本記事では新卒より給料が低くなってしまう原因や、それによって起こっている様々な問題についても解説します。
もし、新卒より給料が低く、悩んでいたり不満を持っている人は最後まで読んで自分のできる対処法を考えてみてください。
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新卒より給料が低くなってしまう主な2つの原因
ここでは新卒より給料が低くなってしまう理由について解説します。
1.初任給の引き上げ
新卒より給与が低くなってしまう原因の1つ目は、新卒者の初任給が引き上げられていることです。
初任給が引き上げられている理由は、主に次の3つです。
- 新卒採用市場での競争が激化
- インフレや物価上昇
- 企業イメージの向上
日本では少子高齢化が進んだため、労働者の確保は難しく、特に新卒者の採用については多くの企業の課題となっています。
そこで新卒者の採用戦線を勝ち抜いてより優秀な人材を集めるために、多くの企業が初任給を引き上げているのが現状です。
また、最近の世界的なインフレや物価上昇も、初任給の引き上げに影響しています。
特に生活費が高くなっている都市部では、生活コストに見合った賃金を提示しなければならないため、企業は新卒者の初任給の引き上げを行う必要があるのです。
初任給を引き上げることで、企業のブランド力や企業イメージの向上を図ろうともしています。
高い初任給を提示することで「従業員を大切にしている」「報酬が良い企業」という印象を与え、優秀な人材の獲得だけでなく、採用力や従業員満足度の向上を目指しているのです。
参考:一般財団法人労務行政研究所「2024 年度 新入社員の初任給調査」
2.賃金上昇の停滞
日本では、賃金の上昇が長期間停滞しています。
特にバブル崩壊後から経済成長が鈍化し、多くの企業が人件費を抑制するようになりました。
そのため、長く同じ企業に勤務しても給与がほとんど上がらない場合があり、結果的に新卒の給与に追い越されることもあります。
また日本の従来の雇用システムである年功序列制度が弱まってきていることも既存社員の給与上昇が停滞してしまう原因の一つです。
以前は勤続年数に応じて給与が自動的に上がるシステムが一般的でしたが、近年では成果主義や能力主義にシフトしている企業も増えています。
その場合、若手社員の方がスキルや実績を評価されて高い給与を得るケースも出てくるため、新卒より給与が低くなってしまうのです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
初任給を引き上げる企業は増加傾向
一般財団法人労務行政研究所によると東証プライム上場企業 152 社のうち、2024年度に初任給を全学歴引き上げた企業は 86.8%でした。
2023年度の 70.7%から 16.1 ポイント上昇しており、多くの企業が初任給引き上げに踏み切っているといえます。
時代を担う若手人材を確保するために、多くの企業が今後も初任給の引き上げを実施すると考えられます。
また、働きやすい環境を整えるために休暇制度などの福利厚生を見直すなど、新卒者を確保するための企業間競争はますます激化しているといえるでしょう。
社会人2年目の平均年収や実態については、こちらの記事で解説していますので参考にしてください。
新卒より給料が低い状態が続くことの影響
企業にとっても良いこととは思えないんだけど……。
新卒より給料が低い状態が続いた場合、社員や企業にどんな影響があるか、解説します。
1.モチベーション低下とチームワークの崩壊
既存社員が新卒社員よりも低い給与を受け取る状況が続くと、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
自分が経験を積んでいるにもかかわらず、新入社員と比べて待遇が悪いと感じると、仕事への意欲・パフォーマンスの低下や離職意向の増加につながります。
また、新卒社員が高い給与を受ける一方で、既存社員が低い給与に甘んじている状況は、職場内で不平等感や不満を生む可能性もあるでしょう。
このような不満が蓄積すると職場の雰囲気が悪化し、チームワークの崩壊やコミュニケーションの低下といった問題が発生しかねません。
このような状態に陥ると業務の円滑な推進に支障をきたす可能性もあります。
2.企業の競争力の低下
既存の従業員のモチベーションが下がったりチームワークが崩壊することは、会社全体のパフォーマンスの低下を招いてしまいます。
経験豊富な従業員や優秀な人材は自分のスキルや経験を正当に評価してくれる他社へ転職を検討する可能性が高まるでしょう。
競合他社が魅力的な条件を提示すれば、経験豊富な社員が流出し、企業のノウハウや技術力が失われ、競争力が低下するリスクが大きくなります。
