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ロー卒生は就職できない?【第二新卒・既卒】法科大学院卒業後のキャリア③

法科大学院卒業後のキャリア③

司法試験に失敗してしまったり、受験を断念した人の中には、

どこにも就職できないのでは

ニートになってしまうのでは

と恐れている人もいるのではないでしょうか。

今回は、法科大学院卒業後、弁護士とは異なる道を選んだ方の就職活動について解説します。
この記事で分かること
  • ロー卒生に人気の就職先
  • ロー卒生の就活のポイント

法科大学院を卒業後の進路は、弁護士だけとは限りません!

この記事の監修者

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

株式会社UZUZ 代表取締役

1986年生まれ、北海道出身。第二の就活を運営する「株式会社UZUZ」を立ち上げ、数多くの就職サポートを実施してきた。“自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる。”をミッションに、Twitterで「仕事をウズウズ楽しむ情報」を、YouTubeで「就職・転職で使える面接ノウハウ」を発信。SNSの累計フォロワー数は9万人を超える。

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そもそも司法試験にはどれくらいの人が合格しているの?

そもそも司法試験にはどれくらいの人が合格しているの?

そもそも司法試験の合格率ってどれくらいなの?
統計資料を確認していきましょう。

法務省の発表資料による、合格者の推移を示すのが以下の表です。

概ね、4割くらいの合格率で毎年1,500人くらいの人が合格していますが、それなりに難関の試験であることが分かるでしょう。

【司法試験受験者数・合格者数・合格率推移】

年度受験者数最終合格者合格率
令和5年度3,928人1,781人45.3%
令和4年度3,082人1,403人45.5%
令和3年度3,424人1,421人41.5%
令和2年度3,703人1,450人39.1%
令和元年度4,466人1,502人33.6%

参考:法務省「司法試験の結果について(各年度:法科大学院別合格者数)

わあー、けっこう難しい試験なんだね。
それぞれの年度で、何回目の試験で合格したかを示す資料もあるので見てみましょう!

【受験回数別合格者数】                    (単位:人)

受験回数令和5年度令和4年度令和3年度令和2年度令和元年度
1回目158410461024960884
2回目123180173222282
3回目3588101126139
4回目24477685108
5回目1542475789

参考:法務省「司法試験の結果について(各年度:総合評価)

1回目の受験の合格者は圧倒的に多いことが分かります。

受験回数を重ねるほど合格者が少なくなるのは、受験者の絶対数が少なくなることも原因かもしれません。

しかし、1回目もしくは2回目の試験で合格できなければ、かなり厳しくなってしまうようです。

何回も受験するのは、年齢的なハンデを負うことにもなります。

ストレートで法科大学院を卒業しても24歳か25歳。

もし5回の受験機会、全てで失敗したら30歳を超えてしまいます。

そこから法曹以外の道に進むにしても、選択肢は限られてくるでしょう。

最初の受験で結果がでなければ、他の道も視野にいれておいた方が良いのかもしれません。

※追記
ちなみに改正司法試験法が成立したことにより受験回数の制限が緩和され、2015年の司法試験から、5年間で3回までだった受験回数が5回まで受けられるようになりました。

法科大学院卒業生はここが有利!

法科大学院卒業生の有利なポイント

なんとなく有利そうなイメージはあるけど、具体的にどんなポイントが有利になるの?
詳しく解説しましょう!

法科大学院卒業生には有利な点がたくさんあります。

例えば、修了後「法務博士」の学位を持っていること。

学位はなかなか得られるものではなく、社会に出ると希少価値といえるでしょう。

また、大学の法学部出身なら2年、法学部以外なら3年にわたって、法律実務家を育成するための勉強をしてきたこと自体も評価されます。

加えて、法律の知識も大きなアピールポイント。

たとえ司法試験を断念したとしても、法律の条文や裁判所の判例を知っていることは法務関連の就職に有利なのです。

それだけではありません。

法務関連に限らず、未知の問題にも対応できる論理的思考力自体も大きな強みとなります。

ロー卒生に人気の就職先は?

