もくじ
世間で様々にウワサされる高卒の給与。
データに基づいた給与情報から、高卒向けに収入を上げる方法まで含めて解説します。
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高卒の初任給や生涯賃金はどのくらい?大卒との比較も
高卒で就職した人は、一体どのくらいの初任給をもらっているのでしょうか?
まずは、高卒の初任給がどのくらいなのかを紹介しつつ、大卒との比較を行っていきます。
また、年齢別給与の推移や生涯賃金についても解説します。
高卒の初任給は大卒よりも低い傾向にある
厚生労働省の調査によると、令和4年の高卒の初任給は男女平均で18万1,200円とのこと。
給与から保険料などを天引きした手取り金額は、支給額のおよそ8割程度といわれているため、高卒初任給の手取りは14万5,000円ほどになります。
一方で大卒初任給は、およそ23万3,600円で、手取りは18万7,000円ほど。
両者を比較すると、どうしても高卒のほうが低くなってしまいます。
また、その後の年齢別の推移を見ても、高卒のほうが金額も昇給率も低いという結果です。
ちなみに、大学院卒初任給は26万7,900円で、手取りは21万4,000円前後です。
参考:厚生労働省「新規学卒者の学歴別にみた賃金」
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
高卒と大卒では生涯賃金に5000万以上の差がある
次に、生涯賃金における高卒と大卒の比較を行います。
ここでは、厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が公表した「ユースフル労働統計2022」の調査結果を紹介します。
新卒でフルタイムの正社員として就職してから60歳まで働き続けた場合の生涯賃金は、男性は高卒が2億1,000万円、大学・大学院卒が2億6,000万円です。
一方、女性は高卒が1億 5,000万円、大学・大学院卒が2億1,000円となっています。
男性は高卒と大卒・大学院卒で5,000万円の差が、女性は6,000万円の差があるということになるのです。
ここまで紹介したデータによると、初任給・昇給率・生涯賃金のすべてにおいて、高卒よりも大卒のほうが金額が高いことがわかります。
しかし、キャリア選択や入社後の業務といったシーンでいくつかのポイントを意識すれば、高卒であることにハンデを感じないほどの高収入を目指せることでしょう。
高卒が高収入を目指すためのポイントは、本記事の後半で紹介していきます。
参照:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022」
都道府県別の高卒初任給ランキング
ここまでは、大卒と高卒の給与の違いを見てきました。
ここからは、高卒同士での違いをランキング形式で見ていきましょう。
まずは、都道府県別のランキングです。
意外にも、1位は東京ではなく神奈川。
ですが概ね大都市や都市部近辺で初任給が高くなっており、1位は全国平均の18万1,200円より1万7,000円も高額となっています。
引用:政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」
「都道府県別の高卒初任給ランキング」では、大都市や都市部近辺で初任給が高い傾向が見られましたが、こうしたエリアは平均賃金も高めとなっています。
厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、全国の平均賃金よりも賃金が高かったのは、東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・兵庫県です。
全国平均の311万8,000円に対して、最も平均賃金が高い東京都では375万5,000円と、大きな差があるとわかります。
この調査データから、都市部は地方と比較して、初任給だけでなくその後の生涯賃金も高くなりやすいと言えます。