こうした人材の喪失により、企業全体の生産性に悪影響を与えて業績にまで響くと「このままここで働いてもいいのだろうか」と会社の将来性を不安に感じることになるでしょう。
3.キャリアの停滞
給料が新卒以下にとどまるという状況が続く場合、従業員は将来的なキャリア成長や昇給の期待を持ちにくくなります。
将来の昇進やスキル向上の機会が見えないため、長期的に会社に貢献しようという意欲も削がれ、さらなるスキルアップやキャリアの挑戦を躊躇する傾向が強まります。
こうなると従業員が自分自身の成長機会を見失い、企業もその成長をサポートできなくなるという悪循環になりかねません。
新卒より給料が低い場合の5つの対処法
以下の5つの方法で対応してみるといいですよ。
1.自己評価と市場価値を確認する
まず、自分のスキルや経験を冷静に見直し、自分の市場価値がどのくらいかを確認しましょう。
これを知るためには、同じ業界や職種での他社の給与水準や求人情報を調べ、自分の現在の給与が市場と比較して適切かどうかを判断します。
同じ業界や職種のネットワークを活用して、他の人々のキャリアや給与の状況を聞いてみるのも有効です。
もし、現在の給与が不当に低いと感じる場合には、その不満に根拠があるかどうかを確実に把握しましょう。
2.キャリアプランの見直しと昇給や昇進の可能性を確認する
自分のキャリアプランを見直し、今の職場で得られる経験やスキルが今後の成長につながるかを考えることが重要です。
そのためまずは、会社内での昇給や昇進の制度やルートを確認することが必要です。
もし今のポジションで将来的にキャリアアップの見込みがあり、その先で適正な給与を得られる可能性が高い場合、短期的な不満を我慢することも選択肢の1つです。
人事部や上司と相談して、自分の評価がどのように行われているか、今後のキャリアアップの可能性がどうなっているかを話し合って確かめるようにしましょう。
また定期的な業績評価のタイミングで自分の成果をアピールし、昇給の話をすることも有効です。
3.会社の担当者に賃上げを相談・交渉してみる
自分の市場価値を明確に理解したら、適切なタイミングで給与交渉を行うことを考えましょう。
賃上げを個人的に相談・交渉したりすることに躊躇する気持ちもあるかもしれませんが、正当な評価を受けていないと不満を感じるのであれば、思い切って交渉してみることも一つの手段です。
ただし、単に「給料を上げてほしい」と要求するのではなく、具体的な成果や企業に対する貢献を示すことが大切です。
交渉の際には、他社の給与水準や自分の貢献度をもとに、冷静かつ建設的に話を進めるよう心がけましょう。
4.スキルアップを図る
もし現在のスキルや経験が不十分で給与に反映されていない場合、スキルアップを目指すことも選択肢です。
業務に関連する資格を取得したり、新しいスキルを学ぶことで自分の価値を高め、給与アップのチャンスを増やすことができます。
特に専門スキルやニッチな分野での知識を身につけることは有効です。
企業も優秀な人材は会社に残って活躍してほしいと考えるはずです。
スキルを活かした実績が良い評価につながり、給与の見直しを検討してもらえるかもしれません。
5.他の仕事や転職を検討する
そもそも給与の額が業務量に見合っていない場合や現職で給与アップの可能性が低く、キャリアの成長も期待できない場合は、転職を検討することも一つの方法です。
転職市場での自分の価値を見極め、より高い給与を得られる企業に移ることが現実的な解決策になることがあります。
この場合でも、転職活動を通じて自分のスキルや経験が正当に評価されるか、給与条件が適切かを確認することが大切です。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
感情的に行動しないことが大切
給料に対する不満がある場合でも、感情的に対応せず、冷静になることが大切です。
不満をすぐに上司や同僚にぶつけるのではなく、冷静に状況を分析し、自分にとって最善の解決策をじっくりと考えるのが得策です。
長期的な視点でキャリアを考え、安易に辞めたり、無理な要求をしないように心がけましょう。
転職するときに押さえておきたいポイントについて、こちらの記事に詳しく解説していますので、参考に読んでみてください。
まとめ
現在は様々な理由から初任給が引き上げられ、若手社員との給与が逆転しており、それに対して不満を持つ既存社員も少なくないのが現状です。
もしこのような状況に不満を抱えている場合は、上記「新卒より給料が低い場合の5つの対処法」で解説した方法で冷静に対処することが大切です。
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