もくじ
例えば、公務員とか!でも、高卒で公務員になれるのかな?
実は、そんな公務員に高卒からでもなれるんです。
この記事では、高卒で公務員になる方法やそのポイント、メリットとデメリットについて解説していきます。
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高卒でも公務員になれるの?
公務員になるためには、「公務員試験」に合格することが必要です。
意外かもしれませんが、ほとんどの公務員試験において「学歴」は問われません。
試験に合格さえできるならば、高卒であれ大卒であれ公務員になれます。
ここで、実際に公務員の何割が高卒なのかについて詳しいデータを紹介していきます。
まず、国家公務員についてですが、人事院給与局が実施した「令和5年国家公務員給与等実態調査」の結果を見ていきましょう。
この調査結果では国家公務員252,790人中、高卒は71,427人で割合としては28.3%と、全体の約3割も存在することが分かります。
大卒はその2倍の6割ほどになっていますが、高卒の国家公務員も意外と多いといえます。
次に地方公務員についてですが、総務省が実施した「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第1調査結果の概要」の結果を見ていきましょう。
この調査結果では地方公務員829,876人中、高卒は178,752人で割合としては21.5%と、全体の約2割存在しています。
大卒は全体の7割ほどと圧倒的多数派になってはいるものの、高卒の公務員も一定数存在することが分かります。
このように、国家公務員・地方公務員ともに最終学歴が高卒の人はある程度いて、高卒で公務員を目指すのは十分可能なのです。
参考:人事院給与局「令和5年国家公務員給与等実態調査(第2表 適用俸給表別、性別、最終学歴別人員)」
参考:総務省「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第1調査結果の概要(5 職種別、学歴別職員構成)」
高卒で公務員を目指す際のポイント
それでは、実際に高卒から公務員を目指す際に覚えておきたいポイントをいくつか解説していきましょう。
大きく分けて地方公務員と国家公務員がある
公務員には、大きく分けて「地方公務員」と「国家公務員」があります。
- 地方公務員は地方自治体で働き、地域住民や地域社会に奉仕する
- 国家公務員は国家機関で働き、国家そのものに奉仕する
それぞれ、上記のように認識しておけば、概ね問題ありません。
また、一概に比較はできませんが、国家公務員のほうが地方公務員に比べて試験の内容が難しい場合が多く、就職するのが難しいと覚えておきましょう。
公務員の試験には「高卒程度」「短大・専門卒程度」「大卒程度」がある
ほとんどの公務員試験に学歴の制限はありませんが、「高卒程度」「短大・専門卒程度」「大卒程度」というような目安は存在します。
それぞれ「高卒、短大・専門卒、大卒と同程度の学力が問われる試験が出題される」という意味です。
前述のように、公務員試験には基本的に学歴指定はなく、実際に高卒、短大・専門卒、大卒の学歴でなくても問題ないのです。
例えば、高卒でも「短大・専門卒程度」や「大卒程度」を受けることができますし、大学中退で「大卒程度」を受けることも可能です。
ただし、受験する際に下限年齢や年齢制限がある試験もあります。
加えて、国家公務員試験の場合だけは内容によっては以下のような厳しい条件があることを覚えておきましょう。
- 大卒以上や院卒以上であること
- 司法試験に合格していること
- 大学卒業後〇年以内であること
詳しくは、後述する職種の特徴も確認してみてください。
「高卒程度」には実質的な年齢制限がある
前述しましたが、受験する際に下限年齢や年齢制限もあり、「高卒程度」の試験はそれにあたります。
「高卒程度」の試験は、採用される年度の4月1日の時点で、18歳から21歳が対象になります。
22歳を超えると、大卒程度を受けるのが一般的となるため、「高卒程度」の試験を受けられるのは18歳から21歳の間であり、その間の年齢制限があると考えましょう。
