もくじ
「ファッションが大好きだからアパレル業界に興味がある!」
「オシャレで華やかなイメージがあるアパレル業界で働きたい!」
ファッションが好きな人であれば、アパレル業界への就職に興味を持つことも多いのではないでしょうか?
しかし、アパレル業界はブラックと聞いた経験があり、実際に就職するかどうか悩んでしまう人もいるでしょう。
アパレル業界というと「ノルマがきつい」「薄給の割に拘束時間が長い」など、ブラックな噂を耳にすることがあるのも事実。
そこで本記事では、アパレル業界はなぜブラックと言われるのか、その理由を紐解いていきます。
また、アパレル業界へ正社員として就職する方法や就活時の注意点、アパレル業界についてよくある質問と回答を紹介していきます。
アパレル業界への就活、就職を検討している人は、ぜひ本記事を参考にしてくださいね!
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アパレル業界がブラックと言われる6つの理由


アパレル業界と一口に言っても色々な会社がありますし、職種や勤務形態も様々。
「ブラック」な職場もあれば「ホワイト」な職場もあるというのは、アパレル業界以外の業界とまったく同じです。
しかし、アパレル業界の場合、業界特有のオシャレで華やかなイメージが強いため、次のような実際の労働環境とのギャップに戸惑いを感じてしまう人が多いようです。
1.希望通りの休みを取りにくい
一般的にアパレル業界は、希望通りやカレンダー通りの休みを取りにくい傾向にあります。
世間的には土日祝日が休みとなるお客さんが多いため、アパレル業界の各店舗は来客が増えやすいといえます。
そのため、アパレル店舗の販売スタッフは出勤となることが多いのです。
また、年末年始やゴールデンウイーク、お盆といった世間では大型連休となっている期間は、最繁忙期となります。
最繁忙期には、店舗は多くのお客さんでにぎわうため、販売スタッフはほぼ総出の状態で出勤となるのです。
このように、世間で休む人が多い日こそアパレル業界は稼ぎ時であることから、希望通りの休みを取れない可能性は非常に高いです。
特に販売スタッフの場合は固定休ではなくシフト制のため、まとまった休みが取りにくく、さらに店員が少ないお店では休日日数自体が少ないこともあります。
ただし、働いている人が多い平日はレジャー施設や商業施設は空く傾向が強いため、むしろ平日に休みたいという人にはアパレル業界はおすすめといえます。
2.長時間労働になる日が多い
販売スタッフの仕事は、店頭でお客さんに商品をすすめたり商品を整理整頓するだけではなく、検品や品出し、発注や売上の計算、シフトの作成など多岐にわたります。
しかし、接客が最優先のため、やらなければならない仕事があっても途中で中断してしまうこともしばしば。
そうしているうちに閉店の時間になってしまい、残業となるケースも少なくありません。
さらに、売場のレイアウト変更やディスプレイ変更は閉店後に行うため、結果的に当初のシフトより労働時間が伸びて長時間労働になる日が多いのです。
「WWDJAPAN」の調査によると、アパレル販売スタッフが足りていないと答えた企業が全体の8割を占めています。
人手不足の職場が多いため、少ないスタッフで現場を回していかなければいけないのが現状といえます。
その結果、一人ひとりの業務が増えて長時間労働につながってしまうのです。
3.給料が低く金銭的に厳しい
その華やかなイメージとは裏腹に、アパレル業界の給料は決して高いとは言い難く、昇給もあまりないというのが実状です。
特にアルバイトやパートとして、販売スタッフを担当する場合、時給をアップさせるための明確な基準がなく、時給がアップすることはほぼないと言っても過言ではありません。
また、正社員の場合も少しずつ昇給することはあっても毎年必ずボーナスがもらえるとは限りません。
それどころか、売上のノルマがある場合には、ノルマを達成させるために自腹で服を買うというケースも。
さらに、販売スタッフの場合は自社ブランドの服を着なければならないことが多く、シーズンごとにアイテムを買うというのはよくある話。
会社によっては「制服支給」や「制服貸与」といった名目で自社ブランドの服を無料で着られるケースもありますが、社員割引制度のみという会社も少なくなく、出費も多いのです。
4.立ち仕事が多く体力的にきつい
アパレルショップの販売スタッフは基本的に立ちっぱなしで仕事をしており、その時間は平均1日7時間程度。
女性の場合はヒールが高い靴を履いて店頭に立つ場合もあり、足や腰を痛めてしまう人もいます。
