もくじ


この記事では、退職を申し出たいけれど、引き止められそうで心配な人に向けて、以下の内容を解説します。
- 会社が退職希望者を引き止める理由
- 確実に退職できる退職理由
- 引き止めにあいやすい退職理由
- 円満に退職するためのポイント
- ケース別・退職引き止めへの対処法
退職の意思表示をする前に、ぜひこの記事を読んで退職理由を練り直してみてください。
この記事の監修者

岡本啓毅
YouTube「ひろさんチャンネル」運営 / 株式会社UZUZ 代表取締役
北海道出身。第二の就活を運営する「株式会社UZUZ」を立ち上げ、数多くの就職をサポート。“自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる”をミッションに、YouTubeでは「就職・転職で使えるノウハウ」を発信中。X、TikTokなどSNS等の累計フォロワー数は13万人を超える。
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なぜ会社は退職者を引き止めるの?
会社が退職者を引き止めるのには、いくつか理由があります。
なかには人間味のある上司が、親身になって将来を考えて引き止めることもあるかもしれません。
しかし、退職の引き止めが起きるのは、“辞められると会社に不都合が生じること”が理由の場合が多いようです。
ところで、実際にどのくらいの企業が退職者への引き止めを行っているのかご存じですか?
エン・ジャパン株式会社は「カウンターオファー」実態調査の結果を2017年に公表しました。
カウンターオファーとは、退職希望者へ上司から行われる引き止め交渉のことです。

この調査結果では、退職意向の社員にカウンターオファーをしたことがある企業は65%となっています。
かなり多くの企業が、退職者への引き止めをしたことがあるとわかります。
直近の調査でも、企業による引き止めは広く行われています。
ロバート・ウォルターズ・ジャパンが実施した会社員1,423人を対象としたアンケート調査を公表しました。
勤務先からカウンターオファーの申し出があった場合「引き止め交渉に応じる可能性がある」と回答した会社員は41%にのぼりました。

ただし同調査では、カウンターオファーを受け入れて会社に留まった社員のうち、半年以内に退職した人は38%、半年〜1年以内に退職した人は21%となっており、約6割が1年以内に退職している実態も明らかになっています。
引き止めに応じても根本的な解決にならないケースが多いといえます。
参照:エン・ジャパン株式会社「「カウンターオファー」実態調査」
※参考:ロバート・ウォルターズ・ジャパン「給与調査2024」プレスリリース(2024年1月25日)
退職希望者が優秀な人材である場合
エン・ジャパン株式会社が2017年に公表した「カウンターオファー」実態調査によると、カウンターオファーをした理由の第一位が72%で「退職意向の社員が優秀」です。
人手不足に悩まされる企業が多い中、せっかく採用した優秀な人材を失いたくないと考えるケースは珍しくありません。
その従業員が優秀であればあるほど、退職した際の影響が大きくなり、生産性や利益が低下するおそれがあるからです。
また、優秀な人材はもともと持ち合わせていた能力が高いだけではなく、入社後の育成によって能力が高まった可能性もあります。
この場合、せっかくコストをかけてここまで育て上げたのに、退職されるのが惜しいという気持ちもあると考えられます。
人手不足で業務が回らなくなる場合
人員が充足し、余裕がある企業は多くありません。
大手企業であれば問題ないかもしれませんが、中堅以下の企業の場合は慢性的な人手不足が課題になっているケースも少なくありません。
むしろギリギリ、あるいは明らかに人員不足で、一人あたりの業務負担が大きくなっている企業のほうが多いようです。
こうした企業では一人でも退職者が出てしまうと、途端に業務が回らなくなるため、多少強引にでも退職を引きとめようとするでしょう。
また、欠員が出ることで残ったメンバーの負担が増え、連鎖的な退職が起きることを心配している場合もあります。
