もくじ
実際どうなのかな?
IT業界は決して離職率の高い業界ではないんですよ。
ただIT業界の中でも、システムエンジニアやプログラマー・インフラエンジニアといった技術系職種は予期せぬトラブル対応により労働時間が延びることもあります。
夜間に出勤を求められたりと一時的にハードワークになることもあるでしょう。
もちろん中には離職率の高いIT企業があるのは事実。
とはいえ、「ブラック企業だから」「激務だから」というわけではなく、IT業界独特の事情があるんです。
この記事では、IT業界の中でも特に“技術系職種”に焦点をあてながら離職率について詳しく紐解いていきます!
IT系の仕事には様々な職種があり、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ合わせてお読みください。
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IT業界の離職率・直近の数字はどうなっているの?
厚生労働省が毎年実施している雇用動向調査の直近5年間の推移を見てみましょう。
IT業界と産業全体の離職率の推移を比較したのが以下の表です。
【IT業界(情報通信業)と産業計離職率の推移】
年度 | IT業界離職率 | 全体離職率(産業計) |
---|---|---|
令和4年度(2022年度) | 11.9% | 15.0% |
令和3年度(2021年度) | 9.1% | 13.9% |
令和2年度(2020年度) | 9.2% | 14.2% |
令和元年度(2019年度) | 9.6% | 15.6% |
平成30年度(2018年度) | 12.9% | 14.6% |
参考:厚生労働省「雇用動向調査結果の概要 産業別の入職と離職 平成30年~令和4年度」(※全体の離職率はR3年以前の付属統計表より算出)
過去5年間の離職率の推移を見ると、IT業界の離職率は産業計(全体)の数値より下回っており、IT業界だけが突出して離職率が高いとは言い切れません。
やはり、イメージが先行して離職率が高いと思われているようです。
IT業界の離職率と他の業界の比較
じゃあ他の業界と比べたらどうなの?
厚生労働省による雇用動向調査より、他の業界の離職率も確認していきましょう。
離職率の高い業界(産業分類)から、順に並べたのが以下の表です。
【産業別離職率の状況】
宿泊業・飲食サービス業 | 26.8% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 18.7% |
医療・福祉 | 15.3% |
教育・学習支援業 | 15.2% |
卸売・小売業 | 14.6% |
不動産・物品賃貸業 | 13.8% |
運輸業・郵便業 | 12.3% |
情報通信業(IT業界) | 11.9% |
複合サービス業 | 11.0% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 11.7% |
建設業 | 10.5% |
製造業 | 10.2% |
参考:厚生労働省「令和4年度 雇用動向調査結果の概要 産業別の入職と離職」
最も離職率が高い業界は宿泊業・飲食サービス業の26.8%。
次いで生活関連サービス業・娯楽業の18.7%です。
一方、最も離職率の低い業界は製造業の10.2%。
そして情報通信業(IT業界)の離職率は11.9%です。
どのくらいだったら離職率が「低い」って判断できるの?
なので、11.9%のIT業界は決して「離職率が高い」とはいえません。
とはいえこの数値は「情報通信業」の平均であり、IT技術系職種だけではなくIT系の営業職や管理職など、様々な職種が含まれています。
もちろん職種だけでなく、会社によっても離職率は大きく異なるので注意しましょう。
ただ総合的に見て、 IT業界(情報通信業)の離職率は、決して高くないことが分かってもらえたでしょうか。
離職率の高い業界・低い業界について、もっと詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
離職率が高くないのに、IT業界が“ブラック”と言われる理由
IT業界がブラック企業だと思われがちな理由を3点に分けて見てみましょう!
- IT業界特有の“ピラミッド構造”があるから
- 突然のトラブルが発生する可能性もあるから
- 常に人材を募集しているから
- 人間関係が希薄になりがち
- スキルによって待遇に差が生じやすい
それぞれ詳しく解説していきます!