ロー卒生に人気の就職先

法科大学院卒業生(ロー卒生)の就職先としては、どのような職種・業種が人気なのでしょうか。

代表的なものとして、以下が挙げられます。

  • 民間の法務職(法律実務)
  • 公務員
  • 法律事務所のスタッフ(パラリーガル)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

民間企業の法務職(法律実務)

民間企業の法務職であれば、これまで学んできた法律知識を十分に活かすことができます。

しかし、法務の専門部署を設けている会社の多くは大規模な企業で、不可能ではないが就職へのハードルは高めです。

ただ、法務の専門職にこだわらなければ、選択肢はぐっと広がります。

企業においては、法律の専門知識が必要な業務がたくさんあるからです。

例えば、以下のような業務には法律に関する知識が欠かせません。

  • 社内規程の作成・整備
  • 様々な契約に関する実務
  • 各種紛争の解決

他の業務も兼任しつつ法律の専門知識を活かしていけば、社内で重宝される存在となるでしょう。

公務員

法科大学卒業後に公務員を目指す人も一定数います。

特に、法律科目が必須の国家公務員専門職はおすすめです。

  • 国税調査官
  • 労働基準監督官
  • 法務教官

これらの職種は、法科大学院のカリキュラムと試験内容に親和性があるため、少ない労力で合格できる可能性があります。

これまで学んできた法律知識が大きなアドバンテージとなるでしょう。

ただし、公務員は受験資格に年齢制限があります。

そのため、司法試験を諦めて公務員を受験する人もいるようです。

公務員試験の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてお読みください。

法律事務所のスタッフ(パラリーガル)

弁護士事務所などのスタッフとして、弁護士のアシスタントや事務業務を行う道もあります。

また、相談者の一次対応を行い、弁護士業務をサポートするパラリーガルとして働くケースもあります。

弁護士事務所であれば、働きながら司法試験を受けることに理解を示してくれるでしょう。

法律を扱う最前線の現場で業務に触れながら勉強できる点もメリットです。

最初の司法試験を目指す時点から、アルバイトとして働くのも良い選択かもしれません。

監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

ロー卒生就職のポイントはキャリアプランと年齢

就職活動においては、ロー卒生にはロー卒生としての戦い方があります。

ポイントとなるのは「キャリアプラン」と「年齢」です。

まず、「明確なキャリアプランを持つこと」が何より大切です。

「司法試験に落ちてしまったから、次の一手として仕方なく一般企業に就職する」という気持ちが反映されたキャリアプランでは、とても就職は叶いません。

「司法試験合格は叶わなかったけれど、これからは法務畑でキャリアを積み、企業に貢献できる人材になりたい」という思いでキャリアプランを構築しましょう。

また年齢も大事です。

遅くとも30歳までには就職を決めるつもりで臨みましょう。

前述したように、法務職は実務未経験でも採用される可能性があります。

ただしこれは、将来性に期待してのこと。

つまり多くの企業がターゲットにしているのは「20代後半程度まで」なのです。

30歳を超えると、とたんに未経験での就職が厳しくなってきます。

ロー卒生の就活、職務経歴書の書き方と面接のコツを伝授!

職務経歴書では志望動機と自己PRが重要

ロー卒生に人気の就職先がお分かりいただけたでしょうか。

では、ロー卒生が就活をする際の進め方について見ていきましょう。

法科大学院卒業生のための職務経歴書の書き方

ロー卒生の職務経歴書は、選考で不利にならないよう気をつけて書かなければなりません。

特に大事なのが志望動機です。

面接でも聞かれる可能性が非常に高い「司法試験を諦めた理由」に関わる部分なので、丁寧に書きましょう。

ポイントは、前向きな志望動機を記載すること。

「法科大学院で経営の勉強をした際、企業法務に興味がわいた」などがおすすめです。

次に自己PR。

採用側が求める人物像をイメージして書くようにしましょう。

「企業法務の勉強をしてきたので、即戦力として働ける」

「法務だけでなく経営戦略にも関心があり、勉強してきた」

「法律の勉強で培った論理的思考力がある」

以上のような内容が書けると、説得力が増します。

またあなたの“人となり”を知ってもらうことも大事です。

趣味・特技欄に記載することは、法務と関係なくてもちろんOK。

ただし「ギャンブルやパチンコ」など知性を感じさせないものはイメージダウンにつながるので要注意!