エン・ジャパン株式会社の「カウンターオファー」実態調査では、カウンターオファーをした理由の第三位が44%で「新規の人材採用が困難」となっています。
労働市場全体で労働力不足が起こっていると、退職者に代わる新しい人材を確保するのが難しいです。
今後退職する場合はこうした理由で退職引き止めに合うかもしれません。
ただし、退職によってその職場が人手不足になっても退職者に責任はなく、あくまで人手不足への対策を行うべきなのは企業です。
そのため、人手不足を理由に退職を引き止められても、気にする必要はありません。
また、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によると、正社員が「不足」していると回答した企業の割合は51.0%でした。
過半数の企業で人手不足が課題となっており、退職者に代わる人材確保が難しいことから、引き止めにあう可能性は十分に考えられます。
※参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」
新たに採用・育成コストがかかってしまうため
従業員を採用して一人前にするには、それなりの大きなコストがかかります。
退職者が出ると、その人に費やしたこれまでのコストが無駄になるだけでなく、新たに採用した人にも同様にコストをかける必要が生じます。
また、新人を採用しても業務をこなせるようになるには、一定の時間が必要です。
そのため、多少無理を言ってでも会社に残ってもらった方が楽なため、引き止めようとするのでしょう。
上司が管理責任を問われるため
退職者を出すと、直属の上司は管理責任を問われることも原因の一つです。
とくに頻繁に退職者を出してしまうと、「ハラスメントが起きているのではないか」などと、疑われてしまう恐れもあります。
とはいえ、なかには部下のキャリアを真剣に考え引き止めをしているケースもあります。
例えば、1on1などで「今の経験やスキルから考えると次に目指すポジションや会社では、まだ力不足ではないか」などのアドバイスをしてくれるケースもあるかもしれません。
ただし、必ずしも熱心にキャリア相談に乗ってくれるばかりではなく、多くは会社の都合を優先した引き止めであると考えたほうがよさそうです。
社内で引き止めにあうと、「次の仕事は長く続けられるだろうか……」と不安になるかもしれません。
もし1年以内に転職しようとしているなら、早期の離職を避けるためにも入社の前段階からしっかりリサーチを行い、見極めることが大切です。
以下の動画では、離職率の高い業界ランキングをご紹介していますので、あわせてご覧ください。
確実に退職できる最強の退職理由とは

確実に退職できる最強の退職理由は、企業が退職を拒みにくい「やむを得ない正当な理由」です。
そもそも、退職理由は「一身上の都合」で押し通しても構わないのですが、どうしてもしつこく聞かれる場合もあるかもしれません。
そうしたときは、結婚や健康面の悪化などが理由であれば、会社は退職を拒みにくくなるものです。
「やむを得ない正当な理由」とされるのは、以下の3つが挙げられます。
体調不良や病気など健康状態の悪化
業務に支障が出るような体調不良などは、やむを得ない理由の代表的なものです。
例えば、持病の悪化や、精神的な不調などで通常の業務に耐えられないことを伝えます。
そもそも仕事が原因で体調を崩したのであれば、長居する職場ではないかもしれません。
会社側も、これ以上勤務を続けさせて更に体調が悪化した場合の責任問題を考えるため、必要以上に引き止めることはしないでしょう。
- ここ数カ月、持病が悪化しており病院にも相談しましたが、医師より療養に専念したほうがよいといわれました。
- 精神的な不調が続いており業務に集中できない状態です。病院にもかかっていますが、改善には時間がかかるといわれました。一度退職して治療に専念したいと考えています。
結婚・出産などのライフステージの変化
結婚や出産など、ライフステージの変化も受け入れられやすい退職理由です。
個人の人生の選択であり、めでたいことでもあるため、会社も口をはさみにくいでしょう。
まれに「職場環境を整えるので考え直して欲しい」という申し出があることもあります。
