就職するべきなのか否か、ハッキリとわかります。
銀行業界を知ろう!数字でわかる銀行業界の業界規模
まずは、銀行業界全体の規模を説明していきましょう。平成26年の段階で、銀行業界の業界規模は約22兆円です。この数字は、全業界の14番目にあたります。ちなみに、トップは卸売業界の88兆円、2位は電気器機業界の80兆円です。上位と比較をすると、少なく感じますが、立派な巨大産業の1つになっています。なお、銀行業界の総資産額は、約1,000兆円です。
続いて、銀行業界で働く人にも注目してみましょう。銀行業界では約15万人の人達が働いています。非常に巨大な産業であることを考えると、「えっ、それだけ?」と感じるかもしれません。そう、銀行業界の職に就いている人は、そう多くはありません。
また、実際に働いている人の多くは、高待遇を受けています。平均年収640万円という数字からも魅力的な職業だということが伝わってきます。出世すれば年収1,000万円以上になることも夢ではありません。
現状が語る銀行業界の真実
では、現在の銀行業界の現状はどうなのでしょうか。1999年のバブル崩壊の時期に、銀行は非常に大きな損害を被りました。バブル時期の不良債権問題は、聞いたことがあるかもしれません。この時期に、全国の銀行で抱えた不良債権の合計は、約100兆円です。この不良債権の印象が強く残っているために、年配の方達の銀行のイメージは、今でもあまり回復はしていません。そのため、昔よりは固い職業の印象が薄れています。
しかし、2007年までに不良債権の問題は、大型金融グループの合併等で一段落しました。それ以降は安定期に入っています。現在でも安定期は続いているので、他の業種と比較すれば「安心して入れる業界」と言えます。
どこで利益が出るの?具体的な銀行のビジネスモデルとは
続いては、銀行業界のビジネスモデルを解説していきましょう。どのようにして銀行業界が利益をあげているのか……これは基本的には、とてもシンプルです。預金と融資、これが基本的なビジネスモデルになっています。
預金者からお金を集めて、集めたお金で融資をするのです。預金者には利子をつけますが、融資をした相手には利息を求めます。この利子と利息の差額で銀行業界は利益を得ています。
たとえば、預金者から1億円を集めたとします。預金者には利子を年間0.1%払います。利子の合計額は10万円です。同じ金額である1億円を企業に融資します。この際に年間3%の利息をいただくとしましょう。銀行側が得られる利息は、300万円です。300万円を得て、10万円を払います。この差額である290万円が銀行の利益になるのです。実際はもっと複雑ですが、簡単に説明するとこのような形です。
余談ですが、この利子と利息の違いも覚えておいてください。同じように使われる言葉ですが、利子とは銀行側が預金者に対して払うもの、利息とは融資された会社が銀行に払うもの、と使い分けられています。一般的には同じように使われていますが、銀行業界ではこのようにきちんと使い分けられているのです。
またお金を集める手段として、投資を持ち掛けることもあります。投資信託という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは投資をしてもらいプロに運用を任せます。利益が出た場合、出資者に手数料を除いた配当を渡すのです。この手数料が、銀行の利益になります。
投資は証券会社の仕事のように感じますが、銀行でも投資信託を積極的に営業しているのです。しかし、投資ですので、当然元本割れをしてしまうこともあります。元本割れのリスクを説明し、出資者を募るのも銀行員の仕事です。
今後はどうなる銀行業界!業界全体の展望はこれだ!
バブル時代の反省を活かし、銀行業界では融資の審査が厳しくなりました。銀行業界の収入は、主に融資からの利息なのですから、融資ができなければ、利益にはなりません。このままでは先細りしてしまうのはわかりきっています。そのため、新たなビジネスモデルが必要とされています。
また、銀行離れの現象も大きな問題の一つです。あなたもよく知るように、現在の銀行の利子は非常に微々たるものです。これが理由で利用者が減ってしまうのは、業界内での非常に大きな問題になっています。
とくに若者の銀行離れは深刻です。これ以上の銀行離れが進んでしまうと、更に融資に制限がついてしまいます。貸したくても貸せるお金がなくなってしまうからです。こうなってしまえば完全に悪循環ですので、そうなってしまう前に、新たな戦略が求められています。