もくじ
2022年の労働力調査によると、15歳~34歳のフリーターの数は2022年平均で132万人。
30代のフリーターには、正社員として就職したもののすぐに退職した方もいれば、社会人経験が全くない方も少なくありません。
理由は就職難や学歴不足、家庭の事情など様々です。
しかし、長期的に考えてもフリーターのままでい続けるにはリスクが伴います。
30代で正社員になることは難しいですが、ポイントを押さえ努力することで、正社員になれる可能性は充分にあるのです。
この記事では、30代でフリーターから正社員を目指す方のために解説をしていきます。
参考:総務省統計局「労働力調査」
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フリーターの定義とは?
そもそもフリーターの定義とは何なのでしょうか?
総務省では、フリーターの定義は以下のように定められています。
15歳~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者とし、
- 雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」または「アルバイト」である者
- 完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
- 非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で、家事・通学等していない者
まとめると、15歳~34歳でパート・アルバイトとして働いている方や、パート・アルバイトの仕事を探している方をフリーターと呼ぶそうです。
では35歳以上のフリーターは何と呼ぶのでしょうか?
正解は「無職」もしくは「高年齢フリーター」と呼ばれています。
特に35歳以上のフリーターは、正社員になることが難しいといわれているのです。
参考:総務省統計局「フリーターの人数」
30代フリーターはどのくらい正社員になれているのか?
それでは、30代フリーターはどのくらい正社員になれているのでしょうか?
若年層のフリーターに関するデータがあります。
労働政策研究・研修機構が2022年度に発表したもので、25~29歳、30~34歳のフリーターを対象に調査しています。
それぞれ「正社員になろうとした割合」そのうち「正社員になれた割合」を示すデータです。
まずは、正社員になろうとした割合から見ていきましょう。
【フリーターのうち正社員になろうとした割合】
男性 | 25~29歳 | 68.3% |
30~34歳 | 78.6% | |
女性 | 25~29歳 | 62.0% |
30~34歳 | 64.9% | |
男女計 | 25~29歳 | 64.6% |
30~34歳 | 70.5% |
男女とも、30~34歳の層でポイントが上がっています。
特に男性では25~29歳の層より10%近く上昇しており、30代に入り「正社員として働かなければ……」という意識が強くなることが見てとれます。
では次に、実際に正社員になれた割合を見てみましょう。
【正社員になろうとした者のうちなれた割合】
男性 | 25~29歳 | 66.7% |
30~34歳 | 75.2% | |
女性 | 25~29歳 | 61.2% |
30~34歳 | 63.0% | |
男女計 | 25~29歳 | 63.6% |
30~34歳 | 68.5% |
30~34歳の男性では75%を超え、全体でも68%の割合で、正社員になれています。
30代に入ったフリーターでも、正社員になれる可能性はあるため、悲観する必要はありません。
ただ、35歳を超えてしまうと厳しくなっていくことも事実です。
できるだけ早く行動を起こすことが望ましいでしょう。
参考:労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容-【第5回 若者のワークスタイル調査】から-」P124(図表4-26)(図表4-28)
30代フリーターは就職しないとやばい?
