もくじ
就職先が決まらない状態のまま学校を卒業しそうになった時、多くの人はいずれかの選択に迫られます。
- わざと留年をすることで引き続き「新卒」として就活を続ける（就職留年）
- 学校を卒業して「既卒」として就活を続ける（就職浪人）
就職留年と就職浪人。
一見どちらも似たもののようにも見えますが、実はこの2つ、就活においてはどちらを選ぶかでその後の結果が大きく変わることもあるんです。
そこで今回は、以下のような就職留年と就職浪人にスポットをあて、気になるポイントを徹底解説します。
- 就職留年と就職浪人の違い
- 「就職浪人はやめた方がいい」と噂される理由
- 実際のところ就職留年と就職浪人はどちらが就職に不利なのか
- 就職留年や就職浪人で就活を成功させる人の特徴
自分が何をするべきなのか、考えながら読んでくださいね。
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「就職留年」と「就職浪人」の違いとは？
「学校を卒業せずに留年をして就活を続ける」のか「学校を卒業して就活を続ける」のかです。
- 就職ができなかった
- 就活を続ける
この2点においてはどちらも同じです。
ただ、就職を続ける上で、就職留年と就職浪人はその後の「扱い」が大きく違ってきます。
ここからは、就職留年と就職浪人の違いを、メリット・デメリットを交えながら解説します。
就職留年とは
就職留年とは、学校を卒業するまでに就職先が決まらなかったためわざと留年し、学生として就活を続けることをいいます。
つまり、引き続き学生を続けることによって「新卒」として就活できるのです。
就職留年のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
- 新卒採用枠で就活ができる（＝応募できる企業が多い）
- ポテンシャル採用がメイン
- 企業に留年の理由が知られることは少ない
- 履歴書に「空白期間」ができない
- 一度不採用になった企業にも再チャレンジできる
- 現役生よりも時間的な余裕がある
- 現役生よりも就活に慣れている
- 交通費などの学割が利用できる
このように、就職留年には多くのメリットがあります。
そのため「希望する企業への就職ができない」と分かった時点で留年を決め、わざと試験を受けずに単位を落とす、卒論を提出しないという学生は少なくありません。
学校自体が卒業延期制度を設けているケースもあります。
ただし、就職留年はもう1年学生を続けるわけですから、さらに1年分の学費を支払う必要があります。
自分は就職留年を希望していても、経済的な理由や、留年することへの抵抗感などから家族の理解が得られず、就職留年を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
就職浪人とは
就職浪人とは、就職先が決まらない状態で学校を卒業をし、学校卒業後も就活を続けることをいいます。
つまり、新卒ではなく「既卒」として就活を続けることになるのです。
就職浪人のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
- 現役生よりも就活に専念できる
- 学費の支払いがなくなる
- 前年の就活経験が活かせる
- 前年より目標が明確な状態で就活できる
経済的な理由から就職留年ではなく就職浪人を選ぶ人は少なくありません。
しかし、中には内定を獲得できなかったという理由ではなく、次のような理由から就職浪人を選ぶ人もいます。
- 内定を獲得したものの、実際は入社する気になれなかった
- 公務員試験や司法試験などを受験するため
- 留学するため
- 就職以外にやりたいことがある
就職浪人の大きなデメリットとしては、新卒扱いではなく既卒扱いになること、就職するまでは「空白期間」となってしまう2点が挙げられるでしょう。
就職留年と就職浪人のメリットとデメリットの比較
【就職留年と就職浪人の比較】
| 就職留年 | 就職浪人 | |
|---|---|---|
| 応募上の扱い | 新卒扱い | 既卒扱い |
| 経済的な負担 | 1年分の学費が必要 | 学費等の負担はない |
| 時間的な余裕 | 就活と単位取得を同時に行う必要がある | 就活のみに専念できる |
