もくじ
高卒の手取り金額について、どのようなイメージをもっているでしょうか。
この記事では、公的機関の調査をもとに高卒の手取りについて実態を解説していきます。
さらに、高卒の手取りを上げる方法についても紹介します。
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高卒の新卒が受け取る手取りは月平均およそ14万5000円
厚生労働省による調査では、高卒の新卒が受け取る男女平均給与は18万1200円とのこと。
手取りは総支給額のおよそ8割程度になるため、高卒の初任給による手取りは概ね14万5000円程度であると考えていいでしょう。
参考:厚生労働省「新規学卒者の学歴別にみた賃金」
そもそも「手取り」と「給料」の違いとは
たびたび「手取り」と「給料」が同じような意味で使われることがありますが、これらは異なる言葉です。
「手取り」と「給料」について見る前に、「給料」と似た言葉である「給与」と「給料」の違いについて確認しておきましょう。
「給与」とは、労働の対価として振り込まれる会社から受け取る報酬すべてのこと。
基本給に加えて賞与や残業手当などをすべて足した、会社から受け取る総額が「給与」です。
そして「給料」とは、賞与や手当などを除いた基本給のことを言います。
基本給=給料、と覚えておいて問題ありません。
そして「手取り」とは、給与から年金や社会保険料などの様々な天引きを経て、実際に口座に振り込まれる金額のこと。
つまり、自分で自由に使えるお金のことです。
そのため、手取りは額面上の給料よりも低い金額になってしまうのです。
給料から差し引かれる税金・保険料とは
額面上の給料からは、各種税金や保険料などが差し引かれて口座に振り込まれると説明しましたが、具体的にはどのようなものが天引きされているのでしょうか。
ここでは、給料から差し引かれる税金や保険料の種類について解説します。
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料
- 住民税
- 所得税
- 組合費
厚生年金とは、厚生年金加入対象の企業に勤める会社員が加入して、会社と従業員が年金保険料を折半して納付する制度です。
会社の所在地がどの都道府県にあるのか、また給与の金額によって厚生年金保険料の金額は変動しますが、およそ給与の1割程度と考えて差し支えありません。
健康保険は、「健康保険組合」か「全国健康保険協会(協会けんぽ)」が運用元となり、ケガや病気をした際に医療費の一部を負担する制度です。
健康保険料は厚生年金保険料と同様、会社と従業員が折半して納付するのが特徴です。
都道府県によって保険料率は変わりますが、おおむね給与金額の5%程度が健康保険料となるケースが多いといわれています。
雇用保険は失業時に再就職のための支援を受けられる制度で、その保険料は毎月の給与に「雇用保険料率」がかけられて計算されますが、給与の約0.3%が目安です。
介護保険とは、介護が必要な人たちを社会全体で支えるための社会保険の一種で、40歳以上の健康保険加入者が支払う必要がある介護保険料はおよそ月額6,000円とされています。
住民税は入社した翌年、つまり2年目の6月から支払いが始まる税金で、所得税は入社1年目から天引きされる税金です。
こうした税金や保険料以外にも、労働組合に加入する場合は組合費が、共済制度を利用する場合は共済費が給与から差し引かれます。
また、財形貯蓄や団体生命保険なども、給与から天引きされる項目の一例です。
高卒の手取りは大卒よりも低い傾向にある
厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、高卒の平均賃金は273万8,000円(年)で、大卒の平均賃金は362万8,000円(年)です。
手取り額は給与額の約8割といわれているので、高卒の手取り平均は約219万400円、大卒の手取り平均は約290万2,400円ということになります。
1年間の手取りにすると、高卒と大卒の間にはおよそ71万2,000円もの差があることがわかります。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
初任給の時点で大きな差がある
厚生労働省の調査によると、大卒の初任給は男女平均で228,500円。
前述した給料の8割が手取りになる計算に当てはめると、およそ18万円が手取りとなります。
高卒の手取り(およそ14万5,000円)と比較すると大卒の方が高い傾向にあることが分かります。
