「同じ仕事を目指したら、大卒以上の学歴の人が選ばれるんじゃない?」
そんなふうに、学歴を理由にしてあきらめてはいませんか?
この記事では、高卒で安定した仕事に就くために覚えておきたいポイントや、おすすめの職種をご紹介します。
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そもそも“安定した仕事”とは何か?
その前に、「安定した仕事」ってどんな仕事か、理解できていますか?例えば、どんな仕事なんでしょう。
一言で「安定した仕事」といっても、その定義はさまざま。それこそ、働く人の数だけ答えがあるといってもいいでしょう。
安定した仕事を探す前に、まずは自分が思う“仕事における安定とは何か”を決めておくようにしましょう。
いろいろな評価軸がありますが、代表的なものをここで紹介しておきます。
給与が高く、安定している
安定した仕事と聞いて、給与が年間を通じて高水準で安定している仕事を想像する人は少なくないでしょう。
やはり、もらえる給与が高ければ生活が安定しますし、それ自体が仕事のやりがいにもつながるはずです。
給与が高いといえる基準としては、高卒者の初任給や平均給与よりも金額が大きいことが挙げられます。
ここで、高卒者の初任給や平均給与を見ていきましょう。
厚生労働省が公表した「新規学卒者の学歴別にみた賃金」によると、令和4年における高卒者の初任給は18万1,200円となっています。
次に厚生労働省が公表した「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、高卒者の年齢別平均賃金は下記の通りです。
年齢 | 平均賃金 |
---|---|
~19歳 | 191万5,000円 |
20~24歳 | 216万2,000円 |
25~29歳 | 240万7,000円 |
30~34歳 | 258万5,000円 |
35~39歳 | 276万8,000円 |
安定した仕事かどうかをチェックする際は、これら初任給や平均給与よりも金額が大きいかを意識してみましょう。
また、繁忙期の残業代や特定の時期の売上高などの影響によって給与が変化するのではなく、安定していることも重要です。
平均して高い給与を得られるのであれば、生活の安定や働き方の安定にもつながっていくことでしょう。
高卒の初任給や手取りについて、より詳しく知りたい方は下記記事も合わせてご覧ください!
参考:厚生労働省「新規学卒者の学歴別にみた賃金」
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」
職を失うリスクが低い
ある日突然、職を失ってしまうような仕事は安定しているとは言い難いものです。
そのため、安定した仕事に就きたい人は「職を失うリスクが低い」と思われる企業を探すようにしましょう。
こうした企業の特徴としては、下記の例が挙げられます。
- 自己資本比率が低く経営リスクを分散・管理できている
- 景気によって企業の売上が大きく左右されにくい
- 簡単にはリストラされないような制度・環境が整っている
- 収益が支出を上回る「黒字経営」が続いている
具体的には、財務諸表やIR情報など企業の経営に関わるデータを確認することで、上記の特徴に該当するかどうかを確かめることができます。
また、成長期や成熟期にある市場に参入しているか、将来性のある事業を行っているかも判断基準のひとつです。
なぜなら企業が参入している市場自体が衰退期にある場合、将来的に利益を維持しにくくなるため倒産のおそれが懸念されるからです。
もし、自分だけではよく分からないということであれば、就職のプロである就職エージェントに一度相談してみましょう。
就職エージェントなら、あなたの希望に合う条件の求人を探しながら、安定した仕事かどうかをチェックしてくれます。
ワークライフバランスが取りやすい
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスがうまく保たれた状態のことです。
ワークライフバランスが保たれていないと、私生活がおざなりになってしまい心身の健康を損ねてしまう可能性があります。
いくら高収入だったり職を失うリスクが低かったりしても、仕事で精神を病んだり過労してしまったりしたら、長く安定して働くことはできないでしょう。
そのため、平均残業時間や年間の休日日数に加えて、休日出勤の有無や頻度を事前にしっかりチェックすることが重要です。
ワークライフバランスが保たれていると感じる状況は人それぞれなので、自分を見つめ直したうえで理想の労働環境を考えることも欠かせません。
参考までに、カレンダー上の土日祝日がすべて休みだった場合、年間休日の合計はおよそ120日前後になります。
年間休日が120日よりも少ないようなら、土日や祝日に出勤する可能性があるということを覚えておきましょう。
福利厚生が整っている
福利厚生や各種の手当などが整っている会社も安定した仕事の基準といえます。
- 通勤手当
- 住宅手当
- 社員寮
- 社員食堂
- 周辺施設の利用補助
- 出産・育児休暇
- 介護休暇
