もくじ
就職先が決まらない状態のまま学校を卒業しそうになった時、多くの人はいずれかの選択に迫られます。
- わざと留年をすることで引き続き「新卒」として就活を続ける(就職留年)
- 学校を卒業して「既卒」として就活を続ける(就職浪人)
就職留年と就職浪人。
一見どちらも似たもののようにも見えますが、実はこの2つ、就活においてはどちらを選ぶかでその後の結果が大きく変わることもあります。
そこで今回は、
- 就職留年と就職浪人の違い
- 「就職浪人はやめた方がいい」と噂される理由
- 実際のところ就職留年と就職浪人はどちらが就職に不利なのか
- 就職留年や就職浪人で就活を成功させる人の特徴
など、就職留年と就職浪人にスポットをあて、気になるポイントを徹底解説します。
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「就職留年」と「就職浪人」の違いとは?
学校を卒業せずに留年をして就活を続けるのか、学校を卒業して就活を続けるのか。
- 就職ができなかった
- 就活を続ける
この2点においてはどちらも同じです。
ただ、就職を続けるうえで、就職留年と就職浪人はその後の「扱い」が大きく違ってきます。
ここからは、就職留年と就職浪人の違いを、メリット・デメリットを交えながら解説します。
就職留年とは
就職留年とは、学校を卒業するまでに就職先が決まらなかったためわざと留年し、学生として就活を続けることをいいます。
つまり、引き続き学生を続けることによって「新卒」として就活できるのです。
就職留年のメリットとしては、おもに以下の点が挙げられます。
- 新卒採用枠で就活ができる(=応募できる企業が多い)
- ポテンシャル採用がメイン
- 企業に留年の理由が知られることは少ない
- 履歴書に「空白期間」ができない
- 一度不採用になった企業にも再チャレンジできる
- 現役生よりも時間的な余裕がある
- 現役生よりも就活に慣れている
- 交通費などの学割が利用できる
このように、就職留年には多くのメリットがあります。
そのため「希望する企業への就職ができない」とわかった時点で留年を決め、わざと試験を受けずに単位を落としたり、卒論を提出しないという学生は少なくありません。
学校自体が卒業延期制度を設けているケースもあります。
ただし、就職留年はもう一年学生を続けるわけですから、さらに1年分の学費を支払う必要があります。
自分は就職留年を希望していても、経済的な理由や、留年することへの抵抗感などから家族の理解が得られず、就職留年を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
就職浪人とは
就職浪人とは、就職先が決まらない状態で学校を卒業をし、学校卒業後も就活を続けることをいいます。
つまり、新卒ではなく「既卒」として就活を続けることになるのです。
就職浪人のメリットとしては、おもに以下の点が挙げられます。
- 現役生よりも就活に専念できる
- 学費の支払いがなくなる
- 前年の就活経験が活かせる
- 前年より目標が明確な状態で就活できる
経済的な理由から就職留年ではなく就職浪人を選ぶ人は少なくありません。
しかし、なかには内定を獲得できなかったと言う理由ではなく、次のような理由から就職浪人を選ぶ人もいます。
- 内定を獲得したものの、実際は入社する気になれなかった
- 公務員試験や司法試験などを受験するため
- 留学するため
- 就職以外にやりたいことがある
就職浪人の大きなデメリットとしては、新卒扱いではなく既卒扱いになること、就職するまでは「空白期間」となってしまう2点が挙げられるでしょう。
就職浪人はやめとけと言われる理由
就職留年にも就職浪人にもメリット・デメリットはあります。
しかし、一般的に就職留年と就職浪人を比較した際に「就職留年の方がいい」という声の方が多いというのは事実です。
そこで、ここからは就活生や就活経験者から就職浪人が敬遠される理由をご紹介します。
精神的な余裕がなくなるから
就職浪人は、学校に通っていない分、現役の学生と比べて時間に余裕があり、就活に多くの時間を費やせます。
一方、就職浪人は時間的な余裕はあるものの、次のような理由から精神的な余裕がなくなってしまうともいわれています。
- 社会人として働いている元同級生たちへの劣等感
- 学生でもなく社会人でもないというプレッシャー
- 相談できる場所がない孤独感
特に「就職先が決まらなかった」という理由で就職浪人を選んだ場合、一足先に社会人となった同級生たちと自分を比べて「どうして自分は……」と劣等感を抱いてしまうことがあります。
また、家族や恋人など自分を支えてくれる人たちに対しても、学生でもなく社会人でもない状態に気まずさや申し訳なさを感じてしまうことも。
就職のことで悩んだ時にも同級生に悩みを相談しづらく、学校のキャリアセンターや就職課などにも相談できないという点も、就職浪人が精神的に追い込まれてしまう要因といえるでしょう。
