もくじ
「事務職」は、IT化などの影響で今はあるものの将来的になくなる、もしくは求人数が大幅に減る仕事と予想されています。
事務職は、時期や時代に左右されず常に高い人気を誇ってきた職業です。
そのため「事務職がなくなる!?どうしよう!」と焦る人も多いかもしれません。
今回はそんな人に向けて、以下を詳しくお話ししていこうと思います!
- そもそも「将来なくなる仕事」が生まれた理由は?
- なぜ事務職は「将来性がない」「いつかなくなる仕事」といわれるのか?
- どうしても事務職を仕事にしたい場合にオススメな4つの方法
なお、この記事の内容はこちらの動画でも詳しく説明しているので、合わせて観てみるともっと分かりやすいはず!
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そもそも「将来なくなる仕事」が生まれた背景は?
IT化・AI化が進むと、ありとあらゆる仕事が自動化できるようになるんです。
今は人間メインの仕事も、技術が進歩しコンピューター(ロボット・人工知能など)が行うようになれば、必然的に「なくなる仕事」が増えます。
野村総研が出したレポートによると、10〜20年後には、日本の労働人口のうち約50%の職業が人工知能やロボットでまかなえるようになるそう。
そしてその数はなんと100職種にものぼります!
それだけの仕事が自動化されちゃうってこと!?
以下では「将来なくなる」とされる100職種のうち、20職種を抜粋してみました。
あなたにとって身近な仕事も、数多くラインナップされているはず。
引用元:野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~」
一般事務 自動車組立工 医療事務員 自動車塗装工 受付係 人事係事務員 学校事務員 新聞配達員 給食調理人 診療情報管理士 教育・研修事務員 スーパー店員 銀行窓口係 タクシー運転手 クリーニング取次店員 宅配便配達員 警備員 ビル清掃員 経理事務員 郵便事務員
事務職が「将来性がない」といわれる理由
なぜ「事務職は将来性がない」「いつかなくなる仕事」といわれてしまうのでしょうか?
事務職求人の現状でも触れた通り、そもそもの求人数が少ない上に、希望者も増えている現状があります。
しかも、これからの見通しとしては、さらに求人数は減っていくことが予想されています。
事務職の種類にもよりますが、事務の仕事は基本的に単純・繰り返しの作業。
今後はこれが、人間からシステムに置き換えられます。
現時点でこの“システム”はまだそこまで普及していません。
しかし、AIの発達で事務業務が自動化される未来は確実にやってきます。
そもそも「求人数が少なくなったとはいえ、事務の仕事がしたい!」という人は多いはず。
数は減っても、メリットがあるから事務職には根強い人気があるのです。
そこで、次からは「事務職に就職する5つのメリット」を紹介します。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
企業が正社員の事務職をあまり雇用しない理由
システム化が進んでいなくても、正社員の事務職をあまり雇用しない理由は、事務業務が自動化される将来を見据えていることに理由があります。
正社員で雇用した人材は、どのような職種であっても、簡単に契約を解除することはできません。
そのため、将来システム化が進んだ際に、事務職の雇用継続が難しくなることを考慮して、正社員の採用を控える傾向が強くなっているのです。
こうした理由から、目の前の事務作業の担い手として、パート・アルバイトなどの非正規雇用や派遣の活用を進める企業が増え、雇用が流動化している現状があります。
事務職に就職する5つのメリット
事務職は「将来性がない」「いずれAIに仕事をとられてしまう」といわれながらも、依然として人気が高い仕事です。
事務職に人気がある背景には、就職することで期待できるメリットが存在します。
ここでは、事務職に就職する5つのメリットを深堀りしていきましょう。
1.プライベートな時間が確保しやすい
事務職の人気が高い理由の一つとして、プライベートの時間が確保しやすい点が挙げられます。
事務職は社内向けの業務が中心であり、営業とは違い顧客や取引先とやりとりする機会は少ない仕事です。
突発的な業務が発生しにくいため、基本的に土・日・祝日を休みとする会社は多くなります。
スケジュールを立てやすい業務が多く、残業も少なめであることから、仕事よりもプライベートを重視する若者世代にも人気があるのでしょう。