参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
総合的な住みやすさも視野に入れよう
ランキングで見てきたように、都市部は初任給が高く、過疎地域になるほど初任給が低い傾向があることがわかりました。
同じ関東圏内で考えても、神奈川県や東京都に比べて群馬県は低い、といった結果となっています。
ですが、一概に「初任給が高いから住みやすい」とは言いにくい面もあります。
例えば、賃貸の家賃。
都市部であるほど高額になり、人口密集地ではほかの地域の2倍もの家賃になる場合があります。
都市部で手取りが1万円や2万円程度高いとはいえ、すでに家賃の面で数万円も差が出てしまう可能性があるのです。
一方で、生活インフラの面では都市部が有利です。
交通網がつながっており、商業施設が至るところにあり、不便さはありません。
交通網がなければ、車移動が必須となり、車を持てば購入費や維持費がかかります。
初任給はもちろんのこと、これらの生活をとりまく環境も含めて、自分にとって住みやすくバランスがいい場所がどこかを総合的に考えてみるのも良いでしょう。
企業規模別の高卒初任給ランキング
続いて、企業規模別に高卒初任給のランキングを見てみましょう。
意外な結果かもしれませんが、中規模の企業よりも小規模な企業のほうが高卒の初任給は高くなっています。
ただしほとんど同じようなもので、高卒初任給においては企業規模はそれほど関係ないといえるでしょう。
参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:2 企業規模別にみた初任給」
業界別の高卒初任給ランキング
ランキングの最後は、業界別の高卒初任給ランキングです。
2位の「サービス業(他に分類されないもの)」は複雑な内訳であるため一概には言えません。
それ以外の「建設業」「鉱業,採石業,砂利採取業」「卸売業,小売業」「情報通信業」はそれぞれ、以下のような仕事内容です。
建設業は建物の建築に関わり、実際に機材を操作して建物の建設を行います。また、道路や鉄道網、公共施設などの大規模なインフラの建設にも関わります。
鉱業,採石業,砂利採取業は、鉱山や採石場で鉱石を採掘し、加工・処理します。貴金属や、建材として利用される石材などを社会に提供する役割があります。
卸売業は、商品を大量に仕入れ、商業施設や業務用に販売します。
一方で、卸売業者から仕入れた商品を個人向けに販売するのが小売業です。
情報通信業はいわゆるIT系業界や、TV放送や電話会社などが属しています。ITや番組、携帯電話をはじめとした通信を扱う業界の総称です。
引用:政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」
高卒のほうが初任給が低くなってしまう理由
まずはなぜ高卒の給与が低くなってしまうのかを知っておきましょう。
まずは初任給の違いについて比較しながら、採用時に期待されることなどからその理由について紐解いていきます。
- 学歴ごとの初任給の違い
- 大卒は高度な知識と課題解決力をもっていると期待される
- 院卒はさらに高度な知識と専門性が期待される
- 高専・短大・専門卒は特化した業務能力が期待される
学歴ごとの初任給の違い
まずは、各学歴ごとの初任給の違いを見てみましょう。
上記は令和4年の学歴別の初任給です。
学歴別で比較すると、高卒がもっとも低いことが分かります。
ほかの学歴卒だと、初任給をもらう年齢は20~24歳の間で、高卒のみ19歳時点での年齢で見ているため、特に低いと感じるかもしれません。
参考に高卒の20~24歳を見てみると、20万5200円。差は狭まりますが、それでも一定の差があり、同年齢で比較しても、高卒の給与がもっとも低いことが分かるでしょう。
参考:厚生労働省「学歴別にみた賃金」
大卒は高度な知識と課題解決力をもっていると期待される
大卒は、一般的に高卒よりも高度でより専門的な知識を身につけていると考えられています。
