本記事では高卒で就職する人の現状、高卒で就職する人のメリット・デメリットについて解説します。
さらに、高卒者を求めている業種についても紹介しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
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高卒で就職する人の現状
文部科学省の調査によると、高等学校卒業後の高等教育機関への進学率(過年度卒を含む)は84.0%で、過去最高となりました。
これはいわゆる「学歴至上主義」といわれる傾向で、良い会社に就職するには、学歴が大切という社会の考え方を反映したものといえます。
今の日本では高校卒業後、ほとんどの人が就職ではなく進学を目指しているということになります。
では高校卒業後、進学せずに就職した人はどのくらいいるのでしょうか。
そしてなぜ高卒で就職するのでしょうか。
次項から高卒で就職する人の現状について詳しく解説します。
参考:文部科学省「令和5年度学校基本調査」
高卒で就職する人の割合
文部科学省の調査によると、高校卒業者に占める就職者の割合は14.2%となっています。
令和4年3月からは0.6ポイント減少しており、年々減少傾向が続いています。
高校卒業後の進学率が上がっているのとは反対に、就職者の割合は減っているのです。
参考:文部科学省「令和5年3月新規高等学校卒業者の就職状況」
高卒の就職率
文部科学省による調査データを見ると、高校卒業後に就職を希望した人の就職率は98.0%で、前年を0.1%上回る結果となりました。
また厚生労働省の調査によると、大学を卒業し就職を希望した人の就職率は97.3%となっており、こちらも前年を1.3%上回っています。
以上より、高卒での就職率は大卒に比べわずかに高くなっており、就職希望者のほとんどが就職できている状況にあります。
「大卒の方が就職できる」と思われがちですが、実はそうではないということが分かりますね。
参考:文部科学省「令和5年3月新規高等学校卒業者の就職状況」
参考:厚生労働省「令和5年3月大学等卒業者の就職状況」
高卒で働く理由
多くの人が大学や短大、専門学校などに進学するなか、あえて高卒で就職する理由には一体何があるのでしょうか。
高卒で働く具体的な理由を4つ紹介します。
- 早く自立したい
- 進学する金銭的余裕がない
- 進学する必要性を感じない
- やりたい仕事がある
一つずつ、見ていきましょう!
早く自立したい
高校生が卒業してすぐに就職したいという理由の一つに「早く自立したい」という意見が多く挙げられます。
早く自分で稼げるようになって、経済的にも精神的にも自立したいと考える人が多いようです。
自分で管理できるお金を持つことで、好きなことに使ったり、将来の目標のために貯金したりすることができるようになります。
進学する金銭的余裕がない
なかには経済的に余裕がないために、進学ではなく高卒で就職せざるを得ない場合もあるでしょう。
大学や短大、専門学校に進学するには、多くのお金がかかります。
奨学金を借りて進学するにしても、就職してから返済していけるかどうか不安が残ります。
年々学費が値上がりしていることで、状況的に高卒で就職する道を選ぶ人もいるのが現状です。
進学する必要性を感じない
進学しても特にやりたいことがない、もう勉強をしたくないと考える人もいるでしょう。
高い費用を出して目的なく進学するくらいなら、高卒で就職した方が良いという人もいるはずです。
周りよりも早く就職し、仕事のスキルを身につけて、社会人経験を多く積む方が自分に合っていると思う人は、就職を選ぶ傾向になります。
やりたい仕事がある
高校生のうちからやりたい仕事が明確にある人は、いち早くその業界に飛び込んで技術を学ぼうとする傾向があります。
特に長期的にスキルを身につける必要のある仕事では、できるだけ早く取り組み始めたほうが良いといえます。
このような場合、大学に進学するとかえって遠回りになってしまうため、高卒で就職という選択が適しているでしょう。
高卒で就職する5つのメリット
高卒で就職すると得られるメリット5つを紹介していきます。
- 早く自立できる
- 進学費用が掛からない
- 大卒より多くの経験・実績を積める
- 大卒より就職支援を受けやすい
- 就職時に手厚い研修が受けられる
メリットを知ると、高卒で働くことに対する不安も解消できるので一つずつ見ていきましょう。
1.早く自立できる
高卒で働くと、自分でお金を稼ぎ、生活費をまかなえるようになるため、早く自立することができます。
経済的に余裕のある状態を早く作れるので、一人暮らしを始めたり、好きなことに使ったりと自由に生活ができるようになるでしょう。
また、大卒者よりも4年早く社会人経験を持つことができます。
学生でもバイトはできますが、バイトとは比べ物にならないくらい、社会人経験は大きなものです。
大卒の人が入社する時には高卒者は社会人5年目となり、努力次第では昇給・昇格して責任ある業務を任されているかもしれません。
加えて、新入社員の指導を任されたりすることもあり、大卒者を教える立場になることもあるでしょう。
2.進学費用が掛からない
高卒で就職した場合、大学や専門学校に進学したときに必要になる学費や教材代、交通費などがかかりません。
奨学金を借りて大学などに通う場合は卒業後に返済する必要があり、就職後も長い期間借金を抱える状態になってしまいます。