その年齢を過ぎてしまうなら、大学程度に相当する勉強をして「大卒程度」の試験を受けることになります。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
国家公務員でも特定の試験のみ条件が厳しい
国家公務員のなかには、様々な職種を経験して中枢で職務を行う「総合職」と、現場で事務的な作業を行う「一般職」、そして専門機関で働く「専門職」があります。
その中でも「総合職」は、いずれ国家の中枢で活躍することが期待されるいわゆる幹部候補。
そのため大卒程度「総合職」は応募条件が厳しく、大卒以上の学歴に加えて、卒業後2年以内の要件を求めています。
高卒で公務員を目指す場合、応募要件的に一般職や専門職を選ぶことになるという点は覚えておきましょう。
高卒でなれる公務員の具体的な職種
あと、公務員といっても、消防士から官僚までいろいろあるよね。
高卒でなれる公務員の具体的な職種について、知っておきたいな。
地方公務員の主な職種
高卒でなれる地方公務員の職種は、以下の職種です。
- 都道府県庁や市町村の役所職員
- 公立学校の事務職員
- 警察官や消防官
都道府県庁や市町村の役所職員は、文字通り都道府県庁や市町村の役所で主に事務職などを担当する職員です。
公立学校の事務職員は、学校内の事務職全般を担当します。
教職員として児童や生徒に授業を行うわけではありません。
警察官や消防官は、各地の警察署や交番、消防署に勤務して地域の安全を守ります。
警察官や消防官は別ですが、基本的に特別な経験や専門的な知識が不要な職種が多くなっています。
地域に密着した働き方であることも大きな特徴ではないでしょうか。
国家公務員の主な職種
高卒でなれる国家公務員の主な職種は、以下の職種です。
- 官公庁職員
- 裁判所職員
- 税務職員
- 刑務官
官公庁職員は、国家公務員一般職と呼ばれるもので、中央省庁や出先機関で事務を行います。
裁判所職員は、裁判所で裁判事務などを行う職種で裁判所職員一般職と呼ばれるものです。
税務職員は、採用された地域の税務署や国税局で、税の徴収などを行います。
刑務官は、刑務所や留置場で受刑者の監督や監視、指導を行う職種です。
いずれの職種でも国家の中枢や本庁での仕事もありますが、高卒の場合は基本的に採用されたエリアにある地方自治体や地方裁判所など、地方の機関で働くのが一般的です。
高卒で公務員になるメリット6つ
思っていた以上に選択の幅が広くてびっくり!
説明していくので、自分の環境に照らし合わせて考えてみましょう!
まずは、高卒で公務員になるからこそのメリットや、公務員に就職すること自体のメリットを紹介していきます。
メリット1.安定して働き続けられる
「公務員が安定していたのは昔の話。現代の激しい変化の影響を受ける」とも言われています。
一般的な企業も同様に、大きな社会情勢の変化を受け、不安定になりやすいといえるでしょう。
以前と比較すれば安定感は減ったかもしれませんが、倒産していく民間企業と潰れた自治体の数を比べるまでもなく、公務員のほうが安定しているでしょう。
いまだに民間企業と比べて公務員のほうが職を失うリスクが少なく、安定して働くことができます。
メリット2.各種手当など福利厚生が充実している
公務員は、住宅手当などの手当が民間企業の中小企業と比較すると充実しています。
社宅などが用意されていることもあります。
各種の施設を安く利用できたり、毎月の出費となる家賃や交通費を抑えられるという点は大きな魅力です。
メリット3.ライフプランを立てやすい
高卒から公務員として働けば、高卒直後から安定した仕事ができるということです。
地方公務員であれば転勤などもないため、「希望した勤務地と違う」「地元から離れなければならなくなった」といったこともありません。
地域に根ざした仕事をしながら生活ができるため、将来設計をしやすくなる点は大きなメリットです。
メリット4.社会的信用を得やすい
高卒者に限った話ではありませんが、公務員は一般的に社会的信用を得られやすいといわれています。
公務員は収入や雇用が安定しているというイメージが強いため、クレジットカード審査や住宅・車購入時のローン審査といった場面で有利になりやすいと考えられます。
また、公務員というだけで真面目で誠実な人柄という印象を与えられる可能性もあり、日常生活における人間関係や地域社会での活動が円滑になるかもしれません。
