もくじ
既卒の就活では「就業経験がない」という点がネックになることもしばしば。
さらに、就活がうまくいかないと「空白期間」が長くなり、時間の経過とともに就活が不利になるというジレンマも抱えています。
そこでおすすめしたいのが、「アルバイトをしながら正社員を目指す」という方法です。
本記事では、アルバイトから正社員を目指しやすい業界や職種、アルバイトから正社員になりやすい人の特徴や注意点などを分かりやすく解説します!
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正社員の仕事が見つからないならアルバイトからスタートもあり
既卒は新卒や第二新卒とは異なり、就活に割ける時間がたっぷりあります。
そのため、「就活に集中して一日でも早く正社員になろう!」と考えがちです。
しかし、慌てるのは禁物。
「急がば回れ」という言葉もあるように、一見遠回りに見えても、着実に正社員に近づける方法をとりながら就活を進めましょう。
正社員を目指している既卒にあえてアルバイトをおすすめする理由としては、大きく次の2つがあります。
フリーターとニートでは扱いが違うから
既卒とは一般的に「学校を卒業後、正社員としての就業経験がない人」のことをいいます。
しかし、アルバイトをした場合は「フリーター」、アルバイトをしない場合は「ニート」という扱いになります。
一見似たようにも思えるフリーターとニートですが、両者には次のように大きな違いがあるのです。
フリーター | ニート | |
---|---|---|
世間一般的な認識 | 正社員以外の雇用形態で働いている人(厚生労働省の定義では15~34歳) | 仕事に就かず、家事も通学もしていない人(厚生労働省の定義では15~34歳) |
世間一般的なイメージ |
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アルバイトであっても、実際には正社員と業務内容がほぼ同じという職場も珍しくはありません。
同じ既卒であっても、アルバイト経験がある方が就活には有利に働くのです。
なお、アルバイトを探す際には理想のジョブナビが紹介している「バイト探しサイト・アプリおすすめ比較ランキング10選」を参考にしてみるのもおすすめです。
参照:厚生労働省「若者を取り巻く雇用環境と課題」「ニートの就労を支援する「地域若者サポートステーション」11カ所を追加選定」
正社員登用制度を設けているアルバイトもあるから
正社員登用制度とは、アルバイトやパートなどの非正規雇用者を正社員に切り替える制度のことで、この制度がある企業にアルバイトとして勤務した場合、正社員になれる可能性があるのです。
正社員登用される要件や基準が異なり、一定期間を過ぎると希望する非正規雇用者全員が正社員になれるケースや、何らかの基準をクリアすれば正社員になれるケースもあります。
ただし、「正社員登用制度あり」としている企業でも、実際には正社員登用の実績がない企業も存在するため、正社員登用制度を利用したいと考えるのであれば、実績を確認することをおすすめします。
また、中には正社員登用制度を設けていない場合でも、アルバイト中の勤務態度や実績が評価され、正社員に登用するという企業もあるようです。
フリーターを続けることのリスクは、以下の記事で解説しています。
既卒アルバイトから正社員を目指す場合の就活事情とは?
なぜなら、正社員になることを期待してアルバイトを長く続けた挙句、結局社員にはなれなかった場合、他の企業への就職が難しくなる可能性が高いからです。
とはいえ、多くの企業はアルバイト経験も、ある程度評価はしてくれるので、アルバイトを続けることが一概に悪いわけではありません。
既卒アルバイトから正社員を目指す場合の就活事情について、それぞれのデータを紐解きながらより詳しく見ていきましょう。
アルバイト期間が長引くほど他の企業の選考が厳しくなる
労働政策研究所・研修機構の調査による、フリーター期間の長さと正社員になれた割合を示したデータがあります。
同データによるとフリーター期間が長くなればなるほど、正社員の就職が難しくなることが一目瞭然です。
【フリーター期間と正社員になれた割合】
フリーター 期間 | 6ヶ月以内 | 7ヶ月~1年 | 1~2年 | 2~3年 | 3年以上 |
---|---|---|---|---|---|
正社員に なれた割合 | 64.0% | 58.3% | 52.2% | 58.9% | 48.9% |
参考:労働政策研究所 研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の展開」
フリーター期間が6ヶ月以内であれば、64%の人が正社員になれていますが、3年を経過してしまうと48.9%と、5割を下回ってしまっています。
