もくじ

理系と言っても様々な学科がありますが、数学や物理学科以外にも、工学科や情報学科など、幅広い科での経験が役に立つでしょう。
CAE技術者は専門知識やスキルを必要とされる仕事です。
ただ、理系出身者で、活躍できる人の特徴や未経験から転職できる方法を知っておけば、転職が可能です。
この記事では、CAE技術者について、仕事内容や活躍できる人の特徴、未経験から転職する方法などについて解説していきます。
この記事の監修者

岡本啓毅
YouTube「ひろさんチャンネル」運営 / 株式会社UZUZ 代表取締役
北海道出身。第二の就活を運営する「株式会社UZUZ」を立ち上げ、数多くの就職をサポート。“自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる”をミッションに、YouTubeでは「就職・転職で使えるノウハウ」を発信中。X、TikTokなどSNS等の累計フォロワー数は13万人を超える。
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CAE技術者とは


CAE技術者は、計算力学技術者とも呼ばれています。
新しい製品を作ったり車の事故を検証したりする際に、シミュレーションソフトを使って解析を行うのがCAE技術者の仕事です。
正しく設計・シミュレーションできるよう、CAE解析ソフトを使って設定や数字などが合っているか解析します。
ニッチなジャンルであるため、該当する学科はなく、卒論や修論でシミュレーションを扱う人がいるくらいです。
大学では、理系の学科などで学ぶ内容が基礎になってきます。
CAE技術者の仕事内容
CAE技術者の主な仕事内容は、CAE解析ソフトを使ったシミュレーションです。
- 構造解析:設計した構造物に荷重をかけたとき、どのように変形していくのか確認すること
- 熱解析:構造物に熱を加えたらどのように伝わるのか、素材や温度ごとに確認すること
どちらの解析でも、変化を具体的な数値で表し、数値に基づいて評価や分析まで行います。
構造解析と熱解析を行う目的は、製品の安全性や耐久性を保証するためです。
CAE技術者は、専用ツールを使ってコンピューター内で様々なシミュレーションを行います。
製品によっては、流体解析や音響解析、電磁界解析なども必要です。
シミュレーション結果に問題が見つかった場合は、設計に対して提案をしたり設計に手を加えたりして、改善されるようにします。
CAE技術者が必要とされる理由
CAE技術者が必要とされるのは、以下の理由があるからです。
- コストをカットできるから
- 時間をカットできるから
- 安全性などを確かめられるから
コンピューター内で設計からシミュレーションまでが完結するので、設計からやり直したり試作品を作り直したり、材料を多めに確保したりする必要がありません。
もしシミュレーションがうまくいかなかった場合も、設計図を変更して改めてシミュレーションするだけです。
製品を作る上で無視できない製品の強度や熱の伝わりやすさなども、シミュレーションで調べることができます。
監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
CAE解析の専用ツールだけでは意味がない
当然のことではありますが、CAE解析の専用ツールがあっても、使う人に知識や経験がないと解析結果を全く活用できません。
CAE解析の専用ツールを正しく使って結果を活かすためには、CAE技術者の専門性が必要です。
正しくシミュレーションして初めて、安全な製品を効率的に開発したり生産したりすることができます。
そのため、専門家として企業においても必要とされているのです。
CAE技術者の年収水準は?

CAE技術者に限定した給与水準を示す資料はありませんが、厚生労働省の職業分類において、最も近いと思われる「機械設計技術者」の年齢別給与水準を見てみましょう。
厚生労働省の職業情報提供サイト「Jobtag」では、機械設計技術者の担うタスクとして、「製図ソフトや解析ツールを使ってシミュレーションを行う。」は、93.4%の企業で業務内容に含まれるとしています。
【機械設計技術者・年齢別年収比較】
| 年齢 | 年収 |
|---|---|
| 20~24歳 | 376万6800円 |
| 25~29歳 | 510万1000円 |
| 30~34歳 | 610万3900円 |
| 35~39歳 | 683万4000円 |
| 40~44歳 | 743万3000円 |
| 45~49歳 | 779万1100円 |
| 50~54歳 | 802万3300円 |
| 55~59歳 | 850万8700円 |
| 60~64歳 | 565万1800円 |
参考:厚生労働省「職業情報提供サイトJobtag 機械設計技術者」

