もくじ
最近、こんな声を耳にする機会が増えたと思いませんか?
ネットやSNSをちょっと覗いてみてください。
「働き方」に関する情報が連日たくさん飛び交っているのが分かると思います。
どうしてここまで「働き方」がホットワードに上がっているのでしょう?
それは、日本が今「働き方改革」を推し進めている真っ最中だから。
- 時間外労働の規制
- 正社員と非正社員の格差改善
このように、日本の「働く環境」は日々少しずつ整備されている状況です。
さて、そんな中!
「働き方」に焦点を当てたTBS火曜ドラマ【わたし、定時で帰ります。】が放送されました!
定時退社を信条とする女性社員の物語で、放送当時はTwitterやネットでも大きな反響を読んでいました。
今回は【わたし、定時で帰ります。】の内容から見える、日本の労働状況や最近の労働に対する感じ方の変化などを紐解いていこうと思います!
- 【わたし、定時で帰ります。】のあらすじ
- 【わたし、定時で帰ります。】から見える日本の労働生産性
- 「日本の古いルール・しきたり」を生んだのは「就職氷河期」?
- 「ゆとり世代」に見る現代の働き方
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【わたし、定時で帰ります。】ってどんなドラマ?
さて、まずは【わたし、定時で帰ります。】のあらすじ・登場人物の紹介から!
物語の舞台は今時のWeb制作会社。
主人公は吉高由里子さん演じる東山結衣です。
主人公・東山結衣(吉高由里子)はWEB制作会社で働くディレクター。 過去のトラウマから入社以来、残業ゼロ生活を貫いてきた。 理由が無ければ帰りづらい風潮の中で、仕事中は誰よりも効率を追求し、生産性の高い仕事をし、定時になるときっぱり退社。 行きつけの中華料理屋でビールを嗜み、恋人・諏訪巧(中丸雄一)との時間も大切にしている。 だが新任の部長が赴任したことをきっかけに、結衣の前に曲者社員たちが立ちはだかる。
引用元:TBS「わたし、定時で帰ります。」
定時帰りをモットーにしている結衣(吉高由里子)の周りには、様々な社員がいます。
以下はその一部です。
- 三谷佳菜子(シシド・カフカ)
結衣の同僚。会社を1日も休んだことがない、仕事命な人間。
- 種田晃太郎(向井理)
結衣の元婚約者。仕事はできるものの、ワーカホリック気味。
- 福永清次(ユースケ・サンタマリア)
起業経験もあるやり手の新任部長(ただし無意識にブラック発言連発)。
彼ら・彼女らは、結衣やその他の新人社員たちに 「もっと頑張らなきゃ!」 「仕事は無理をしてでもやるべき」 こんな価値観を示そうと(押し付けようと)します。
物語は、そんな曲者社員たちが抱える問題に結衣が立ち向かっていくというストーリーです。
ちなみにこの記事は以下の動画でも解説しています!
【わたし、定時で帰ります。】から見える日本の労働生産性
さて、ここで結衣(吉高由里子)の仕事ぶりについて見てみましょう。
あらすじ部分でも書きましたが、結衣は「定時帰り」「残業ゼロ」を信条にしている社員です。
この部分だけ聞くと「それってどうなの?」と思う人もいるかもしれませんよね。
では結衣は仕事を残したまま、ただ定時に帰宅しているのでしょうか?
いいえ、違うのです。
結衣は決して仕事をサボっているわけではありません。
むしろ、常に効率と生産性を考えながら圧倒的なスピードで仕事をするワーキングガールだったのです。
結衣の働く様子をちょっと見てみましょう。
- その日の業務は全てタスクで管理
- 無駄なミーティングには出ない
- 慣例的な飲み会も行かない
- 何事も効率化して無駄を徹底的に省く
どうでしょうか? 決して仕事をおろそかにしているわけではない、というのが分かりますよね。
むしろ正しい「努力」によって仕事を効率化する、非常に優秀な社員です。
このようにして結衣はその日のうちに仕事を全て終わらせ、行きつけの中華料理屋で一杯引っ掛けて帰る生活を送っているのです。
ここで「生産性」の話が出てきたので、日本の労働生産性に焦点を当ててみたいと思います。
「公共財団法人・日本生産性本部」が出した資料によると、日本の「時間あたりの労働生産性」はこのようになっていました。
※OECD加盟国の平均金額:53.5ドル
順位:20位(OECD加盟36カ国中)
日本の時間あたりの労働生産性は、OECD加盟36カ国中20位。
下から数えた方が早く、正直高いとは言えませんね。
さらに主要先進7カ国に絞ると、日本の労働生産性は7カ国中最下位という結果でした。
ちなみに「先進7カ国の中で最下位」というのは、データが取得可能な1970年以降ずっと変わっていません。
つまり50年間、日本の生産性は先進国の中でずっと低いままなのです。
では、どうして日本はこんなにも生産性が低いままのでしょうか?