| 履歴書 | 空白期間は生じない | 空白期間が生じる |
やはり、日本の企業においては「新卒至上主義」が、いまだに色濃く残っているのが現状です。
就職留年であれば、いわゆる「新卒カード」を持ったまま就活を続けられるためです。
学費等の経済的負担に家族や周囲の理解が得られるのであれば、就職留年を選んだ方がよいのかもしれません。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
就職留年・就職浪人は実際どれくらいの割合でいる？
厚生労働省と文部科学省が共同で、2023年3月大学卒業者を対象とした離職状況の調査を行いました。
同調査によると2023年3月卒の就職率は97.3％であり、残り2.7％の卒業者が就職していない（できなかった）計算になります。
つまり、この2.7％の人たちが、就職浪人もしくはフリーターということになるでしょう。
就職留年者の実数は正確には把握できませんが、大学の卒業率が80％台であるため、この2割弱の留年者の中に、就職留年者が含まれていることになります。
参考：厚生労働省・文部科学省「令和4年度3月大学等卒業者の就職状況」
「就職浪人（既卒）」の就活事情
株式会社マイナビが2023年に実施した、既卒者で登録している会員へのアンケートの結果です。
アンケートの対象となった既卒の登録者で、内定を獲得している人の割合は34.8％となっています。
在学中の就活の状況
まずは、在学中の就活の状況から振り返ってみましょう。
在学中に内定を獲得できた人の割合と、年度ごとの推移を示すのが以下の表です。
【既卒登録者 在学中の内定獲得状況 推移】
| 年度 | 内定獲得した | 内定獲得できなかった |
|---|---|---|
| 2023年度 | 35.1％ | 64.9％ |
| 2022年度 | 48.2％ | 51.8％ |
| 2021年度 | 50.7％ | 49.3％ |
| 2020年度 | 57.2％ | 42.8％ |
参照：株式会社マイナビ「2023年度 マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」
既卒となった人の約半数が、在学中に内定を獲得できなかったという厳しい結果になっています。
では、次に就職浪人をした人が、在学中の就活に対する反省点を挙げていますので見てみましょう。
| スタートが遅かった | 44.7％ |
| 面接対策が不十分だった | 38.4％ |
| 業界研究・企業研究が不十分だった | 38.0％ |
| 自己分析が不十分だった | 37.9％ |
| エントリー社数やセミナー参加社数が少なかった | 36.1％ |
参照：株式会社マイナビ「2023年度 マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」
いずれも反省として、準備不足のまま就活を始め、十分に時間と労力をかけられなかった点が挙げられています。
卒業後の就活の状況
在学中に内定を獲得できなかった、もしくは納得がいかず辞退したなど、就職浪人の道を選んだ人は、これまでの就活の反省点を活かして就活をしなくてはなりません。
就職浪人（既卒）となり、どのように活動内容が変化したのかを示すのが以下の表です。
【エントリー先・応募先の選び方の変化】
| 既卒者を受け付けている企業を選ぶようになった | 51.3％ |
| 在学中より業界の幅を広げた | 51.1％ |
| 在学中より職種の幅を広げた | 32.4％ |
| 憧れだけで企業を選ばず、自分の適性に沿って選ぶようになった | 23.6％ |
| 企業情報を収集する手段を増やすようになった | 23.5％ |
| 在学中より勤務地の幅を広げた | 21.1％ |
| 在学中より業界を絞り込んだ | 19.3％ |
| 在学中より中小企業中心に活動するようになった | 18.1％ |
| 在学中より職種を絞り込んだ | 14.8％ |
| 在学中より勤務地を絞り込んだ | 13.8％ |
| 在学中より大手企業を中心に活動するようになった | 7.0％ |
参照：株式会社マイナビ「2023年度 マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」