その場合は「家族で話し合って決めたことなので……」など、本人だけの意向でないことを伝えると有効です。
- このたび結婚することになりました。相手とも話し合って決めたのですが、退職して家事に専念したいと考えています。
- 出産を控え、このまま仕事を続けることが難しいと考えています。育児に専念したいので退職させていただけないでしょうか
親の介護や転居など家庭の事情
家庭の事情も、会社としては受け入れざるを得ない理由です。
例えば、「親の介護のため地元に戻る」や「配偶者の転勤」などのように転居をともなう場合、会社は引き止めが難しくなります。
個人的な事情を無視してでも、ムリに引き止めるような会社であれば、早急に縁を切ったほうがよいかもしれません。
- 親が高齢で兄弟で話しあった結果、私が地元に戻り介護することになりました。地元でも新たに仕事を決めています。申し訳ないのですが、退職させてください。
- 夫(妻)の転勤が決まり話しあった結果、転居することになりました。つきましては3月末付けで、退職させてください。
また、上記の例文で記載したような「転居先のみならず、次の仕事がすでに決まっている場合」も、引き留めは難しくなります。
家庭の事情に加えて、次の会社で入社日を調整中の段階であれば、よほど強引な引き留めがない限り退職の手続きを進めることになるでしょう。
キャリアアップへのチャレンジ
自己成長のため、違う業種や職種にチャレンジしたいなど、ポジティブな理由を伝えると上司も引き止めをしにくくなります。
説得力を持たせるためには、希望する仕事内容やポジションは曖昧さを残さず、明確にしておくことです。
ただ、目指すキャリアが今の会社でも実現できるものであれば、引き止めにあう可能性があります。
- 自身の将来を改めて考えたところ、新たなチャレンジをしたい気持ちが強くなりました。このたび学生の頃から興味があり勉強を続けてきた、システムエンジニアの仕事にチャレンジしたいと考えています。
転職先がすでに決まっている
転職先がすでに決まっている場合は、無理に引き止めることはできなくなります。
仮に転職先が未定で退職を考えているという相談であれば、次が決まっていないため、引き止められる余地があると見られてしまいかねません。
そのため、転職先から内定が決まり、退職手続きも含めた入社日が調整できる段階で伝えると良いでしょう。
上司は相談がなかったことにガッカリしたり憤ったりする恐れもありますが、転職先を選んだ理由がポジティブなものであれば、納得する可能性が高いといえます。
特に退職予定日も余裕をもって伝えることができれば、むしろ円満な退職ができるでしょう。
- 大変申し訳ございませんが、さまざま自分のキャリアについて考えた結果、転職活動を行い、◯月より勤務の内定をいただきました。
つきましては、当社に関しては△月いっぱいで退職を希望しています。
〇〇さんはじめ、多くの方には大変お世話になりました。
退職までは、可能な限り業務の引き継ぎをしっかりと行い、自分の職務を全うしたいと考えております。
ご理解のほど何卒よろしくお願いいたします。
監修者コメント
退職引き止めは法的に問題はないのか?
退職に関して、「上司から強引な引き留めにあっており、転職を諦めかけている.……」といった声も少なくありません。
しかし、本来会社には労働者の退職を拒む権利はありません。
そもそも、日本国憲法第22条で「職業選択の自由」が認められています。
民法627条1項には、「期間の定めのない雇用契約は、当事者双方いつでも解約を申し入れることができる」と規定されています。
そのため、執拗に会社が退職理由の説明を求める場合は、離職を防ぐためだけにおこなっていると考えたほうがよさそうです。
あまりにしつこく聞かれる場合は、毅然とした態度で臨むことも必要かもしれません。
上司との関係性によっては、強く言い出せない方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「辞める、辞めない」の意思をあいまいにしたまま会社に残ったとしても、いずれ同じように悩んだり、次に決断した時には年齢的に転職が難しいということも。
