3.外食産業のビジネスモデル
外食業界がどのようにして利益を得ているのかを、
- 個人経営の場合
- 企業経営の場合
の2つの場合わけで利益の出し方を見ていきましょう。
基本になるのはやはり: 利益=売上 − 費用 です。
Scene1. 個人経営の場合
〜おふくろの味をウリに家族みんなで営業している、御食事処『うずうず』〜
このお店の利益の出し方についてみてみましょう。
Ex) 駅から徒歩15分 客単価2500円のお店 うずうず
売上 − 費用 = 利益
2500円(客単価・売上) − 1000円(材料費) − 500円(人件費) − 200円(諸経費) – 100円(家賃)
=700円(一人当たりの利益)
700円 × 10人(1時間あたりの客数) = 7,000円(1時間あたりの利益)
7,000円 × 8時間(1日の営業時間) = 56,000円(1日あたりの利益)
56,000円 × 20日(1ヶ月あたりの営業日数) = 1,120,000円(1ヶ月あたりの利益)
1,120,000円 × 12ヶ月 = 13,440,000円(1年間の利益)
という式で利益を計ります。
Scene2. 企業経営の場合
企業が経営しているというと、居酒屋やファーストフード店など、もう皆さんご存知の通り。でも、このタイプの利益の出し方はScene1とは少し異なってきます。個人経営の場合は自宅が店舗だったり、家族での経営の場合もあるので、経費や人件費の部分で企業側とは異なってきます。
企業の利益を計る時には、
・ 広告宣伝費(ホットペッパーetc)
・ 正確な人件費
・ 家賃(テナント代)
・ 諸経費(水道光熱費など)
などがかかるので計算することが難しくなってきます。居酒屋などは、粗利率が3割と言われているので、その数字通りいくと仮定して損益を概算してみようと思います。
例:居酒屋チェーン
客単価3,000円・座席数40席・火曜定休・回転率2回転(ちょっと多めを仮定!!)
粗利益
40席(座席数) × 3,000円(客単価) × 2回転(1日あたりの席の回転率) = 240,000円(1日あたりの売上)
240,000円 × 30%(粗利率) = 72,000円(1日あたりの粗利益)
72,000円 × 312日(1年間の営業日数) = 22,464,000円(1年あたりの粗利益)
人件費(常に社員2人、アルバイト4人いると仮定)
社員 月給20万円 × 2人 = 400,000円
アルバイト 時給900円 (延べ10時間勤務)900円 × 10時間 × 25日 × 4人 = 900,000円
(400,000円 + 900,000円) × 12ヶ月 = 15,600,000円(1年間にかかる人件費)
家賃・諸経費
家賃 月250,000円
諸経費(水道光熱費等含む) 200,000円
450,000円 × 12ヶ月 = 5,400,000円(1年間にかかる家賃・諸経費)
広告宣伝費(ホットペッパー)
掲載のサイズ・掲載地域によりますが、4万円(1/16P)〜85万円(1P)ほどかかるらしいです。複数回掲載を依頼すると仮定して、半年間の契約を行うとする。
50,000円 × 6ヶ月 = 300,000円(1年にかかる広告宣伝費)
営業利益
これまで計算してきた売上と費用を代入すると、
22,464,000円(売上総利益) – 15,600,000円(人件費) – 5,400,000円(諸経費) – 300,000円(広告宣伝費) = 1,164,000円(利益)
ギリギリ黒字です・・・。居酒屋経営、難しい・・・。
経営を改善するには?
このモデルは仮のものですが、今よりも黒字を出すために改善すべき点は、
・ 客単価を上げる
客単価というのは、そのお店を開業する時点で対象としている年齢層や金額の幅を考慮して営業しているので、経営方針の大転換を図らない限り、客単価向上は難しいことです。居酒屋チェーンの和民が、ある日いきなり高級志向のお店になっても、逆にお客さんが来なくなるかも知れないですよね?
・ 営業時間を延ばす
回転率にも関連しますが、営業時間が延びれば回転率の向上にも繋がりますよね。ただ、働く側に取っては労働時間が長くなったりするので、キツいかも・・。
・ 回転率を上げる
一般的なお店の回転率の平均値は1.5〜2.0ですので、これ以上は厳しいかもしれないです。(当然、営業時間が長ければ回転率は上がりますが・・・)
・ 経費を抑える
経費を抑えれば、それだけ利益にプラスの影響になりますよね。それぞれ考えてみると、
a. 人件費: 少ない人で仕事をまわせば、人件費は安く済みます
b. 内部設備: 注文を人ではなく、タッチパネル式に変えることで、業務効率の向上が可能です
c. テナント運用: ここはちょっと新しいタイプで、前のテナントが利用していた内装をそのまま居抜き物件として使うことで、最初の出店費用を安く抑えるというもの
d. 経営計画の抜本的な見直し:アイドルタイムを無くす取り組みを行うかどうかなど。時間帯ごとの来店客数や注文品数や客単価データをどれだけ分析して経営計画に取り入れていくか。時間ごとにサービスのスタイルを変えていくことも必要になってきますね.
と、いくつか挙げられるものの、どんどん新しい工夫をしていかないと厳しい経営を強いられるようです。飲食店の店長を任される立場の方は、上記のようなポイントを意識しながら働ける能力が必要であると言えますね。
ex) ステーキハウスけん (エムグラントフードサービス)