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長年に渡り不況下にある日本では、『手に職』系のスペシャリストへの希望者が年々増える一方。そのひとつが、薬剤師です。薬剤師国家試験をクリアすることで従事できる、正真正銘、国家資格保持のスペシャリスト。時短での勤務なども勤務形態によっては可能なため、特に結婚・出産により働き方が大きく変わることが多い女性に人気が高い職種です。
でも、薬剤師と一言で言っても、その仕事の内容などご存知でしょうか?そこで今回は、薬剤師の仕事内容や、薬剤師になるために必要なことをご紹介します。
薬剤師の仕事内容とは?
薬剤師は、医薬品取扱いに関するスペシャリストです。なにより主な仕事内容として挙げられるのが、薬を調合したり研究すること。また、どの薬をどのタイミングで飲めばいいか?などを患者に説明する服薬指導も業務のひとつです。
調剤薬局をひとつの例とすると、まず医師から出された処方箋をもとにして薬を調合。この時、医師から処方の指示をされている該当の薬が患者にとって問題がないか?という確認作業も同時に行います。また、注射液や点滴の輸液から内服薬までさまざまな薬を管理し、それぞれの患者に合わせたものを用意することも仕事です。
薬剤師の最大のメリットは、薬学に関する幅広い知識や技術が身につくこと。また、特に女性にとってうれしいメリットは、子育てなどでキャリアを一度ストップしても、所定の研修を受ければ復職しやすいこと。病院や調剤薬局は全国にあるため、配偶者の転勤などをはじめとする理由で居住地が変わっても転職しやすいことも大きなポイントです。
薬剤師になるためには?
薬剤師になるためにはどうしたらいいのか?必須となってくるのが、国家資格である薬剤師国家試験に合格することです。では、その国家資格さえ取得していればいいのか?というと、そんなに簡単な話ではありません。
まず、国家資格を取得する前提条件として、大学の薬学部、もしくは薬科大学で6年間の薬剤師養成課程を修了していること。薬剤師の仕事は、調剤を一歩間違えただけでも患者の命に関わる重大な責務を負っています。薬剤師法第一条には『調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄付し、国民の健康な生活を確保する高度専門職業職である』との定義がされているほど。薬剤師は、高度専門職業職として国から指定されているのです。
このため、大学では薬剤学をはじめ、有機化学、生物化学、疫病学といった薬学に関する幅広い知識を学び、実習を繰り返すことで技術を身につけていきます。すべてのカリキュラムをクリアすることを前提条件とし、国家資格取得権利を得られるのです。
薬剤師養成課程を修了し卒業すると、厚生労働省が実施する薬剤師国家試験の受験が待っています。合格を経て、晴れて薬剤師デビュー。それほどまでに狭き門のため、人数が少なく、全体的に他職種に比べると給料が高い傾向があります。報酬面や待遇で還元されているのです。
勤務先や働き方によって仕事や報酬が変わってくる
ただし、就職および転職先によって求められる仕事内容が若干違い、給料体系なども変わってくるのが薬剤師の特徴。国家資格保持のスペシャリストということから、一般的に高給取りなイメージが先行していますが、勤務先、働き方の違いによって給料も違いが出てくるのです。
- 病院
- 調剤薬局
- ドラッグストア
- 製薬会社
薬剤師が主に活躍する場は、大きく分けて上記の4つ。このうち、最も給料が良いのが製薬会社です。大手でなくても、入社から数年で年収500万、6年を超えてくると700万以上。薬剤師として稼ぎたいのであれば、一番狙い目の就職および転職先です。ただし、仕事内容は純粋な調剤というより、MRなどで医師に対しての営業業務が主になってきます。
次に給与水準が良いのが、ドラッグストア。ドラッグストア勤務の場合、初任給が高いのが大きなメリットです。勤務開始から毎月30万前後が期待でき、福利厚生も充実していることがほとんど。また、パート勤務OKのところが多いため、子育て世代の女性には魅力ある勤務先です。ただし、薬剤処方以外の雑務が多いことを踏まえておかないといけません。
これに比べ、病院や調剤薬局は給料が少ないと言われています。毎月25万~30万円前後で、報酬のわりに仕事内容がかなりのハードワーク。その反面、医薬を扱う機会が非常に多いため、純粋な薬剤調合の本業に専念できる大きなメリットも。薬剤師としての純粋なやりがいを求めるのであれば、病院、調剤薬局がおすすめと言えます。
この他、健康食品・サプリメント・化粧品メーカーの製造会社、研究所や、保健所・学校などでの衛生管理なども活躍の場として知られています。いずれにしても、働き方、勤務先によって、仕事内容や給与体系がまったく異なるため、自分に合った働き方ができる勤務先を選ぶようにしましょう。
薬剤師に求められる能力および資質とは?
薬剤師に必須な能力は、病院、調剤薬局、ドラッグストアなどの場合、まず第一に『処方箋の通りに正しく調剤することができる注意力および集中力』です。次から次へと訪れる患者に対し、すべて異なる調剤をしなければなりません。ミスが許されない業務のため、注意力・集中力を持続させること、常に頭をフル回転させながら業務にあたることが必要です。もちろん、製薬会社や研究所などにおいても、薬剤師が携わる業務にはミスは命取りなので、なによりもたいせつな資質と言えるでしょう。
また、薬剤師として働き出してからも、常に継続して勉強する向上心が必要となってきます。薬学は日夜研究が続けられている最先端分野。当然のことながら、患者に処方される薬の開発や、各研究所で取り扱う薬学知識など幅広い部分でデータが日々更新されているため、勉強を持続し続けることは必須です。
加えて、現在では多くの病院、調剤薬局、研究所などで、患者の管理や調剤した薬のデータ、研究成果をパソコンで管理することが多いので、基本的なパソコン知識も必須。専用システムなどが導入されているところも多いので、薬学知識とあわせてシステムが使いこなせるように常に勉強することも重要になってきます。
これらの要素から、細かい作業にも手を抜かず、責任感を持って几帳面に業務に取り組める人が向いています。また、薬学知識、服用方法をしっかりと人に伝えるコミュニケーション能力もたいせつな要素です。
自分の調剤した薬で患者を救うやりがいのある仕事
この世から病気が消えることはないので、世界中で薬剤師は必要とされています。自分の調剤した薬で患者を救うことができ、とてもやりがいがある仕事です。
資格取得は非常にむずかしいのですが、一度取得すれば他職種に比べ給料も高く、働き場所がたくさんあり、やりがいを感じることができるのが薬剤師の魅力。また、薬剤師の責任者である管理薬剤師としてのステップアップも目指せるので、やる気次第で可能性がいくらでも広がる職種と言えましょう。