30代をフリーターのままで過ごすには、もちろんデメリットが伴います。
1.将来的に得られる収入が低い
30代フリーターの収入と、同世代の正社員の収入では、前者の方が低くなる傾向にあります。
なぜかというと、フリーターは正社員に比べて基本給や昇給額が少ないためです。
雇用形態が変わらなければ、得られる生涯年収にも大きな差が生じてしまうでしょう。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、正社員とフリーターそれぞれの平均年収は下記のような結果となりました。
男性 | 女性 | 男女 | |
---|---|---|---|
正社員・正職員 | 353万円 | 276万円 | 328万円 |
正社員・正職員以外 | 247万円 | 198万円 | 221万円 |
単純計算で勤続年数を40年として生涯年収を算出すると、以下のようになります。
男性 | 女性 | 男女 | |
---|---|---|---|
正社員・正職員 | 1億4120万円 | 1億1040万円 | 1億3120万円 |
正社員・正職員以外 | 9880万円 | 7920万円 | 8840万円 |
若いころはフリーターでもそこまで差を感じにくくても、こうして一生涯の年収を比較してみると大きな差が出てくることがわかります。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 雇用形態別」
2.社会的信用が低い
一般的にフリーターは、正社員のように安定した収入がなかったり社会保険に加入していないため、社会的信用が低い傾向にあります。
それにより、住宅ローンや自動車ローンなどの借り入れが難しくなるほか、クレジットカードや携帯電話の契約が難しいケースもあるのです。
3.結婚や出産が難しい
フリーターは正社員に比べて収入が低く社会的信用が低いため、結婚や出産が難しい傾向にあります。
そのため、結婚相手を見つけることが難しく、結婚したとしても経済的に苦労する可能性が高くなってしまいます。
4.老後の生活が不安
フリーターは社会保険や厚生年金に加入していない場合が多く、老後を見据えた資金計画がしづらい傾向にあります。
特に近年では「老後2000万円問題」も取り沙汰されており、「いかに老後の資金を形成するか」が問題視されています。
前述したとおり、フリーターの生涯賃金は正社員と比べても大きな差があるため、どのように資産形成を行っていくかがかなりシビアになってくるのです。
フリーターのままでい続けることで、老後や病気やケガの際に経済的な困窮に陥る可能性があります。
5.仕事の選択肢が少なくなる
一般的には若手の人材を採用する企業が多いため、30代から仕事を探すとなると選択肢は少なくなり、30代後半にもなるとさらに顕著になってきます。
基本的に求人情報の中で年齢制限をすることはできないため、「若手活躍中」や「20代活躍中」などの文言を使用して、暗に若手のみの採用を多くの企業が行っているのです。
もしくは多少年代が上でもスキルのある人材を求めるため、職歴のない30代フリーターの方は選べる仕事が少なくなってしまいます。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
正社員になりたいなら早めに動き出しましょう!
もし今あなたがフリーターとして働いていて、いずれは正社員を目指したいと考えるなら今すぐにでも動いた方が良いでしょう。
記事内でご紹介している通り、フリーターからの就職は可能ではありますが、30代で年齢を重ねるにつれてそのハードルは高くなってしまいます。
フリーター期間が長ければ長いほど、不利になることを示すデータもあります。
フリーターになって1年以内であれば、68.8%が正社員になれているのに対し、5年が経過してしまえば32.3%と、正社員になれる可能性が半減してしまうのです。
年齢を重ねフリーター期間が長くなると、選べる職種も少なくなり、年齢に対して求められる要件も高くなってしまいます。
「就職していない期間に何をしていたのか」「これからどうするのか」もより丁寧に説明する必要があります。
また、もし就職できたとしても精神的、体力的にきつい面も出てくるでしょう。
就職後はフリーターの時よりも新たなことを覚えなければなりませんし、何より周囲が若い社員であったり、中には上司が自身よりも若い社員になる可能性も高いです。
参考:労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容-【第5回 若者のワークスタイル調査】から-」P128 図表4-33
30代フリーターが就職するメリット
30代フリーターが就職することは、決して簡単なことではありません。
ですが、諦めずに努力することで就職できる可能性は充分あります。
ここでは就職することで得られるメリットについて、解説していきます。
1.収入が安定する
フリーターは、アルバイトを掛け持ちしたり、副業で収入を得たりしている人もいますが、収入は不安定になりがちです。
しかし正社員として就職することで、毎月一定の収入を得ることができますし、ボーナスももらうことができます。
前述した正社員とフリーターとの生涯年収の差があるのも、正社員では昇進や昇給、
ボーナス、退職金などがあるためです。