多くの人が選択の幅を広げて活動していることが分かります。
在学中には検討の対象外だった企業にも目を向け、活動量自体も増えていることが伺えます。
一方で、業界・職種・勤務地を絞り込んだという回答も見られることが興味深い点です。
就活を続ける中で、内容の濃い自己分析ができた結果、狙う範囲を絞り込み活動を効率化していったのでしょう。
活動量に関しては、内定を獲得した人のうち「増えた」と回答した割合が42.7％となっており「減った」と回答した25.2％を大きく上回っています。
やはり、思うような成果が出なかった在学中の就活の反省を活かし、活動量を増やすことで内定につなげていることが伺える結果となっています。
就職浪人（既卒）就活で苦労したこと
卒業後の就活で「何が大変だったか」との問いに対する回答が以下の表です。
【卒業後の就職活動において大変だと思うこと】
| 既卒者としての活動の仕方が分からなかった | 52.6％ |
| 既卒として就職活動をしている理由を聞かれる | 50.6％ |
| 既卒者の募集が少ない | 44.9％ |
| 既卒者募集をしている企業を探しづらい | 40.7％ |
| 新卒のように仲間がいないので進捗が分からない | 35.7％ |
| 学生と一緒の選考は気おくれする | 31.0％ |
| 新卒の就職サイトに登録して活動してよいものか迷った | 28.5％ |
| 在学中に就職活動しなかった理由を聞かれる | 23.0％ |
| 就職サイトなどの第二新卒や中途採用の募集に応募してよいものか迷った | 17.2％ |
参照：株式会社マイナビ「2023年度 マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」
既卒者としての就活の仕方に悩む回答が多く、新卒との活動方法の違いに戸惑う傾向が見て取れるでしょう。
また、半数以上が既卒となった理由を説明するのが大変だったと答えています。
やはり、就職浪人した理由に対する回答に苦慮した様子が伺えます。
就職留年であれば、新卒の延長でこれまでの反省点を活かしながら就活できるのに対し、就職浪人をした人は、既卒の就活ならではの苦労を味わっているようです。
こうした苦労は的確なアドバイスをくれる第三者の目があることで、かなりの部分で解決できるのではないでしょうか。
「就職留年」と「就職浪人（既卒）」って……ぶっちゃけどっちが就活に不利なの？
正直、新卒と比較すると「就職留年」「就職浪人（既卒）」はどちらも就活に不利です。
「就職留年と就職浪人のメリットとデメリットの比較」でもお伝えしましたが、「就職留年」「就職浪人（既卒）」の2つでは「就職浪人（既卒）」の方が不利になります。
ここからは「就職留年」と「就職浪人」を経験した方それぞれのエピソードを交えて説明していきます。
まず1人目に、就職留年した方のエピソードをご紹介します。
地方大学に通っていたNさん（23歳・女性）は、就職活動に苦戦し、なかなか内定を獲得することができずにいました。
周りの友人たちが次々に進路を決める中、企業から届くのは“お祈りメール”ばかり。
焦りが募っていったといいます。
就職浪人するか留年して来年もう一度学生として選考を受けるか考えた時、Nさんは先輩から聞いた「既卒の就活は大変だよ」という話を思い出し、あえて留年する決意を固めます。
もちろん留年することで就活が不利になることも分かっていましたが、「就職浪人するよりはうまく進められるのではないか」と考え、翌年の就活に臨みました。
案の定、翌年の面接では留年した理由を聞かれましたが、Nさんが思っていたほど追及されることはなかったそうです。
公務員試験を並行して受けていたため少し時間はかかってしまいましたが、就活は順調に進みました。
残念ながら公務員試験に合格することはできなかったものの、その後Nさんは無事に第一希望の企業からの内定を獲得。
大学卒業後の4月から社会人として働いています。
就職浪人を選んだYさん（25歳・男性）
2人目にご紹介するのは、就職浪人を選んだYさん（24歳・男性）。
Yさんは大学時代、公認会計士合格を目指し試験を受けていました。
しかし在学中に合格することはできず、Yさんはそのまま大学を卒業します。
就職浪人（既卒）になったあとも、試験に合格するため予備校に通い、毎日10時間以上の勉強に励んでいました。