また、セールなどの繁忙期には大きな声を出して呼び込みをしたり、接客の傍らレジ打ちやラッピング対応、品出しなどをしたりして、大忙しの状態に。
気付けば休憩時間が夕方……なんてことも珍しくありません。
このような労働環境から、年齢が若いうちは気力で乗り越えることができても、歳を重ねてくると体力的にきつく感じるようになる人も多いのです。
5.女性同士のトラブルもある
アパレル業界だけに限った話ではありませんが、レディースのみを扱うお店の場合、販売スタッフが女性のみで構成されていることもあります。
そういった場合に起こりがちなのが、女性特有の人間関係のトラブル。
店長の性格など店舗の雰囲気によっても大きな差があるものの、個人の売上が重視されることが多い業界だけに、売上に関わるトラブルが起こりがちなのです。
例えば、先輩社員が売上成績の良い新人社員に嫉妬したり、1件の売上を巡って「どちらの売上か」と対立したりするといったケースが挙げられます。
6.なかなか本社勤務になれない
アパレル業界では一部の技術職を除き、入社後はまず販売スタッフとして勤務する社員がほとんどです。
そのため、この後説明する「プレス」と呼ばれる広報の仕事や、買い付けを行う「バイヤー」など、本社勤務の職種で働ける人はごくわずか。
さらに、本社勤務になるためには販売スタッフとして成績を残すことが求められますが、たとえ結果を出しても、その時に本社勤務の人数が不足していなければチャンスはありません。
そのため「ゆくゆくはバイヤーになりたい」といったように本社勤務を希望して入社しても、いつまでたっても販売スタッフのままということもあります。
「将来が見えない」「体力的にきつくなってきた」などの理由から退職する人も多いのです。
アパレル業界でも残業が少ない会社や店舗を見分ける方法

ただ、企業によっては労働時間削減の取り組みが進んでいるケースもあります。
同じ企業でも店舗によって状況が違うため、残業の度合いもばらつきがあります。
実際、残業がどれくらい発生しているのか、アパレル業界を志望する人にとっては気になるところでしょう。
ここでは全体的な傾向として、残業が少ない会社や店舗を見分ける方法を解説します。
大手や一部上場のアパレル企業は対策が進んでいる
一部上場しているような大手アパレル企業は、ワークライフバランスの充実を目指し、長時間労働の対策が進んでいるケースが多い傾向にあります。
コンプライアンスに対する意識も高いため、従業員の労務環境に対して各店舗の管理が徹底されていることがほとんどです。
また、大手企業は人材を集めやすい側面もあるため、それぞれの店舗状況にもよりますが、余裕を持ったシフトが組まれることも多いようです。
商業施設内のテナント店舗は残業が発生しにくい
百貨店やショッピングセンターなど、商業施設に入店している店舗は、施設のルールで入退館の時間が厳しく管理されています。
そのため、時間内に仕事を終わらせようとする意識が浸透しているケースが多いようです。
しかし、施設自体の営業時間が長い場合、反対に労働時間が長くなるケースもあるため注意しなくてはなりません。
施設の閉店時間前にテナント店舗は営業終了するケースもあるため、営業時間はしっかり確認しましょう。
店舗の状況をよく観察する
応募する前や面接を受ける前に客として店舗を訪問し、状況を確認するのも1つの方法です。
1日の営業で店舗に出勤している人数は何人か、接客や作業の忙しさはどのくらいか、観察してみると、ある程度の状況は把握できるでしょう。
営業時間中に段取り良く作業ができていそうな店舗は、残業が少ない可能性があります。
反対に、1人あたりの負荷が高く、営業中に作業が進められそうにない店舗は、残業が常態化しているかもしれません。
面接で実態を確認する
最終的には、面接でしっかり実態を確認することが重要です。
シフトの組み方や一日あたりの平均的な労働時間など、面接で単刀直入に質問してみるのも良いでしょう。
1カ月当たりの休みの日数や総労働時間、また繁忙期はどれくらいの労働時間になるのか、確認します。
聞きにくいかもしれませんが、働くうえで大事なことです。
面接官に、遠慮することなく確認しましょう。
また残業代の支給の仕組みも確認しておくことをおすすめします。
残業制度もさまざまあり、残業した時間分を残業代として算出する方法だけでなく、固定残業制度(月給に予め固定の残業代を含む制度、超過分は別途支給)を用いる方法もあります。
固定残業制の場合は、何時間分の残業代が月給に含まれているのか確認しましょう。
ワークライフバランスを充実させられる企業の見極めポイントや、転職の注意点は以下の記事でも詳しく解説しています。
ぜひ、合わせてお読みください。
アパレル業界は今後どうなっていくの?