IT業界特有の“ピラミッド構造”があるから
IT業界にブラックなイメージがつきやすい一番の原因は「ピラミッド構造」にあります。
ピラミッド構造とは、受注を受けた会社が部分的あるいは全ての業務を下請け企業に委託していく流れのことです。
それなら「おいしい部分」だけ自社で済ませて、後は下請けに任せようという流れになってしまうのです。
例えば、システム開発の大きな案件を受注した場合、大元となる「システム概要の作成」のみ担当し、後の細かい部分は下請けに任せてしまうのです。
具体例を挙げると、家を建てるのに顧客と話し合ってデザインのみ作成し、設計図や実際に家を建てる工程を全て下請けに任せるというイメージ。
もちろん一次請け企業は利益を十分に確保した上で、下請けに委託します。
次に2次請けシステム会社は「システムの仕様書作成」部分まで済ませて、残りの工程を3次請けシステム会社に委託します。
そして実際の開発業務を行うのは3次請けシステム会社以降。
当然利益も少なくなるうえに、案件の中で最も時間のかかる作業を担当することになります。
つまり、下請け企業になるほど賃金が安いのに業務量が多くなり、ブラックな環境が出来上がってしまうのです。
悪いのはこのピラミッド構造よりも、「利益だけ抜いて委託する企業」がいるということ。
それが下請け企業にどんどん流れると、低層で働くエンジニアたちは劣悪な環境での労働を強いられることになります。
とはいえ、ピラミッド構造が成り立つのはそれだけ「利益率の高い仕事だから」という面もありますね。
突然のトラブルが発生する可能性もあるから
IT技術系職種は業務上、どうしてもハードに働かないといけない時期があります。
例えばプログラマーやシステムエンジニアは、プロジェクトの期日が迫ってくると残業時間が増えます。
システム納品時にトラブルが発生すると、「解決するまで帰れない」なんてことも……。
またインフラエンジニアの場合は、夜勤を含むシフト制をとる会社も珍しくありません。
夜勤があるとどうしても生活が不規則になり、ハードワークに感じてしまいますよね。
また、インフラエンジニアはサーバー障害が発生すると夜間でも呼び出されたり、トラブル対応に追われたりします。
トラブルは毎日生じるわけではありませんが、環境に慣れるまでは大変に感じることもあるかもしれませんね。
常に人材を募集しているから
IT業界の求人は多く、常に人材を募集しています。
IT業界は比較的新しく出てきた業界なので、需要と供給が追いついていなく若手の採用を急いでいるという事情も。
そのため未経験からでも応募できる求人が豊富にあります。
人間関係が希薄になりがち
SEやプログラマーなどは特に、業務時間の多くはPCに向かって作業に没頭することが多く、人間関係が希薄になりがちです。
こうした点もブラックなイメージにつながっているのでしょう。
コミュニケーションの希薄が原因で業務の連携が上手くいかない場合、余計な作業が増え、働く時間が長くなることも考えられます。
テレワークの普及もあいまって、チャットコミュニケーションが醸成されている環境でない場合は、余計なストレス要因にもなり得るでしょう。
スキルによって待遇に差が生じやすい
IT業界は社歴や年齢よりも、高いスキルを持つ人が優位になる業界といえます。
ITは、技術の進歩が著しい業界です。
常に最新技術に追いかけていないと、スキルの停滞を招いてしまうほど変化の早い業界なのです。
スキルが停滞し、他者に追い越されることになれば、任される仕事の範囲が減り、昇給や昇進も滞ってしまいます。
同僚だけでなく、後から入社した若い人材に追い抜かれてしまう可能性もあるので、そういった厳しさがブラックなイメージにつながっているのかもしれません。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
IT業界に向いている人の特徴
IT業界は技術の進歩が早く、新しい技術が生まれては消え、また新しい技術が生まれます。
技術進歩の早い流れに追いついていかないと活躍できない業界です。
最新技術に常にアンテナを立て、貪欲に取り入れることができる人は、IT業界で成功しやすいでしょう。
常に勉強し続ける姿勢が欠かせないため、スキルを磨くことに喜びを感じられる人はIT業界に向いています。
【IT業界への転職】“離職率”よりも知っておくべきこと
どんな業界にもブラック企業は存在するので、事前のリサーチは必須。
これから紹介することを参考にして就活を進めてくださいね!
転職するなら、“一次請け”の企業を目指す
IT業界にはピラミッド構造が存在することを説明した通り、三次請け・四次請けのような下請け企業に就職してしまうと、ブラックな環境での労働を強いられる可能性が高くなります。
ですので、転職するなら一次請け企業を目指すようにしてください。
一次請け企業であれば利益を十分に確保できるので、働きやすい労働環境が期待できます。
また、優秀なベテランエンジニアから指導を受けやすいのも大きなメリットですね。
とはいえ「一次請け企業がどこなのか」は、なかなか調べにくいもの。
そういった場合は、就活のプロである人材紹介会社を利用するのも一つの手ですよ!