「新卒で就職できなかった人」というイメージを持たれるから
2022年、厚生労働省は「青少年雇用機会確保指針」の改正を行い、各事業者に対して「学校卒業後3年以内の既卒者には新卒枠で応募受付を」という通達を出しました。
ただ、上記の通達は必須ではないため、多くの企業では未だに「新卒至上主義」のもと採用活動が行われているという実態があります。
新卒採用の枠から外れ、既卒枠(中途採用枠)での応募となると、ポテンシャル採用を行う企業の数はぐっと減り、実務経験やスキルが重視されるようになります。
仮に「未経験可」の求人に応募をしたとしても、「社会人経験のある未経験者」と「新卒で就職できなかった社会人経験のない未経験者」では、どうしても後者が不利になってしまうのです。
このような就職浪人に対するネガティブなイメージは、社会全体に根強く存在するため、一朝一夕で改善できるものではありません。
就職留年を選ぶ人が、余分な学費を払ってまで学生を続けるのは、「新卒で就職する」ことに高い価値を見出しているからです。
面接で理由を答えるのが難しいから
就職留年の場合、就活の面接で留年した理由を聞かれることはほとんどありません。
一方、就職浪人(既卒)となり就活で面接を受ける場合は、必ずと言っていいほど「なぜ既卒になったのですか?」という質問をされます。
その際に「企業から内定をもらうことができなかった」と、事実を正直に話すと、「どこからも採用されないほど問題がある人なのでは?」とマイナスの印象を持たれかねません。
また、仮に「勉強に集中していて就活の時間がなかった」「就職したいと思える企業がなかった」などと答えても、「計画性のない人」と、結局マイナスの印象になってしまう可能性があります。
繰り返しになりますが、新卒で入社をする人がいる以上、就職浪人は「何らかの理由がある」人であり、ネガティブなイメージがついて回ります。
せっかく面接選考までたどり着いても、「なぜ既卒になったのか」という問いに対して、採用担当者が納得できる回答ができない限りは採用されないのです。
このように、就活で不利な状況が予想されることからも、就職浪人は避けられがちです。
「就職留年」と「就職浪人(既卒)」って……ぶっちゃけどっちが就活に不利なの?
正直、新卒と比較すると「就職留年」「就職浪人(既卒)」はどちらも就活に不利です。
そして、「就職留年」「就職浪人(既卒)」の2つを比較した場合、「就職浪人(既卒)」の方がさらに不利になります。
ここからは、「就職留年」と「就職浪人」を経験した方それぞれのエピソードを交えて説明していきます。
地方大学に通っていたNさん(23歳・女性)は、就職活動に苦戦し、なかなか内定を獲得することができずにいました。
周りの友人たちが次々に進路を決める中、企業から届くのは“お祈りメール”ばかり。
焦りが募っていったと言います。
就職浪人するか留年して来年もう一度学生として選考を受けるか考えた時、Nさんは先輩から聞いた「既卒の就活は大変だよ」という話を思い出し、あえて留年する決意を固めます。
もちろん留年することで就活が不利になることもわかっていましたが、「就職浪人するよりはうまく進められるのではないか」と考え、翌年の就活に臨みました。
案の定、翌年の面接では留年した理由を聞かれましたが、Nさんが思っていたほど追及されることはなかったそうです。
公務員試験を並行して受けていたため少し時間はかかってしまいましたが、就活は順調に進みました。
残念ながら公務員試験に合格することはできなかったものの、その後Nさんは無事に第一希望の企業から内定を獲得。
大学卒業後の4月から社会人として働いています。
就職浪人を選んだYさん(25歳・男性)
Yさんは大学時代、公認会計士合格を目指し試験を受けていました。
しかし在学中に合格することはできず、Yさんはそのまま大学を卒業します。
就職浪人(既卒)になったあとも、試験に合格するため予備校に通い、毎日10時間以上の勉強に励んでいました。
しかし公認会計士は難関試験であるため、そう簡単には受かりません。
大学を卒業し3年近くが経過した頃、Yさんはこのまま試験を受け続けることに限界を感じ、公認会計士の道を諦め就活を開始します。
この時Yさんは「確かに既卒ではあるけど、まあなんとかなるだろう」と思っていたそうです。
ですが現実は想像以上に厳しいものでした。
履歴書を出してもほとんどが書類選考でお見送り。
やっと通過したと思っても、面接でうまく話すことができず結局またお見送り。
自分の考えの甘さを身をもって痛感したそうです。
その後UZUZに登録してくださったNさんは無事に内定を獲得できましたが、のちに「既卒の就活がこんなに大変だなんて思いもしませんでした。
ひとりで就活を続けていたら、多分まだ内定を獲得できずにいたと思います」と語っていました。
どうして就職留年より就職浪人(=既卒)のほうが不利になるの?