アルバイトから正社員に登用されるチャンスを伺うのも良いですが、なれなかった場合、その後の就活が不利になることは否めません。
特に3年以上粘った結果、正社員になれないと相当な痛手となるでしょう。
ある程度の見極めが必要であることが、よく分かりますね。
しっかり取り組んだアルバイトであれば企業は評価してくれる
もし正社員に登用されなかったとしても、アルバイト経験が無駄になるかというと、実はそうとも言い切れません。
正社員の採用に際して、フリーター経験をどのように判断するかを調査した以下の資料を見てみましょう。
以下のデータを見てみると、多くの企業でアルバイトも業務経験として評価していることが分かります。
【企業から見たフリーター経験の評価】
フリーター経験であっても、募集する職種と関連があればプラスに評価する | 38.2% |
フリーター経験であっても、フリーターの通算期間が一定期間にとどまっているのであればプラスに評価する | 8.4% |
フリーター経験であっても、1つの企業に継続して勤務している期間が一定期間あるのであればプラスに評価する | 25.5% |
フリーター経験であっても、フリーターとしての転職回数が一定回数以内にとどまっているのであればプラスに評価する | 8.6% |
フリーター経験であっても、その経験から何を得てどのように活かしていくかが明確に説明できている場合はプラスに評価する | 39.9% |
フリーター経験の内容や期間に関わらず、マイナスに評価する | 4.8% |
評価にほとんど影響 しない | 24.4% |
参考:労働政策研究・研修機構「中小企業の採用と定着ー速報版」
フリーターであったこと自体をマイナスに評価するのは、わずか4.8%。
多くの企業はアルバイトも就業経験として、ある程度は評価してくれるようですね。
しかし、アルバイト経験なら全て評価してもらえるわけではなく「じっくりと取り組んだアルバイト経験なら評価される」と考えておくべきでしょう。
なのでアルバイトといえど、正社員を目指してスキルを磨く姿勢は欠かせません。
それに、たとえ3年以上フリーターをしたとしても、1つの企業で正社員を目指して頑張ったのであれば、その経験はアピールポイントにすることができます。
アルバイトから正社員になりやすい業界や職種は?
ただし、どんな業界や職種でも正社員登用が積極的に行われているというわけではないので、注意が必要です。
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」によると、現状、正社員登用制度の有無や実績は次のようになっています。
登用制度あり | 登用制度なし | |||
登用実績あり | 登用実績なし | 登用実績あり | 登用実績なし | |
調査産業計 | 37% | 38% | 7% | 16% |
参照:厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」
上記の表からも分かるとおり、アルバイトで頑張ったからといって必ずしも正社員になれるとは限りません。
とはいえ、比較的正社員登用されやすい業界や職種があるというのも事実。
そこで、ここからはアルバイトから正社員になりやすい業界・職種をご紹介します。
アパレルショップなどの「販売員」
アパレルショップなどの販売員は、知識も必要ですが、対人スキルや人柄が重視される傾向にあります。
また、仕事内容は接客がメインとなり、売上やシフトの管理といった責任のある仕事以外はアルバイトと正社員に大きな差はありません。
そのため、「売上が多い」「顧客を多く獲得している」など、適性があると判断されれば、正社員登用されるケースがあるのです。
特にアパレル業界の場合は、いきなり未経験から正社員になることは難しく、販売員として正社員を目指すのであればアルバイトや派遣社員などによる販売の経験は必須といえます。
販売職では、正社員としての経験がなくとも、アルバイトの経験があることが就活で大きな強みになるため、積極的にトライしてみましょう。
飲食店の「キッチン」や「ホールスタッフ」
土日や祝日、夜間も営業があり、シフトが不規則になりがちな飲食業界は、近年慢性的な人手不足が続いている状態です。
そのため、特にキッチンやホールスタッフなど、人手がないと営業ができない職種では正社員に登用されやすい傾向があります。
また、キッチンやホールスタッフは知識や資格がそれほど必要とされる仕事ではなく、業務もそれほど複雑ではないため、アルバイトからスタートしても正社員になれる可能性が十分にあります。
飲食業界は未経験でもチャレンジしやすく、さらに過去に勤務経験があれば転職がしやすく、転職先の選択肢も多い業界です。