しかし公認会計士は難関試験であるため、そう簡単には受かりません。
大学を卒業し3年近くが経過した頃、Yさんはこのまま試験を受け続けることに限界を感じ、公認会計士の道を諦め就活を開始します。
この時Yさんは「確かに既卒ではあるけど、まあなんとかなるだろう」と思っていたそうです。
ですが現実は想像以上に厳しいものでした。
履歴書を出してもほとんどが書類選考でお見送り。
やっと通過したと思っても、面接でうまく話すことができず結局お見送り。
自分の考えの甘さを身をもって痛感したそうです。
その後UZUZに登録してくださったNさんは無事に内定を獲得できましたが、のちに「既卒の就活がこんなに大変だなんて思いもしませんでした」と語っています。
加えて「ひとりで就活を続けていたら、多分まだ内定を獲得できずにいたと思います」とも言っていました。
どうして就職留年より就職浪人（＝既卒）の方が不利になるの？
留年して就活をしたNさん、就職浪人して就活をしたYさんのエピソードをご紹介しましたが、インターネット上でもこのような声が多くみられました。
- 就職浪人は不利になりやすい
- 就職浪人（既卒）ではなく就職留年の方がいい
これは「就職留年は“留年”というハンデを背負ってはいるものの、新卒枠の学生には変わりないから」というのが大きな理由です。
大学で留年する人は少数派ではありますが、それほど珍しくはないというのも理由の1つ。
もちろん採用が活発化している今、既卒や第二新卒を積極的に採用する企業も多く見られるようになりました。
しかし現在の日本は「新卒至上主義」が強く、新卒が圧倒的に有利になりやすい傾向にあります。
そういった観点から「たとえ留年していても、就職浪人している既卒よりは一応新卒である就職留年組の方がいい」という声が多いんですね。
企業の中には、銀行のような「未経験者採用は新卒のみ」という“新卒だから受けられる企業”も多くあります。
なのでまだ就職浪人していない（＝既卒になっていない）方で、新卒でしか入れない会社への入社を希望している方は、なるべく新卒のうちに就活を終わらせた方がいいでしょう。
「就職留年」や「就職浪人」をすることで就活にどんな影響が出るの？
覚えておくべきなのは就職留年も就職浪人も基本的にはどちらも不利だということです。
そのため、どちらも新卒と全く同じ土俵に立てるかというとそれはもちろん難しいし、真っさらな新卒と比べるとどうやってもマイナス評価になってしまいます。
「新卒で就職できなかったのには何か理由あるんじゃないか？」
「同じスペックなら既卒より何もない新卒の方がいい」
特に就職浪人（既卒）の場合、企業の中には、このような判断をしているところもあります。
就職浪人をしていても高い能力ややる気を持っている方はたくさんいるのに、「既卒だから」という理由で選考に通らなくなってしまうのです。
就職留年や就職浪人が必ずしも全て悪いわけではありません。
している方々にも様々な理由があります。
大事なのは留年するにしろ浪人するにしろ、「それなりのハンデを背負う覚悟を持つ」こと。
空いた空白期間をただなんとなく過ごすのではなく、きちんと説明できる過ごし方をすること。
後は、留年や浪人の言い訳をせず、自分の「遅れ」を認めることです。
上記のことを意識できれば、就職活動もきっとうまくいくはずです。
就職浪人はやめとけと言われる理由
就職留年にも就職浪人にもメリット・デメリットはあります。
しかし、一般的に就職留年と就職浪人を比較した際に「就職留年の方がいい」という声の方が多いというのは事実です。
そこで、ここからは就活生や就活経験者から就職浪人が敬遠される理由をご紹介します。
精神的な余裕がなくなるから
就職浪人は、学校に通っていない分、現役の学生と比べて時間に余裕があり、就活に多くの時間を費やせます。
一方、就職浪人は時間的な余裕はあるものの、次のような理由から精神的な余裕がなくなってしまうともいわれています。
- 社会人として働いている元同級生たちへの劣等感
- 学生でもなく社会人でもないというプレッシャー
- 相談できる場所がない孤独感
特に「就職先が決まらなかった」と就職浪人を選んだ場合、一足先に社会人となった同級生たちを見て「どうして自分は……」と劣等感を抱いてしまいます。