次の道が決まっている方は自信を持って、退職理由を伝え、円滑に進まない場合は部署の上席や人事部に直接相談するなども考えておきましょう。
参照:「民法第627条1項」

岡本啓毅
引き止めにあいやすい退職理由
会社に対する不満を退職理由にした場合、引き止められやすくなるため注意が必要です。
そもそも、不満を退職理由にするのは、あまり好ましいとはいえません。
会社が配慮をして代替案を提示してきた場合、退職の意思を押し通すことが難しくなるからです。
また一度不満を伝えてしまうと、退職をとどまった際に関係性がギクシャクしてしまうことも考えられます。
人間関係の不満
退職理由の本音として、多いと思われるのが人間関係の不満です。
「上司とソリがあわない」「部署のなかで孤立してしまった」などが、例として挙げられるでしょう。
また、もっと深刻なのは「ハラスメントの被害者になってしまっている場合」です。
こうした不満を退職理由として告げた場合、配置転換を提案され引き止めにあう可能性もあります。
会社が一定の配慮を見せた形になり、かえって退職しにくくなってしまうでしょう。
労働時間や給与・待遇などへの不満
長時間労働や休みの少なさを不満として退職理由にした場合は、「業務量を調整するから……」などと引き止めにあうことが考えられます。
給与面の不満であれば、「次年度は昇格の候補として推薦するつもりだった」などと、昇給を匂わせてくるかもしれません。
このように、上司が比較的コントロールしやすい要素を退職理由にした場合、代替案や改善策を提示されると、退職理由そのものがなくなってしまいます。
仕事内容への不満
現在の担当業務に興味が持てず、自分が希望するスキルアップができないといった理由も引き止めにあう可能性は高いでしょう。
担当業務の振り分けも、上司がコントロールしやすい要素であり、業務替えを提案されるかもしれません。
部署内に興味が持てる業務がなければ、他部署への配置転換を打診されるといったことも考えられます。
もし、待遇が改善するなら働き続けたい気持ちがある場合は、不満を退職理由にすることで改善に動いてくれる場合もあるでしょう。
しかし、待遇や職場環境を退職理由に伝える場合は、それ以前から相談、申し出をしていることが重要です。
なぜなら、退職を考える前から提案や相談する機会はあるからです。
何も動き出さず、現状は改善されない前提で動き出すとその後の評価、働きやすさにも影響する可能性があります。
そのため「待遇の改善」が理由であれば、前段階で退職意思を伝える前に相談するほうが、社会人としてはスマートな振舞いです。
円満に退職するためのポイント
縁があって入社した会社。
できれば気持ちよく送り出してもらうことが理想ですよね。
そのため退職時のトラブルを避けるためには、辞める側にも一定の配慮が欠かせません。
円満退社のためには、自分が辞めた後のことも考える姿勢を見せることが大切です。
退職に関する就業規則を確認する
企業によっては「退職の意思表示は退職日の〇日前までに行う」と就業規則に規定されている場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
どれだけ本人の退職意識が強かったり、繁忙期を避けるように対策したりしても、企業のルールに反していたら円満に退職しづらくなってしまいます。
円満退社のために、就業規則の規定に合わせて意思表示するとともに、なるべく早く意思行事することも重要です。
早い段階で退職の意思表示を行い、後任の人選や、引継ぎ期間に配慮する姿勢を見せることが大切です。
まずは直属の上司へ意思を伝える
退職の意思を伝える際は、まずは直属の上司へ話すようにしましょう。
直属の上司よりも先に同僚に伝えた結果、退職の噂が職場に広まってしまうおそれがあります。
正式に退職の意思を伝える前に直属の上司から不信感を抱かれてしまったり、ありもしない噂が流れてしまう可能性もあります。
また、他部署の上司や、人事部にいきなり退職の意思を伝えるのもNGです。
直属の上司が「自分の部下をきちんとマネジメントできていない」と思われる可能性があるからです。
監修者コメント
退職の意思表示はどのタイミングが適切なのか?