初任給の時点で、高卒の手取りは大卒よりも低い傾向にあるのが事実です。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
生涯年収ではさらに差が開く
生涯年収とは、一生のうちに得られる収入総額のことです。
ある調査によると、大卒・院卒の生涯年収は男女平均で2億3700万円ほど。
一方で、高卒の生涯年収は男女平均で1億7800万円ほど。
大卒・院卒と高卒で比較すると、生涯年収では高卒のほうが6000万円ほど低いデータが出ています。
参考:ユースフル労働統計2022「生涯賃金など生涯に関する指標」
高卒のほうが手取りが低くなってしまう理由
- 大卒は課題解決力や高度な知識があると期待される
- 高卒は給与水準が低い求人が多い
- 専門的なスキルを要しない職種に就いてしまう場合が多い
- いまだ学歴を重視する会社が多い
大卒は課題解決力や高度な知識があると期待される
まず大卒者は、大学受験と大学の卒業を経験しています。
受験勉強を経て合格しただけでなく、入学後はあらゆる専門分野を学び、単位を取得しているのです。
就職の場では、ビジネスにおける競争やノルマ達成などの基本的な「気概」があるものとして見られるでしょう。
また、単位を取得する経験や高度な体験型の授業などを通じて、課題解決力が磨かれていると期待されます。
つまり大卒者は高卒よりも、高度で専門的な知識を得ているため、それを活かした活躍をしてくれるというポテンシャルが大きく評価されるのです。
ある意味、大卒とは持っているだけで評価を得られる「資格」のようなものなのかもしれません。
高卒は給与水準が低い求人が多い
高卒の求人はそもそも給与水準が低い求人が多いため、大卒者の平均と比較すると手取りが少なくなってしまう傾向があります。
求人に「大卒以上」と、応募条件が書かれているのを見たことはないでしょうか。
「大卒以上」の求人に応募することができるのは、大卒者だけ。
高卒者の場合、「高卒以上」や「学歴不問」の求人でないと応募することができません。
応募したとしても、条件に満たないため書類選考で落ちてしまいます。
応募条件が緩いということは、業務上求めているスキルが「専門的ではない」ということ。
乱暴な言い方をすれば「誰でもできる仕事」ともいえます。
そのため、専門的なスキルが要求される求人と比較すると給与水準が低くなってしまうのです。
いまだ学歴を重視する会社が多い
残念ながら、いまだに学歴を重視して採用を行う会社も数多く存在します。
そもそも高卒向けの求人に給与水準が低い求人が多いのは、学歴社会だった時代を引きずっている層がいまだに各社の上層部に残っていることが理由の一つ。
ですが、それだけではありません。
- 「学ぶ姿勢がある」ことを期待している
- 受験勉強から卒業までを経験しているため、努力できると評価される
- 基礎学力が身についているため、教育の負担を減らせる可能性がある
大卒とは、持っているだけで評価を得られる「資格」のようなもの。
大卒であるだけで、一定の能力の証明となるのです。
だからこそ多くの企業で、「大卒以上」という募集条件が設けられているのです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
「年齢」で見ると、差が開いていくのが分かる
高卒者は、大卒者よりも4年早く社会に出て働き始めます。
大卒者が働き始めるころ、高卒者はすでに社会人4年目を迎えているのです。当然、その間に昇進や昇給もしているでしょう。
そのため、一見すると高卒と大卒で生涯年収に大きな差は生まれないのではないか、と感じるかもしれません。
厚生労働省の調査によると、高卒の20~24歳の月収は20万4300円程度。
大卒者が22歳でもらう初任給は23万3000円のため、確かに働き始めは、大きな差はないように感じられます。
ただしこの後、昇格・昇給の割合や頻度などに差が出ることで生涯年収に差が出てしまうのです。
高卒の50~54歳の月収はおよそ31万円。一方で、大卒の50~54歳の月収はおよそ47万円となります。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
高卒におすすめの手取りを上げるコツ
- 将来的なキャリアのゴールを考えて就活する
- 学歴ではなくスキルで活躍できる仕事を選ぶ
- 同職種内で条件がいい会社に転職する
- 条件がいい会社で昇給していく
将来的なキャリアのゴールを考えて就活する
まずは、将来的なキャリアのゴールを考えてみましょう。
そして、それに向けた就活を行います。
やりたい仕事ができることを目的にするのか?
年収〇〇円を目指すのか?
