今ではどんな仕事においても、当たり前のように機械が使われるようになりました。パソコンやプリンター、携帯電話に自動車など、ほとんどのものが機械で動いています。その機械製品を裏で支えている、製造の中心になる仕事が「機械設計」です。
では具体的に、機械設計とはどのような仕事なのでしょうか。基礎知識から業界の動向まで紹介していきますので、ご一読ください。
「機械設計」の基礎知識
一口に「機械設計」といっても、その内容は細かく分かれています。
「機械設計」とは
「機械設計」の対象は非常に広範囲です。大きいものになると工場などの設備関係、小さいものでは私たちにも馴染みのある携帯電話などです。機械にはパーツがあり、その一つ一つを製作する上では必ず設計が必要となります。
その重要な設計を担うのが「機械設計」なのです。
「機械設計」の業務内容
メインで担当する業務は機械部品に必要な構造・形状・機能を、図面に書き起こすことです。「CAD」と呼ばれるコンピューターのソフトを用いて、設計と製図を行っていきます。けれども、ただ図面を完成させれば終わりではありません。実際に製作に取り掛かる際に考えておかなければならないことが多くあるのです。
製作物自体の品質や製作にかかるコスト、納期といった細かい部分まで考えた上で図面を仕上げていく必要があります。
「機械設計」に携わる業界!
機械設計を必要とする業界は多岐に渡るので、今回は「工作機械」や「電機大手」など、機械を設計のエンジニアを多く必要としている業界TOPを3社ご紹介します。
工作機械
1位:FANUC
工作機械の頭脳である「NC装置」を手掛けているFANUC。世界トップシェアを誇っており、山梨県に本社がある企業です。
売上高は7297億円、純利益は2978億円に上ります。
電機大手
1位:日立製作所
日立製作所は重電系の電機最大手として知られており、グループ連結で売上高9兆7619億円を誇っている大企業です。
国内全業種の中では、トヨタ自動車についで第2位となる従業員数であり、日本のトップ企業として活躍しています。
参考:理系人気ランキング1位の総合電機メーカー!「日立」企業研究
自動車
1位:トヨタ自動車
トヨタ自動車株式会社の売上高は、グループ連結で2012年3月時点で18兆5,836億円、従業員数は単独で2012年3月末時点で69,148人に上る日本を代表する大企業です。
売上高・営業利益が向上してきており、設備投資や研究開発を積極的に行っています。
参考:世界一の自動車メーカーは就活で大人気!「トヨタ」企業研究
機械設計に向いてる性格とは?
概要を聞いただけでも、かなり繊細な仕事内容であることがお分かりいただけたと思います。
では、「機械設計」の仕事をする上でどのような人が向いているのでしょうか。
ロジカルシンキングが身についている人
「機械設計」において、ロジカルシンキングは欠かせません。製品の企画から、図面製作までの工程を順序立てて考え、実行する力が必要です。
図面が完成した後にも、試作品の制作、修正箇所の検証なども行います。これらの作業を、行き当たりばったりではなく計画的に行える人には向いている仕事といえるでしょう。
アイデアを出すことが得意な人
製品の企画時に、「今までの概念から外れた製品を作ってみたい」というアイデア力が求められます。機械製品は、日を追うごとに進化しつつあるのです。また、見た目ではなく、コストや品質にこだわるためのアイデアを出すことも、力の見せ所。
枠にとらわれず、アイデアをたくさん出して、形にできるものに辿り着ける力が重要です。
コミュケーションをとることが得意な人
「機械設計」は、工程に分けて作業をする必要があるので、一人では完成させることができません。製品を作る目的やコスト、どのようなスペックにしたいのかを、お客様や担当者と打ち合わせする必要があります。目的の製品を作るためには、相手から詳細な情報を聞き出せる力が必要不可欠。
コミュケーションをうまくとることができれば、仕事を有利に進めていけることでしょう。
機械工学全般の知識がある人
「機械設計」は、実は設計ができればいいというものではないのです。機械工学と呼ばれるが工学があり、それは「熱力学、機械力学、材料力学、流体力学」の4つに分かれています。これらの科目をしっかりと理解できていることも、「機械設計」には求められます。
材料の強度や、耐熱性などの細かい部分を熟知し、材料の特性をいかすことは、設計の大切な仕事の一つといえるでしょう。
機械設計業界の動向
機械設計業界は景気が右肩上がり
一時期は落ち込みを見せた機械設計の業界ですが、2014年後半から現在にかけては、業界全体での売上はよくなりつつあります。機械設計を目指す方にとっては励みになる情報ですね。
「機械設計」は取り扱う製品の範囲が広く、工場などの設備から精密機器の中で、需要のある製品が伸びてくれば、その分仕事も増えるようになります。
また、正社員雇用の割合も高いので、しっかりとした技術を身につけていれば、幅広く活躍できる業界といえるのではないでしょうか。
設計内容の複雑化
近年、機械設計で扱う機械製品自体がかなり複雑化していきています。精密機器などの非常に細かい製品になると、設計段階でも繊細な製図と情報判断が必要となるでしょう。
大きいものでは、自動車のデザインや性能も年々変化しているので、変化に伴ったスキルの向上が求められます。
まとめ
「機械設計」の仕事は、私たちが日常的に使っている自動車や、携帯などの製作を裏で支える重要な仕事。この仕事がなければ、製品の開発を進めることができないのです。段取りを組むための思考力や、確実に完成させていく高い技術力が必要な分、自分が携わった製品が世に出た時の達成感が、仕事のやりがいにつながるといえるのではないでしょうか。
機械製品自体の需要は、これからも高まっていくといえるでしょう。その高まる需要を背景に、活躍できるフィールドが広がっています。
習得した知識や技術をいかしたいとお考えの方や、ものづくりに携わりたい方は是非挑戦してみてくださいね。