試験管で薬品を調合したり「科学者」ってイメージかも!
科学は化学も含む自然科学全般のこと、化学は、物質の反応や化学式などを扱う分野です。
つまり、化学の技術者っていうのは……どういうこと?
具体的にどんな仕事か、お教えします!
この記事では、化学技術者について、仕事内容やなり方などを解説していきます。
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化学技術者とは
私たちの身の回りの様々な製品には、多種多様な化学化合物が使われています。
それらの製造に関わったり、新しい化学技術を研究・開発したりするのが化学技術者です。
扱う化学化合物には、以下のようなものがあります。
- プラスチック
- 合成ゴム
- 化学繊維
- 化学薬品
- 化粧品
- 医薬品
上記は代表的な例です。
場合によっては、取り扱いが難しい劇物や毒物を扱うこともあります。
化学技術者は、これらの化学に関連した物質を、化学に関する専門的な知識・経験・技能を使って扱う仕事です。
化学技術者の仕事内容
まず知っておいてほしいのは、化学技術者は非常に幅広い研究開発分野に関わっていることです。
化学技術者が関わる領域は、プラスチック、化学薬品、塗料、合成ゴム、医薬品やワクチン、火薬、合成繊維など多岐にわたります。
これらは代表的なもので、厳密にはさらに細かい分野があり、多種多様な化学薬品や材料が存在します。
例えば、プラスチックといっても利用用途などによっても細かく分類されています。
また、化学技術者は研究開発を行うか、化学工場に就職するかでも大きく働き方が異なります。
それぞれ見ていきましょう。
研究開発
研究開発を行う化学技術者は、政府機関や大学、民間の研究機関、民間の商品開発などに就職します。
いわゆる、化学知識を用いて新たな素材の開発を行ったり、物質の有用性を確認したり、新商品を開発するといった「化学エンジニアリング」と呼ばれる業務を担います。
化学工場
化学工場では、化学工学の知識を使って化学薬品を扱う専門家や現場責任者がおり、ほとんどの施設において、そういった専門家を設置することが義務化されています。
そういった、化学工場で化学薬品などを扱う職種も化学技術者と呼ばれます。
より製造業に近い働き方ですが、こちらの場合も高度な化学知識が必要となる仕事です。
化学工場や化学メーカーでの働き方が気になった方は、より詳しく解説している以下の記事も確認してみてください。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
金(きん)よりも貴重なファインケミカルという化学物質の開発にも関わる
一般的な工業製品などで求められる化学物質は、安価かつ大量生産が基本となります。
そのため製造過程の化学反応によっては、求めている化学物質以外の物質も混じってしまうことがありますが、それは問題ありません。
しかし場合によっては、極めて高度な化学技術で作られた、有用な化学物質が単一の状態で、別の物質が混じることなく求められることもあります。
すなわち、特定の化学物質だけを、高い純度で、しかも産業用に使用するレベルで大量に作るというケースです。
こういった化学物質のことを「ファインケミカル」と呼びます。
実験室で少量のみ作る場合は純粋な化学物質が作れますが、工業的に大量生産すると、ほかの化合物も含まれる化学物質ができてしまうのが普通です。
従来の方法とは異なる方法で作る必要があるため、ファインケミカルの製造には製造コストがかかり、高価になりがちです。
グラムあたりで換算すると、同じ重さの金(きん)よりも高い価値をもつ化学物質もあるほど。
化学技術者は、こういった高付加価値の化学物質開発にも関わっています。
化学技術者になるには
どうすればなれるんだろう?
化学技術者になるにはどんな方法があるか、どうやって知識を身につけたらいいか、お教えします!
ここからは、化学技術者になるための方法をいくつか確認していきましょう。
学校で化学を専攻する
一般的な化学の知識を取得できる方法は、学校で専攻することです。
応用化学や化学システムなど様々な分野に分かれていますが、概ね基礎化学も学べるため基本的な知識に加えて、応用の知識も身につけられるでしょう。
大学院まで進学して専門分野を深めていけば、大学・国家機関・民間企業で研究者になれる可能性もあります。
工業的な技術や知識を学べば、化学工場で管理責任者として活躍する化学技術者を目指すこともできるでしょう。
化学系の学科を修めた方の就職先をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
化学工場に就職してキャリアアップする
まずは化学工場に就職して、キャリアアップして化学技術者になる方法もあります。
現場で働きながら知識や経験を身につけて資格を取得していけば、次第に専門的な仕事ができるようになっていきます。
特に、後述する危険物取扱者などの特定の化学物質を取り扱えるようになる資格取得を目指すのがおすすめです。
資格を取得する
詳しくは次項で解説しますが、資格を取得した状態で、有資格者として化学技術者の採用枠として採用される方法もあります。
この場合は、研究者ではなく、民間の化学工場で働くことを目指すことになるでしょう。
多くの化学工場では、資格の保有を必須の採用条件としています。
例えば、ガソリンやアルコール類は、危険物取扱者の乙種第4類の資格がないままで取り扱うと違法になります。
このように、特定の資格がなければできない仕事が化学工場にはいくつもあるため、化学工場は有資格者を求めているのです。
前述した、一旦採用されてからキャリアアップして化学技術者になるのではなく、化学技術者になれるだけの能力を身につけ、最初から化学技術者として採用されるという方法です。