株式会社矢野経済研究所が実施した調査から、国内のアパレル業界の市場規模の推移を示したのが以下のグラフです。

参考:株式会社矢野経済研究所「国内アパレル市場に関する調査を実施(プレスリリース)」
アパレル業界全体の市場規模は、2022年度において8兆591億円です。
2020年度にはコロナ禍の影響からか、2割近い落ち込みを見せましたが、その後は2年連続で前年を上回っています。
回復基調にあると見てよいでしょう。

アパレル業界はその他にどんな動きがあるの?
人々の生活に密着した「衣・食・住」の「衣」に関わるのが、アパレル業界。
消費者の変化は、業界動向に大きく影響します。
アパレル業界を目指すのであれば、直近の業界動向や今後の見通しを理解しておきましょう。
大きな流れとしては、以下の6点が挙げられます。
- グローバル化が進展する
- サステナブル志向が高まる
- 価格帯の両極化が進む
- 多様化が進む
- EC(通信販売)が増加する
- SPA(製造小売)企業が業績を伸ばしている
グローバル化が進展する
大手ファストファッション企業の海外展開が進み、グローバル化のさらなる進展が見込まれています。
たとえば、ファストファッション大手企業であるファーストリテイリングが展開するユニクロ事業は、国内店舗が約800店舗なのに対し、海外店舗が約1,700店舗と倍以上もあります(※記事執筆時の店舗数)。
これは、国内需要の頭打ちを見越し、積極的に海外展開する流れに沿ったものと考えられるでしょう。
参照:株式会社ファーストリテイリング「グループ店舗一覧」
サステナブル志向が高まる
過去にはファストファッションを中心に、大量生産・大量廃棄による環境負荷が問題視されました。
また、発展途上国の生産拠点における低賃金の問題もあり、アパレル業界ではサステナブルへの意識が高まっています。
消費者も環境配慮の意識が強くなり、サステナブル志向の高まりは今後も続くと思われます。
サステナブルへの取り組みを行い、分かりやすく消費者にアピールできるアパレル企業は、今後も競争力を強化できるでしょう。
価格帯の両極化が進む
衣料品の購入単価は今後も、両極化の傾向が進んでいくと思われます。
バブル期からしばらくは、消費者にブランド志向があり、ファッションにお金をかける人も多くいました。
しかし、価値観の多様化により、高価なものにステータスを感じる人ばかりではなくなりました。
ファストファッションの定着化により、衣料品の購入単価は低下傾向にあります。
反面、着るものにこだわり、お金をかける層も一定数いるようです。
「良いもの」「自分にあったもの」を長く使いたいという需要もあり、オーダーメイドのスーツや靴の専門なども売上を伸ばしていくでしょう。
多様化が進む
ジェンダーレスという言葉を、昨今よく耳にするようになりました。
ジェンダーレスとは男性・女性という性差を前提とした、社会的・文化的な差異を無くそうとする動きのことです。
ファッションにおいても、従来の「男性らしさ」「女性らしさ」といった枠組から離れた服装を楽しむ、新しい流れが生まれてきています。
性差に捉われず「好きな服を好きなように着る」という文化が定着し、今後ますます多様化が進んでいくでしょう。
EC(通信販売)が増加する
EC(通信販売)の拡大も、アパレル業界における大きな流れです。
コロナ禍による営業時間短縮や外出自粛が後押しし、通販サイトで服を購入する消費者層が拡大しました。
コロナによる規制が緩和された後も、家にいながら服を購入できる手軽さから、通販により服を買う層は増えています。
オンライン上でフィッティングサービスを提供する企業も出てくるなど、EC化の流れは今後も継続していくでしょう。
SPA(製造小売)企業が業績を伸ばしている
SPA(製造小売)企業とは、自社で製品を生産し流通から小売まで一貫して行う企業(ユニクロ・ZARA・H&Mなど)のことです。
自社工場で大量に生産し流通に中間業者を介さないことで、製造・物流コストが大幅に抑えられます。
そして、全国に物流網と直営の店舗網を構築することで、在庫の供給・調整も容易になり、効率の良い商品展開が可能になるのです。
今後も、低価格で高品質な製品の大量供給によりシェアを伸ばし、安定した収益を確保していくでしょう。
アパレル業界のキャリアパスと収入

アパレル業界では、入社後は販売スタッフからスタートするのが基本ですが、販売スタッフ以外の仕事をよく知らないという人もいるかもしれません。
ここでは、アパレル業界における、販売スタッフ以外の職種もチェックしてみましょう!
