卒業生Iさんは元々ガンを研究していた大学院生
Iさんと初めて会ったのは、いつだったかな。確か、11月の中旬くらいだったと思います。第一印象としては、「何でこんなに緊張してるんだろう?」でした。キャリアカウンセリングをするためには、まずはリラックスして話してもらう必要があります。でも、このときのIさんはリラックスどころか緊張しすぎてたまに声が震えていました。
「これってもしかして怖がられてる?」
だいたい初回のカウンセリングは2時間なので、通常だと1時間も経たない内に求人紹介を始めるのですが、路線変更することにしました。まずはしっかりIさんの話を聞こうと。すると、大学から大学院にかけて、かなりしっかりと研究を行っているようでした。しかも、ガンの研究って。相当厳つい研究をテーマにしていたんだなと感じながらも話を拡げていきます。
ガンの研究は正直言って難しかったので、大学時代のアルバイトについて聞いてみることにしました。すると、かなり饒舌に話してくれるようになりました。個人経営の喫茶店でウェイトレスをしていて、時たま来る車いすの常連のために気遣いをしていた話。なかなかにホスピタリティ精神のある人なんだなと。これは「人のサポート」に重きをおいた仕事が向いてるんじゃないかなとその時に考えていました。
研究職を志望するもセラピストに
Iさんは、大学院卒業後に既卒として就活をしていたのではなく、実は新卒でセラピストとして働いていました。なぜセラピストかと言うと、医療関連の仕事に就きたいと考えていたIさんですが、一番の難関が立ちはだかりました。
アガリ性の人の天敵、面接です。
Iさんもやはり例に漏れず、面接になると緊張してしまい、思ったことをうまく話せず、内定を獲得するには至りませんでした。MRの業務内容は、一言で言うと病院(主に医師)への営業です。つまり、高いレベルでのコミュニケーション能力とストレス耐性が求められる職種なのです。新卒での就活に躓いてしまったIさんは卒業間近ということで間口を拡げました。その際に内定を獲得できた仕事がセラピストだったのです。セラピストであれば、お客様の健康をサポートする仕事ができると、自分を納得させてセラピストとして就職しました。
ところが、就業後に判明したのですが、雇用形態が正社員ではなく業務委託という事実を知ります。(このようなケースはよくあるんです)もちろん、だからと言ってすぐに辞めるようなIさんではありません。しかし、度重なる企業の方針転換、店舗異動を繰り返す状況に疲れてしまったIさんは約半年で退職至りました。
そう言った点で、私が初めて会ったときのIさんはどこか自信を喪失しているようで、余計に緊張してしまっていたのかもしれません。転職活動を進むにつれ、徐々に自信を取り戻したIさんは、面接の質問に対しても自信を持って回答できるようになり、いい結果を出すことができるようになっていきました。
転職活動での再生と決断
ここまででは全くインフラエンジニアの「イ」の字も出てきていないですね。Iさんの転職活動のプロセスをざっとご説明しましょう。
- 1.研究職としての就業は現実的に難しい。事務職中心にエントリー開始。
- 2.自信が回復できていなかったこと、場慣れしていなかったことから結果が振るわず。
- 3.事務系よりも技術系の仕事の方が適性があるのではないかという結論に至る。
- 4.市場ニーズとサポートする傾向からインフラエンジニア(運用・保守)に興味を持つ。
- 5.完全に未知の分野だったこともあり、予習期間を設け、しっかり準備。
- 6.準備の甲斐もあり、また、持ち前の頭の回転の早さも手伝って内定を連続獲得。
- 7.最終的に長期的に就業できる環境、業務領域の広さ、研修制度の充実から某大手アウトソーシング企業に入社することを決断。
この転職活動を行ったことで、私から見てもIさんは変わりました。初めて会った時には震えていた声も最後には見違えるように堂々とした声になっていました。もちろん、場慣れということもあるとは思いますが、それ以上に面接で評価されること、準備を進めることで考えが固まっていくことで自信を取り戻すことができたのではないかと思います。そういった点では、早期での転職活動はネガティブなことばかりではなく、意外とポジティブな面もあるんだなと今更ながら再認識したケースでした。
これからのIさんに応援メッセージ
Iさんはたまに自信を失くしてしまうのですが、Iさんは自分が思っているよりもちゃんとできている人だと思います。しっかり準備もするし、決して驕らない点が長所だと思うので、その細かいところまで気の付く性格をフル活用してインフラエンジニアとして成長してくださいね。エンジニアは男性という既成概念をぶち壊して、女性エンジニアとして活躍するIさんと飲めることを楽しみにしています。