民法627条1項には、期間の定めのない雇用契約の場合、解約の申し出から2週間経過することにより雇用関係は終了するとあります。
法律上は2週間前に申し出ればよいのですが、それではトラブルに発展することが予想されます。
そのため、退職の意思表示は遅くとも1ヶ月前には伝えるべきでしょう。
会社は後任の人選や引継ぎの時間を確保したいと考えます。辞める側も、年次有給休暇があれば、できる限り消化したいものです。
転職先が決まっている場合は、こうした要素を考慮して入社時期の調整も必要です。
また、退職後もその人間関係が今後も仕事で関わってくることは少なくありませんので、引き継ぎするメンバーや部署のことを真摯に考え、退職の手続きや任された対応をしていくべきです。
参照:「民法第627条1項」

岡本啓毅
繁忙期は避ける
繁忙期に退職すると業務に支障をきたす恐れがあるため、退職のタイミングは可能な限り繁忙期を避けたほうがよいでしょう。
繁忙期の退職をムリに押し通した場合、配慮のなさに周囲から悪い印象を持たれることも考えられます。
退職までの間、居心地が悪い思いをするかもしれません。
退職のタイミングには十分な配慮をして、上司と時期を調整しましょう。
これまでの感謝の気持ちも伝える
退職理由を伝える際は、職場の人たちや会社への感謝の気持ちも同時に伝えるのがポイントです。
理由としては、退職までの数カ月を気持ちよく過ごせたり、転職後も前の会社の人脈を活かせたりといったことが挙げられます。
人は感謝されると断りにくくなる傾向にあるため、感謝の気持ちを持って謙虚な姿勢で退職理由を伝えれば、退職の引き止めをされにくくなることも期待できます。
感謝の気持ちを伝える際は、上司からもらったアドバイスや同僚からのサポートのおかげで成長できたこと、達成できた課題をエピソードを踏まえて述べるのが良いでしょう。
引き止められてもはっきりと断る
引き止められたときに気持ちが揺らいでいる姿を見せてしまうと、食い下がられて退職の話がなかったことにされたり延期したりする可能性もあるのです。
引き止められて一度退職を諦めてしまうと、次に「やっぱり退職したい」と思っても、再度退職の意思を伝えるハードルが高まってしまいます。
引き止められても「でも何度も考えて出した答えなので退職の意思が変わることはありません」と伝えて、はっきりと断ることが重要です。
退職を伝える際の具体的な手順と流れ

流れを知っておけば、スムーズに進められますよ。

退職を確実に進めるためには、伝えるタイミングだけでなく、退職の意思を固めてから退職日までの流れを把握しておくことも大切です。
ここでは、退職を伝える際の具体的な手順を4ステップで解説していきます。
1.退職の意思を固め退職日を決める
退職を伝える前に、まずは自分の中で退職の意思を固めましょう。
意思が固まらないまま上司に相談してしまうと、引き止めにあった際に決意が揺らぎ、退職の話がうやむやになってしまうことがあるためです。
意思が固まったら、引き継ぎや有給消化に必要な期間から逆算して退職日の目安を立てます。
転職先が決まっている場合は、転職先の入社日も考慮して退職日を設定しましょう。
企業によっては「退職の意思表示は退職日の〇日前までに行う」と就業規則に規定されている場合があるため、事前に確認しておく必要があります。
円満退社のために、就業規則の規定に合わせて意思表示するとともに、なるべく早く意思行事するようにしましょう。
2.直属の上司にアポイントを取り意思を伝える
退職日の目処が立ったら、直属の上司にアポイントを取って退職の意思を伝えます。
立ち話やチャットで済ませるのではなく、「お話ししたいことがあります」と事前に時間を確保してもらい、会議室など落ち着いた場所で話すのが基本です。
伝える際は、退職の意思が固まっていることを明確にするのがポイント。
「退職を考えていまして……」のような相談ベースの伝え方では、引き止めの余地があると受け取られかねません。
退職希望日も合わせて伝えると、話がスムーズに進みます。
3.退職届を提出する
上司の合意が取れたら、正式に退職届を提出します。
なお「退職願」と「退職届」は意味が異なるため注意が必要です。
退職願は退職をお願いする書類で撤回が可能、退職届は退職を通告する書類で、提出後の撤回は基本的にできません。
確実に退職したい場合は「退職届」を提出するのが基本です。
提出先は会社の規定に従いますが、一般的には直属の上司を経由して人事部へ提出します。