また、家族や恋人など自分を支えてくれる人たちに対しても、学生でもなく社会人でもない状態に気まずさや申し訳なさを感じてしまうことも。
就職のことで悩んだ時にも同級生に悩みを相談しづらく、学校のキャリアセンターや就職課などにも相談できません。
こうした点が、就職浪人が精神的に追い込まれてしまう要因といえるでしょう。
「新卒で就職できなかった人」というイメージを持たれるから
2022年、厚生労働省は「青少年雇用機会確保指針」の改正を行い、各事業者に対して「学校卒業後3年以内の既卒者には新卒枠で応募受付を」という通達を出しました。
ただ、上記の通達は必須ではないため、多くの企業では未だに「新卒至上主義」のもと採用活動が行われているという実態があります。
新卒採用の枠から外れ、既卒枠（中途採用枠）での応募となると、ポテンシャル採用を行う企業の数はぐっと減り、実務経験やスキルが重視されるようになります。
仮に「未経験可」の求人でも、「社会人経験のある未経験者」と「新卒で就職できなかった社会人経験のない未経験者」では、どうしても後者が不利になってしまうのです。
このような就職浪人に対するネガティブなイメージは、社会全体に根強く存在するため、一朝一夕で改善できるものではありません。
就職留年を選ぶ人が、余分な学費を払ってまで学生を続けるのは「新卒として就職すること」に高い価値を見出しているからです。
面接で理由を答えるのが難しいから
就職留年の場合、就活の面接で留年した理由を聞かれることはほとんどありません。
一方、就職浪人（既卒）となり就活で面接を受ける場合は、必ずといっていいほど「なぜ既卒になったのですか？」という質問をされます。
その際に「企業から内定をもらうことができなかった」と、事実を正直に話すと「どこからも採用されないほど問題がある人なのでは？」とマイナスの印象を持たれかねません。
仮に「勉強に集中していて就活の時間がなかった」「就職したいと思える企業がなかった」などと答えても、「計画性のない人」と、結局マイナスの印象になってしまいます。
繰り返しになりますが、新卒で入社をする人がいる以上、就職浪人は「何らかの理由がある」人であり、ネガティブなイメージがついて回ります。
せっかく面接選考までたどり着いても、「なぜ既卒になったのか」という問いに対して、採用担当者が納得できる回答ができない限りは採用されないのです。
このように、就活で不利な状況が予想されることからも、就職浪人は避けられがちです。
大学のサポートが受けられなくなる可能性があるから
就職浪人は在学中に受けていた大学からのサポートは、期待できないと思っておいた方がよいでしょう。
就職が決まっていないとはいえ既に卒業している身であり、学費を払っているわけではないからです。
もし、卒業生に対する支援が可能とされていたとしても、在学生が優先されるため十分なサポートは受けられないでしょう。
大学内の合同説明会への参加や、就職課による応募書類の添削などは期待できません。
自ら情報を収集し、積極的に企業にアプローチをかけるなど、かなり能動的に動かなければ、内定を勝ち取ることは難しくなります。
インターンや体験入社も難しいから
インターンや体験入社の申し込み窓口が、現役学生向けの就活サイトに限定される企業も多くあります。
こうした場合、申し込みたいと思っても、電話やメールで企業に直接連絡する以外に方法はなく、既卒者は断られる可能性が高いでしょう。
このように、既卒者の就職活動は企業とのコンタクトにおいても方法が限られるのです。
確かに就職浪人の場合、時間的な余裕は確保できるでしょう。
しかし、それ以上に応募企業をはじめ、就職活動の方法まで選択肢が狭まるデメリットがあることを覚悟しておかなくてはなりません。
就職浪人のメリット・デメリットは以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
就職留年・就職浪人を企業はどのように見ているのか
日本企業の多くは、まだ「新卒至上主義」の傾向が強く、就職浪人を積極的に採用しようとする企業は少数派です。
やはり、未経験者の採用であれば、職歴にブランクがない人材を採用したいと考えるためです。
就職留年者についても、新卒枠での採用となりますが「就職できなかった人」というネガティブな印象がつきまといます。