メリット5.大卒より長く経験を積める
高卒で公務員に就職すると、大卒者より4年も早く業務経験を積み始められます。
業務で必要な知識やスキルに加えて、実務経験を積むことができれば、キャリアアップや昇給を目指せることでしょう。
特に公務員の場合、専門職などでない限りは高卒と大卒で仕事内容に大きな差はなく、早いうちから働くことで大卒よりも責任ある立場にキャリアアップできる可能性もあります。
こうした理由から、公務員は民間企業よりも高卒であることにハンデを感じづらい環境といえます。
メリット6.民間企業よりも競争が少ない
公務員には業務目標は存在するものの、民間企業のような厳しい営業ノルマはなく、激しい出世競争も少ないといわれています。
これは、全体の奉仕者という公務員の立ち位置や、業務成績と給与アップが民間企業ほど関連しない点が理由として挙げられます。
そのため、公務員の職場では競争によるギスギスした雰囲気はなく、精神的に安定した毎日を送りやすいのがメリットです。
このように、雇用や収入だけでなく、精神衛生面でも安定性が得られるのは公務員の大きな特徴といえます。
高卒で公務員になるデメリット5つ
ここまで高卒で公務員になるメリットを紹介してきましたが、反対にデメリットもいくつか存在しています。
次に、高卒で公務員になるデメリット5つを解説していきます。
高卒で公務員を目指そうか考えている人は、メリット・デメリットの両方を把握したうえで比較検討してみてください。
デメリット1.民間企業や大卒公務員に比べて昇給しにくい
高卒で公務員になることのデメリットの1つ目は、給与が少ないことが多いことです。
公務員は民間よりも昇給ペースが遅く、なかなか昇給しにくいという傾向があります。
加えて「高卒程度」は「大卒程度」と比較しても、同じ公務員内でも昇給しにくくなっています。
これらの総合的な要因により、高卒の公務員は昇給しにくく給与が少ないのです。
デメリット2.年功序列などの古い考えが横行している
多少は変化しているとはいえ、公務員は旧来の日本社会にあった風潮がいまだに蔓延している場合が多いです。
成果を上げたらそれだけ評価されるわけではなく、基本的に年功序列かつ在籍年数で給与が上がっていくという仕組みです。
このような構造や古い考え方が合わない、という方にとってはデメリットとなります。
デメリット3.スキルアップしにくい
前述のように、公務員は成果を上げても高く評価されるという仕組みではありません。
もちろん、事務スキルやルーティンワークをこなす能力など、公務員として必要な能力は身につきます。
一方で、成果と向きあうタイプのビジネスではないことが多いです。
そのため、コミュニケーション能力や課題解決力といった、一般的な会社で求められるビジネススキルが身につきづらいという特徴があります。
社会の多くで求められるような、ビジネス的なスキルアップが難しいという点はデメリットになるでしょう。
デメリット4.転職しにくい
高卒で公務員として働くことは、安定した仕事をしながら地元に根ざしたライフプランを立てるには向いています。
しかしキャリアの途中で転職を考えると、途端に難しくなってしまいます。
前述のように、公務員では民間企業で求められるようなビジネススキルの多くを鍛えるのが難しいものです。
高卒からしばらく公務員として働いていると、転職のために自分に必要なスキルが見えてくるでしょう。
転職を含めたキャリアアップを考えているのであれば、最初から民間企業で働くほうが無難です。
デメリット5.副業が禁止されている
国家公務員・地方公務員ともに、副業が原則として禁止されている点には注意が必要です。
副業禁止は国家公務員法と地方公務員法で定められていて、下記条文が該当します。
副業禁止に関わる条文 | 条文の内容 |
---|---|
国家公務員法第103条(私企業からの隔離) | 営利を目的とする企業や団体の経営、役員などとの兼職の禁止 |
国家公務員法第104条(他の事業又は事務の関与制限) | 非営利の事業団体で役員を兼職したり事業に従事したりする場合は、内閣総理大臣およびその職員の所轄庁の長の許可が必要 |
