『証券業界』と聞くと、株の売買をしているイメージが真っ先に思い浮かびます。もちろんそのイメージは間違っていません。証券業界の業務の一部です。しかし、証券業界の仕事には、多くの人が知らないことがたくさんあります。もしも、証券業界に興味があるのならば、ここでの情報を是非、役立ててください。今の証券業界がどのようなところなのか、今後どうなっていく業界なのか、全てをお話しします。
証券業界ってどんなところ?
まず、最初に業界全体の話をしましょう。証券業界が、どのような業界なのかを知ってください。
業界規模:証券業界の規模はどのくらい?
最初にお話しするのは、業界規模です。2016年2月現在、日本国内に証券会社は、全部で254社あります。業界内の総資産額は、約140兆円です。業界規模は約3兆9,000億円です。この数字は、主要の証券会社42社の営業利益の合計ですので、全体の数字はさらに上です。これらの金額を並べるだけでも、証券業界が非常に大きな規模を持っていることがわかります。
日本経済と証券業界の関わり
2008年のリーマンショックは、証券業界に大きな打撃を与えました。当時は、経済も株式市場も冷え込んでしまっていましたが、少しずつ回復をしました。2012年には、リーマンショック前の数字に戻っています。その後、アベノミクス効果もあり、業界全体が成長しています。
2011年から2015年の5年間の業界成長率は11%です。営業利益率も業界全体で16%以上増えています。
過去には、リーマンショックだけではなく、バブル崩壊や海外経済の影響も受けてきた業界です。他の業界以上に、外部の様々な影響を受けやすい業界でしょう。しかし、現状は持ち直しているどころか成長している、と考えて良いです。
リーマンショック以降に、経済が持ち直したのは、各国で金融緩和を行ったからです。日本が行った金融緩和は他の国と比較をすると、あまり大きくはありません。リーマンショック前の1.4倍の量の現金を発行しました。ちなみに、イギリスでは約4倍、アメリカでは約3倍の現金を発行しています。これらの政策によって各国の経済は持ち直しました。
結果的に、日本の経済回復は他国に比べて圧倒的に遅くなってしまいました。自国の金融緩和よりも他国の経済回復に助けられた、と言えるかもしれません。このように世界全体で行われた金融緩和によって、リーマンショック以降の経済は持ち直したのです。このように経済が持ち直すと、株の動きも変わってきます。
2009年から2012年まで冷えきっていた株の動きも、2013年以降は活発になっています。東証1部で行われている株式売買の合計が、冷えきっていた時期は1日平均1兆円から1兆5,000億円程度でした。しかし、2013年以降は安定して2兆円を超えており、3兆円を超えることも珍しくありません。このように、株の売買が頻繁に行われているのですから、証券業界が潤っている、ということです。