ストレートに就職が決まった学生と比較し、就職留年・就職浪人は、どうしてもポテンシャルの面で懸念を生じさせてしまうのです。
こうした懸念を払拭するには、かなりの努力と準備をもって就職活動をすることが求められるでしょう。
「就職留年」「就職浪人」が不利になりやすい業界・なりにくい業界
就職留年・就職浪人を選択し、そこから仕切り直して就職を目指す場合、やはり競争率の高い業界では不利になることは否めません。
しかし、さほど不利にならない業界もあります。
就職留年・就職浪人するべきか迷う場合は、自身の志望する業界も判断材料にするとよいでしょう。
不利になりやすい業界
就職留年・就職浪人が不利になりやすいのは以下の業界です。
- 金融業界
- 大手総合商社
- インフラ業界
金融業界、特に銀行系は新卒一括採用重視の傾向が強く、大手ほど応募条件が新卒のみとなる場合がほとんどです。
大手総合商社（特に財閥系）は就職先としてトップクラスの人気を誇っており、有名大学のコミュニケーションや語学に秀でた、ハイスペックな人材で固められます。
インフラ業界も同様、安定性と待遇の良さから人気があり、採用選考も厳しく難関の業界です。
いずれにせよ、人気があり競争率の高い業界は、優秀な新卒枠の学生で占められるため、そこに割り込むことは相当に難しいといわざるを得ません。
不利になりにくい業界
反対に不利になりにくいのは、以下に挙げる業界です。
- 福祉/介護業界
- サービス業
- 不動産業界
- IT業界
- 公務員
福祉/介護業界やサービス業は、慢性的な人手不足が業界全体の課題であり、広い層から人材を集めているため、さほど不利にはなりません。
IT業界も、将来の発展を見込んで人材を広く集めているため、十分にチャンスがあるでしょう。
不動産業界は実力主義の側面が強く、結果を出せる人材と見込まれれば、過去の経験は問わず採用に至るケースも多い業界です。
公務員についても、条件さえ満たせば、公務員試験を受験でき、道が拓けます。
こうした業界を就職先として考えるのであれば、就職留年・就職浪人を選択肢としてもよいのかもしれません。
「就職留年」や「就職浪人」を選んで成功する人の特徴
新卒至上主義が根強い日本において、やはり新卒は「最強のカード」であるといえます。
しかし「就職留年や就職浪人＝就活で100％苦労する」というわけでは決してありません。
反対に、就職留年や就職浪人という経験をバネにして、自分が心から納得できる企業にスムーズに就職できる人たちも数多く存在するのです。
ここからは、そんな就職留年や就職浪人で成功する人たちに多く見られる特徴をご紹介します。
就活を早く始めている
就職浪人・就職留年いずれも、就活に割ける時間はこれまでより多くなるでしょう。
しかし、時間的に余裕があるからとのんびり構えず、すぐにでも行動に移すことが大切です。
在学中の就活で、準備不足や時間が足りなかったという反省点も多く出ていました。
就活に成功するためには可能な限りスケジュールを前倒しにしつつ、できることから始め、効率よく動くことが欠かせません。
理想にこだわりすぎず応募先の選択肢を広げている
就職留年や就職浪人をする人は、理想にこだわりすぎてチャンスを逃している人が多いのかもしれません。
内定をもらっていても結局入社しなかった人は、やはり理想とするものがあって納得できなかったのでしょう。
最初の就活では、大手企業や地元での就職にこだわるなど、選択の幅を狭めていたことが失敗の原因かもしれません。
確実に内定を得るためには、理想にこだわりすぎず視野を広げてみることも必要です。
適切に情報収集をしていけば、思いもよらない自分に合う企業が見つかることがあるかもしれません。
自己分析がしっかりできている
就職留年や就職浪人をする人の中には、「就活の軸」がブレてしまうことで企業選びがいい加減になってしまったり、自分の強みや弱みを理解しないまま就活を進めてしまう人が少なくありません。
一方、就職留年や就職浪人をしても、自分を客観的に見つめることができる人はリカバリー能力も高く、就職留年や就職浪人の経験も自分の個性や持ち味として就活を進めます。
自信を持って「〇〇という理由があって就職浪人（留年）をした」と答えられるように、自分の考え方や行動パターンを分析し、説明できることが求められます。