読書やディベート、映画鑑賞などの中から、面接できちんと語れるものを選んで書きましょう。

法科大学院卒業生の採用面接必勝法

資格を目指したものの断念し、就職活動にチャレンジするロー卒生。

「アピールできるものが何もない!」と思われるかもしれませんがそうではありません。

  • 地頭が良い
  • 勉強で身につけた継続力

などを評価してくれる会社は実際にあります。

ただし、アピールの仕方には注意が必要です。

法科大学院在学中、一度目の司法試験に不合格後に就職活動を始め、見事事務職で内定をいただいたKさんという方がいらっしゃいました。

資格試験を目指し、ストレートで法科大学院を卒業しても24歳、25歳。

卒業後5年以内で3度の試験(当時)を受けきるときには27歳、28歳、29歳……。

年齢を重ねているにも関わらず、就業経験がないことをKさんも懸念しておりました。

時間は元には戻りません。

悔いの残らないよう、目標に向かって勉強することは大事ですが、リスクを伴うことも忘れてはいけません。

面接では、「司法試験はもう受けないのか?」と必ず質問されます。

時間を費やしてきた目標を諦めることは辛い決断ですし、話しづらいかもしれません。

しかし、それは自分の覚悟を示すことができるチャンスでもあります。

特に入社後のキャリアプランは、未来志向の表現で伝えましょう。

就業経験がなく、周囲から後れを取っている分、「他の人より頑張って追いついて行きたい!」というやる気があることを伝えることができます。

アピールできることはたくさんあるはずです。

例えば、先ほど挙げた、

  • 地頭が良い
  • 勉強で身に着けた継続力

はもちろんですが、他にも、

  • 論理的思考ができる
  • 難しい壁に挑戦する
  • ガッツがある

などが挙げられます。

弁護士という仕事を目指すプロセスで、数多くの事例を見ながら勉強をしてきたはずです。

物事の理由を考える癖ができており、事象に当てはめて論理的に話をすることができるのは面接で大いに役立ちます。

たとえ司法試験不合格であっても取った点数が平均点以上であれば、法的素養をアピールできるのです。

また、人の気持ちが分かる方が多いといわれることもあります。

そして、試験勉強を諦めずにやり続けたガッツは、「たとえ就業経験がなくても今後仕事をするなかで厳しい環境でも働くことができる」とアピールできるでしょう。

ロー卒生が一般企業の就活で成功するためのポイント5つ

ロー卒生が一般企業の就活で 成功するためのポイント5つ

ロー卒生が一般企業の就活をする場合、気をつけた方が良い点を教えて〜〜!
ポイントは5つあります!
ロー卒生の就活 成功のためのポイント
  • コツコツ勉強できる強みを活かす
  • 法律知識を企業の実務でどのように活かすかアピールする
  • 鼻高々な態度はNG
  • 柔軟で素直な人柄をアピールする
  • 就職エージェントを活用する

詳しく解説します。

ポイント1.コツコツ勉強できる強みを活かす

法科大学院を卒業できたということは、根気強く勉強ができるということに他なりません。

この強みを活かさない手はありませんよね。

司法試験以外にも、おすすめの資格はたくさんあります。

法務関連では、以下のような資格でロー卒生としての強みを活かすことができます。

  1. 法学検定
  2. 中小企業診断士
  3. 個人情報保護士
  4. 社会保険労務士
  5. 宅地建物取引士
  6. ビジネス実務法務検定
  7. 知的財産管理技能検定
  8. マイナンバー実務検定
  9. ビジネスコンプライアンス検定

法律事務所の事務職員を目指す場合は、以下の資格があると有利です。

  • 簿記検定
  • 秘書技能検定試験
  • ビジネス実務法務検定

加えてMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)を取っておくと、PCスキルもアピールできますよ。

もちろん、全ての資格を取得する必要はありません。

就職エージェント・キャリアアドバイザーと相談しながら、就職したい企業や法律事務所の特徴を調べた上で、必要な資格を選ぶと良いでしょう。

ポイント2.法律知識を企業の実務でどのように活かすかアピールする

法科大学院で学んだ得意分野を、ただアピールするだけでは少し物足りません。

「憲法が得意科目で、判例を深く学んだ」とアピールしても採用担当者には響かないでしょう。

採用担当者は、応募者の法律知識でどのように会社に貢献してくれるのかを知りたがっています。

  • 労働関連法が得意で、労務トラブルに対して間違いのない対応ができる
  • 模擬裁判が得意で、プレッシャーのかかる場面でも堂々とプレゼンができる

このように実際の業務とリンクさせて、学んだ知識やスキルをアピールすることが求められるのです。

ポイント3.鼻高々な態度はNG

ロー卒生が一般企業を受けるにあたって注意しなければならないのは「態度」です。

た、態度……!?