これには挙げたらキリがないくらい、様々な要因があると思います。
- 上層部の決断力が弱い
- 無意味な会議ばかりする
- 過剰なまでの丁寧さ・完璧主義
- 残業ありきでの報酬を考える体制
- 「長く働くこと」を美徳とする文化 など
これ以外にも「日本の生産性が低い細かな理由」はいくらでも出てきます。
しかし結局のところ問題なのは、 日本に残る「悪しき慣習」が時代が変化してもなかなか変わらない これに尽きると思います。
基本的に日本は、新しい文化や考え方を取り入れることに消極的ですよね。
既存のルール・しきたりを守ることに重きを置く傾向が強いと思います。
そしてこの「古いルール・しきたり」。
まさにこれが、日本の生産性を低下させてしまっている原因のひとつです。
上にも書きましたが、この考え方がいい例です。
- 仕事をするなら長時間働くべき
- 会社のために身を粉にして働くことがえらい
日本には、長らくこの考え方が根付いていました。
というより、今もこの文化に染まっている会社は多いと思います。
(事実、結衣が働く会社にもこういう考え方の社員はいますよね)
こういった「古い考え方」がなかなか消えずに今もなお残っている。
それが問題なのではないでしょうか?
「日本の古いルール・しきたり」を生んだのは「就職氷河期」?
ではこの「日本の古いルール・しきたり」。
- 仕事をするなら長時間働くべき
- 会社のために身を粉にして働くことがえらい
これはどうして生まれたのでしょうか?
理由は様々ですが、これには「就職氷河期」が少なからず影響しているはずです。
ここで、就職氷河期(1993〜2005年)の大卒の求人倍率を見てみましょう。
(リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査」を元に作成)
このグラフを見ると、バブル崩壊後(1991年以降)は求人倍率がどんどん下がっているのが分かるかと思います。
ピーク時は2.86倍もあった求人倍率は、1996年には1.08倍まで低下。
さらに2000年には、1倍を切る0.99倍にまで落ち込んでしまいました。
このことからも、就職氷河期時の数字がいかに厳しいものだったかが分かりますよね。
そして当然この数字からも想像できるように、この時代の就職は非常に難しいものとなりました。
それは【わたし、定時で帰ります。】の原作者、朱野帰子さんの記事からも分かります。
実は朱野さん、元々小説家になる前は長く企業で働いていた方でした。
しかもまさにこの「就職氷河期」を経験していた方だったのです。
以下は朱野さんの記事の抜粋です。
就職氷河期を辛くも生き延び、なんとか零細企業の正社員の椅子に座らせてもらった私は、ろくな研修も受けないまま現場に投入されました。
(中略) 一つでもミスをしたら、自己責任の名のもとに、ワーキングプアになってしまう。
あの頃の新卒社員は皆そう思っていたのではないでしょうか。
結婚も出産もできず、たどりつく先はホームレスかもしれない。 生き残るために、たどりついた答えは、ただひとつ。上司の言いなりになって働くこと、でした。
(中略) さらに、その2年後、とある取引先から発注された業務の量が多すぎたことが原因で、今度は私が過労で入院しました。
復帰して取引先に納期が遅れたことを謝りに行った時、大丈夫ですか、の一言もなく「病気はしないでください」と言い放たれたことを覚えています。
引用元:現代ビジネス「『わたし、定時で帰ります。』はゆとり世代のある問いから生まれた」
就職氷河期の中、なんとか零細企業に入社した朱野さん。
文面からも、かなり過酷な環境で働いていたことが伺えますよね。
あなたはこれを読んでどう思いましたか?