この資料では機械設計技術者の担うタスクの1つとして、CAE技術者の専門領域が扱われています。
しかし今後は技術が高度化するにつれ、CAE技術者のタスクも専門特化されていくのではないでしょうか。
そのため、スキルを高度化することで、さらに高い年収が狙える分野といえるかもしれません。
機械設計エンジニアの詳細は、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
CAE技術者として活躍できる人の特徴


自分に適性があるのかよくわからなくて……。
自分に当てはまるか考えてみてくださいね。
CAE技術者は、製品のシミュレーションを行うだけでなく、結果を分析したり改善提案を行ったりする仕事です。
仕事内容を考えると、以下のような人がCAE技術者として活躍できるでしょう。
- 課題を明確にして解決できる力がある
- 細かい部分まで見逃さずにチェックできる
- 観察力がある
- 粘り強い
- 探求心がある
課題を明確にして解決できる力がある
シミュレーションに問題があった場合、解決すべき課題をはっきりさせ、具体的な解決方法を考えて行動できることが重要です。
課題をはっきりさせるだけではなく、解決に導く行動力も必要となります。
問題に気付けなかったり解決できなかったりする場合は、知識を補い、経験を積んでいきましょう。
細かい部分まで見逃さずにチェックできる
コンピューター内でシミュレーションをする際、入力ミスがあるとまったく異なる結果が出てしまうため、入力ミスがないかチェックする必要があります。
細かい部分まできちんとチェックできる人は、入力ミスを減らすことができるため、CAE技術者に向いてます。
シミュレーションに問題があった場合にも、細かい部分までチェックできる能力は役に立つでしょう。
観察力がある
観察力があれば、シミュレーションの結果から改善点や課題を見つけることができます。
観察力が足りないと感じる人は、経験でカバーすることも可能です。
もともと備わっていなくても後天的に身につけることができる能力なので、足りなくても心配する必要はありません。
粘り強い
CAE技術者は、より良い製品を目指し、ときには何度も設計やシミュレーションを繰り返す必要があります。
何度も同じことを繰り返してもゴールが見えない場合もあるため、粘り強く仕事に取り組める素養を持っていることが大切です。
粘り強い人なら、終わりの見えないシミュレーションも、根気強く取り組むことができるでしょう。
探求心がある
製造メーカーでシミュレーションを行う目的は、より良い製品を作るためです。
探求心がある人なら、より良い製品を作るために、何でも深掘りして究明しようと動けるでしょう。
探求心は、知識を深めたり問題の原因を解明したりする際にも役立ちます。
監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
納期に間に合わせる能力も重要
CAE技術者は、決められた予算と時間で、求められる要件を満たすようにCAE解析を行わなければなりません。
納期は非常に重要で、間に合わないと、その後の生産計画や事業計画に大きな悪影響を与えることになります。
納期を守るためには、納期までの計画を細かく立て、確実に実行することが大切です。
行う工程が多くて納期までの予定が立てづらい場合は、1つの動きを細分化して計画を立ててみるといいでしょう。
例えば解析1つとっても、数値の入力、製品の設計、仕様変更、2回目の解析など、作業を細分化することで計画が立てやすくなり、納期までの道のりが明確になります。
途中で予期せぬトラブルが起こる可能性があるため、余裕を持って計画を立てるといいでしょう。
どの仕事においても共通していえることですが、研究者向きの職業であるからこそ、なおさら社会一般で必要とされるベーシックスキルを意識するべきです。
未経験からCAE技術者に転職するためには



- 理系の特定の学科を卒業している
- 資格勉強や職業訓練を行う
未経験でも歓迎している企業があるため、CAE解析に関する知識や資格が必ずしもなくても、CAE技術者として働くことは可能です。
ただし、いくつかの条件はあるので、この後見ていきましょう。
未経験歓迎の企業でなら、働きながらスキルアップすることも可能です。
CAE技術者として就職後すぐに活躍したい場合は、就職前にCAE解析について学んでおくといいでしょう。
CAE解析についてある程度の知識を身につけておけば、就職先の幅も広がります。
理系の特定分野の学科を卒業している
文系・未経験だと難しいですが、理系であれば、未経験でも就職できる場合があります。
工学科や情報学科など含め、シミュレーションを行ううえで必要な数学などの基礎知識を学ぶためです。
数学科・物理学科であれば、特に限定する必要はありません。
というのも、ニッチな専門領域であるため、該当する学科はないためです。
イチから社会人で学ぶためのハードルは高い領域であるため、大学や大学院を通じて学んだことがある経験は有利に働くでしょう。
また、卒論や修論のテーマが近いという場合においても、有利になりえます。
資格勉強や職業訓練を行う
転職活動を始める前に資格を取ったり職業訓練を行ったりすれば、未経験に価値をプラスすることができます。
資格があれば、何らかの知見があるとみなされるため、転職に有利です。
CAE技術者の仕事としては未経験でも、知識があれば採用される可能性がアップします。
この後説明する、計算力学技術者資格認定や技術士試験などをチェックしておきましょう。
理系出身者の転職ノウハウは、以下の記事でも解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。