就職留年や就職浪人を選んだ場合は、やみくもに就活を続けるのではなく、まずは過去の振り返りや自分の希望・強みや弱みを見つめ直してみましょう。
自分に合う企業選びができている
大手企業や有名企業だけに絞って就活を進めてきたため、結果として就職留年や就職浪人となった人も多いでしょう。
どのような企業で働きたいと考えるのかは個人の自由ですし、大手企業や有名企業を目指すこと自体は決して問題があるわけではありません。
ただ、特定の企業や業種、職種にこだわりすぎることで、自分に合った企業選びができなくなる可能性は否めません。
就職留年や就職浪人をしてもその後の就活がスムーズに進む人は、企業や業種、職種よりもまず「自分のやりたいこと」が明確です。
「自分のやりたいこと」を基準にすると業種、職種の枠に捉われず、自分に合った企業選びができ、入社してからの満足度も高まります。
資格取得など、スキルアップに励んでいる
就職留年や就職浪人を選ぶことのメリットとして、現役の学生よりも時間に余裕がある点です。
就活を成功させる人は、就職浪人や就職留年をしたからこそできた時間を有効利用します。
例えば、資格取得やPC操作、語学力など、入社後に役立つと思われるスキルを就活と並行して身に付けるのです。
就職浪人の場合は特に「就活中＝空白期間」となるため、空白期間を意味のある時間であったと伝えるためにも、スキルアップの時間を作ることは大切です。
勉強だけではなく、アルバイトを通じて就職後に役立つコミュニケーションスキルやビジネスマナーが身に付けられることもあるでしょう。
履歴書や面接対策ができている
就職留年や就職浪人をする人は、一度就活を経験している人も多いです。
しかしそこで注意したいのは、一度就活を経験しているからといって、履歴書の書き方や面接の受け答えが完璧であるとは限らないということ。
履歴書や面接は数を重ねれば慣れるものの、誤った方法やクセが定着してしまうと負のループに入り込んでしまう可能性があります。
就活をスムーズに進められる人は、客観的視点を持っていることが多く、選考を通過しやすい履歴書の書き方や、好感を持たれやすい面接の受け答えのコツも理解しています。
そのため、就職留年や就職浪人をしていても、希望する複数の企業から内定をもらうことも少なくありません。
「客観的な視点の持ち方が分からない」「どうしても主観的になってしまう」という人は、第三者からのアドバイスを受けながら履歴書や面接の対策をすることをおすすめします。
就職浪人、就職留年中のエピソードを前向きに話せる
就職留年・就職浪人に至った理由は必ず聞かれるポイントです。
理由や、留年・浪人中のエピソードは、ポジティブに響くように工夫をしなくてはなりません。
以下のフローを用いると、ポジティブな印象を与えやすくなるでしょう。
- 留年・浪人に至った理由と反省
- 反省を経てどのような前向きな行動をしているか
例文を紹介します。
自分なりに原因を考えたところ、業界や業種が絞り切れておらず、結局自分が何をやりたいのか軸が定まっていなかったことが反省点です。
幸い、両親から「学費のことは心配しなくてもよい」と言ってもらえたため、留年を決断しました。
この反省を活かし、自己分析や業界研究をかなり綿密に行い、自分が目指すのは〇〇業界だという結論に至りました。
就職浪人の場合
〇〇業界の企業を回る中で、〇〇の資格があると有利なことが分かり、大学在学中に取り組んでこなかったことを大変反省しています。
他業界からの内定は数社いただいていましたが、どうしても〇〇業界で働きたい気持ちが強く、辞退いたしました。
留年も検討したのですが1年分の学費を払うのであれば、資格取得に向けた勉強に使いたいと思い、就職浪人を選んだ次第です。
現在スクールに通い、〇〇資格取得に向け勉強を続けています。
ポイントは反省から具体的な行動に至った流れです。
その行動をリアルに話すことができれば、ポジティブな印象を持ってもらえるでしょう。
就職留年する3つの方法
就職留年するか浪人するかを迷う場合、状況が許すのであれば就職留年を選ぶことをおすすめするのは、これまで述べた通りです。
ここでは、実際に就職留年を決断した場合、どのような方法を取ればいいのかを解説します。
概ね考えられるのは、次に挙げる3つの方法です。
- 卒業延期制度を利用する
- 休学する
- 単位数を調整する
それぞれの注意点もあわせ解説します。
