もくじ
いわゆる「転職3ヶ月の壁」というものかもしれませんね。
せっかく決まった転職先なのに、3ヶ月くらい経つと「もう辞めたい」と思ってしまう現象を「転職3ヶ月の壁」といいます。
もちろん、せっかく転職できた会社を「辞めたい」と思うのですから、本人にとっては深刻な理由があるのでしょう。
こういうケースでは、もうひと踏ん張りして働き続けた方が良い場合と、早々に見切りをつけた方が良い場合の2通りがあります。
この記事では、転職3ヶ月の壁にぶつかった時のストレスへの対処法、乗り越え方、退職した方が良い場合の判断ポイントを解説します。
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転職3ヶ月の壁とは
「転職3ヶ月壁」とは、転職して3ヶ月くらいの時期に「もう辞めたい」と悩んでしまう現象のことです。
なぜ、3ヶ月後に壁がやってくるのでしょうか?
転職したばかりの時期は、新しい職場環境・新しい仕事内容・新しい同僚との人間関係など、急激な環境変化に順応することに一生懸命な状態です。
新しい環境に対応しようと努力している時期には、辞めたいと思うことは少ないようです。
しかし、3ヶ月程度の時間が経過すると徐々に慣れてきて、転職後の自分を取り巻く状況を冷静に捉えるようになってきます。
その時に「こんなはずではなかった」と、悩み始めてしまうのでしょう。
その悩みの多くは、新しい職場で何らかのストレスを感じていることが原因です。
転職後すぐに辞めたいと思う人はどれくらいいるのか?
株式会社マイナビが実施した転職動向調査に、「転職後その会社であと何年くらい働きたいか」という意識調査の項目があります。
その結果によると「1年で転職したい」と回答した人は、転職者全体の14.4%でした。
この人たちは「転職3ヶ月の壁」に直面している可能性があるのかもしれません。
さらに、転職により「仕事の満足度が下がった」と回答した人のうち、40.7%は「1年以内」に退職したいと考えている実態が見て取れます。
出典:株式会社マイナビ「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」46P
「職場に馴染めない」「思い描いていた環境と違う」など、何らかのミスマッチによりストレスが生じていることが容易に想像できる結果といえるでしょう。
仕事が長く続かない人の特徴と対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ合わせてお読みください。
転職3ヶ月の壁の原因となるストレスとは?
じゃあ、転職3ヶ月の壁の原因となるストレスには、どんなものがあるの?
転職はこれまで馴染んでいた環境から離れ、全く違う環境に飛び込むことですから、何らかのストレスは避けられません。
転職により生じるストレスは、以下のものが考えられます。
- 人間関係・コミュニケーションのストレス
- 仕事内容や条件のギャップによるストレス
- 社風・制度の違いによるストレス
- 能力のギャップによるストレス
- ライフスタイルの変化によるストレス
一つずつ、見ていきましょう。
人間関係・コミュニケーションのストレス
職場は1日の大半の時間を過ごす場所であるため、そこにいる人たちと良好なコミュニケーションがとれないと居心地が悪く感じてしまい、かなりのストレスとなります。
たとえば、
- 新しい上司が威圧的・高圧的な態度の人で苦手なタイプだった
- 前の職場はフレンドリーな同僚ばかりだったが、新しい同僚はなかなか打ち解けてくれない
のように、入社後すぐにコミュニケーションのとりにくさを感じてしまうと、その後の仕事にも影響が出てしまいます。
分からないことを質問しづらくなり、充分に確認できないまま進めてトラブルに発展するなど、仕事のクオリティを下げることにもつながるのです。
仕事内容や条件のギャップによるストレス
実際に入社してみたら、求人に記載されていた内容や、面接で受けた説明と仕事内容や条件が全く違うといったことが起きると、大きなストレスになるようです。
- 事務の仕事と聞いていたのに、営業もしなくてはならなかった
- 賞与が年2回支給されると聞いていたが、業績不振を理由に支給されなかった
など、入社前に聞いていた仕事内容や条件とあまりにも違いがある場合、多くは「騙された!」という不信感につながります。
1度、不信感を持ってしまうと、なかなか拭うことはできません。
会社や日々の仕事に不満を募らせてしまい「こんなはずではなかった」と、ストレスをため込んでしまうのです。
社風・制度の違いによるストレス
いざ働き始めてみると新しい職場の雰囲気が、前職と全く異なり戸惑ってしまうこともあるようです。
- 前の職場は仕事が終わればすぐに退社できたが、新しい職場では終業後も雑談をしながらダラダラ残業している
- 新しい職場はフレンドリーで雰囲気も良いが、飲み会やイベントが多く付き合いきれない
このように企業にはそれぞれ、これまで培ってきた独自の文化や風土、暗黙のルールがあるものです。
それが、これまでの職場と大きく異なる場合、特に苦手な方向に異なっていると、馴染めるかどうかが不安でストレスとなるのでしょう。
能力のギャップによるストレス
新しい職場で求められるレベルに自身のスキルが達していない場合や、反対に新しい同僚のスキルレベルが低いと感じてしまう場合、ストレスの要因となることもあるようです。