アパレル業界の仕事は、大きく分けて「販売職」と「総合職」の2種類があります。
デザイナーなどを除き、ほとんどの企業では、最初は販売スタッフとしてスタートすることが一般的です。
そして、先にお伝えしたとおり狭き門ではあるものの、販売員としての実績を残した人や、企業から適性があると認められた人は、プレスやバイヤーなどの総合職に異動となります。
それでは、アパレル業界の総合職の中でも、代表的な以下の職種について解説していきます。
- 販売
- 店長
- 営業
- Web・EC運営
- デザイナー
- プレス
- バイヤー
なお、パーソルキャリア株式会社が公表したデータによると、アパレル業界における職種別の平均年収は以下のようになっています。
引用:パーソルキャリア「アパレル・ファッション業界「2023年版 平均年収」を発表」
業界平均年収は、346万円から356万円へ、10万円のアップとなりました。
コロナ禍からの回復にともない業績が向上し、採用を強化する企業が増え給与のベースアップが行われた影響と考えられます。
また、業界全体で業績が好調な様子は、賞与の額からも読み取れます。
<2023年度アパレル業界年間賞与>
引用:パーソルキャリア「アパレル・ファッション業界「2023年版 平均年収」を発表」
2023年度の年間賞与額は、前年度の6万円プラスで60万円となりました。
業績の回復により賞与を満額支給した企業が増えたことが、要因として考えられます。
業界全体で業績が好調で、給与水準が上昇している傾向が見て取れるでしょう。
では、職種別にもう少し詳しく見ていきましょう。
販売
アパレル業界の販売スタッフは、各店舗において接客業務、レジや電話の対応を行うなどして、現場の最前線で活躍しています。
接客業務では、お客さんにより多くの商品を購入してもらうために、試着を促したりコーディネートを提案したりといった取り組みを行います。
その他、商品管理や店舗の清掃、商品陳列やディスプレイも、販売スタッフが行う業務のひとつです。
パーソルキャリアの調査によると、販売スタッフの平均年収は323万円。
2022年-2023年の間で比較すると、1万円アップしています。
年収アップの背景には、業界全体で業績回復の基調にある中で、人材確保のために給与のベースを上昇させた企業が多いことがあるようです。
具体的には、インバウンド需要やSNSによる広告・宣伝の必要性が高まったことを受けて、語学力やSNS活用スキルに長けた人材を求める企業が増えたといわれています。
参考:パーソルキャリア「アパレル・ファッション業界の「2023年版 平均年収」」
店長
販売スタッフとして入社した場合、多くの人は一番身近なステップである店長を目指します。
店舗の総合責任者である店長は、本部から店舗全体の売上ノルマを課されることも多いです。
売上を伸ばすための施策を練ったり、商品の仕入れや在庫管理も行わなくてはなりません。
さらに、店舗スタッフの教育や定期的に行われる店長会議や本部でのミーティングへの出席、店舗視察や展示会へ出向くこともあり、その仕事は多岐にわたります。
また、販売員として接客も行い、個人の売上目標も達成しなければなりません。
店長次第で店舗の売上が大きく左右されると言っても過言ではない、大切な役割を担う仕事です。
パーソルキャリアの調査によると、店長の平均年収は402万円。
前年比では、8万円プラスという結果が出ているようです。
コロナ禍では休業に伴い人材流出が起こり、店長をはじめとして店舗の運営に携わる人材不足が深刻化しました。
引き続き、人材確保の必要性の高まりから、店長となる人材を集める施策のひとつとして給与アップが行われたと考えられます。
営業
営業は基本的に本社勤務となり、百貨店やアパレルショップ、小売店などへの営業活動を行います。