会社独自の様式がある場合もあるため、就業規則を確認しておきましょう。
4.引き継ぎと有給消化を進める
退職届の受理後は、引き継ぎと有給消化を並行して進めます。
引き継ぎは、後任者がスムーズに業務を行えるよう、業務マニュアルや取引先情報、進行中の案件の状況などを資料にまとめておくのが望ましいです。
有給休暇は労働者の権利であり、原則として会社は取得を拒否できません。
ただし、退職直前にまとめて取得しようとすると業務に支障が出るため、上司と相談しながら計画的に消化していくのがおすすめです。
監修者コメント
どうしても辞められないときは退職代行という選択肢も
退職の意思を伝えても、何度も引き止められたり、上司が話を聞いてくれなかったりするケースもあるでしょう。
ハラスメントを受けている場合や、退職届を受け取ってもらえない場合などは、心身に大きな負担がかかります。
そうした状況であれば、退職代行サービスを検討するのも1つの選択肢です。
退職代行を利用すれば、本人に代わって退職の意思を会社へ伝えてくれるため、直接やり取りすることなく退職手続きを進められます。
ただし、退職代行サービスにも種類があり、民間業者・労働組合・弁護士事務所のいずれが運営しているかによって対応できる範囲が変わってきます。
有給消化や未払い賃金の交渉まで依頼したい場合は、労働組合または弁護士が運営するサービスを選びましょう。
心身を守ることを最優先に、自分に合った方法で退職を進めていきましょう。
参考:厚生労働省「確かめよう労働条件(退職、解雇、雇止めなど)」

岡本啓毅
ケース別・退職引き止めへの対処法
退職引き止めに合いにくい退職理由を伝えても、退職引き止めを受けてしまう場合もあります。
ここでは、退職の引き止め方を紹介したうえで、どのように対処していけば良いかを解説していきます。
「待遇改善をするから退職しないで」と言われた場合
退職の意思を伝えたときに「待遇改善をするから退職しないよう考え直してほしい」と引き止められる場合があります。
特に待遇への不満を退職理由としている場合はもちろんのこと、ライフスタイルの変化やキャリアアップを理由にしたケースでも待遇改善を提案される場合があるのです。
しかし、その引き止めで退職を思いとどまったとしても、その後必ずしも待遇が改善されるとは限りません。
口約束だけでうやむやにされてしまったり、まだ社内での調整中だから待ってほしいとはぐらかされてしまう可能性もあります。
仮に給与がアップしても、たった1回だけの昇給になってしまう可能性も否定できません。
また、一度退職をしようとした人材という印象が残ってしまい、その後の昇給・昇進に悪影響が及ぶかもしれません。
「待遇改善をするから退職しないで」と言われた場合でも、本当に待遇改善されるかは保証できないことを念頭に置いて、キッパリと断るようにしましょう。
「今退職されると他の従業員が困ってしまう」と言われた場合
退職の引き止めで多いのが、「今退職されると部署のみんなが困ってしまう」などと良心に訴えかけるケースです。
このような言葉を投げられると退職を思いとどまってしまうかもしれませんが、〔赤字〕従業員1人が退職しただけで回らなくなる組織に問題がある〔/赤字〕のです。
そのため、退職しようとしている人は何ら責任を感じる必要はありません。
退職は、自分の人生に関わる一大イベントです。
会社への感謝の気持ちを示しつつも、人生はあくまで自分のものですので、自分のことを最優先させて退職の意思を強く持っておきましょう。
「あと半年頑張ってみないか?」と言われた場合
引継ぎできる後任がいないといった理由で「あと半年頑張ってみないか?」と打診される場合もあります。
この場合、仮に引き止めを受け入れて退職を延期したとして、自分のキャリアや人生に何かメリットがあるかどうかを考えてみましょう。
退職を決意した人の多くは、退職を延期してもおそらく大したメリットはないことでしょう。
反対に、退職時期を延期して自分にメリットがあるのであれば退職の延期を考えるのも良いかもしれません。
しかし、一度退職時期を延期してしまうと、その後もズルズルと働き続けてしまい、退職のチャンスを見失ってしまうおそれがあります。
確実に退職するためのよくある質問


- 退職理由は嘘でも問題ない?
- 即日退職することは可能?
- 退職を伝えても受理されない場合は?
- 退職代行サービスは使ったほうがいい?
順に、確認していきましょう。
退職理由は嘘でも問題ない?