2.デスクワークで体力的な負担が少ない
事務職は、基本的にオフィス内でのデスクワークが中心です。
立ち仕事で体を使う接客業や工場勤務の仕事とは違い、体力的な負担は少なくなります。
外出の機会も少なく、外回りの営業のように炎天下や極寒の中、客先を訪問するといったこともありません。
体力的な負担はほとんどないことから、年齢を重ねても働きやすく、長く続けられる仕事であることが人気の理由です。
3.ノルマに追われることが少ない
営業職のように、売上や成約数といったノルマがないため、精神的な負担が少ないことも人気の理由です。
事務職でも提出期限や締め切りなど、プレッシャーを感じる場面はあるでしょう。
しかし相手がいる営業と違い、比較的自分のペースで進められる業務が多いため、計画性をもっていれば、多くの場合は問題なくこなせるのではないでしょうか。
4.汎用的なPCスキルが身に付く
事務職が担当する業務は多岐にわたりますが、その共通点としてパソコンを使用することが挙げられます。
例えば書類作成やデータ入力のほか、伝票処理やメール対応といった業務を行うこともあるでしょう。
こうした業務ではパソコン上でExcelやWord、PowerPointといった、ビジネスで頻繁に使用するソフトウェアを活用する場面が多いものです。
最初はうまく活用できないかもしれませんが、業務を通して使いこなしていくうちにスキルが身に付くはずです。
そして、このPCスキルは事務職だけでなく他の職種でも活きる汎用的な能力なので、仮に転職した際も自分の武器となることでしょう。
5.在宅勤務ができる職場も
事務職はパソコンを使用したデスクワークがメインとなっているため、パソコンさえあればどこでも働きやすい特徴があります。
そのため、事務職を在宅勤務としている企業もあり、自宅で仕事がしたい人にはおすすめの仕事です。
もちろん企業によって在宅勤務の可否は異なりますので、まずは求人票やリクルートサイトをよく確認するようにしましょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
企業が正社員の事務職をあまり雇用しない理由
最新のデータから、事務職求人の現状に触れておきましょう。
求人情報・転職サイトのdodaは、2024年5月に転職求人倍率レポートを公表しました。
このデータでは、調査対象となった全11職種全体の求人倍率は「2.66倍」でした。
これに対し「事務・アシスタント」の求人倍率は「0.47倍」と、かなり低いことが分かります。
直近のデータでは「事務・アシスタント」の求人数自体は微増の傾向ですが、同時に転職希望者も増加しています。
正社員の事務職は依然として、求人自体が少ないうえに希望者も多いという、狭き門であるようです。
参考:doda「転職求人倍率レポート(2024年4月)」
「将来性がない」とされる事務職で生き残る4つの方法
1.老舗企業の正社員事務職を目指す
特に、首都圏や都会ではなく地方にある企業が狙い目です。
地方は都会に比べ、IT化が進んでいない企業がたくさんあります。
かつ「今後もIT化には特に力を入れません」という会社も多く、そういった場合AI・ロボット・システムなどではなく、人が仕事をやり続けることになるのです。
時代と逆行してるし、なくならないか不安……
それでも、残る会社はあると思いますよ。
前提として
- システムに投資して業務を効率化している会社
- 効率化できた分、更に事業拡大を進める会社
そういった意味では、IT化に馴染めない企業のシェアは失われていくでしょう。
しかし地方には、昔ながらの付き合い(つながり)があります。
「あの仕事は何年も◯◯会社さんにやってもらっているから、これからも引き続きお願いしよう」
このように地方はウェットな結びつきがとても強いので、売り上げが大きく伸びない代わりに、下がることも少ないと言われています。
2.RPAを使える人を目指す
システム(ソフトウェア型のロボット)が仕事を自動化して、代わりにやってくれる仕組みのことを指します。
上でも少し触れましたが、事務職の代わりとなるシステムである「RPA」は広がってはいるものの、まだそこまで普及していないのが現状です。
しかし、今後さらに浸透していくのは間違いありません。
普及がすすめば、事務職を雇うよりシステム(ロボット)に利用料を支払ったほうが費用を抑えられる会社も増えるでしょう。
そうなれば、事務職の求人は本格的に減少することになります。
であればこれから増えるであろう仕組み、つまり「RPA」を使える人になってしまえばいいのです!