など、ゴールは人によって様々でしょう。
ですが、ゴールに向かうには一定のルートを辿る必要があります。
例えば、年収1000万円を目標にしたとして、いきなり到達するのは難しいですよね。
まずは年収500万円、年収600万円と段階を追って上げていくのではないでしょうか。
そしてそのためには、「〇年目までに役職を得て、さらに〇年後にはマネージャーになって……」と、達成すべき前提条件が見えてくるはずです。
このようにゴールを目指した道筋を考えながら、就活を進めてみましょう。
もし一人で就活をしたり、キャリアについて考えたりするのが難しいのであれば、第三者に相談するのも手段の一つ。
就活のプロである就職エージェントに相談し、プロの意見を聞いてみるのもおすすめです。
まずは、高卒の就活サポートを得意とするUZUZに相談してみませんか。
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学歴ではなくスキルで活躍できる仕事を選ぶ
高卒の給与水準が低い理由の項では、「いまだに学歴を重視する会社が多い」と解説しました。
しかし、現実的にビジネスの世界は厳しく、学歴だけで渡っていけるほど甘くはありません。
すでに、学歴ではなく「スキル」を重視する企業も数多く存在しているのです。
そういった、スキルを重視する会社や、スキルが物を言う仕事を選んでみましょう。
- スタートアップ企業
- Webベンチャー企業
スタートアップや小規模のWebベンチャーでは、学歴ではなく、個人の能力や人柄を重視して採用を行う傾向にあります。
大手企業や名のある中小企業だけでなく、視野を広げて会社を見てみましょう。
- 営業職
- ITエンジニア
- Webデザイナー
- マーケター
また会社によっては、会社が推奨する資格を取得した者に「資格手当」として毎月給与にプラスされる場合もあります。
資格取得やスキルアップができれば、それまでよりも専門的な仕事ができるようになり、さらに給与水準が高い職種にキャリアチェンジできる可能性も生まれるでしょう。
同職種内で条件がいい会社に転職する
同じ業界、同じ職種、同じ業務をしていても、会社の給与体系が違えば給与も、そして手取りも変わります。
まったく同じ仕事をしているにもかかわらず、手取りに高低が生まれてしまうことがあるのです。
会社によって、生まれた利益を内部に溜め込む会社、設備に投資する会社、社員に還元する会社とその方針は様々。
内部に溜め込む会社と社員に還元する会社と比較すれば、後者のほうが手取りが多くなるでしょう。
例えば「資格手当」や「資格取得の補助金」、「住宅補助」などの手当が充実していて、見かけの給与よりも多くの費用を社員に還元している会社もあります。
上記のような社員への手当や制度によって社員に還元している会社は、良い条件の会社の一つです。
良い条件の会社は、以下の情報を調べることで見えてきます。
- IR情報(会社の財務状況)
- 求人情報の仕事内容と給与支給額を比較して納得できるか
- 賞与などの手当の充実さや福利厚生
- 平均残業時間や休日数などの働き方
例えば、土日・祝日休みであれば、年間休日は120日程度になります。
年間休日が120日よりも少ないのなら、土日・祝日が休みではなかったり、月の休日数が少なかったりしていることが分かるでしょう。
上記の情報を調べ、自分に合った条件の会社を探すことをおすすめします。
自分で探すのが難しい場合は、高卒の就活サポートを得意とするUZUZに相談してみてくださいね。
条件がいい会社で昇給していく
好条件の会社を見つけられれば良いですが、そうでない場合は転職しながら条件をより良くしていきましょう。
ただし、なかには、長く働くことで条件がさらに良くなったり、手厚い待遇が得られたりする会社もあります。
例えば、在籍年数に応じたリフレッシュ休暇が支給される、ボーナス支給額が上がる、退職金がアップするなどです。
自分にとって好条件だと思える会社を見つけたら、「もっと良い条件の会社を!」と転職するのではなく、思い切って腰を落ち着けるのも良いでしょう。
社歴が長くなることが昇給につながるとは限りませんが、ここまで紹介した手法に乗っ取ってゴールを描き、スキルアップしていけば十分可能性はありますよ。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
結局はスキルアップが重要
手取りを上げるためにスキルが必要なのは当然納得できるでしょう。
しかしそれだけでなく、安定的に働いたり、いざ転職するときにスムーズに転職したりするためにも、スキルは非常に重要です。
高卒は、同学年の大卒に比べて4年も早く社会に出て仕事をしているはず。
時間というアドバンテージを存分に使って、若いうちからスキルアップしていきましょう。
高卒で手取りをアップしたい人におすすめの業界5つ
最後に、高卒で手取りをアップしたい人におすすめの業界を5つ紹介していきます。
- インフラ業界
- 建築業界
- 不動産業界・保険業界
- 製造業界
- 情報通信業界
インフラ業界
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 (5)産業別にみた賃金」によると、電気・ガス・熱供給・水道業が最も平均賃金が高い業界となっています。
そのため、高卒で手取りをアップしたい人は、平均賃金が高いインフラ業界を目指してみるのがおすすめです!