また、展示会ではバイヤーと商談をしたり、販促活動の企画、市場調査、さらに企業によっては店舗開発に関わる業務を行うことも。
営業の仕事は商談相手に対して自社の商品の良さを伝えるために、商品に対する幅広い知識に加え、コミュニケーション能力や提案力、分析力などが求められます。
会社によってはノルマを課されることもあり、業務を通して高いスキルが培われます。
そのため、その後キャリアチェンジをしてとんとん拍子に昇進することも。
パーソルキャリアの調査によると、営業の平均年収は460万円。
前年比で、24万円のプラスとなりました。
営業は企業の売上/利益を生み出す役割を果たすため、今後も平均年収の高まりを期待できるでしょう。
Web・EC運営
アパレルの支社では、WebサイトやECを運営して販売促進やマーケティングを実施する職種も活躍しています。
昨今では、オンラインでお買い物をするユーザーも増加している傾向にあるため、ニーズの高まりが見える職種ともいえるでしょう。
具体的には、WebサイトにECに掲載する商品の企画〜撮影・デザイン・商品説明文の作成〜運用にくわえ、閲覧数や購買数などの数値分析・改善など多岐にわたります。
パーソルキャリアの調査によると、平均年収は392万円。
前年比では、13万円ものアップが見られます。
Web・EC領域は、今後より一層注力されていく可能性があるでしょう。
デザイナー
デザイナーは自社ブランドのデザインを考える、アパレル業界の要と言っても可言ではない職種で、多くの場合本社勤務となります。
自社ブランドのコンセプトやシーズンのテーマ、トレンドなどを取り入れながら、生産工程やコストなどにも配慮しつつデザインを考えます。
デザイナーになるためには、服作りに関する専門的な知識や技術が求められるため、服飾関係の専門学校や大学などを卒業していることが一般的です。
しかし、最近では販売員としてインフルエンサーになり、その後プロデューサーという形でデザインに関わるケースもあります。
パーソルキャリアの調査によると、デザイナーの平均年収は382万円で、前年比で17万円のプラスとなっています。
プレス
プレスはいわゆる「広報」を行う職種で、本社に勤務し、自社ブランドや商品、店舗に関する広告・宣伝を行います。
具体的な業務としては、以下のように多岐にわたります。
- 雑誌などのメディア媒体へのサンプルの貸し出し
- 商品情報の発信
- ファッションショーの企画・運営
- 自社カタログの企画や撮影の立ち合い
自社ブランドの商品を身に付けてファッション誌に載るなど自身がメディアに露出することもあり、アパレル業界の中でも特に人気が高い花形の職種です。
コミュニケーション能力に加えて、マーケティング能力やファッションセンス、人脈力、語学力なども問われます。
パーソルキャリアの調査によると、プレスの平均年収は438万円で、前年比で29万円のプラスとなりました。
バイヤー
バイヤーは本社に勤務し、問屋やメーカー、海外の展示会などから店舗で販売する商品を仕入れる買い付けを行います。
また、買い付け以外にも納期の管理や販売に関する計画、コーディネートの提案や販売員向けの勉強会の実施などもバイヤーが行います。
ファッション業界ではトレンドの移り変わりが早く、仕入れた商品の内容や仕入れのタイミングによっては大量の在庫を抱えることにもなりかねません。
そのため、売れるものかどうかの見極めが非常に重要となり、別の職種で知識や経験を身に付けてからバイヤーになるパターンが多いでしょう。
パーソルキャリアの調査によると、バイヤーの平均年収は462万円で、前年比で29万円のプラスとなりました。
競合他社との差別化を図るため、顧客や市場の動向を分析した上で商品開発や販売の計画を立てるバイヤー・MDの重要性が高まったといわれています。
この背景が、バイヤーの年収アップに関わっているのでしょう。
監修者コメント
希望する職種の労働環境を必ず確認しよう!