留年して就活をしたNさん、就職浪人して就活をしたYさんのエピソードをご紹介しましたが、インターネット上でも
- 職浪人は不利になりやすい
- 就職浪人(既卒)ではなく就職留年の方がいい
という声が多く見られました。
これは「就職留年は“留年”というハンデを背負ってはいるものの、新卒枠の学生には変わりないから」というのが大きな理由です。
もちろん採用が活発化している今、既卒や第二新卒を積極的に採用する企業も多く見られるようになりました。
しかし現在の日本は「新卒至上主義」であり、新卒が圧倒的に有利になりやすい傾向にあります。
そういった観点から「たとえ留年していても、就職浪人している既卒よりは一応新卒である就職留年組の方がいい」という声が多いんですね。
企業の中には、銀行のような「未経験者採用は新卒のみ」という“新卒だから受けられる企業”も多くあります。
ですのでまだ就職浪人していない(=既卒になっていない)方で、新卒でしか入れない会社への入社を希望している方は、なるべく新卒のうちに就活を終わらせたほうがいいでしょう。
「就職留年」や「就職浪人」をすることで就活にどんな影響が出るの?
覚えておくべきなのは就職留年も就職浪人も基本的にはどちらも不利だということです。
そのため、どちらも新卒と全く同じ土俵に立てるかというとそれはもちろん難しいし、真っさらな新卒と比べるとどうやってもマイナス評価になってしまいます。
特に就職浪人(既卒)の場合、企業の中には、「新卒で就職できなかったのには何か理由あるんじゃないか?」「同じスペックなら既卒より何もない新卒のほうがいい」という判断をしてしまうところもあります。
就職浪人をしていても高い能力ややる気を持っている方はたくさんいるのに、「既卒だから」という理由で選考に通らなくなってしまうのです。
就職留年や就職浪人が必ずしも全て悪いわけではありません。
している方々にも様々な理由があります。
大事なのは留年するにしろ浪人するにしろ、「それなりのハンデを背負う覚悟を持つ」こと。
空いた空白期間をただなんとなく過ごすのではなく、きちんと説明出来る過ごし方をすること。
後は、留年や浪人の言い訳をせず、自分の「遅れ」を認めることです。
上記のことを意識できれば、就職活動もきっとうまくいくはずです。
「就職留年」や「就職浪人」を選んで成功する人の特徴
新卒至上主義が根強い日本において、やはり新卒は「最強のカード」であるといえます。
しかし、「就職留年や就職浪人=就活で100%苦労する」というわけでは決してありません。
反対に、就職留年や就職浪人という経験をバネにして、自分が心から納得できる企業にスムーズに就職できる人たちも数多く存在するのです。
ここからは、そんな就職留年や就職浪人で成功する人たちに多くみられる特徴をご紹介します。
自己分析がしっかりできている
就職留年や就職浪人をする人のなかには、「就活の軸」がブレてしまうことで企業選びがいい加減になってしまったり、自分の強みや弱みを理解しないまま就活を進めてしまう人が少なくありません。
一方、就職留年や就職浪人をしても、自分を客観的に見つめることができる人はリカバリー能力も高く、就職留年や就職浪人の経験も自分の個性や持ち味として就活を進めます。
面接の際に自信をもって「〇〇という理由があって就職浪人(留年)をした」と答えられるようになるためには、自分の考え方や行動パターンを分析し、説明できることが求められます。
就職留年や就職浪人を選んだ場合は、やみくもに就活を続けるのではなく、まずは過去の振り返りや自分の希望・強みや弱みを見つめ直してみましょう。
自分に合う企業選びができている
大手企業や有名企業だけに絞って就活を進めてきたため、結果として就職留年や就職浪人となった人も多いでしょう。
