もくじ
3月〜4月は人の異動(移動)が特に多く見られる時期です。
新社会人として新しい生活をスタートさせる新卒の方はもちろん、第二新卒として新しい会社での勤務を開始する方もいるかと思います。
そんな中で大きな話題となった格安旅行会社『てるみくらぶ』の破産騒動。
すでに旅行代金を振り込んだ方だけでなく、海外旅行中の方にも大きな被害をもたらしました。
てるみくらぶ倒産の影響は旅行者だけではありません。
4月入社の新卒者がこの破産により『内定取り消し』になってしまったといいます。
せっかく入社が決定していたのに、この時期に内定取り消しなんてあんまりですよね……
内定先企業の倒産による『内定取り消し』は頻繁に出会う事例ではありません。
ですが、UZUZに登録してくださる方の中にも「内定先が経営不振で倒産してしまって…」という方はいらっしゃいます。
この記事では、てるみくらぶをはじめとする過去の内定取り消しの事例を振り返るとともに、「もし内定取り消しにあったら」をまとめていきます。
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旅行業界内の倒産では戦後4番目の規模!『てるみくらぶ』の破産騒動
旅行業界の中堅に位置していたてるみくらぶ。
海外への格安旅行を売りにし顧客を集めていました。
しかし、膨大な広告費用により資金繰りが追いつかなくなってしまい、今回の倒産となったようです。
そんなてるみくらぶですが、4月入社の内定者がなんと50人以上もいました。
当然この経営状況で新卒社員を採用できるはずもなく、3月27日に開かれた内定者向け会社説明会にて、全員に内定取り消しが言い渡されたそうです。
苦労して獲得した内定が入社わずか5日前に取り消されるなんて誰が想像できたでしょうか…
この事態を受け、国や企業が救済の動きを見せています。
厚生労働省では、東京・大阪の新卒者専用ハローワークに相談窓口を設置し、一刻も早く内定を獲得できるようサポートする体制を整えました。
企業の中には「てるみくらぶに内定が出ていた方には無試験・無面接で内定を出す」と発表しているところもいくつかあります。
参考元:
キャリコネニュース「てるみくらぶ入社5日前の内定取り消しに悲痛な声 「前途多難な人生になりそう」「祖父母になんて言えば」」
日本経済新聞「てるみくらぶ内定取り消しの新卒者相談窓口 厚労省 」
過去にはどんな内定取り消しがあったのか?
日本では、過去にはどんな内定取り消しがあったのでしょうか?
内定取り消しは、大きく分けて以下ふたつの時期に見られました。
過去にもあった『内定取り消し』:バブル崩壊期(1991年〜2003年頃)
1990年代前半に起こったバブル崩壊。
それまで続いていた好景気はあっという間に低迷し、その後日本は長い間不況の波にさらされることになります。
この不景気は「失われた10年」と呼ばれ、2003年頃まで続きました。
景気が好調のうちは企業の採用活動も活発になりますが、不景気におちいると業績安定をメインにする企業が増えるため、採用活動の動きは鈍くなります。
実際に、バブル崩壊後の1991年〜2003年頃の就職率を見ても、軒並み低下傾向にあることが分かります。
参議院発表の『経済のプリズム第108号』によると、2003年の大卒新卒者の就職率は55.1%。バブル崩壊前の就職率は80%を超えているので、とても低い数値ですよね。
ちなみに、この時期の就職活動の厳しさは大卒求人倍率にも表れています。
リクルートワークス研究所の調査によると、1999年の大卒求人倍率は0.99倍で、同調査開始以来初めて1.00倍を切る結果になりました。
17卒の求人倍率が1.74倍なので、比較すると当時がいかに厳しい状況だったかが分かります。
バブル崩壊後の就職活動は、企業からの内定が取りにくかっただけでなく、せっかく獲得した内定が取り消されてしまう事例も多く見受けられました。
厚生労働省が行った調査によると、1998年の新規学卒者内定取り消し件数は1,077件にも上り、景気が上向きになってきた2006年の19件に比べると、その差は歴然です。
様々な要因が絡み合っての結果ではありますが、バブル崩壊後の不景気が大きな影響を与えているのは言うまでもないでしょう。
参考元:
参議院 経済のプリズム第108号「若者の雇用について」
リクルートワークス研究所「第16回2000年卒大卒求人倍率調査」
厚生労働省「新規学卒者の採用内定取消し件数の推移」
過去にもあった『内定取り消し』:リーマンショック期(2008年〜2012年頃)
2008年9月、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破たんを皮切りに、世界的な金融危機が起こったことは記憶に新しいと思います。
日本でも『リーマンショック』と言われ多方面に深刻な影響を及ぼしました。
失われた10年を経て徐々に景気が回復していた日本でしたが、景気は再び後退。