CAE技術者におすすめの認定試験


CAE技術者は資格がなくてもなれる仕事ではありますが、認定試験を受けて資格を取っておけば、専門知識やスキルがあることを証明できます。
- 計算力学技術者資格認定
- 技術士試験
ここでは、CAE技術者におすすめの認定試験について解説していきます。
計算力学技術者認定試験
一般社団法人日本機械学会が行っている認定試験です。
計算力学技術者認定試験をクリアすれば、CAE技術者としての専門性やスキルの高さを証明することができます。
固体力学・振動・熱流体力学の3つの分野があり、受験する分野によって得られる資格が異なります。
計算力学技術者認定試験で得られる資格は、以下の通りです。
- 固体力学分野の有限要素法解析技術者
- 振動分野の有限要素法解析技術者
- 熱流体力学分野の解析技術者
どの分野も、初級、2級、1級、上級アナリストの4つの級があり、初級が最も難易度が低い級です。
- 初級 公認CAE技能講習会の受講→認定審査
- 2級 認定試験
- 1級 認定試験
- 上級アナリスト 1次試験(書類審査)→2次試験(面接審査)
技術士試験
国家資格である「技術士」を取得するための認定試験です。
科学技術全般に関する高度な知識を求める資格で、基礎科目として、システム設計やアルゴリズムの理論などを学びます。
コンピューターに限定したものではありませんが、CAE解析の際に必要となる基礎についても、この資格勉強の際に、学べます。
合格することで、各分野の専門的知識とスキルを持っていることが証明できます。
転職先の製品に関連する部門の技術士資格を取っておけば、転職を有利に進められる可能性があるでしょう。
技術士になるためには、専門知識だけでなく、「社会のためになることをする」という論理を備えていることも大切です。
技術士資格には、専門性に応じて以下の通り19もの技術部門があります。
<技術士試験の部門一覧>
| 機械部門 | 船舶・海洋部門 | 航空・宇宙部門 |
| 電気電子部門 | 化学部門 | 繊維部門 |
| 金属部門 | 資源工学部門 | 建設部門 |
| 上下水道部門 | 衛生工学部門 | 農業部門 |
| 森林部門 | 水産部門 | 経営工学部門 |
| 生物工学部門 | 応用理学部問 | 生物工学部門 |
| 環境部門 | 原子力・放射線部門 | 総合技術監理部門 |
参考:公益社団法人 日本技術士会「技術士になるには」
試験は、技術士第一次試験と技術士第二次試験の2段階形式で実施。
技術士第二次試験を受験するには一定期間の実務経験が必要なので、技術士第一次試験合格後に実務経験を積む必要があります。
CAE技術者の認定試験に有利になる知識は?

CAE技術者の認定試験を受ける際、理系分野の基礎的な知識や実務で使用するCAE解析ソフトの基本的な操作は身につけておいた方が良いでしょう。
ここからは、CAE技術者の認定試験を受けるにあたって役立つ知識について紹介していきます。
CAE解析ソフトウェアの知識
計算力学技術者認定試験の2級以上を受験するのであれば、CAE解析ソフトの操作経験が必要です。
しかし、CAE解析ソフトウェアは高価であり、個人で購入するのは現実的ではありません。
機能や利用期間が限定的なケースもありますが、簡単な解析なら対応できる無料のCAE解析ソフトもリリースされています。
こうした無料ソフトを使い、有限要素解析や構造解析を経験しておくだけでも、かなり有利に働くのではないでしょうか。
大学卒業レベルの工学に関する知識
やはり、高度な専門知識が必要な分野であるため、大学で理系を専攻していた経験は欠かせません。
特に、工学分野の知識を持っていれば有利に働くでしょう。
実際の試験には、大学レベルの工学知識を有していれば対応できる問題も多いようです。
もし工学を専攻していなくても、理系の素養があれば参考書等で自己学習することで、十分試験には対応できるのではないでしょうか。
CAE技術者として求められるスキルレベル