必要な単位を自ら選びとり、勉強し、合格する。
その過程で課題解決力やコミュニケーション能力も身につけられるでしょう。
それらを活かして活躍してくれるという期待があるため、大卒は初任給が高卒よりも高くなっています。
院卒はさらに高度な知識と専門性が期待される
院卒は、大学生よりもさらに専門的な能力が期待されています。
すなわち、特定の何かにおける「専門家」としての活躍が期待されるわけです。
希少なスキルをもっているほど給与が上がるというのは、納得できるのではないでしょうか。
また当然ながら、もっとも就業する年齢が高いのも院卒です。
大卒が22歳で就職するのに対して院卒は24歳で就職するため、その年齢差分も多少は考慮されて全学歴のなかでもっとも高い初任給になっています。
高専・短大・専門卒は特化した業務能力が期待される
高専・短大・専門は、それぞれ学ぶ内容が専門的に特化しています。
院卒が「大卒に求められる一般的な課題解決力と専門性の両方を兼ね備えた存在」だとするなら、高専・短大・専門は「課題解決力は大卒には及ばないものの、特定の専門分野に特化している存在」です。
いわば高専・短大・専門卒は、卒業時点で自分の得意な仕事をもっている状態です。
そのため「希少なスキルを使って専門的な業務に従事する」という意識が強く、またそのような活躍が期待されるため、高卒よりも初任給が高くなるのです。
高卒におすすめの給与を上げるコツ
ここからは、高卒におすすめの給与アップのコツについて紹介していきます。
- スキルで活躍できる仕事を選ぶ
- 同職種内で条件がいい会社に転職する
- 条件がいい会社で昇給していく
スキルで活躍できる仕事を選ぶ
院卒や高専・短大・専門卒が、「希少なスキルで専門的に活躍する」から給与が高いとお伝えしました。
高卒は卒業時点では何かに特化しているということはありませんが、これからスキルアップしていくことは可能です。
資格取得・スキルアップをしつつ、学歴ではなく能力を重視してくれる会社に就職するようにしましょう。
スキルを重視する会社の場合、社内資格や公的な資格の取得で給与が上がったり、資格保持で「資格手当」が出るところもあります。
資格取得に際して、受験費用を会社側が補助してくれるような制度があればなお良いでしょう。
長期的にスキルアップし、スキルで評価を上げながら給与をアップさせるのは一つの手段です。
同職種内で条件がいい会社に転職する
会社によって福利厚生や給与体系は様々であり、なおかつ社全体の方針も異なります。
そのため、業界・職種・業務がすべて同じであっても、会社が違うだけで給与が変わることがあるのです。
例えば、設備に投資してどんどん拡大する方針の会社と、得られた利益は積極的に社員に還元する方針の会社があったとするなら、後者のほうが給与や賞与は高くなります。
そのほか、住宅手当や通勤手当などの福利厚生、休日日数などのワークライフバランスといった細かな違いがあります。
自分の求める働き方に合った会社を見つけることが重要で、そのためには何度か転職する必要があるかもしれません。
自力で探すには運要素も関わるため、複数の会社の内部事情に詳しい就活のプロであるキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。
条件がいい会社で昇給していく
自分にとって好条件の会社を探し続け、転職しながら給与を上げていくのも一つの手です。
ですが、「この会社は合っている」と感じた会社や、継続的に成果を出すことで昇給できそうな会社に長く勤めることも検討してみてください。
自分にピッタリな会社を見つけたあとも貪欲に「もっと上へ」と転職活動をするのも意欲的で良いかもしれませんが、せっかく手に入れた良い環境をあえて捨てる必要もないのです。
就職エージェントに相談する
ここまで、高卒の人が給与を上げるコツを紹介してきましたが、確実に給与アップを目指すなら就職のプロである就職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか?
