※前回の記事はコチラ→「未経験から証券業界へ就職。金融業界のトレンド大解剖!vol.8」
そろそろ証券業界が、自分に合っているのかいないのか、わかったと思います。それでは、実際に証券業界に入る難易度を知ってもらいましょう。
業界への難易度:証券業界に入るためには?
証券業界の人気:極端に人気がある会社は少数である
まずは、証券業界の人気です。人気が高ければそれだけ就職難易度も高まります。
就活生の人気企業ランキングによると、証券会社は2社、トップ10にランキング入りしています。7位の野村證券と10位の大和証券グループです。既に解説済みですが、2社とも独立系大手の証券会社です。2社とも平均年収が1,000万円を超えていますので、収入の高さと知名度に惹かれる就活生は少なくありません。
それでは他の証券会社の人気も見てみましょう。ランキングに更に注目すると、34位にSMBC日興証券の名前があります。しかし、トップ100にランクインした証券業界の会社は、この3社以外にはありませんでした。特定の大手以外は、極端な人気は集ってはいないようです。なお、証券業界に入社希望をする就活生は、理系よりも文系が多く、女性よりも男性が多い、というデータがありました。
証券業界の就職倍率:希望が持てる!現実的な就職倍率
続いては就職倍率です。人気の会社だと数百倍になってしまうこともありますが、証券業界ではそのような極端に高い倍率の会社はありません。
参考までに、メガバンク系大手の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の就職倍率は約31倍、中堅証券会社である岡三証券の就職倍率は約11倍です。同じ金融系の会社でも、三井住友カードの就職倍率は200倍を超えています。そのような一部の人気企業に比べれば、はるかに現実的な入社倍率と言えるでしょう。入社倍率の高さから、入るのを諦める業界ではありません。
証券業界の離職率:激務だからある程度は仕方がない?
激務であるがゆえに離職率も高いのは、簡単に想像ができることです。実際に、証券業界の離職率も、社会全体の離職率である約10%(3年以内の離職率)という数字よりは高いです。しかし、他の『激務だから離職率が高い』と言われている業界……たとえばハウスメーカーの営業や、パチンコ業界、不動産営業などに比べれば、大分少ない方です。
厚生労働省が発表している金融業界全体の3年以内の離職率は、約19%程度と言われています。もちろん証券会社は、金融業界に含まれます。ちなみに先に例を出した不動産業界は全体で38.5%だそうです。『営業』という括りにしてしまえば、更に数字は跳ね上がります。それらの業界に比べれば、そこまで離職率が高い業界ではありません。
何故、激務なのにも関わらず、そこまで離職率が高くはないのか?という疑問に対して正確な答えはわかりません。しかし、私が想像するに『初めから激務と覚悟をしている人が集ってくる』のと『仕事にやりがいを見つけられる人が多い』の2つが原因だと思います。あくまで個人的な意見ですが、この証券業界を調査しているうちに、私が出した結論です。参考にしてください。
中途採用の有無:中堅どころならば十分にチャンスあり!
証券業界にも中途採用はあります。決して新卒者以外入れない業界ではありません。とくに中堅以下の証券会社では、募集をかけていることも多いので、各会社のHPをこまめにチェックすると良いでしょう。募集をしているのか否かが、確実にわかります。
また、転職支援サービスなどでも扱われることが多いです。ただし、本当に未経験者歓迎をしている会社は稀です。なんらかの形で金融に関わっていた人や、既に資格を持っている人が優遇されるのは言うまでもありません。「なんとなく証券マンになりたいな」で入れる業界では、決してありませんし、仮にその程度のモチベーションで入社しても1週間持たないでしょう。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。証券会社の全体図が伝わっていれば幸いです。『激務だけど高給』というイメージではなく、『激務だけどやりがいがある業界』と考えるようにしてください。たしかに高給であることは、大きな魅力の1つですが、人間それだけでは働き続けるのは無理です。そして、高給取りになれるのは、きちんとノルマをこなし続けて数年働いた後の話ですので、勘違いしないようにしてください。
証券業界で働くことで、もっとも特筆したいのは、『あなたの社会の見方が変わる』という点です。世の中のニュースや新商品に対しても、敏感になっていくでしょう。社会や世の中の流れについて考える機会も、確実に増えていきます。つまり証券業界で働くようになると、今までよりも確実に『考えて生きるようになる』ということです。
話題は増えますし、人間的な魅力も上がります。博識に思われることも少なくありません。高給をもらえる以外にも、証券業界で働くメリットは十分にあると思います。「激務でも良いから、自分を一回り大きくしたい」と考えるのであれば、一考に値する業界です。