- 復職支援
企業によって様々な福利厚生サービスがあります。
住宅手当で家賃補助をしてもらったり、無料の社員食堂を利用できたりすれば、額面上の給与金額よりも実質的に多くの金額をもらっているのと同じことです。
離職率が低い
これまで紹介してきた「条件面」とは少し異なりますが、安定した仕事を探す際のポイントの一つとして重要なのが、離職率が低い仕事であることです。
これまで挙げたように「安定した仕事である要因」はさまざまですが、結果的に「安定して働ける会社」であれば、その会社の離職率は低くなります。
離職率が低い会社というのは、給与やワークライフバランス、福利厚生、そして職場の人間関係などを総合して働きやすく長く続けられる会社であるといえるでしょう。
転職しやすい
ここまでは「安定した“仕事”」として、仕事=会社に注目してきました。
ここでは、仕事=職種と捉え、「安定した職種」について考えてみましょう。
安定した職種の特徴は、社会的なニーズがあり、転職先がすぐに見つかる職種であることです。
そういった職種に就けば、入社してから自分には合わないとわかり転職を考えたときなども、すぐに次の働き先を見つけることができます。
職に就きやすいという意味では、転職しやすい職種は安定した仕事であるといえるのではないでしょうか。
高卒におすすめの“安定した仕事”である業界・職種
安定した仕事といっても、いろんな要素があって、考え方・見方によって違うということなんだね!
かつて終身雇用制度が当たり前だと思われていた時代と比べると、どの企業で働いていても絶対安定ということはないので、様々な観点から考えておく必要はあると思います。
ここからは、それぞれの“安定した仕事”の要素を満たす、代表的な業界や職種について見ていきましょう。
給与が高い業界・職種
高卒から就職できる業界のうち、初任給が平均より高いのは以下の業界です。
- 建設・建築
- 不動産
- IT
それらのなかで、以下のような職種に就けば高卒のなかでも平均以上の給与を得ることができます。
- 不動産会社の営業職
- 建設現場の作業員
- ITエンジニア
安定した仕事に対して給与が高いことを求める方におすすめです。
職を失うリスクが低い業界・職種
電気・ガス・水道などのインフラに関わる仕事や、地方公務員などは職を失うリスクが少ないです。
新しく参入するためには大規模なインフラ整備が必要となるインフラ業界は、新規企業が参入するのが難しい業界の筆頭でもあります。
そのため、既存企業が長く存続しつづけられる業界です。
そして地方公務員は、公務員であるため地方自治体が存続する限り存在しつづける職場です。
これらは、会社が倒産することによる失職のリスクがかなり低い業界・職種であるといえるでしょう。
ただし、就職難易度が高いという点には注意が必要です。
働きやすい業界・職種
離職率が低い業界は、安定した仕事の要素をバランスよく備えた「働きやすい」業界であるといえます。
ここで、厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」の結果を紹介していきます。
同調査データによると、高校新卒者について、就職後3年以内の離職率が低いトップ5業界は下記の通りです。
2位:鉱業・採石業・砂利採取業…離職率15.4%
3位:複合サービス業…離職率26.8%
4位:製造業…離職率27.6%
5位:金融業・保険業…離職率31.7%
漠然と「安定した仕事に就きたい」「自分がどんな要素に安定を求めているのか、働いてみないと分からない」という方もいるでしょう。
そういった方は、まずは上記の業界をチェックして候補企業を挙げてみるのがおすすめです。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成 31 年3月卒業者)を公表します」
転職しやすい業界・職種
会社に依存した安定ではなく、常に職に就けるような実力を身につける、という考え方の「安定」もあります。
引く手数多の優秀な人材であると認められ、辞めてもすぐに転職できるようにしておけば、職を失う不安から解放されるでしょう。
転職しながらキャリアアップしていきたいという方にはもちろん、同じ会社で同じようなルーチンを何年も続ける自信がない、という方にもこの考え方はおすすめ。
そのために、あらかじめ転職しやすい業界や職種を選んでおくという方法があります。
ここで、厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」の結果を見ていきます。
この調査データによると、高校新卒者について、就職後3年以内の離職率が高いトップ5業界は下記の通りです。
2位:生活関連サービス業・娯楽業…離職率57.0%
3位:小売業…離職率48.3%
4位:教育・学習支援業…離職率48.1%
5位:医療・福祉…離職率46.4%
離職者が多いということは、一方では転職者に向けた枠が空きやすいともいえるため、転職活動も比較的スムーズに進むでしょう。
こういった業界では、転職しながら新しいスキル取得にチャレンジしたり職種の幅を広げたりするなどしてキャリアアップするのも一般的です。