結論からいえば、退職理由に嘘を伝えるのは避けたほうが無難です。
引き止めにあいにくくするために「結婚するから」「親の介護で」など事実と異なる理由を伝える人もいますが、後から嘘が発覚するとトラブルにつながる可能性があります。
例えば、退職後にSNSなどで実際は別の理由で退職したことが知られた場合、前職の人間関係が悪化することも考えられます。
業界が狭い職種では、転職先で前職の関係者と再会する可能性もあるため、嘘の退職理由はリスクと隣り合わせです。
退職理由を伝える際は、本当の理由の中から引き止めにあいにくいものを選び、ポジティブに言い換える工夫をしましょう。
即日退職することは可能?
原則として、即日退職は難しいと考えておきましょう。
民法第627条1項では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し出から2週間経過することで雇用関係が終了すると定められているためです。
ただし、会社との合意がある場合や、残った有給休暇で退職日までをカバーする場合、やむを得ない事由(病気・ハラスメントなど)がある場合には、即日退職が認められる可能性もあります。
まずは会社との話し合いを試みることが基本です。
参考:e-Gov 法令検索「民法第627条」
退職を伝えても受理されない場合は?
退職の意思を伝えても上司が受け取ってくれない場合、以下のような対処法があります。
- 直属の上司よりさらに上の管理職に相談する
- 人事部に直接相談する
- 退職届を内容証明郵便で送付する
- 労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する
なかでも有効なのが、退職届を内容証明郵便で送付しておくことです。
民法上は申し出から2週間が経過すれば退職が成立するため、内容証明で送っておけば、受理の有無にかかわらず退職の意思表示をした証拠が残ります。
それでも解決しない場合は、弁護士など第三者の力を借りることも検討しましょう。
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
退職代行サービスは使ったほうがいい?
退職代行サービスは、自分で退職を切り出すのが難しい状況にある人に有効な選択肢です。
具体的には、以下のケースで退職代行の利用が検討されます。
- 上司が退職を一切認めてくれないケース
- 職場でハラスメントを受けているケース
- 心身の不調で出社や面談が難しいケース
- 退職を切り出す精神的負担が大きいケース
一方で、上司との関係が良好で円満退職を目指せる状況であれば、自分で退職を伝えるほうが望ましいでしょう。
代行を利用すると会社との関係が悪化する可能性があり、業界によっては転職先での印象に影響することも考えられるためです。
退職代行を選ぶ際は、運営元(民間業者・労働組合・弁護士)と料金体系を必ず確認しましょう。
有給消化や未払い賃金の交渉までを依頼したい場合は、労働組合または弁護士が運営する代行サービスを選ぶ必要があります。
キャリアアップを目指す転職にはUZUZがおすすめ
転職を退職理由として伝える場合、キャリアアップにつながるポジティブな転職であれば、引き止めにあいにくくなります。
もしあなたがキャリアアップを目指す転職をしたいのであれば、転職エージェントの活用がおすすめです。
20代の就職・転職に特化した「UZUZ」であれば、キャリアアドバイザーが今までのあなたの経歴からその後のキャリアプランまでご提案させていただきます。
「親身な転職エージェント」として、あなたの転職をサポートしますので、ぜひ一度相談してみてくださいね。
きっと自己成長につながる転職先が見つかりますよ。
まとめ

そのためには、退職理由は慎重に考えてタイミングよく伝えることが大切です。
退職する際、人間関係の不満や待遇などが理由の場合は、改善することを提案されるため、引き止められやすい傾向にあります。
家庭の事情やライフイベントなどであれば、確実に退職できる可能性が高いですが、それ以外が本当の理由であることも少なくないですよね。
転職する際に退職理由を伝える場合は、以下がポイントとなります。
- できるだけ早く退職の意思を伝える
- キャリアアップなどのチャレンジを理由にする
- 繁忙期を避ける
- 退職の手順を把握して計画的に進める
- 引き止められても自分の意思をはっきり伝える
自身のキャリアを考えた選択で、引き継ぎなども考慮できれいれば、円満退社できる可能性は高いです。
退職の意思表示は慎重に、会社への配慮を忘れずにおこないましょう。
もしキャリアアップを目指した転職を考えているなら、退職と並行して次の1歩を準備しておくと安心です。
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