就職エージェントに相談すれば、高卒でも高収入を目指せる仕事の中から、利用者に適性がある仕事をピックアップしてアドバイスを受けられます。
また、転職や就活全般のサポートを受けられるため、高収入の仕事を目指しやすくなります。
エントリーシートの添削や模擬面接を行っているほか、就職後に給与アップを目指す方法までアドバイス可能ですので、まずは就職エージェントに相談してみましょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
初任給が高い地域×初任給が高い業界を狙ってみるのも手段の一つ
都道府県別の高卒初任給ランキングと、業界別の初任給ランキングを活用して考えてみるのもおすすめです。
例えば、神奈川県(都道府県1位)の建設業(業界別1位)や東京都(都道府県2位)の情報通信業(業界別5位)を目指してみる、といった方法です。
そこにさらに、スキルで活躍できる「営業職」や「ITエンジニア」なども掛け合わせれば、初任給アップだけでなくその後の昇給率アップも狙えるかもしれません。
高収入を目指す高卒におすすめの業界・職種4選
「高卒だけど高収入を目指したい!」という人は、高収入を目指しやすい業界や職種をターゲットにして就活・転職活動を行うのがおすすめです。
ここでは、高収入を目指す高卒におすすめの業界・職種を4つ紹介していきます。
1.営業職
不動産会社や保険会社の営業職は、高収入を目指す高卒におすすめの職種です。
最低限のコミュニケーションスキルがあれば、入社後に商品知識を学びながら実務を経験するうちに戦力として育てやすいのが営業職の特徴です。
そのため、採用時に学歴や職歴を不問としている会社も多く、高卒でも比較的採用されやすいと考えられます。
さらに、不動産会社や保険会社の営業職は、成約件数など業務成績に応じてインセンティブが支給されるケースも少なくありません。
学歴に自信がなくても、入社後の頑張り次第では高収入を目指せるのです。
他人とのコミュニケーションが好きな人や高収入のために仕事を頑張れる人は、こうした営業職の適性があるといえます。
2.ITエンジニア
ITエンジニアとは、専門スキルを駆使して、システムやアプリケーションなどを設計・構築・運用する仕事です。
ITエンジニアと一口に言っても、プログラマーやシステムエンジニアのほか、ネットワークエンジニアなどさまざまな種類が存在します。
しかし、共通するのはITに関して専門的な知識と技術を有していることです。
昨今はDXの推進やビジネスのIT化によって、ITエンジニアの需要は高まりつつあります。
人手不足に悩まされている企業は少なくないため、学歴や職歴ではなくポテンシャルを重視して採用を行う例も。
したがって、ITエンジニアは高卒でも挑戦しやすい仕事といえます。
入社後に実務経験を積んでスキルアップできれば、より高収入の企業へ転職できたり、昇給を狙ったりできることでしょう。
3.建設業界
「業界別の高卒初任給ランキング」で第一位となった建設業界は、高収入を目指す人におすすめの業種です。
建設業界は慢性的な人手不足に陥っており、企業や職種によっては、高卒でも比較的採用されやすいと考えられます。
特に体力がある若者であれば、歓迎してもらえる可能性が高いです。
高卒で建設業界に入った直後は現場で経験を積みながら、資格を取得するなどしてスキルアップできれば、現場監督やリーダーへのキャリアアップも目指せるでしょう。
そして、キャリアアップや資格取得により、各種手当がついて高収入を得られると期待できます。
4.インフラ業界
高収入を目指す高卒の人は、インフラ業界を検討してみてはいかがでしょうか?
インフラ業界とは、水道やガス、電気など生活基盤を支えるサービスを提供する業種です。
インフラサービスが提供されなくなると、経済活動や日々の生活が成り立たなくなることから、社会全体にとって欠かせない存在です。
こうした理由から、インフラ業界では安定して高収入を得られるケースが少なくありません。
特に技術職は工業高校卒の人材を積極採用している場合も多いため、インフラ業界への就職を狙うのもおすすめです。
まとめ
高卒、高専卒、専門・短大卒、大卒、院卒のなかで、初任給は高卒がもっとも低くなっています。
また、同じ高卒でも都道府県別や業界別でも初任給には差が生まれていることも分かりました。
そして、スキルアップしながら希少な業務を担える求められる人材になっていくことが、給与アップのコツであることも理解できたと思います。
そのなかで、自分が求める働き方ができる、自分が働きやすい条件を備えた会社に就職できればさらに効率的に給与アップできるでしょう。
ですが、正直なところ、自分の力だけだと企業探しが難しい場面も多いのではないでしょうか。
今回の記事でご紹介した「給料ランキング」は変動するものですし、「初任給1位の業界」だからといって「その企業」の初任給が高いかどうかは分からないもの。
中長期的な目線に立ち、どのようなキャリアを進んでいくかを相談するためにも、ぜひエージェントの利用も検討してみてください。
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