もちろん、司法試験への挑戦で得られたことはアピールしてOK。

しかし、司法試験の勉強をしてきたことを必要以上に誇ったり、自慢したりする態度は絶対に避けましょう。

「自分の目指していた資格が一番最高!」

「試験のために費やしてきた時間を評価してほしい」

「努力を認めてほしい」

そんな気持ちが生じるのは当然のことです。

しかし、だからといって資格試験の勉強をしていたことが偉いわけではありません。

カウンセリングの際、キャリアアドバイザーから見て「他の職業を下に見ているような」雰囲気の方も中にはいるようです。

「そんなことは絶対にない」と思うかもしれませんが、カウンセリングでそのような雰囲気が伝わるということは、面接官にも同様に伝わるということです。

そして厳しい言い方ですが、そのような色を出すと選考は通りません。

弁護士を目指していた方のアピールポイントとして、「自信を持っていること」も挙げられます。

それ自体はとても良いこと。

しかし、自信を持っていることと高慢な態度は違います。

ポイント4.柔軟で素直な人柄をアピールする

一般的に法科大学院で学んだ人物は、融通がきかない「固い人物」と思われがちです。

法律で武装し、徹底した議論を好みそうというイメージがあるのでしょう。

こうしたイメージを良い意味で裏切ることができれば、好印象につながります。

面接では面接官の話に熱心に耳を傾け、素直に相手の話を聞く姿勢を見せるとベストです。

法律知識を活かしたいとばかりアピールすると、自社の利益を考えず法律だけを視点に仕事をするのではないかと思われる恐れがあります。

これまでの人生で、意見対立が生じた際に調整役にまわった経験などがあれば、面接で話せるようにしておきましょう。

自分の価値観にこだわり過ぎない柔軟性を示せば、ぐっと印象が良くなるはずです。

ポイント5.就職エージェントを活用する

これまで一般企業への就職を考えてこなかった人にとって、就活はハードルが高いもの。

例えば、あなたはこれまで以下のような経験を積んできたでしょうか?

  • 自己分析
  • 業界研究
  • 就活関連の書類準備
  • 面接対策

このように、就職活動のタスクは多岐にわたります。

これまで法務関連の勉強に注力してきた人が1人で取り組むのは、無理があるかもしれません。

そこで、就職エージェントへの登録を考えてみてはどうでしょうか。

特におすすめなのは、UZUZが運営するエージェント「ウズキャリ」です。

ウズキャリの強みは「オーダーメイド型」の就活サポート。

キャリアアドバイザーは、就活での挫折や短期離職を経験した者たちです。

だからこそ、司法試験を諦めたり弁護士の道を断念したりした人に対しても、真摯に同じ目線で就業サポートを行うことができるのです。

「これまで司法試験に全力を尽くしてきたので、就活の知識がない」

「自分の強みや働きたい職種をゼロベースで考えたい」

そんな人こそ、信頼できるキャリアアドバイザーに伴走してもらうのが、就活成功への近道だといえます。

ぜひ頼ってくださいね!

監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

司法試験の勉強を続ける場合は

読者の中には、「就職活動をするけれど、実は司法試験も諦めきれない」という人もいることでしょう。

司法試験の勉強を続けながら就職活動をしたい場合はどうすればいいのでしょうか。

まず大切なのは、「司法試験に落ちた場合に備えて就職活動をしている」とはおくびにも出さないことです。

面接では受験勉強のことからはいったん離れ、仕事への情熱と自分の強みを伝えるようにしましょう。

予備試験に合格している場合は、いわゆる「青田買い」といった形で法律事務所などからオファーがある場合もあります。

そのようなチャンスも逃さないようにしたいですね。

まとめ

法科大学院卒業生(ロー卒生)には、他にはない強みがあります。

しかし一般企業の法務部に就職することは、簡単なことではありません。

それ以外にも、司法書士や法律事務所の弁護士秘書などの道があるので、視野を広げて検討してみると良いでしょう。

ロー卒生が就職活動するには、自分の強みを活かしつつ高慢に見えない面接テクニックが必要です。

また職務履歴書の書き方にもコツがあります。

これらの「戦い方」は自分一人では難しいので、就職エージェントの利用がおすすめです。

キャリアアドバイザーに伴走してもらいながら、納得できる就職先と出会いませんか?

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執筆・編集

第二の就活 編集部

「“はたらく”をもっと身近に」をテーマに、就活=不安・やりたくないと感じる気持ちを変えるコンテンツを発信しています。編集部のメンバーは、全員が既卒や第二新卒の経験者です。だからこそわかる「就活に対する怖さ・逃げたい気持ち」に寄り添い、正しい情報をイラストや動画を用いてわかりやすく伝えていきます。

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