学生の就職活動も厳しいものとなりました。
文部科学省の調査によると、2010年大学卒業者の就職率は60.8%。
バブル崩壊後の就職率ほどではないものの、同じくらいの低水準です。
(ちなみに同調査によれば、景気が回復した2016年卒の就職率が74.7%。2010年卒と比べ、15%近く高い就職率でした)
大卒求人倍率からもリーマンショックの影響を伺うことができます。
採用が盛んだったリーマンショック前(2008年卒)の求人倍率は2.14倍で、バブル期に匹敵するくらいの高い数値でしたが、2012年卒の求人倍率は1.23倍。
さすがに1.00倍を切ることはなかったものの、バブル崩壊後の数値に並ぶ低い求人倍率となりました。
2008年に株式会社ディスコが発表したニュースリリースを見ると、約99%の学生(当時)が「厳しい就職活動である」と感じていたことも分かっています。
事実、2009年の採用内定取り消し数は学生全体で2,083件にも登っており、大学生だけの数値を見ても1,703件を記録しています。
当時の状況は『2009年度新入社員が選ぶビジネス流行語』にも表れており、このときの1位は『内定取り消し』でした。
2位に『派遣切り』、3位に『リーマンショック』が続いているので、多くの学生が金融危機による苦しい就活戦線を感じていたようです。
参考元:
文部科学省「学校基本調査(平成28年度)」
文部科学省「学校基本調査(平成22年度)」
リクルートワークス研究所「第28回 ワークス大卒求人倍率調査(2012年卒)」
株式会社ディスコ ニュースリリース
ITmediaエグゼクティブ「新入社員の7割が「内定取り消し」を選択 ビジネス流行語ランキング」
経済危機による『内定取り消し』が多かった
上記を見てお分かりいただけたかと思いますが、日本で内定取り消しが多く見られたのはバブル崩壊後とリーマンショック後であり、いずれも日本の景気が落ち込んでいるときです。
そんな経済状況ではない中で起こったてるみくらぶによる50人以上の内定取り消しは、かなり衝撃的な事件だったと言えます。
もし『内定取り消し』にあってしまったら?
てるみくらぶのように、企業の破産や経営不振により内定取り消しになってしまった人は一定数いらっしゃいます。
自分の進路に関わることですし、「もう就職できないんじゃ…」と不安に感じるかと思いますが、日頃から多くの採用担当者と話している私たちから見れば、企業倒産等による『内定取り消し』は、あまり心配する必要はない事柄です。
内定がないのは会社都合であり、本人に落ち度はないから
まず第一に、内定が取り消されたのは会社都合によるものなので、内定者に非はありません。
同じ“内定がない”状態でも、
- 卒業単位がギリギリで就活できなかった
- 通常通り就活をしたが内定をもらえなかった
などとは状況が異なります。
そのため、内定取り消し後改めて就活を行った場合でも、企業に「それは内定がなくてもしょうがないよね」と思ってもらえることが多いので、比較的円滑に事を進められます。
ちなみに、面接を受ける際にもポイントがあります。
面接は「内定がないのは企業のせいだ!」ではなく、「確かに内定取り消しを受けたが、企業の下調べが足りなかった自分にも責任はある」というスタンスで臨みましょう。
そうすることで採用担当者にも「大変な状況なのに謙虚な人だな」と思ってもらえるので、よりスムーズな就職活動が可能になります。
企業から内定を獲得できるだけの実力があるから
『内定取り消し』はすなわち「内定を持っていた」ということです。
企業は人員を採用する際、その人の“何かやってくれそうだ”という点に期待して内定を出します。
つまり「内定がある」ことは、一企業に「この人を採用したい」と思ってもらえるだけの力を持っていることにつながるのです。
もちろん内定がないまま卒業してしまった方に力がないわけではありません。
病気や怪我などやむをえない事情を抱えている方もいますし、仮に就活が上手くいかなかった方でも、やり方や考え方を変えれば内定を獲得できる可能性は十分にあります。
内定取り消しから既卒になっても大丈夫!
いかがでしたか?
上記のような理由から、内定取り消しにあっても必要以上に心配することはありません。
新卒としてもう一年就職活動を続ける方、いち早く就職するために既卒として就活を行う方、それぞれいらっしゃるかと思います。
求人サイト(求人媒体)や人材紹介会社を利用する際には、自分の状況にあった就活サポートを受けましょう。
新卒の方は新卒向けのサービス、既卒の方は既卒向けのサービスを利用することで、より効率的かつ確実に就活を行うことができます。
内定取り消しになってしまい、現在就職活動中の方は、私たち就職エージェント・UZUZまでお気軽にご相談ください。
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