前回の販売職でのマネジメントの記事に続き、今回は法人営業職におけるマネジメントについて紹介していきます。
法人営業職でのマネジメント
法人営業職のマネジメントと、前回紹介した販売職のマネジメントは上司と部下の関わる度合いが大きく異なっています。
販売職は一人あたり30名ほどの部下(マネジメントスタッフ)を持つため、一人あたりにかける時間があまりとれません。そのため指示の内容は詳細には伝えず、「子供服売り場の陳列をお願いします。」など、一度やり方を覚えてもらえれば、その後は簡単に説明することができます。
これに対し法人営業職でのマネジメントは案件や商談が異なるので、毎回臨機応変に指示を出していく必要があります。そのため指示などが短絡的ではないため、詳しくヒアリングする必要があるのです。
販売職と比べ、法人営業職でのマネジメントには下記のような特徴があります。
- 上司と部下が連携して働くため、一度の指示が短絡的なものではない。
- 互いの信頼関係ができないと指示しにくい
- 伝えることが多い
- 部下が成長できることが自分の評価につながる
法人営業でのマネジメントの流れ
法人営業でのマネジメントはチーム制になっている企業も多く、チームのリーダーがマネジメントを行うこともあります。その際にチーム全体で売り上げ目標が設定され、更に個人単位の目標も決められているのです。
このような目標の達成度を計る指標をKPIと呼びます。目標に向かって業務を進行する際に、「何を持って進捗とするのか」を定義するために設定されるものです。
下記のように総括的目標としてノルマが100万円の売上であるとすると、見積もり、提案書、初回訪問はどれだけ必要なのかを定めなくてはなりません。例えば先月の売上までの比率を参考に、提案書の50%が受注数になっているとしましょう。見積もりは最低でも3件必要で、提案書は6件が必要ということになります。
このように逆算して定め、最終的な目標で400コール必要であるという結論を出します。
- ノルマ:月100万の売上
- 見積もり:3件
- 提案書:6件
- 初回訪問:20件
- アポ数:20件
- コール数:400コール
この方法は、今月400件の架電だけではなく、コール数をより減らしアポにつなげることで業務効率の向上にもつながります。例えば400コールに対し、アポ数20件という5%の確率ですと、それを10%に変える対策を取るために何をすべきかを考えることもできるでしょう。
この目標をチームで共有し合うことで、現状をより把握することができるのです。
法人営業でのマネジメントで気をつけること
最後に、法人営業でのマネジメントにおいて気をつけるべきことを2点ご紹介します。
訪問する顧客を知る
法人営業のマネジメントは、顧客を訪問する前の情報のヒアリングが重要となります。事前に部下の顧客がどのような企業かを認識し、商談の進め方をイメージすることで、訪問後の報告でできたこと・できなかったことを互いに把握することができます。
これにより最終的に商談を成功させ、ブレない指導を行うことができます。そのために、下記を把握しておくことがポイントです。
- それぞれの法人顧客がどんな相手なのか(どの程度利益をもたらしてくれるのか)
- どのような流れで商談が進むのか
- 契約を結べた場合、今後どう付き合っていくか
- 現段階の顧客と取引先の把握
モチベーションを保つ
営業職は利益を出すことがメインとなるので、結果に結びつかないなど不調が出るとモチベーションを上げることが難しくなる場合もあります。どうしても気分の起伏が激しくなりやすい職種ですので、部下の異変にいち早く気づき、早めに悩みなどを聞くと深刻な事態を防げます。
そのためには、下記の行動がポイントです。
- 不確定要素については責めない
- 定期的に悩みを聞く
- メンタルヘルス面のチェック
- 飲みに誘って話を聞く
「不確定要素について責めない」というのは、例えばアポがとれない、契約に至らないことを攻めるのではなく、なぜそうなったのかの理由を冷静に話し合うことが重要です。このようにすれば部下が結果に対して向き合うことができ、必要以上の落ち込みを避けることができます。
また、訪問先に出てしまえばリーダーと部下が直接やり取りをする機会が減ります。そのため、いつもと変化はないかなどメンタル面を気遣うことで、部下が「自分は営業に向かない」「辞めたい」と思うことを防げるかと思います。
今回は法人営業職のマネジメントについて紹介しました。マネジメントの特性を理解して、今後の就職活動に役立てていただければと思います。