これらは、いずれもフリーターでは受けることがほとんどできず、正社員のみに与えられます。
2.社会保障が適用される
正社員になると、フリーターでは基本的に受けられない社会保険や厚生年金などの社会保障制度が受けられます。
勤務日数や勤務時間によってはフリーターでも加入は可能ですが、短期バイトや短時間勤務で働いているフリーターだと難しいでしょう。
社会保険に加入条件に満たない場合には国保に加入することも可能ですが、すべての手続きは自分で行う必要があります。
正社員になるとすべての手続きは会社が行ってくれますし、万が一の病気やけが、老後にも安心です。
3.キャリアアップの機会が得られる
フリーターでは自分のスキルや経験を活かせる仕事を見つけることが難しく、キャリアアップの機会が限られています。
しかし正社員として就職すれば、スキルアップや資格取得などの研修を受けることができ、キャリアアップのチャンスが広がるのです。
キャリアアップをすることで収入を増やせたり、やりがいのある仕事に就いたりすることができます。
4.人脈が広がる
仕事を通して人脈を広げる方法としては、大きく以下の3つの方法があります。
- 新規プロジェクトの開始
- 新しい事業所の開設
- セミナーや講習会への参加
いずれもフリーターではこういった仕事を任されることがほとんどないため、関わりを持つのは一緒に働く従業員に限られてしまいがちです。
正社員として働くことで、様々な仕事を通じて人と接する機会が増えるため、人脈を広げることができるのです。
5.やりがいを感じられる
フリーターとして働いていると、正社員に比べると責任感の低い仕事を任されるケースが多いです。
そうなると新しい仕事にチャレンジする機会も少なく、自分の仕事にやりがいを感じられないことがあります。
正社員だとより多くの方に影響やインパクトを与えられる仕事に携わることもできるため、社会貢献を実感しやすく、やりがいも感じるでしょう。
作業的な仕事だけではなく、自分で考えて物事を進めることができるため、上手くいった時の達成感もひとしおです。
そういった仕事を経験することで、自分の成長を実感することもできるでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
心機一転で環境を変える勇気を
もし今あなたがフリーターとして働いていて今の職場での勤務が長いのであれば、正社員への一歩を踏み出すのはなかなか勇気が必要なことだと思います。
しかしこれまでに述べたように、フリーターから正社員になることには金銭的な面でも自己成長の面でもメリットがたくさんあります。
さらにそれは一時的なものではなく、長い目で考えても正社員になる方がメリットが多いのです。
転職を考えるなら、一日でも早い方が有利になりますし、30代後半になるにつれてどんどんハードルは高くなってしまいます。
企業によっては30代半ばくらいまでは「若手」と考えているところもあるため、諦めずまずは行動を起こしてみましょう。
30代フリーターから正社員になる方法
「30代でフリーターから正社員になるのは難しい」とお伝えしましたが、実は正社員になるための方法はいくつかあります。
とはいえ、30代から正社員を目指すには相応の努力が必要です。
ここでは、30代でフリーターから正社員になるための方法をご紹介します。
1.経験不問または未経験から挑戦できる業界に就職する
30代フリーターでも、未経験歓迎・経歴不問の業界であれば、正社員になれる可能性は充分にあります。
例えば、営業職や販売職、介護業界、近年だとITエンジニアも未経験者で採用している企業が多いです。
なぜかというと、これらの職種は人の入れ替わりも激しく、また求人の数も比較的多いからです。
そのため、職歴や経験がなくても、未経験から挑戦しやすい職種といえます。
逆に、企業相手に事業や取引を行うBtoB領域や、専門的なスキルを必要とする仕事への就職は難しいでしょう。
その業界で通用するような専門スキルを身に付けておかないと、そもそも書類選考で落とされてしまう可能性が高いです。
2.アルバイト先で正社員を目指す
現在働いているアルバイト先で正社員を目指すという方法もあります。
その場合は、まずはアルバイト先に正社員登用制度があるかどうかを調べてみましょう。
「正社員登用制度がない」あるいは「制度はあるが、過去登用された実績がない」というケースだと難しいです。
また、制度があってもアルバイト先で正社員になれる可能性は、アルバイト先の業績や働きぶりによって異なってきます。
正社員登用までの間に、アルバイトとしてスキルを高め、正社員として働くための準備として有意義に過ごしましょう。
下記の記事では、どんな特徴の人がアルバイトから正社員になれるのか、具体的に解説をしています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
3.友人や知人から紹介してもらう
友人や知人に声をかけ、正社員の募集をしているかどうかを聞いてみるのもおすすめです。
友人や知人からの紹介であれば、面接の通過率も高くなるでしょうし、入社後のミスマッチも少なくてすみます。
もし友人や知人から仕事先を紹介してもらったら、必ず感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