同じ企業内でも、現場で働く販売スタッフと、本社のマーケティング・プレス担当や総務担当では労働環境が大きく異なることも多いです。
特に、現場で働く販売スタッフは、お客さんの出入りに忙しさが左右されるため、繁忙期には労働環境がブラックになりがち。
アパレル業界を目指す場合には、希望する職種の労働環境を必ず確認するようにしましょう。
また、アパレル業界ではほぼ全員が販売スタッフを経験すると言われています。
販売スタッフにも福利厚生が用意されているかどうか、休日や時間外労働はどの程度なのかを詳しく確認するようにしてください。
その他、年間休日日数が多い職場や、企業が有休を取得することを促進している職場がおすすめです。
実際にアパレル業界に勤務する人が転職を考えるきっかけについては、こちらの記事で解説しています。
ぜひ合わせてお読みください。
アパレル業界で活躍できる人の特徴

やはり店舗でしっかり実績を上げることが、その後のキャリアにつながっていくようです。
店舗で販売職として活躍する人には共通の特徴があります。
- コミュニケーションスキルが高い
- コーディネートセンスがある
- トレンドを追うのが好き
- 接客レベルの語学力がある
- 協調性が高く気配りができる
詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションスキルが高い
誰とでも良好かつ的確なコミュニケーションがとれる人は、洋服の販売でも力を発揮します。
顧客の好みや要望は、十人十色です。
コミュニケーションスキルの高い人は、一人ひとりの顧客のニーズを敏感に察知できるため、お客様の気持ちに寄り添い、意に沿った提案ができます。
信頼を得て固定客を増やし、高い販売成績につなげていけるでしょう。
また接客以外でも、同僚との良好な人間関係を構築するのに、コミュニケーションスキルは活かせます。
雰囲気の良い職場でスタッフ同士が協力し合って、店舗全体で高い成果を上げるでしょう。
コーディネートセンスがある
洋服が好きな人は、自分のコーディネートセンスに自信を持っている人も多いでしょう。
自身のセンスを活かしたコーディネートの提案は、アパレルの仕事の醍醐味でもあります。
顧客が自分では思いつかないコーディネートを提案し、気に入ってもらえると喜びも倍増するのではないでしょうか。
もちろん顧客にトライしてもらうには、プレゼンスキルも必要です。
気に入ってもらえば「次もあの販売員さんに接客してもらいたい」と思ってもらえます。
顧客満足度の向上は、固定客を作る上で欠かせません。
トレンドを追うのが好き
世の中の流行に敏感でトレンドを追うことが好きであることも、アパレル業界で活躍できる人の特徴です。
アパレル業界の一員であることは、トレンドを発信する立場に回るということでもあります。
流行りのカラーやスタイルを敏感に察知するのが得意であれば、売場作りや接客に活かしていけるでしょう。
接客レベルの語学力がある
アパレル業界に限らず、英語力は接客の仕事における大きな強みになります。
近年、インバウンド需要が再び高まり、訪日客の接客をする機会も増えてきました。
英語・中国語・韓国語などで、ハイレベルな接客ができると強力な武器になります。
高級百貨店に入店しているハイブランドほど、英語力は求められるようです。
また、外資系のアパレルブランドでキャリアアップを目指すなら、英語力は必須となるでしょう。
協調性が高く気配りができる
アパレルの仕事に限ったことではありませんが、同僚と良好な関係を築けるスキルは、成果を出す上で欠かせません。
店舗には販売・接客以外にも様々な業務があります。
バックヤードの整理や店内の掃除、在庫の管理など裏方的な仕事です。
こうした自身の成績に直結しない仕事でも、気持ちよく取り組む姿勢があると周囲の同僚の信頼を得られます。
周りに気を配り、店の運営が上手くいくように協調性を発揮できる人は、販売実績以外でも高い評価を得られ、その後のキャリアが拓けていくのです。
アパレル業界に正社員として就職する方法

アパレル業界では、基本的には学歴よりも、やる気やファッションセンスの方が重視される傾向があります。
そのため、ブランドを選ばなければ、正社員として就職することはそれほど難しくはありません。
とはいえ、ファッションが好きな人であれば自分の好きなブランドや好みのテイストの商品を扱う企業で働きたいと考えるもの。
そこで、ここからはアパレル業界で、希望するブランドで正社員として就職する方法を解説していきます。
- 正社員採用試験に挑戦する
- アルバイトから正社員登用を目指す
- 転職エージェントを活用する
1.求人に応募して正社員採用試験に挑戦する
まずは、自分が働きたいアパレルブランドや、好みのテイストの商品を販売する企業において、正社員採用試験に挑戦してみましょう。
販売スタッフとして正社員採用してもらいたい場合には、コミュニケーション能力を特にアピールするようにしましょう。
本社組織で働きたい場合には、マーケティングスキルや営業スキル、管理能力といった、本社組織で必要とされやすいスキルを身に付けることが重要です。
過去の自分の経験を踏まえて、自分のパーソナリティや能力を定量的・定性的に説明するとともに、自分の能力が応募先の企業でどのように役立つのかを説明するようにしましょう。
2.アルバイトから正社員登用を目指す
アパレル業界では、正社員採用人数が少ない傾向にあるため、まずはアルバイトからスタートして、将来的には正社員登用を目指すのもおすすめです。
アパレル業界への就職は、未経験からでも可能ですが、企業側としてはまったくの未経験者より、アルバイトであってもそのブランドについて詳しい人の方が採用したいと考えるものです。
アパレル業界ではアルバイトからそのまま正社員になるというケースは珍しくなく、学生時代に働き始めてそのまま就職する人も少なくありません。