返済が大きな負担となって進学を後悔する人もいるので、進学費用が掛からない点はメリットの一つといえるでしょう。
3.大卒より多くの経験・実績を積める
学歴を問わない実力主義の職種では、早いうちから多くの経験、実績を積むことができ、大卒者よりもスキルアップ・キャリアアップできる場合も多々あります。
早くからスキルを身につけることは、仕事で活躍するうえで有利に働くでしょう。
4.大卒より就職支援を受けやすい
大学で就職活動するときは、企業研究、エントリー、面接・試験対策、書類作成など、全て自分でする必要があり、とても大変です。
それに比べ高卒で就職活動をする人は、在学中に学校の先生が履歴書や試験・面接対策などをサポートしてくれることが多く、内定をもらいやすい傾向にあります。
また企業との連絡も先生が間に入ってくれたり、調整してくれたりすることで、自分は面接などの対策に集中することができるでしょう。
サポートのおかげで、自分のレベル以上の企業への内定を取れる可能性もあるため、高校生の就活は恵まれているといえます。
5.就職時に手厚い研修が受けられる
企業も高校を卒業して間もない新卒者が「即戦力」になるとは考えていません。
そのため高卒者を積極的に受け入れている企業では、入社後の教育が充実していることが多く、手厚い丁寧なサポートが受けられます。
新人研修をしっかりと受け、先輩から業務を丁寧に教えてもらうことで着実に仕事を覚えていくことができるでしょう。
業務をスムーズにこなせるようになれば、仕事のやりがいも感じられるはずです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
企業が高卒者を採用するメリットとは?
高卒で就職した人は、大卒で就職した人よりも4年先に社会人になります。
4年間の社会人経験の差は大きく、若いうちに重要な仕事を任せられるようになり、若手の長期戦力化も望めるでしょう。
技術面だけでなく、仕事に取り組む姿勢や意識も早いうちから高められ、より質の高い仕事ができるようになります。
高卒の若手が入ってくることで、既存社員の意識向上も期待できるので、活気ある雰囲気のなかで働ける可能性もありますよ。
着実にスキルを積み上げて、自己成長していきましょう!
高卒で就職する5つのデメリット
ここからは、高卒で就職する5つのデメリットを紹介します。
- 生涯賃金が大卒より低くなる可能性がある
- 大卒よりキャリアアップしにくい
- 応募できない求人がある
- 自由な時間が少ない
- 学歴コンプレックスを持つ
事前にデメリットを知っておけば、後悔する可能性を減らせるのでメリットと合わせて見ていきましょう。
1.生涯賃金が大卒より低くなる可能性がある
高卒で就職すると、大卒よりも生涯賃金が低くなる可能性があります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」によると、男女ともに高卒者の生涯賃金は大卒者より低いことが分かります。
高卒男性の生涯賃金は「2億円」に対し、大卒男性の生涯賃金は「2億5千万円」と5千万円もの差があるのです。
また、高卒女子の生涯賃金は「1億5千万円」に対し、大卒女子の生涯賃金は「2億円」となっており、こちらも5千万円の差となっています。
あくまで平均値であるため、企業の評価制度や実力次第では大卒以上の賃金を得ている高卒者もいるでしょう。
しかし学歴による収入差が生じる可能性は高く、一般的には高卒者の生涯賃金は大卒者に比べると低いのが現実です。
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」
2.大卒よりキャリアアップしにくい
昇進の指標に学歴を用いる企業では、大卒者の方が高卒者よりも先に役職に就く場合もあります。
また、大卒は管理職で高卒は現場に配属されるなど、業務内容の面で差が出ることもあるでしょう。
高卒で就職して大きな仕事を任せてもらったり、昇進したりするには学歴の差を埋められるような技能や実力・資格などを持っておく必要があります。
3.応募できない求人がある
大卒と高卒では、出されている求人に違いがあり、大卒の方が多くの選択肢を得られるのは事実といえます。
例えば、「大卒」「専門卒」という応募条件を設けている求人もあり、高卒の場合、応募すらできない(応募しても書類選考で落とされてしまう)ということもあります。
また高卒向けの求人には、製造業やサービス業といった学歴を不問とするものが多い傾向にあります。
一方大卒向けの求人には、高卒からでも応募できるものに加えて、技術職や特定の教育課程を修了しなければ取得できない資格が必要な専門職などがあります。
4.自由な時間が少ない
就職すると、一般的には1日8時間を労働時間として過ごすことになります。
それに対し、大学生は授業を自分の希望に合わせて組むことができるため、自由な時間を多くとることも可能です。
さらに学生の場合、夏休みや春休みなど長期休みがあり、旅行や短期留学などに行くこともできますが、社会人となると長期休みをとりづらくなってしまうでしょう。
5.学歴コンプレックスを持つ
高校までどんなに優秀な人であっても、そこで就職すると最終学歴は「高卒」となります。
一方、高校までどんなに成績が悪くても大学を卒業すれば最終学歴は「大卒」となるのです。
社会では「学歴」を評価基準の一つとして見られてしまう場合もあるので、学歴にコンプレックスを持ってしまうこともあるでしょう。