さらに、経験を積めば将来自分のお店を持つことも可能ですので、将来経営者になりたいと考えている人にもおすすめです。
コールセンターの「オペレーター」
コールセンターを運営する企業では、アルバイトやパート、派遣社員や契約社員から正社員登用を行うケースが多く、反対に、正社員の募集が少ない傾向にあります。
つまり、コールセンターのオペレーターとして正社員で働きたいと考えるのであれば、アルバイトからスタートする方法が近道となるのです。
コールセンターのオペレーターの仕事は、商品やサービスを提供している企業であれば業種を問わずに必要になるため、需要の高い職種です。
また、基本的な対応はマニュアル化されていることがほとんどですので、社会人経験のない既卒でも挑戦しやすい職種といえます。
さらに、経験を積めば、コミュニケーション能力や正確さ、スピード感が身に付くため、異職種への転職を考える場合にも大いに役立つでしょう。
倉庫や引越しの「軽作業スタッフ」
軽作業スタッフとは、倉庫でメーカーから届いた製品の検品や梱包をする仕事や、引越し業者で荷物の搬出や搬入を行う仕事などを指します。
これらの仕事は単純作業が多く、コツコツと続ける根気強さが求められる一方、学歴や経歴はあまり問われないため、既卒でもアルバイトを始めやすいでしょう。
マニュアルに沿った作業を淡々とこなすことが好きな人や、接客に苦手意識のある人にとってはおすすめの仕事です。
また、「軽作業」とはあるものの、体力を使う仕事も多いため、体を動かすことが好きな人にも向いています。
仕事の正確さや勤務態度が認められれば、正社員として登用され、管理業務のような責任ある仕事を任されることが多いでしょう。
今注目されている「ITエンジニア」
ITエンジニアはコンピュータやソフトウェアなどの情報技術を扱う技術者のことで、プログラマーやSE(システムエンジニア)、サーバーエンジニアなど様々な種類があります。
業界の中でも特に成長企業のITエンジニアは、アルバイトから正社員への道が開かれていることが少なくありません。
ITエンジニアというと理系のイメージが強いですが、 サーバーやネットワークの監視業務はマニュアルに沿って行うことが多く、文系出身の未経験者でもチャレンジが可能です。
また、プログラマーやSEのアルバイトは、プログラム言語の知識が必要な求人が多い一方、研修制度が充実しておりゼロからのスタートでも応募可能な企業も少なくありません。
IT業界は慢性的な人手不足の状態が続いており、ITエンジニアも常に需要が高い状態が続いています。
仮にアルバイト先で正社員になれなかった場合でも、他の企業で正社員として採用される可能性は大いにあるでしょう。
正社員への登用制度のあるアルバイトを探そう
既卒でアルバイトを始めるのであれば、アルバイトの経験を就活に活かさない手はありません。
自分の興味がある業界や職種、あるいは何らかのスキルが身に付く仕事内容であることに加え、正社員登用制度の有無についてもチェックしましょう。
ただし、「正社員登用制度あり」となっていても、必ずしもアルバイトを続けた先に正社員への道が待っている……とは限りません。
正社員登用制度は企業規模によっても次のような傾向があるため注意が必要です。
中小企業の場合
「いずれは正社員になりたい」と考えている人にとって、「正社員登用制度あり」と書かれている求人票は魅力的に見えるものです。
そのため、一部の中小企業では応募者が増えることを期待して実際には正社員登用の実績がなくても「正社員登用制度あり」としているケースもみられます。
その一方で、中小企業では正社員登用制度を設けていなくても、優秀な人材が正社員に登用されたり、社員の退職に伴ってアルバイトを登用するケースもあるのです。
どのようなタイミングで正社員に登用されるかは不明瞭ですが、大企業と比較すると中小企業の方がアルバイトの仕事ぶりに目が届きやすいという点は確かでしょう。
大企業の場合
大企業の場合、基本的にアルバイトからの正社員登用をしなくても毎年新卒採用で人員を確保することができます。
そのため、大企業で正社員登用制度を設けていない場合は、アルバイトから正社員になることは難しいと考えておいた方がよいでしょう。
しかし、大企業で正社員登用制度を設けている場合は、正社員登用制度の運用方法が明確にされているケースが少なくありません。
求人票に正社員登用制度がある旨が記載されている場合は、次の3点が明確かを確認しましょう。
- 正社員登用のための要件や基準
- 正社員登用の実績
- 正社員に登用された場合の給与待遇
特に実績の有無は非常に重要です。
要件や基準が明確でも、正社員登用の実績がなかったり極めて少ない場合は、期待値は低いと考えられます。
アルバイトから正社員になりやすい人の特徴は?