どのような企業で働きたいと考えるのかは個人の自由ですし、大手企業や有名企業を目指すこと自体は決して問題があるわけではありません。
ただ、特定の企業や業種、職種にこだわりすぎることで、自分に合った企業選びができなくなる可能性は否めません。
就職留年や就職浪人をしてもその後の就活がスムーズにすすむ人は、企業や業種、職種よりもまず「自分のやりたいこと」が明確です。
「自分のやりたいこと」を基準にすると業種、職種の枠に捉われず、自分に合った企業選びができ、入社してからの満足度も高まります。
資格取得など、スキルアップに励んでいる
就職留年や就職浪人を選ぶことのメリットとして、現役の学生よりも時間に余裕がある点です。
就活を成功させる人は、就職浪人や就職留年をしたからこそできた時間を有効利用します。
たとえば、資格取得やPC操作、語学力など、入社後に役立つと思われるスキルを就活と平行して身に付けるのです。
就職浪人の場合はとくに、「就活中=空白期間」となるため、空白期間を意味のある時間であったと伝えるためにも、スキルアップの時間を作ることは大切です。
勉強だけではなく、アルバイトを通じて就職後に役立つコミュニケーションスキルやビジネスマナーが身に付けられることもあるでしょう。
履歴書や面接対策ができている
就職留年や就職浪人をする人は、一度就活を経験している人も多いです。
しかしそこで注意したいのは、一度就活を経験しているからといって、履歴書の書き方や面接の受け答えが完璧であるとは限らないということ。
履歴書や面接は数を重ねれば慣れるものの、誤った方法やクセが定着してしまうと負のループに入り込んでしまう可能性があります。
就活をスムーズに進められる人は、客観的視点を持っていることが多く、選考を通過しやすい履歴書の書き方や、好感を持たれやすい面接の受け答えのコツも理解しています。
そのため、就職留年や就職浪人をしていても、希望する複数の企業から内定をもらうことも少なくありません。
「客観的な視点の持ち方がわからない」「どうしても主観的になってしまう」という人は、第三者からのアドバイスを受けながら履歴書や面接の対策をすることをおすすめします。
就職浪人を成功させるには転職エージェントの活用がおすすめ
新卒と比較すると就活には不利な状況でも、就活の進め方次第で希望する企業への就職は可能です。
とはいえ、特に就職浪人の場合は学校を卒業してしまっているため、相談できる場所もなく、一人で就活を続けることに不安を感じやすいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、転職エージェントを活用する方法です。
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また、自分にマッチした求人の紹介や面接日時の調整、入社前のやりとり、入社後のフォローなどを受けることも可能です。
転職エージェントのキャリアカウンセラーは、いわば「就活のプロ」。
転職はもちろん、既卒など就職経験のない人のサポート経験も豊富なため、就職浪人の人も安心して利用できます。
この記事のまとめ
就職留年や就職浪人はいずれも新卒と比較すると就活には不利な立場といえます。
特に就職浪人は「新卒」ではなく「既卒」扱いとなるため、就活ではより厳しい状況に陥りがちです。
しかし、昨今の人材不足から既卒の採用に力を入れ始めている企業もあり、就職浪人(既卒)になったからといって悲観することはありません。
就職浪人(既卒)になった理由はどうであれ、あなたが採用担当者の目に映ったその時に、あなたが「うちの会社で働いて欲しい」と思われる人になっていれば良いのです。
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