- 新しい同僚の営業スキルが高すぎて、この先この会社でやっていけるのか不安になる
- 新しい同僚のスキルが低いため、同じ会社で仕事をしていると自分のレベルも下がる気がする
というように、能力レベルによる不安や不満も起こり得るのです。
新しい職場で周囲のレベルが高すぎると、自分の能力不足を痛感し、自信を失い「転職」の2文字が頭をよぎってしまうかもしれません。
反対に新しい同僚のスキルレベルが低いと感じてしまう場合は、仕事を進める中でイライラしてしまい、人間関係に亀裂を生じるなどのストレスの原因になるのです。
ライフスタイルの変化によるストレス
転職によりこれまでの生活リズムが変わってしまい、ライフスタイルそのものを変更しなくてはならなくなるケースもあります。
たとえば、
- これまでは20分の車通勤であったが、新しい職場は遠く車通勤が認められないため、満員電車に1時間揺られる生活に変わった
- これまでは土日祝日が休みで年末年始は長期の休みがあったが、新しい職場はシフト制で平日に休み、連休も取りにくい
のように、通勤手段の変更や通勤時間そのものが長くなると、そのスタイルが合わない場合はかなりのストレスになるでしょう。
また、休みの取り方が変われば、家族と過ごす時間が少なくなったり、これまで打ち込んでいた趣味ができなくなったりすることも考えられます。
ストレス別・転職3ヶ月の壁の対処法
でも、いろんなストレスを克服しないと転職先で活躍できないよね……。
ストレスの原因の多くは、新しい環境に期待していたことと実際の環境に対するギャップにより起きるものです。
転職3ヶ月の壁の対処法は、そのギャップを正しく理解し、埋める努力をすることに他なりません。
人間関係・コミュニケーションによるストレスの対処法
一緒に働く人が変わるので、一から人間関係を築かなくてはならないのは、当たり前だと割り切ることが大切です。
まずは自分から積極的に話しかけ、コミュニケーションを心がけてみましょう。
分からないことは素直に聞いて、職場の雰囲気に馴染む努力をすることも大切です。
誰か1人でもいいので、話しやすい人を見つけて仲良くなると、随分居心地も良くなるものです。
どうしても苦手なタイプの同僚がいる場合は、仕事に関するコミュニケーションのみに徹し、期待せずに割り切ることも必要かもしれません。
仕事内容・条件によるストレスの対処法
仕事内容・条件が大きく違った場合、まずはそのギャップが妥協できるものなのか、そうでないのかを判断することが大切です。
仕事内容のギャップは新たな経験をするチャンスと捉え、努力することで新たなスキルが身につくこともあります。
自分でも気づいていなかった「適性」を発見できるかもしれません。
条件面のギャップは、明らかに「騙された」というレベルのもの(提示されていた給与が違う、業務内容が明らかに違うなど)でなければ、受け入れる努力をしてみることも必要でしょう。
社風・制度の違いよるストレスの対処法
会社が変われば、仕事に対する考え方や進め方、ルールが変わることは覚悟しておきましょう。
大きく戸惑うものであったとしても、これまで自分が慣れ親しんだものが全てではないと考えられると、随分気持ちが楽になります。
そもそも、その会社で長く働いている人にとっては、その会社の社風や制度が慣れ親しんだものであるはずです。
転職者である自分が、その会社では異分子であることを自覚しましょう。
まずは丸ごと受け入れてみる努力をすることで、新しい会社に対する理解が深まります。
もしかしたら自分自身も親しみを覚え、居心地良く感じられるようになるかもしれません。
能力に関するストレスの対処法
同じ業種・職種への転職であっても、会社が変われば求められる能力のレベルは違ってくることを理解しましょう。
新しい職場で自分の能力不足を感じた場合は、逆に成長できるチャンスと捉えます。
必死で食らいつくことで、自身のスキルの底上げが図れるかもしれません。
反対に、同僚の能力不足に苛立つのであれば、自分のスキルを共有し全体でレベルアップしていけるように気持ちを切り替えることも必要です。
もしかしたら、そうした役目を期待されて採用されたのかもしれません。
ライフスタイルの変化によるストレスの対処法
基本的に人間には適応能力が備わっており「変化」は「慣れ」によって、順応できるものと考えてみましょう。
戸惑いはあるかもしれませんが、まずは慣れるまで待ってみることをおすすめします。
ただ転職によるライフスタイルの変化をどうしても受け入れられないのであれば、事前のリサーチ不足と考えざるを得ません。
その場合は「何がいけなかったのか」しっかりと反省し、次に活かすことも必要です。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
入社後のギャップによるストレスの原因は自分の中にある
転職で新しい環境に身を置くことで生じるストレスは、これまでの自分の経験と照らし合わせ、比較してしまうことが原因で起きるものです。
そして、その変化に抵抗を感じていることがギャップの正体なのかもしれません。
変化を受け入れることで、ギャップによるストレスから解放されるのではないでしょうか。
そもそも、転職はこれまで慣れ親しんだ職場を自ら手放し、新しい環境に飛び込むことです。
自ら望んだ変化であることを受け入れれば、随分と気持ちが楽になるかもしれません。
転職3ヶ月の壁は本当に乗り越えるべき?退職をした方が良い場合の判断ポイントとは?