アルバイトから正社員への登用では、仕事の面だけではなく、人間性も含めて判断されることが多いです。
業務スキルが水準以上で責任感が強い
アルバイトから正社員に登用されるには、業務スキルが水準以上であり、責任感が強いことは、必須条件といえます。
アルバイトは正社員よりも、責任の軽い仕事を任されることが多いですが、アルバイトとしての業務もこなせない人は、まず正社員になることはできません。
人間性に問題がなく、チームワークを大事にする
人間的に完璧であることまでは求められませんが、仕事ができても、社内に不協和音をもたらす人は、会社にとって好ましくありません。
正社員になるとアルバイトのときとは、業務や立場が変わり、アルバイトを指導する業務を担う立場になるケースもあります。
周囲の人とうまく仕事をでき、他のアルバイトからも信頼されている人が正社員になりやすいです。
後輩の育成に熱心に取り組んでいる
アルバイトといえど業務経験が長くなれば、対応できる仕事も増えていきます。
後から入社してきたアルバイトに対し、仕事を教えるなど面倒を見ることも増えてくるでしょう。
社員は他の業務で忙しいため、なかなか新人アルバイトにつきっきりで仕事を教えることができません。
そのため同じアルバイトの立場であっても後輩の指導を面倒がらず、仕事を教えるのが得意な人は評価されます。
育成ができる人材は、企業にとってありがたい存在なのです。
向上心があり新しい業務に貪欲に取り組む
アルバイトだからといって業務の範囲を限定せず、新しい業務や難易度の高い仕事でも前向きに取り組む人は高く評価されます。
社員の仕事を積極的に手伝える人は、自然と社員並みの働きや成果を生み出せるでしょう。
忙しい社員にとっては貴重な存在であり、手放したくないと思うものです。
信頼して仕事を任せられる
アルバイトであっても社員の業務内容を理解し、しっかりとサポートをできるようになれば、重宝される存在になることができます。
責任感を持って業務に取り組む姿は、業務面だけでなく人間性においても信用を得られることでしょう。
会社や組織にとって欠かせない存在になることができれば、正社員登用して長く働き続けてもらいたい、より成果を生み出してもらいたいと思われるようになります。
経験値だけでなく人として信用を得ることができれば、正社員登用の推薦もされやすくなるでしょう。
アルバイトから正社員を目指す際の注意点
既卒の場合は、ただなんとなくアルバイトを探すのではなく、正社員登用制度の有無もチェックしながらアルバイトを探してみましょう。
ただし、就活をしながらアルバイトをする場合は、次の2点を意識することをおすすめします。
正社員に実際に登用されるのは一握り
既卒や第二新卒で就職先がなかなか決まらない場合、アルバイトから正社員を目指すことも選択肢のひとつです。
しかし、正社員登用制度がある企業でも、正社員になれるのは一握りで、長期に渡ってアルバイトのまま働いている人や、他の道に進んでいく人もいます。
正社員に必ずしもなれるわけではないことを念頭においた上で、自分に合った仕事か、適正も踏まえてアルバイト先を選択することも大切です。
いろいろな選択肢があって、それぞれメリットやデメリットがあることもわかってきたぞ。
ただ、「自分に合った仕事や適正」っていうのが、やっぱりどうしても自信がなくて決められないっ…!
アルバイトとして勤務する期限を定める
最も避けたいのは、正社員になれるかどうか分からないまま、ズルズルとアルバイトを続けてしまうことです。
最悪の場合、数年にわたりアルバイトを続けた結果、正社員になれず、再び就活を始めることになってしまいます。
アルバイト経験は多少評価されるといっても、不利な就活になることは間違いありません。
今の自分の年齢を考慮しながら、いつまでアルバイトを続けて良いかをよく考えましょう。
「いつまで(◯歳など)に正社員になれなかったら他の道を探る」というリミットを設けておくとズルズルと引きずるリスクを押さえられるはずです。
既卒や第二新卒向けの就職エージェントを利用する方法も
既卒や第二新卒で正社員としての仕事がなかなか見つからないとき、アルバイトから正社員を目指す方法の他に、就職エージェントを利用するのも手段の1つです。
アルバイトから正社員を目指しやすい業界や職種には偏りがあるため、希望する仕事はアルバイトから目指しにくいケースもあります。
就職エージェントというと、キャリアのある人や専門的なスキルを持っている人向けというイメージがあるかもしれませんが、既卒や第二新卒を対象とした就職エージェントもあるのです。
これまで仕事が決まらなかったのは、履歴書の書き方や面接での受け答えの仕方に問題があったのかもしれません。
既卒や第二新卒向けの就職エージェントの中には、自己紹介の仕方や志望動機のつくり方からアドバイスを行っているところもあります。
また、既卒や第二新卒であることを前提に、希望や適性にマッチした求人の紹介が受けられますので、効率のよい就職活動が可能になります。
とても心強いなあ…!!
まとめ
社会人経験のない既卒にとって、アルバイトは就活にプラスの要素を与えてくれるものであり、正社員になれる可能性も秘めています。
とはいえ、正社員登用制度に頼りきって就活の歩みを止めてしまっては、正社員への道が遠のいてしまいかねません。
確実に正社員を狙うのであれば、プロのサポートを受けながら就活を進める方法がおすすめです。
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