ですが学歴コンプレックスが、逆にモチベーションになり、仕事のやる気を出してくれるエネルギーになる場合もあります。
学歴コンプレックスを活かして「大卒に負けない!」という原動力にすることで仕事に張り合いが出るのではないでしょうか。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
高卒での就職を目指す前に注意するべきこと
高卒での就職を目指す前に注意するべきことを2つ解説します。
【1.学歴を重視する業界や企業はまだまだ数多い!進路によっては安易に「高卒での就職」を狙うべきではない】
特別な事情がある場合や、限られた業界・企業でなければ、高卒での就職のメリットはまだ多くないといえます。
高卒での就職を歓迎、または高卒の就職に門戸を開いている企業では、人事評価に対して「実力主義」という面が強くなるでしょう。
ということは、採用後の出世や昇給においても「シビアな判断が下されやすい」ということになります。
そうなると、高卒での就職で懸念されている「生涯賃金の面で不利になる」という状況につながりかねません。
【2.キャリアに関する「将来的なビジョンがない」場合、安易に「高卒での就職」を選ぶべきではない】
高卒での就職は、大卒者に比べ不利となる点もあるため、「将来的なビジョン」がない場合も、安易に高卒で就職することは避けた方が良いでしょう。
まだ自身の将来が見えていない人は、この先のライフプランについてもしっかり考えたうえで、進路を決める必要があります。
高卒で就職するか迷っている方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてくださいね。
高卒者を求めている業種を4つ紹介
- 公務員
- 建設業
- サービス業(福祉・介護)
- IT関連業
一つずつ解説していくので、自分はどんな業界に興味があるのか考えながら読んでみてくださいね。
1.公務員
高卒の就職先でおすすめなのが公務員です。
公務員には以下のようなメリットがあります。
- 収入が安定している
- 定年まで働きやすい
- 景気に左右されにくい
- リストラされる危険性がほぼない
- 福利厚生が充実している
公務員になると安定した生活を送ることができるため、高卒者の就職先として大変人気を集めています。
公務員になるには公務員試験を通過しなければいけませんが、学歴に左右されることなく、しっかりと勉強をすれば採用されるでしょう。
公務員試験は、一般的に「高卒程度」「短大・専門卒程度」「大卒程度」という形で難易度が分けられています。
どの難易度のものでも受験可能ですが、高卒の場合は「高卒程度」となっている公務員試験を受けることが一般的です。
高卒で就職を考えている人は公務員を視野に入れてみるといいでしょう。
2.建設業
建設業界は人材不足が続いており、学歴よりも若さや体力が重視されるため高卒でも就職しやすいといえます。
建設業には以下のようなメリットがあります。
- 資格があれば昇進しやすい
- 技術が身につく
- 達成感がある
- 自分の仕事が建築物として残る
建設業は未経験でも働きながら技術を身につけることができ、学歴に関係なく実力次第で昇進できるため、高卒者に向いている仕事といえるでしょう。
また、ものづくりに興味がある人にとっても建設業はおすすめの就職先です。
3.サービス業(福祉・介護)
高齢化が進む日本では、福祉・介護の仕事は人材不足の状況が続いているため、高卒の人も就職しやすい業種です。
福祉・介護業には以下のようなメリットがあります。
- 人材ニーズが高い
- 未経験から始められる
- キャリアアップしやすい
- 専門職への転職も可能となる
学歴に関係なく人柄を重視して採用され、未経験者でも働きながら資格を取ることができることも魅力の1つです。
また福祉・介護業は働く年数によって受験資格が与えられ、資格を取得するとキャリアアップすることができます。
例えば、介護支援専門官の資格を取得するとケアマネージャーになることが可能です。
その他にも、社会福祉士の資格を取得するとソーシャルワーカーや生活相談員などの専門職に就くことができますよ。
4.IT関連業
エンジニアやプログラマーといったIT関連業も高卒者におすすめの仕事です。
IT関連業には以下のようなメリットがあります。
- 人材ニーズが高い
- 未経験から始められる
- キャリアアップしやすい
- キャリアアップしやすい
IT業界も人材不足が続いており、高卒や未経験者を歓迎する企業も多くあります。
そのような企業は人材育成にも力を入れているため、働きながら技術を身につけられるでしょう。
ITに関する専門的なスキルや知識を高めれば、キャリアアップや転職もしやすくなります。
高卒で就職を目指している方はぜひ以下の記事も参考にしてくださいね。
まとめ
大学生になって「高卒で就職した方が良かったのかな」と考えたり、高校生で「高卒で就職するか進学するか……」と悩んでいたりする人もいるでしょう。
そんなあなたのために、本記事では高卒で就職する人の現状やメリット・デメリット、高卒者を求めている業種などを解説しました。
高卒での就職者の割合は年々減っていますが、就職率は高く、就職における学校や企業のサポートも充実しています。
しかし、給与面では大卒者より少ないということもあります。
自身の将来的なビジョンをしっかり持って、より自分に合った選択をすると良いでしょう。
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