でも、明らかに退職した方が良いケースもあるんじゃないの?
確かに早く判断をした方が良いケースもあるようです。
慣れる努力をしたり、自分の考え方を変える努力をすることで、転職3ヶ月の壁を乗り越えれば、成長の機会となるでしょう。
しかし、以下のような場合は、努力をしても好ましい結果が得られないと考えた方が良さそうです。
- 典型的なブラック企業であった
- 自分の望むキャリアが実現できそうにない
- 体調不良が起きている
すぐにでも辞めて、次の転職先を探した方が良い場合の判断ポイントを解説します。
典型的なブラック企業であった
- 長時間労働・休日出勤が常態化している
- サービス残業・ハラスメントが横行している
- 法令違反の恐れがあるグレーゾーンの業務をしている
上記のように、明らかに会社がおかしいと判断される場合は、すぐにでも退職することをおすすめします。
長く働き続けてもキャリアアップは見込めないでしょう。
体調を崩してしまったり、倒産してしまったりと、良くない結果が待っている可能性も高いです。
自分の望むキャリアが実現できそうにない
「明らかに自分の希望するキャリアが実現できそうにない」と判断したのであれば、転職を考えた方が良いかもしれません。
「3ヶ月間で見極めができるか?」という問題はありますが、我慢して働き続けても悩みが消えず、目の前の業務に集中できなければ成果を上げることは難しくなります。
先々、転職することになるのであれば、早めに判断することも必要かもしれません。
体調不良が起きている
- 仕事内容がハードで長時間労働が続いている
- 通勤時間が長く十分な睡眠時間がとれない
休養がとれない状態が続き疲労の蓄積により、明らかに体調面が悪化している場合は、退職を考えた方が良いかもしれません。
長時間労働が続いている場合、それが一時的な繁忙状態なのか常態化しているのか、回りの人に聞いて確認しましょう。
通勤時間が長いことによる睡眠不足も、慣れにより解消できるレベルのものなのか判断することが大切です。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
メンタル不調が生じているのであれば早めの判断を
仕事のことを考えると気分がふさぎこむ、朝起き上がれないなど、明らかにメンタルに不調をきたしている場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
そのような状態になってしまった場合は、ストレスの原因から遠ざかることが最良の対処法です。
本格的にメンタルを崩してしまうと、回復にはかなりの時間を要します。
その期間がキャリアブランクとなり、その後の転職に不利に働く恐れもあるため、未来のためにも早めの判断が必要なのです。
転職3ヶ月の壁を避けるには転職エージェントの活用がおすすめ
転職3ヶ月の壁は、「こんなはずではなかった」という入社後のギャップが原因です。
こうした入社後のギャップの多くは、事前のリサーチ不足により生じていると考えられます。
自身の希望に沿った転職を成功させるには、情報収集力が生命線となるのです。
しかし、情報収集を単独で行うには限界があるもの……。
だからこそ転職3ヶ月の壁を避けるためにも就活のプロである転職エージェントを活用して、ギャップをできる限り少なくし、自身が満足できる転職を叶えられるようにしましょう!
まとめ
転職3ヶ月の壁は時間の経過や慣れで解消できる場合がほとんどで、新しい環境でのストレスは、自分の考え方や心の持ち方を変えることで楽になるものです。
しかし、明らかに職場に問題がある場合や、体に異変が生じているのであれば、早い段階で退職の判断をしましょう。
そもそも転職3ヶ月の壁は、入社後に感じるギャップが原因なので、事前の情報収集をしっかり行うことで大半は防げます。
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