化学技術者に役立つ資格
難しそうだけど。
ここからは、化学技術者に役立つ資格をいくつかピックアップしてご紹介します。
化学分析技能士
化学分析技能士とは、医薬品や化粧品といった化学製品の環境への配慮や使用上の安全性に問題がないかなどを分析する技能を問う資格です。
この資格があれば、自社の製品が問題ないかどうかなどの判断を行うことができるようになります。
また、純粋な基礎化学系では唯一の国家資格でもあるため、保持しておくと重宝されるでしょう。
参考:中央職業能力開発協会(JAVADA)「化学分析(化学分析作業)」
危険物取扱者
消防法で定められた「危険物」を扱うための資格です。
ガソリンなど、扱いを間違うと取り返しがつかない危険物・劇物・毒物などは実は身近に数多く存在しています。
「危険物」として指定されているものを、この資格をもたずに扱うと違法になってしまいます。
危険物取扱者は、その扱う危険物によって甲乙丙とあり、乙はさらに第1種から第6種まで分かれています。
甲種がもっとも難易度が高いですが、甲種をもっていれば全ての危険物を取り扱う資格が得られるため非常に有用です。
参考:一般財団法人消防試験研究センター「危険物取扱者試験」
技術士(化学部門)
技術士は、技術全般に関する知識が問われる国家資格で、難易度が高いことでも有名です。
その中でも技術士(化学部門)は、特に化学部門に特化した資格となっています。
選択科目は以下の4つです。
- 無機化学及びセラミックス
- 有機化学及び燃料
- 高分子化学
- 化学プロセス
上記からも分かるように、非常に専門的な化学の知識が問われる試験です。
参考:日本技術士会「05 化学部門」
化学工学技士
化学工学技士は、化学工学の専門的な知識や応用能力が問われる試験です。
研究開発だけでなく、設計、検討・評価、保守、運転など、基礎学問というよりも化学工学における実務運用や、業務遂行能力を評価しています。
そのため、化学工場の化学技術者であれば重宝する資格といえるでしょう。
参考:化学工学会「化学工学技士」
化学技術者に向いている人の特徴
でも、僕に向いてるかな……?
ここからは、化学技術者に向いている人と特徴について解説していきます。
自分が関わる化学技術が好き
化学技術者として働き続けるためには、対象とする研究分野にどれだけ関心があるか、興味を持ち続けることが重要となってきます。
そもそも、ベースとして高い専門性やその実績が求められます。
そのため、大学や大学院のうちから、関わりたい分野で研究を重ね、ラボなどを探しておくことは必須といえるでしょう。
そのうえで、所属する企業や研究所の求める研究目標をクリアしていく必要があります。
その分野にまつわる化学技術への関心が高く、維持し続けられるほど、多種多様なアプローチを用いて、研究開発を続けることができるでしょう。
発想力がある
発想力とは、新しいモノや仕組みを思いつく能力と言い換えることもできます。
化学技術者は、企業や研究所が定める研究目標を達成するために日々試行錯誤することが求められます。
特に近年は商品の開発サイクルが短くなったこと、また国際的にもその競争が激しくなっていることから、よりスピーディーな材料開発が求められるようになってきました。
そのためには、旧来のアプローチや考え方にとらわれず、「どうすれば目標とする物性値に到達することができるのか」を考え抜いて、実験する必要があるでしょう。
そのため、多角的な視点を持ちながら、実験に反映することができる、高い発想力を持った人は化学技術者に向いているといえるのです。
応用力がある
既存の研究を応用して新しい発見をしたり、これまでに見つかった発見を商品に応用したりできれば、化学技術者として活躍できます。
反対に、いくら化学の知識が豊富でも、それを実務的に応用できなければ、新しい発見も開発もできなくなってしまいます。
そのため、応用力がある人も化学技術者に向いているといえます。
他の分野の知識もある
現代においては、技術者の分野は細分化しつつ、随所で合流しています。
例えば、化学と生物学の両方の知識を使うバイオ燃料(バイオマス)や、電気工学と化学を使ったエレクトロニクスなどがそれに当たります。
前提として、化学技術者である以上は自分の専門分野に詳しいのは当然です。
そのうえで、専門分野以外にプラスして、別の分野の知識もあるとさらに活躍できます。
一つの化学分野にだけ詳しいのではなく、他の分野の知識もある人は化学技術者に向いているのです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
「環境に配慮する」という視点も必要
「化学薬品」と聞くと、環境に悪影響がありそうと感じるかもしれません。
かつては、環境を無視して公害を生んでしまった時代があったのは事実です。
今はむしろ、環境負荷を減らすような安全な化学物質を開発し、既存の環境負荷が高い物質と代替していこうという流れがあります。
環境配慮やSDGsは世界的なビジネストレンドでもあるため、化学技術には将来性があるといえるでしょう。
そして、そういった環境問題への取り組みにやりがいを感じる人も化学技術者に向いているといえるのではないでしょうか。
まとめ
化学技術者とは、プラスチック、合成ゴム、化学繊維、化学薬品化粧品、医薬品などの化学物質全般を扱う仕事です。
研究開発を行ったり、化学工場で化学製品の製造を担ったりしています。
環境問題に取り組んだりSDGsなどにも関わるため、将来性もあります。
一方で、極めて専門的な業務でもあるため、しっかりとした知識を身につけていないと就くことは難しいでしょう。
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