もしかしたらそう思った人もいるかもしれませんね。
確かに「今」だったらできると思います。
でもこの時代は、それができなかったのです。
上にも書きましたが、就職氷河期は求人の数が今よりも大幅に減ってしまった時期。
会社に入るのでさえやっとでした。
こんな状況に立たされると、多くの人はこう考えます。
- 今辞めたらきっと次はない
- 拾ってもらっただけありがたい
- 辛くても会社のために働かないと
そうして無理をし続けた結果、 自分を犠牲にして働くことが当たり前 このような考え方が意識の中に植えつけられてしまったのだと思います。
さて、ここで【わたし、定時で帰ります。】に話を戻しましょう。
結衣の同僚には三谷(シシド・カフカ)という女性がいます。
どんな状況でも決して会社を休まない、自分を犠牲にしながら働き続ける仕事命の女性です。
彼女は結衣や後輩にこんな持論を展開しています。
- 仕事は無理をしてでもやるべき
- 新人は30分前に出社して先輩の下働きをするべき
- 体調が悪くても、台風でも、絶対に会社には行くべき
正直「いやいやそれは……」と声に出したくなるような内容ですよね。
でも、彼女にとってはこの働き方しかなかったのです。
就職氷河期を経験し、やっと入社した会社でも怒られる日々だった三谷。
要領の悪さもあり、どんなに頑張っても褒められることがなかった彼女は 「自分が悪いんだ」 「人の10倍努力しないといけないんだ」 そうやって自分を追い込むことでしか、居場所を見つけられなかったのです。
就職氷河期に就職し働いてきた人たちは、三谷のように辛い思いをした人も多かったはずです。
本当であれば 「次に入ってくる人には自分と同じ思いをして欲しくない」 そう思うべきなのかもしれません。
でも中には
- 自分はあんなに辛い思いをしたのに
- これくらいで大変と言っているようではダメ
- なんでもっと頑張れないの?
こういった考え方を悪気なく、無意識に押し付けてしまう人もいたことでしょう。
これらは次第に文化となり「日本の古いルール・しきたり」として現代まで残りました。
そういう意味でも、就職氷河期が私たちに与えた影響はとても大きいと思います。
「ゆとり世代」に見る現代の働き方
さあ、最後はこれからの時代をつくる、現代の働き方を見ていきましょう!
これは【わたし、定時で帰ります。】の新人社員たちの様子からも、見て取ることができます。
三谷やその周りの社員たちとは違い、彼ら・彼女らは実に「今時」な考え方です。
実際仕事できつく怒られたり、過度な「頑張り」を強要された際には、こんな反応を示していました。
- ちゃんと自分の意見を言う(時に反発する)
- 辛かったら「会社を辞める」と言う
就職氷河期時代の人からすれば「何てことを言うんだ!」と思う出来事かもしれませんよね。
なぜこのような反応の若者が生まれるのでしょうか?
それには、こんな時代背景も影響していると考えます。
- 就職氷河期時代より求人数豊富
比較的会社を選ぶことができる
- 1つの会社で働き続ける意識が薄れている
終身雇用が機能しなくなっているため
- “入りたい会社”に入る若者が増えている
会社を知る機会が以前より増えたため
今は就職氷河期の頃より雇用が安定しています。
そのため「今辞めたらクビになるかも……」 「やっと拾ってもらった会社だから」このような考え方をする若者はあまり見られなくなりました。
むしろ今は、ある程度条件をつけて会社を選ぶ人が増えたように思います。
そのことはこちらの「大学生就職意識調査」からも分かります。
(マイナビ「大学生就職意識調査」を元に作成)
就活生が会社を選ぶポイントは「やりたい仕事ができる会社」が長らく1位を走っていました。
しかしここにきて「安定している会社」が追い上げを見せ、今年の調査(20卒の学生対象)で、ついに2位から1位になったのです!
さらに「給料がいい会社」も、ここ最近で急上昇していることが読み取れます。
「安定」「給料」が上昇してる!
どうせ仕事するなら条件の良いところ、働きやすいところを選びたい。
彼らにはこんな気持ちがあるのかもしれません。
冒頭にも書きましたが、今は国が「働き方改革」を推し進めている真っ最中です。
無理をしてまで働く 自分を殺してまで働く
これはもう、一昔前の働き方です。
今は、もっと自分を尊重した働き方をする時代に変わりつつあります。
でも中には「これだからゆとりは」のような言葉を投げかける人もいるかもしれません。
でもこれは若いあなたが気にする必要のない言葉です。
事実、昔から時代が動くたび「最近の若者は」と揶揄されることは多々ありましたからね!
時代・場所に限らず、新しい文化や価値観をなかなか受け入れられない人は必ずいます。
さて、少し話が逸れてしまいましたがここまで長く書いてきました!
今回のドラマ【わたし、定時で帰ります。】は、感情移入できる登場人物が観る人によって違うはずです。
- 新しい価値観をなかなか受け入れられない人
- 悪しき文化を経験しつつ、今の時代に合った働き方を模索する人
- これからの時代をつくっていく人
そんなすべての人に刺さるドラマです。
あなたは誰に共感しますか?
労働の価値観は人によって異なります。
これからの時代に必要なのは、この「価値観は人それぞれ違うこと」を受け入れていく姿勢なのではないでしょうか?
【わたし、定時で帰ります。】は、それを考え直すいいきっかけになってくれるはずです!
何が「正しい働き方」なのか、自分に合った働き方はなんなのか。
そういう部分を知りたい!
そんなあなたは、ぜひ一度UZUZに相談してみてください!
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