インフラ業界とは、水道やガス、電気といった生活基盤を成り立たせるサービスを提供する業種です。
こうしたインフラサービスは、社会全体の経済活動や人々の生活に欠かせない重要な存在といえます。
そのため、安定して高収入を得られるインフラ企業は少なくないのです。
インフラ業界と一口にいっても様々な職種が存在しますが、高卒の人へ特におすすめなのが技術職です。
技術職では、工業高校を卒業した人材を積極的に採用しているケースが珍しくないため、工業高校に在学中の人はインフラ業界への就職を検討してみてはいかがでしょうか?
参考:「令和4年賃金構造基本統計調査 (5)産業別にみた賃金」
建設業界
社会全体で問題となりつつある人手不足は、建設業界においても例外ではありません。
建設業界は慢性的な人手不足に陥っているだけでなく、体力仕事が多いため若いというだけで歓迎してもらいやすい傾向にあります。
そのため、体力に自信のある高卒の人は建設業界を目指すのも、ひとつの選択肢としておすすめです。
高卒で建設業界に就職した後は、しばらく現場で経験を積みながら、スキルアップとキャリアアップを目指していきましょう。
資格を取得したり、現場監督やリーダー職にキャリアアップしたりすると、各種手当がついて手取りアップも期待できます。
不動産業界・保険業界
不動産業界や保険業界の営業職も、手取りアップを目指す高卒におすすめの仕事です。
最低限のコミュニケーション能力とやる気さえあれば、入社後の教育と実務で充分に成長できるのが営業職の特徴とされています。
そのため、採用時に学歴や職歴を問わない場合も多く、高卒でも比較的採用されやすいと考えられます。
さらに、成約件数に比例してインセンティブが給与に上乗せされるケースも少なくありません。
他人とのコミュニケーションが好きな人や手取りアップのために仕事を頑張れる人には、営業職の適性があるといえます。
製造業界
製造業界は、製品を作って販売する産業で、製品のジャンルやその内容は多岐にわたります。
高卒の人が製造業界に勤める場合は、工場内でのライン業務からスタートするケースが多いでしょう。
場合によっては肉体労働が中心となることもあるため、未経験歓迎や学歴不問とする求人も少なくありません。
高卒の人でも比較的挑戦しやすい仕事といえますし、夜勤手当や残業手当がつくと手取りアップを期待できます。
さらに、大手製造メーカーに就職できれば、ボーナスや福利厚生が充実しているなど、良い待遇で働き続けられる可能性もあるでしょう。
情報通信業界
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 (5)産業別にみた賃金」によると、情報通信業が平均賃金の高さで第三位となっています。
情報通信業でも特におすすめな仕事が、昨今ニーズが高まりつつあるITエンジニアです。
ITエンジニアとは、アプリケーションやシステムなどを設計・開発・構築・運用する仕事です。
ITエンジニアと一口にいっても、システムエンジニアやプログラマー、ネットワークエンジニアといった様々な種類が存在します。
どの職種にも共通するのが、IT分野に関する高度な知識や技術を有していることです。
昨今ではDXの推進によってITエンジニアの需要は高まり、人手不足となっている企業は珍しくありません。
そのため、学歴よりもポテンシャルを重視して採用を行うケースもあり、高卒でもチャンスがある仕事と考えられます。
入社してからの頑張り次第では、より高収入の企業への転職や昇給も狙えることでしょう。
参考:「令和4年賃金構造基本統計調査 (5)産業別にみた賃金」
まとめ
高卒の手取りは、初任給でだいたい14万5000円ほど。
どうしても高卒の手取りと比べると低くなってしまいます。
また、生涯年収においても大卒平均よりも高卒平均は6000万円ほど少ない金額です。
しかし、必ずしも高卒の全員がそうなるわけではありません。
しっかりとキャリアのゴールを描きながら、スキルアップしつつ条件の良い会社を探せば、最終的に納得できる手取りを得ることができるでしょう。
ですが就職したり転職したりする際に良い会社を見つけたいと思っても、個人にできることは限られています。
困ったときには、ぜひエージェントを頼ってみてください。
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