CAE技術者は専門性の高い分野なので、資格を取得し、技術レベルを証明できるようにしておくといいでしょう。
おすすめの資格は、前述した「計算力学技術者試験」や「技術士試験」です。
CAE技術者と計算力学技術者はほぼ同義なので、ここでは計算力学技術者試験を参考に、CAE技術者として求められるスキルレベルを解説していきます。
- CAE技術者 初級レベル
- CAE技術者 中級レベル
- CAE技術者 上級レベル
CAE技術者 初級レベル
CAE解析のベーシックな知識とスキルを持っていてやり方がわかっていれば、CAE技術者の初級レベルといえます。
専用ツールでシミュレーションを行えますが、1人でできるのは簡単なもののみです。
難易度の高い解析を行う場合は、上級レベルの人のサポートが必要となります。
初級レベルは、計算力学技術者認定試験の初級レベルと同等です。
CAE解析の基本的なやり方をわかった上で、CAEソフトウェアを使った簡単な技能講習をクリアした人のみ合格できます。
CAE技術者 中級レベル
CAE解析の専用ツールを使い、基礎的な簡単な解析に加えてだけでなく難しい解析も1人でできれば、CAE技術者の中級レベルといえるでしょう。
中級レベルは、計算力学技術者認定試験の2級もしくは1級レベルと同等です。
2級をクリアするためには、基本的な線形振動工学の問題に対して正しく計算条件を設定し、計算モデルを1から作れるスキルが求められます。
1級をクリアするためには、シミュレーションから得られた計算結果が正しいことを証明するために、計測できる知識とスキルが必要です。
つまり、CAE技術者の中級レベルになるには、難易度の高いCAE解析を実行できるだけでなく、解析結果の信頼性を示すために自分自身で検証できることが大切だといえます。
必要なシミュレーション内容を決めたり誤りのない解析結果を出したりすることができ、計算結果の信頼性を証明できれば、中級レベルといえるでしょう。
CAE技術者 上級レベル
上級レベルになるには、CAE解析の理論や実際の業務において、豊かな知識・経験を持っていることが必要不可欠です。
計算力学技術者認定試験の上級アナリストと同じくらいのレベルで、解析や検証を自身で行える能力だけでなく、CAE解析プロジェクトを企画・マネジメントするスキルも問われます。
もちろん、製造業務における解析はすべて担当できるのが大前提です。
上級レベルになると、クライアントや社会に対してプレゼンテーションできることも求められます。
CAE技術者の将来性

将来性が高い仕事だと思いますよ。
今後の需要の高まりが予想される中、CAE解析に関する専門スキルを持つ人材は希少です。
しかし、CAE解析の応用範囲は自動車・航空機・家電・建設・エネルギーなど、広範囲に及んでいる現状があるため、貴重な人材として手厚い待遇が期待できるでしょう。
DXが進むにつれ需要が高まる
昨今、製造業ではデジタル技術を用いて、これまでの業務プロセスを改善・高度化し、さらなる価値創造を図るDXの流れが加速しています。
あらゆる業務がデータ化され、データ活用の幅も広がる一方です。
そうした中で、膨大かつ精度の高いデータを活用した、設計シミュレーションは高い需要が見込まれるでしょう。
技術力の向上により専門性が今以上に求められる
これまでは設計技術者が多くの業務の中の1つとして、CAE技術者のタスクを兼務しているケースがほとんどでした。
しかしDXの進展により、様々な技術が高度化されるにしたがって、CAE解析もより専門特化が進むものと思われます。
高精度のシミュレーションが求められる中、多くの企業でCAE解析の専門職として人材を雇用するケースも増えてきています。
今後もCAE技術者には、より高い専門性が求められる可能性もあるでしょう。
CAEソフトの進化により希少性が高まる
CAE解析の専門特化が進むにつれ、CAE解析ソフトもバリエーションが増加し、より細分化・複雑化が進むものと思われます。
一方で速いスピードで複雑化するCAE解析ソフトを自在に使いこなせる人材は、そう多くはいません。
そのため、高い専門スキルを持つCAE技術者の希少性は高く、転職市場における価値が高まること間違いなさそうです。
CAE技術者は将来性のある、魅力ある仕事といえるでしょう。
まとめ
CAE技術者は、専門知識とスキルが必要とされる専門職です。
しかし、未経験からの転職も不可能ではありません。
この記事を参考に、CAE技術者への転職活動をがんばってみてください。
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「第二新卒専用の履歴書の書き方」については、以下の記事で解説しています。
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