もし就職したいブランドがアルバイトの販売スタッフを募集しているのであれば、まずはアルバイトとして働きながら、そのブランドの商品に関する知識を身に付けていきましょう。
また、正社員登用をしてもらうためには、出勤日数を多めに希望したり、遅刻・欠勤をしないようにしたりといった努力が大切です。
そして、正社員登用制度がある企業や、制度の適用実績が多い企業を選ぶことも欠かせません。
それに加えて、販売スタッフと良好な人間関係を築くことで、人間関係が重視されやすい管理職として採用される可能性が高まります。
3.転職エージェントやキャリアアドバイザーを活用する
アパレル業界への就職を目指すのであれば、転職エージェントやキャリアアドバイザーなどを活用するのもひとつの手です。
転職エージェントやキャリアアドバイザーでは、自分の経歴や希望を伝えておくことで、それらの情報を踏まえて自分にマッチした求人紹介が受けられます。
その他、履歴書の添削や面接対策などの各種サービスも利用できるため、アパレル業界での勤務経験がない人も、安心して就活を進められます。
また、一般には公開されていない非公開求人を扱っていることもあるため、一度利用してみることがおすすめです。
「アパレル業界を希望しているけれど自分に合うのか不安……」
「希望する職種に就けるか心配なので、採用試験の対策をしてほしい」
といった悩みを抱えている人は、総合的にサポートしてくれる転職エージェントやキャリアアドバイザーに頼って、アパレル業界への就活を成功させましょう!
アパレル業界に就職する時の注意点


アパレル業界では「他の業界にはないけど、アパレル業界では当たり前」といった特殊な価値観や風土があります。
そのため、別の業界での就職経験がある人や、これまでアパレル業界以外で就活をしてきた人にとっては戸惑う部分もあるかもしれません。
そこで、ここからはアパレル業界への就職における注意点を紹介していきます。
販売スタッフや店長から本社勤務になるのは“かなり”難しい
先にお伝えしたとおり、アパレル業界では店舗の販売員からキャリアをスタートすることがほとんどですが、販売員から本社勤務になれる人はほんの一握りです。
というのも、アパレル業界では本社勤務に必要な人員の数に対して、店舗の販売員の人員の方が圧倒的に多いためです。
例えば、繊研新聞社が発表している「ファッション・アパレル企業の業績調査」の結果から考えてみましょう。
「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」を運営する株式会社アダストリアの場合、その店舗数は全ブランド合計1351店舗にものぼります。
同社では26種類のブランドを抱えているため、単純計算では1ブランドだけでも店舗数は50店舗。
一般的にアパレルショップ1店舗あたりに必要な販売員の数は6名程度ですので、1つのブランドだけでも、50店舗×6名、つまり約300名の販売員がいるということになります。
約300名の販売員の多くが不定期に出る本社勤務の空席を目指しているわけですから、言わずもがなその倍率はかなり高いものとなるわけです。
さらに、プレスやバイヤーなどは自社の販売員からではなく、他社からヘッドハンティングなどをして経験者を採用するケースもあります。
そのため、アパレル業界に就職するのであれば「販売員を続けていても必ず本社勤務になれるとは限らない」という認識を持っておく必要があるでしょう。
正社員採用は狭き門
「本社勤務になれないことを理由に離職する人も多いので人手不足なのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、アパレル業界では、基本的に採用に困ることはほとんどないといわれています。
なぜなら「そのブランドやファッションが心底好き!」という人が非常に多いからです。
特に誰もが憧れるようなハイブランドの場合、十数名程度の募集枠に対して1万名程度の応募があることも珍しくありません。
また、アルバイトとして雇用をしておいて、正社員の離職があればアルバイトから正社員登用するケースも多いため、基本的に人手不足にはならないのです。
アパレル業界は学歴などはあまり関係がなく間口は広いものの、正社員として採用されることは容易ではありません。
人気ブランドへの就職が狭き門であることは当たり前ですので、仮に不採用となったりアルバイトの募集しかしていなかったりしても「仕方ない」と捉えましょう。
「洋服が好き」の本質を考える
アパレル業界を目指す人であれば「ファッションが好き」という気持ちがあることは当然だと思います。
「ファッションが好き」といっても、その「好き」は様々です。
- コレクションすることが好き
- コーディネートをすることが好き
- 自分で作ることが好き
このように、人によって「好き」の種類は異なります。
仮に、たくさん洋服を買ってオシャレを楽しみたいという目的であるのならば、アパレル業界とは別の稼げる仕事をした方が目的を叶えられるかもしれません。
あるいは、多くの人にファッションの素晴らしさを伝えたいという気持ちから「アルバイトからのスタートになってもとにかくアパレル業界で働きたい」と考えるかもしれません。
「好き」という気持ちは大切ですが、ここで大切なことは「なぜアパレル業界で働きたいと思っているのか」という本質的な部分です。
アパレル業界は華やかなイメージが先行しがちな業界であるが故に、実際に働いてみて「こんなはずじゃなかった」と現実とのギャップに苦しむ人がいることも事実です。
そのため、なりたい将来像から逆算して、本当に求めていることを見極めておく必要があるでしょう。
アパレル業界のよくあるQ&A

アパレル業界は身近なようでいて、知らないことも多いですよね。
アパレル業界の就職活動は、他の業界とは少し違うところがあるため、ちょっとした疑問も生まれがちです。
ここでは、アパレル業界への就職を目指す人が持ちやすい疑問について、ひとつずつクリアにしていきます。
Q.高卒でも就職できる?