そのため、転職に際するネガティブなイメージが、ほかの業界に比べて薄いという特徴もあります。
またこれらの業界で働く際は、スキルアップに専念して自分の市場価値を高めることで「いつでも転職できる人材になる」ことを目指すのがおすすめです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
自分にとっての“安定”の定義を見つけよう
いくら給与が高くとも、常にリストラの不安がついて回るのは安定した仕事ではないでしょう。
転職しやすいスキルが身につくとしても、頻繁に転職するのはストレスになります。
働きやすい仕事場でも、やりがいや満足につながらず、仕事が苦痛になってしまうなら安定した仕事とは言い切れません。
すべての人にとって「安定した仕事」はないのです。
ここで挙げた安定した仕事の要素は、あくまでも一部の例。これらを「自分にとっての安定とは何か」と考えるきっかけにしてみてください。
もし自分の力だけでは判断できないようなら、第三者に自己分析を手伝ってもらうのも手です。
【高卒向け】安定した仕事の特徴4つ
安定した企業を、何か一つの指標だけで見極めることはできません。
ですが、ある程度見るべきポイントは決まっています。
ここでは、安定した仕事の特徴を4つ紹介していきますので、仕事選びの際はぜひ参考にしてください。
1.法令違反をしていない
厚生労働省・東京労働局が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表しています。
これは、労働基準法を含む法令違反をした企業を公表するものです。
分かりやすく言うなら、ここに記載された企業は労働基準法などの法令に違反したことがあり、いわゆる「ブラック企業」の可能性があるということ。
少なくとも、安定した仕事であるとは言えないでしょう。
この公表を確認し、候補に挙げた企業が記載されていないか確かめてみましょう。
参考:厚生労働省・東京労働局「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
2.学歴ではなく成果を評価される
学歴には関係なく、成果を評価されるかどうか確認しましょう。
例えば営業職の場合、自分の売上が一定を超えるとインセンティブとして、賞与額が大幅にアップしたり、季節賞与とは別に特別賞与が与えられたりする場合があります。
このように、学歴ではなく業務上の成果を高く評価し成果に応じた報酬を与えてくれる企業は、高卒者が安定した企業を目指す際の候補として有効です。
3.資格保有や過去の成果でスキルの有無を判断される
前述の「成果を評価される」の例とも似ていますが、学歴ではなく資格や成果でスキルの有無を判断する企業は、正当な評価をしてくれるという意味で安定的です。
こういった企業では、「学歴が高卒だから」という理由だけで大卒よりも条件が悪い、ということはありません。
また、そういった企業が多い業界であれば、転職する際にも資格有無などで正当に評価されやすい傾向があります。
4.社員のスキルアップに関心がある
大卒であれ高卒であれ、学歴に一切関係なくスキルアップは結局自分でやるしかないものです。
社内で成果を上げるにしろ転職するにしろ、高いスキルを保有しているに越したことはありません。
社員のスキルアップに関して、会社側が補助をしてくれるなら良い会社だといえます。
そして、そういった会社は以下のような福利厚生を備えていることもあります。
- スキルアップ休暇の支給
- 資格の受験費用を会社が負担・折半
- 勉強のための書籍購入費を会社が負担・折半
- 認定資格やスキルの保有で給与に手当を付与
これらを利用すれば、社員のスキルに無関心な会社の社員と比較して、スムーズにスキルアップしていけるでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
どの働き方でもスキルアップは必須
一つの会社で働くにしても、転職前提のキャリアプランで働くにしても、スキルアップは絶対に必須です。
離職率が低い会社を選び、同じところで長く働きたいなら、その会社のなかで評価されるスキルを磨くようにしましょう。
転職前提で働く場合は「今の職場で何を得るのか」「その得たスキルをどう将来に活かすのか」を考えなければなりません。
誰からも評価される高いスキルを身につけ、必要とされる人材であり続けることこそが、一番の安定して働くポイントなのではないでしょうか。
まとめ
高卒でも安定した仕事に就くことは可能です。
ですがまずは、自分のなかで「安定した仕事とは何か」をしっかり定義しておく必要があります。そうすることで、自分にとっての安定した仕事を探しやすくなるのです。
その上で、以下のようなポイントに絞って企業を探してみましょう。
- 法令違反をしていないか確認する
- 学歴ではなく成果を評価される
- 資格保有や過去の成果でスキルの有無を判断される
- 社員のスキルアップに関心がある
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