RPAを仕事にする場合、主な業務内容は
- 企業に対してRPAを導入する
- 導入したRPAの運用支援を行う
この辺りがメインになるでしょう。
もちろん、RPAはすぐに扱えるような簡単なものではありません。
しかし、今まさに市場に広がり始めている段階なので、この分野のプロがまだまだ少ないのが現状。
そのため、採用現場では、未経験者でも受け入れてくれるケースが多いのです。
全くの未経験というわけにはいきませんが、比較的ハードルは低いですよね。
もっと専門的で複雑な知識がないとダメなのかと思ったけど、そうでもないんだね!
もしあなたが事務職をやりたいと思っているなら、Excelでマクロが組めるように今から勉強し、将来的にRPAを導入する側のキャリアを目指すのも1つの手です。
3.アウトソーシング系の会社に入る
アウトソーシング系の会社とは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を行う会社のことを指します。
依頼主(企業)に代わり、業務の一部を代行するのが主な仕事内容です。
RPA化により事務職が減っていくのは事実ですが、今すぐにすべての事務職がなくなるわけではありません。
中には「自社では正社員事務を雇わないけれど、派遣の人にはお願いする」という会社もあります。
ようは、この派遣元である会社の正社員になってしまえばいいのです!
派遣会社の正社員になって、“事務員”として色々な会社で事務仕事をするってことか!
ただ、おそらくここで気になるのは「仮に派遣会社の正社員になって企業に派遣されたとしても、いずれ仕事がなくなるのでは?」という点。
正直な話RPAの導入などにより、派遣先の案件が終了する可能性は十分あり得ます。
しかし、1つの企業の案件が終わっても別の会社には派遣されるので、あなた自身の仕事がなくなる可能性はそう高くないのです。
クレジットカードってなくならないですし、言ってしまえば半永久的に存続するものじゃないですか。
ただ、正社員とはいえ勤務形態は”派遣”なので、合う・合わないはあるかもしれません。
4.「カスタマーサクセス」のポジションを目指す
カスタマーサポートは、顧客が問題にぶつかった際その課題を解消するのが仕事です。
一方でカスタマーサクセスは、顧客を成功に導くのが主な仕事といわれています。
SaaS型サービスとは、クラウド上で利用できるオンラインサービスのこと。
少し前までは図のように、システムを購入したら自分のPCなどに直接インストールする方法が一般的でした。
しかし今はクラウド上にデータを保存しておけば、ログイン情報1つでいろいろな媒体からアクセスできる「SaaS型サービス」が主流になってきています。
このSaaS型サービスが普及したことで商品の儲け方が変わり、生まれたのが「サブスクリプション型サービス」。
サブスクリプション型サービスは、システムそのものを買ってもらうのではなく、システムを使うための“利用料金”をもらうことで成り立っているのが特徴です。
「売って終わり」ではなく毎月売り上げが発生するので、うまくいけば安定した利益が見込めるサービスなのですが……
そこで出番になってくるのが「カスタマーサクセス」です!
サブスクリプション型サービスの“肝”は、解約率を下げること。
解約率が下がれば、売り上げアップに直結するからです。
そしてこの解約率を下げるために何より大事なのは、顧客に満足してサービスを使ってもらうことであり、満足してもらうためには「カスタマーサクセス」が欠かせません。
つまり顧客からの連絡を待つのではなく、積極的に働きかけるのがポイントです!