アパレル業界では基本的に学歴は不問であることが多く、学歴以外のやる気やセンスなどの方が重視される傾向にあります。
そのため、ハイブランドなど人気の高いブランドに絞らなければ、販売員の場合は学歴で選ばれるということはほとんどありません。
しかし、最初から正社員での就職を目指すとなると難易度は高くなります。
アルバイトから販売員としてのキャリアをスタートさせ、正社員登用を目指すパターンが最も現実的な方法といえるでしょう。
Q.何か資格は必要?
アパレル業界に就職するために必要な資格というのは特にありません。
しかし、配色のセンスなどは重要になってくるため、色彩検定の資格を持っておくと幅広い職種で役立てることができるでしょう。
また、販売員であれば接客マナーや店舗経営知識が問われる販売士(リテールマーケティング)検定もおすすめです。
その他には、ファッション販売能力検定、パーソナルカラリスト検定、繊維製品品質管理士(TES)、パターンメーキング技術検定などがあります。
目指す職種に合わせた資格を持っておくことでキャリアアップにも役立てられるでしょう。
Q.面接はどんな服装で行けばいいのか?
アパレル業界の面接では私服面接を行うケースが多く、ブランドによっては何らかの指定がある場合もあるため、事前にきちんと確認をしておきましょう。
私服面接の場合には、ブランドイメージを意識しつつも、自分のセンスを活かした着こなしができていると良い印象を与えられます。
とはいえ面接の場ですので、肌の露出を控えるなど常識あるTPOをわきまえた服装を選ぶことは必須。
カジュアルブランドの場合もカジュアルになりすぎないように注意しましょう。
Q.面接では何を聞かれるのか?
アパレル業界には無数のブランドが存在し、似たようなテイストのブランドも存在します。
そのため面接では「なぜこのブランドなのか」といったことを問われることが多いでしょう。
そして、その際は「他のブランドにはない魅力を感じている」ということをしっかり伝えられることが大切です。
その他「そのブランドの店舗を利用したことがあるか」「その時どのような印象を持ったか」「そのブランドにどのようなイメージを持っているか」などの質問も多いでしょう。
監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
アパレル業界の最新動向を常に把握しておくことがポイント!
ファッションを取り扱うアパレル業界は、数ある業界の中でも特に流行り廃りが激しいという特徴があります。
そのため、アパレル業界の採用面接では、ファッションに関する最新動向をしっかり把握できているかどうかが見られることが多いです。
アパレル業界への就職を考えている人は、業界を取り巻く社会情勢や、市場の状況を常に把握しておくようにしましょう!
また、2023年時点でのアパレル業界におけるトレンドワードは、消費者ニーズの多様化やファッションサイクルの長期化、市場のグローバル化やECサイトでの売上アップとされています。
アパレル業界の就職事情まとめ
華やかなイメージの強いアパレル業界は、就職を希望する人も多く、常に人気のある業界です。
しかしその一方、アパレル業界独特の慣習なども存在しており、実際に働いた経験のある人でなければ分からないようなことも数多くあります。
そんな時、アパレル業界経験者に話を聞ければ良いですが、仮にそのような機会が持てたとしてもネガティブな話は聞き出しにくいものです。
そこでおすすめしたいのが、アパレル業界に精通している第三者に相談をする方法。
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