1．卒業延期制度を利用する
大学によっては、卒業延期制度が利用できる場合があります。
卒業延期制度とは、単位が揃っていても、学費の一部を支払うことで卒業を1年先送りできる制度で、希望留年制度とも呼ばれます。
もともとは内定を取り消された学生の救済措置として始まりました。
昨今の就職事情の厳しさから導入する大学も増えており、就活が不調に終わった学生を支援する制度としても機能しています。
ただし下記3点の注意点は、しっかり把握しておきましょう。
- 費用負担が発生する 必要な費用は、10万円から20万前後、授業料の1割など、大学により様々
- 各大学で規約が定められている 対象者の基準など細かく規約が定められているため、事前に確認が必要
- 制度がない大学もある 原則として国公立大学では制度が設けられていない
2．休学する
休学を申し出る方法もあります。
既に単位を取得している場合は、就職留年を検討した時点で、大学の学生課で休学が可能か調べてみましょう。
申請し認められれば、休学扱いで大学に籍を置いておくことができます。
大学により異なりますが、授業料も満額の負担ではなく軽減される場合がほとんどで、国公立大学では休学中の学費は免除されます。
ただし、休学する場合には下記点を確認しておきましょう。
- 休学理由が限定される 病気・ケガ・海外留学などに限り認める大学もある
- 大学・学部によっては費用が高額となる場合がある 多くは5万円～10万円程度だが、大学・学部によっては30万円を超えることもある
3．単位数を調整する
「単位数を調整する」とは、意図的に単位を落として、卒業を回避する方法です。
必修科目など、卒業に必要な単位はあらかた取得したうえで、2単位あるいは4単位をわざと落として調整します。
留年を決めた時点でゼミの先生に相談し、あえて卒論の提出をせずゼミの単位を落とすこともあるようです。
学業面の負担を最小限にして、就活に集中できるメリットがあります。
ただし、下記2点の注意点もあるため確認しておきましょう。
- 学費の負担が大きい 通常の留年と同じ扱いで、満額の学費を払う必要がある
- 落とした単位は必ず翌年取る必要がある 取りやすい科目を落とす、卒論を必ず提出するなど漏れなく対応する必要がある
就職浪人を成功させるには転職エージェントの活用がおすすめ
新卒と比較すると就活には不利な状況でも、就活の進め方次第で希望する企業への就職は可能です。
とはいえ、特に就職浪人の場合は学校を卒業してしまっているため、相談できる場所もなく、一人で就活を続けることに不安を感じやすいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、転職エージェントを活用する方法です。
転職エージェントでは、自己分析や企業分析、履歴書の添削や面接対策などのサービスを無料で提供しています。
また、自分にマッチした求人の紹介や面接日時の調整、入社前のやりとり、入社後のフォローなどを受けることも可能です。
転職エージェントのキャリアカウンセラーは、いわば「就活のプロ」。
転職はもちろん、既卒など就職経験のない人のサポート経験も豊富なため、就職浪人の人も安心して利用できます。
この記事のまとめ
就職留年や就職浪人はいずれも新卒と比較すると就活には不利な立場といえます。
特に就職浪人は「新卒」ではなく「既卒」扱いとなるため、就活ではより厳しい状況に陥りがちです。
しかし、昨今の人材不足から既卒の採用に力を入れ始めている企業もあり、就職浪人（既卒）になったからといって悲観することはありません。
就職浪人（既卒）になった理由はどうであれ、あなたが採用担当者の目に映ったその時に、あなたが「うちの会社で働いて欲しい」と思われる人になっていればよいのです。
「そうはいっても何をどうすればよいかわからない……」
そんな時は、私たちUZUZにご相談ください。
UZUZは既卒や第二新卒、フリーター、ニートなど20代の就活に特化した転職エージェント。
利用者の方たちと同じ「就職で苦労した経験」を持つキャリアカウンセラーたちが、あなたのこれまでの経験やこれからの希望をお伺いしながら就活のサポートを行います。
もちろんご利用は無料。
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