IT業界は、“転職して当たり前”の世界だと知る
IT業界で働くエンジニアは、経験をある程度積むとスキルアップを目指して転職するのが一般的です。
ベンチャー企業が多く、他の業界に比べると労働者の平均年齢も低いので、転職に対して肯定的なんです。
キャリアアップやライフスタイルの見直しなど、前向きな理由で転職するのは普通のこと。
また、ベンチャー企業では社内で全てのIT技術の工程をカバーするのは難しい傾向にあります。
そのため「他の工程の知識・技術を身につけてキャリアアップしたい」というITエンジニアは積極的に転職します。
一方で、「キャリアアップやスキルアップには興味がなく同じ会社で働き続けたい」「専門分野の勉強はしたくない」という人には IT業界はおすすめできません。
IT業界の技術系職種は、常に勉強が必要です。
一通りのことができるようになってもIT技術は日々進歩しているので、勉強を怠るとすぐに現場についていけなくなります。
ただ、自分のスキルさえきちんと磨いていけば、より良い上流のポジションに就ける企業へ転職も可能です。
フリーランスとして自由に働くなど、自分の望むキャリアを歩みやすい業界でもあります。
学び続ける姿勢が苦でない方にとっては、むしろ魅力的な業界といえるかもしれませんね。
IT業界は独立を目指しやすい
IT業界でキャリアを積み上げることにより、自身のスキルも蓄積していきます。
高いスキルを身につけられれば、個人で仕事を請け負うこともできるようになるでしょう。
常に需要がある業界なので、独立してもこれまでの人脈から仕事をとりやすく、会社員として働くよりも多くのお金を稼げる可能性も高くなります。
またPCさえあれば仕事の場所も選ばないため、フリーランスとして独立する人が多いのです。
IT業界の離職率は、今後さらに低くなる可能性も
IT業界の離職率は、今後さらに下がると考えられています。
自社でスキルを磨くには限界があると感じて転職するエンジニアが多いと述べましたが、今後はITベンチャー企業の成長に伴って、全てのIT技術工程を一社で行う企業も増えてくることが予想されます。
また優秀な人材を手放さないために、社内のキャリアパス制度を充実させていく企業も増えていくでしょう。
その他、働きやすい環境づくりに力を入れる企業も増えることが期待できます。
例えば在宅勤務を認めたり、フレックス制度を導入したり、副業を解禁したり……。
そうなってくると「会社の居心地がいいから転職の必要はない」という考えを持つ人が増えて、自然に離職率は下がっていきますよね。
業界全体で働き方改革に取り組んでいる
IT業界は、業界全体で働き方改革に取り組む気運が高く、長時間労働の是正やテレワークの推進に取り組んでいます。
個人のライフスタイルにあった働き方を目指し、3つの業界団体がそれぞれ「働き方改革宣言」を掲げています。
- 一般社団法人情報サービス産業協会
- 一般社団法人ソフトウェア協会
- 一般社団法人電子情報技術産業協会
以下、厚生労働省のページから見ることができますので、興味のある方は一度ご覧ください。
参考:厚生労働省「IT業界の働き方・休み方の推進」
女性の離職率を下げる取組みも
また人材不足が深刻なIT業界では、女性の活躍も大きなテーマです。
結婚している女性、育児中の女性でも働き続けられる会社を目指すために、
- 女性は夜勤にあてない
- 産休・育休を取得しやすくする
- 時短勤務OK
といったIT企業が増えてきています。
まとめ:IT業界への転職はプロに頼るのがおすすめ
IT業界の技術系職種は、離職率の高い職種ではないことが分かってもらえたと思います。
離職理由には「ブラックだから」「激務だったから」という理由を挙げるエンジニアもいますが、スキルアップを目的とした前向きな転職理由も多いのが現状。
ただ今後は、人手不足が続くIT業界では人材確保に力を入れる企業が増えてくるため、働きやすい上に社内で技術を磨ける環境が整えられていくことが予想されます。
そうすればさらに離職率が下がっていくでしょう。
とはいえ残念ながら、それでも「ブラック企業」と呼ばれるような労働環境の会社は存在し続けます。
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そのため、入社後に「提示されていた条件と違う!」「労働環境がひどい」といった事態を避けることができるんです。
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