そしてこのカスタマーサクセスは、現状まだまだ人が足りていません。
よってRPAと同じように、未経験者でも採用されやすい状況です。
多くの企業は、例え経験が浅かったとしても自社でしっかり育てようとしてくれるので、カスタマーサクセスのポジションを目指すなら人が少ない今がチャンスかもしれません。
将来性のある事務職として生き残るために必要なスキルとは
ここまで、事務職として生き残る4つの方法を見てきましたが、共通しているのは「人間にしか発揮できないスキルを身に付けること」です。
AIは定型作業をこなすことはできても、コミュニケーション能力やイレギュラーへ柔軟に対応する力は人間より低いといわれています。
エン・ジャパン株式会社が2017年に実施した「ユーザーアンケート集計結果」では、女性を対象に「AIと事務職」についてのアンケート調査が行われました。
この調査結果によると、AIの台頭にあたり、事務職が今から身に付けておくべきスキルの上位5つは下記の通りになりました。
- 臨機応変に対応するスキル(72%)
- コミュニケーションスキル(71%)
- 発想力(52%)
- 判断力(37%)
- マネジメントスキル(33%)
上記5つのスキルはいずれも人間ならではのスキルといえますが、これらを高めていくことで、AIが台頭しても生き残れる可能性がアップします。
それでは、将来性のある事務職として、生き残るために必要なスキルを見ていきましょう。
参考:エン・ジャパン株式会社「『 エンウィメンズワーク 』ユーザーアンケート集計結果」
コミュニケーションや協調性などの対人スキル
コミュニケーションや協調性などの対人スキルは、AIが発揮できない人間特有のものです。
相手の意図や感情を汲み取り、臨機応変に対応することは、AIにはできません。
職場の雰囲気を明るくして、円満な職場環境を作り出すのは、人間が持つコミュニケーションスキルです。
また、業務の自動化が進んでも、職場においては周囲の人々との連携が必要です。
協調性やリーダーシップがある人は、そのスキルを発揮し、職場に欠かせない人材となるでしょう。
自分の頭で「考える」スキル
AIは、決まった手順を決まり通りに行う「ルーティン業務」には強みを発揮します。
しかし、ルーティン化できない業務や突発的な緊急対応はAIには不向きで、人間が「考えて」対応する必要があります。
また、より効率的にルーティンを変更する業務改善は、業務を熟知した人がよく考えて進めていかなくてはなりません。
向上心をもって問題点の抽出や改善策の検討ができ、そのアイデアを出すことは「考えるスキル」をもった人間にしかできないことです。
クレームやトラブル対応のスキル
クレームやトラブルへの対応は、定型的な対応が難しい分野であり、これからも人間が対応していくことになるでしょう。
相手の話をよく聴き、その意図や要望を汲み取り解決策を提案するといったことは、AIにはできません。
「クレームやトラブル対応は大変そう……」とあまり良くないイメージをもつ方もいるかもしれませんが、仕事をしていく上で大事なスキルです。
事務職として生き残るためには、この上ない武器(スキル)となるでしょう。
マネジメントスキル
マネジメントスキルは一見、事務職と関連がないように思えるかもしれませんが、前述のアンケートでは第五位にランクインしています。
マネジメントスキルとは人材や商品、資金といった経営リソースを管理できる能力のことです。
具体的には、目標に対する適切なスケジュール管理能力や、状況・課題分析能力がマネジメントスキルに含まれます。
マネジメントスキルがある人はマルチタスクで業務をこなせたり、物事の本質をよく見抜けたりといった特徴があります。
AIは与えられた仕事をこなすことはできても、同時に複雑な業務を進めたり、自ら課題の根本的原因を考えたりすることは難しいものです。
一方、マネジメントスキルを身に付けた事務職は、業務効率化の改善に貢献するだけでなく、他の従業員を管理する立場でも能力を発揮すると考えられます。
データ分析ができる能力
昨今においてはDXの一環として、社内の書類をデータ化して一元管理し、分析を行うことで経営上の課題を抽出しようとする企業が増えています。
そのため、データ分析能力がある事務職は企業にとって必要性が高く、重宝されやすいと考えられます。
データ分析能力は複数のスキルを含めた概念ですが、例えば統計学の知識の他、Excel VBA・Pythonといったプログラミング言語スキル、論理的思考力が一例です。
こうしたスキルがあると、統計学にもとづいて信頼性のある結論を導き出し、プログラミングによってデータの前処理や効率的な分析を実現できます。
また、膨大なデータの中から有用性のある情報を探し出し、的確に解釈を行うためには論理的な思考プロセスが重要です。
【まとめ】自分の強みを身に付けて将来性のある事務職を目指そう
- 老舗企業の正社員事務職を目指す
- PRAを使える人を目指す
- アウトソーシング系の会社に入る
- 「カスタマーサクセス」のポジションを目指す
確かに事務職の求人は減っています。
だからといって「事務職にならないほうがいい」なんてことはありません。
ですので、あなたの気持ちはそのままに、少し視野を広げてみるのはどうですか?
「そう簡単にはなくならないフィールド」「これから伸びそうなフィールド」を狙えば、あなたにとってより良いキャリアが見つかるかもしれません。
自分のフィールド選びに迷ったら、いつでもUZUZに相談してくださいね!
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