地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限) | 営利企業の経営や事務に携わるためには、任命権者の許可が必要 |
国家公務員は国家や国民のために、地方公務員は地方公共団体やそこで暮らす住民のために働く「奉仕者」という役割を担っています。
したがって、営利企業を経営したり従業員として業務を行ったりする行為は一律に禁止されており、必然的に副業禁止ということになるのです。
副業をして給与アップしたい、スキルアップしたいと考えている人には公務員は向かないといえます。
参考:G-GOV 法令検索「国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)」
参考:G-GOV 法令検索「地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)」
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
高卒程度と大学程度では給与も違う
令和4年適用の大卒程度一般職の初任給は18万5200円なのに対して、高卒程度一般職の初任給は15万4600円となっています。
高卒程度だと大卒程度と比較して、給与が低くなってしまう傾向があります。
ほかの職種であれば、キャリアアップしたり成果に応じて評価してもらうなどで、基本的な昇給率よりも早く給与アップを狙うことも可能です。
ですが前述のとおり、公務員は基本的になかなか昇給しにくい体制ということもあり、その後も大卒程度と高卒程度の給与の差を埋めるのは難しいでしょう。
高卒程度と大卒程度、どちらを目指すかはキャリアプランと相談して決めてみるのをおすすめします。
参考:人事院「国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))」
公務員に向いている人の特徴
どういった人が公務員に向いているのか、確認してから判断しても遅くはありません。
最後に、公務員に向いている人の特徴について見ていきましょう!
地元や地域に愛着がある人
高卒から公務員になる場合、試験の難易度や条件などから考えると、地方公務員になるケースが多いでしょう。
その場合、地元に密着したり、地域の人々のための仕事をすることになります。
それらを楽しみ、愛着をもってできる人は向いているといえます。
地味な仕事をこつこつできる人
公務員の仕事の多くは事務仕事や書類仕事などで、表に出るような派手な仕事はありません。
公的に注目されたり、大きな仕事をして認められたいと考える人は向いていないと考えられます。
地味な仕事に誠実に向き合い、こつこつと作業できるタイプの人が向いています。
ワークライフバランスを重視している人
公務員は、サービス残業などの違法な長時間労働とは無縁です。
労働時間がきっちり決められているため、仕事とプライベートをしっかり切り分けることができます。
前述のように、大きな仕事をしたり仕事の成果と自分の成果を同一視し、仕事とプライベートが一緒になったような働き方を望む人には向いていません。
仕事は仕事、私生活は私生活とはっきり切り分けたワークライフバランスを実現したい人には向いています。
まとめ
高卒から公務員になることには、多くのメリットがあります。
- 安定して働け続けられる
- 各種手当など福利厚生が充実している
- ライフプランを立てやすい
- 社会的信用を得られやすい
- 大卒より早いうちから経験を積める
- 民間企業よりも競争が少ない
一方で、下記のようなデメリットがあるのも事実。
- 民間企業や大卒公務員に比べて昇給しにくい
- 年功序列などの古い考えが横行している
- スキルアップしにくい
- 転職しにくい
- 副業が禁止されている
自分にとって向いているかどうかは、以下のような指標をもとに考えてみてください。
- 地元や地域に愛着がある人
- 地味な仕事をこつこつできる人
- ワークライフバランスを重視している人
上記に当てはまる人には向いているといえるでしょう。
自分にとって、公務員が向いているのかどうか分からない方は、ぜひ第三者に相談してみましょう。
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