30代フリーターからでも正社員を目指しやすい職種
未経験者歓迎や経験不問の求人であれば、30代フリーターでも正社員になれる可能性が高い傾向にあります。
慢性的に人手が足りていない職種や、これから需要が急拡大する職種などは「未経験者を育てて戦力化できれば良い」と考える企業も多く狙い目です。
では、こうした求人の多い職種の特徴を見ていきましょう。
自分の希望する職種ではなくても、可能性を広げる意味で以下の職種を検討してみることをおすすめします。
1.営業職
営業職はあらゆる企業で必要となるため求人数も多く、未経験でも挑戦しやすい職種です。
取り扱う商品や営業の対象により、難易度も違ってきますが、未経験歓迎の職種に限って応募していけば、高い確率で内定がもらえるでしょう。
また数字で成果を表しやすい仕事であるため、経験がなくても結果を出していけば、高い評価を得られる職種でもあります。
企業によっては、インセンティブを設けているところもあり、高収入を狙える点も魅力です。
2.販売・サービス職
販売・サービス職は、人手不足が慢性化しやすい職種であるため、30代であっても若手人材として歓迎されやすい傾向があります。
店舗に来店する顧客を相手に接客をし、商品・サービスを提供する仕事であるため、アルバイトで接客経験があれば、スムーズに仕事に馴染める点も魅力です。
しっかり結果を出していけば、大手チェーン企業であっても若いうちから、マネジメント的な立場の仕事を任されることもあります。
未経験であっても、人と接することが好き・苦にならないのであれば、十分に活躍できるチャンスがあるでしょう。
3.介護職
高齢者の介護職は需要の高まりもあり、慢性的な人手不足が問題となっている職種です。
未経験でも若くて体力があれば歓迎されやすく、貴重な戦力として重宝されるでしょう。
肉体労働でハードなイメージがあるかもしれませんが、経験を積んでケアマネージャーなどの資格をとれば、管理的な立場で仕事をすることもできます。
なにより人に感謝される仕事であり、社会貢献的な意義が高いことも大きな魅力です。
4.ITエンジニア職
ITエンジニア職は一見ハードルが高いような印象を受けますが、未経験者の採用に積極的な職種でもあります。
今後、大きな需要拡大が見込まれている業界であり、今のうちから未経験者を採用して育て、将来に備えようという考えの企業が多いためです。
小規模なベンチャー企業からの求人も多く、こうした企業に入社すれば、幅広いスキルを身に付けながら、より経営に近い立場で仕事をすることも可能です。
ただし、基本的なパソコン操作など、最低限のIT知識がないと選考通過は厳しいでしょう。
30代フリーターが就活で成功するコツ
30代のフリーターが就職活動を成功させるためには、いくつかのコツがあります。
しっかり対策するほど就職できる可能性は高くなりますので、頑張っていきましょう。
1.履歴書や職務経歴書を丁寧に書く
履歴書や職務経歴書は、自分のアピールポイントをしっかり伝える大切なツールです。
今までどんな経験をしてきて、どんなスキルが身についたのか、充分にアピールできるようにしましょう。
当然ですが、ミスなく丁寧に書くことも重要です。
また、最近ではパソコンで履歴書や職務経歴書を作成することも主流になってきています。
手書きに自信のない方は、ぜひパソコンで作成されてみてくださいね。
なお、パソコンで作成される場合でも、誤字脱字などがないか念入りにチェックを行いましょう。
2.充分な面接練習を行う
面接は、自分の経験やスキルをどのように活かせるかを直接アピールできる絶好の機会です。
自分自身のことだけではなく、企業や仕事に対する熱意を伝えることも重要になってきます。
事前に面接練習をしておくことで、本番でも落ち着いて受け答えができるようになり、面接官にも好印象を与えることができるのです。
以下の動画では、面接で失敗してしまう代表例を紹介しています。
このような失敗をしないよう、しっかり準備しておきましょう。
3.就職支援サービスを利用する
1人での就職活動が不安な方は、就職支援サービスを活用することもおすすめです。
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さらに模擬面接の実施や履歴書の添削を行ってくれたりと、手厚いサポートを受けることもできます。
このようなサービスを利用することによって、第三者からアドバイスをもらえるので、より効率的に就職活動を進めることができるようになりますよ。
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まとめ
この記事では、30代をフリーターのまま過ごすことで、経済的に困窮したり社会的信頼を得られにくかったりと、マイナス要素が非常に多いことを解説しました。
この記事をきっかけに将来が不安になった方、心機一転で正社員を目指そうと思った方は、ぜひ一歩を踏み出してみましょう。
30代からでも正社員を目指すことは可能です。
もちろん若年層に比べると就職の難易度も高いですが、努力次第ではまだまだ取り返しのつく年代です。
1人で就職活動を行うのが不安な方は、ぜひUZUZにご相談ください。
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