もくじ
KSKテクノサポート社長|松岡 洋一さん
プロフィール
性別:男性
年齢:59歳
出身地:広島県広島市出身
最終学歴:法学系/1980年卒
性格:情熱的、涙もろい、根っからの広島カープファン
好きな食べ物:どら焼き、きんつば、シュークリーム、ショートケーキ
好きな選手:黒田博樹
私の人生を変えた、浪人時代の広島東洋カープ初優勝
松岡さんに質問です。今は社長ですが、若かりし頃の松岡さんはどのような人だったんですか?
私は広島県広島市に生まれたのですが、どこにでもいる普通の若者だったと思います。社長をやっていると、順風満帆に今までやってきたように思うかもしれませんが、人生初の大きな挫折は意外と早く経験しました。
どんな挫折を経験したんですか?
志望校の大学に受かるまでに2浪したことです。
私は小さい頃から「これぞ昭和!」という厳格な親父のもと厳しく育てられました。「高校出たら一人暮らしするんだ!」っていつも考えていました。なので、高三での入試に失敗して浪人することになったんだけど、実家で浪人せずに京都の駿台予備校の寮に入って一人暮らしをしていました。
浪人1年目は親父からの開放感から勉強に身が入らず浪人生なのに遊びすぎてしまって。志望校に受からなくて1年目の浪人は見事に失敗してしまったんです。その時には、親父から「大学に進んでくれと誰が頼んだ?やる気がないならさっさと地元に帰って来い!」と強烈に叱責されたもんです。
この時は自分の情けなさと不甲斐なさに落ち込んだものです。
確かに意外ですね。その挫折をどのように乗り越えたんですか?
私は小さい頃からの生粋の広島東洋カープファンです。親父や親戚のおじさんとよくカープの試合を見に行っていたもんです。私が浪人していた頃のカープは前年まで3年連続最下位の弱小チームでした。しかも、球団創設以来一度も優勝したことがありませんでした。
そんな浪人1年目の受験に失敗した次の年にカープが球団創設以来の初優勝を成し遂げたんです。この時は本当に嬉しかった。予備校行く前にスポーツ新聞の朝刊を全部買っちゃうくらい嬉しかった。この時に「あのカープが優勝したんだ。次は俺が合格する番だ!」って発破がかかりました。
そして、それからは受験勉強にも今まで以上に身が入って、2浪で志望校に合格することができたんです。私の人生初の挫折はカープに引っ張られるようにして乗り越えられました。
カープに学ぶチームマネジメントと人材育成
私も野球好きなので「最下位から優勝」のスゴさはわかります。1年で何がそんなに変わったんでしょう?
一言で言うと、選手たちの「意識が変わった」んだと思います。それまでのカープは万年Bクラスの弱小球団でした。だから、選手たちにも負け犬根性が染み付いていたんです。
そんな時に球団初の外国人監督として、ジョー・ルーツが監督に就任。「野球に対する情熱を前面に出そう」というスローガンの元、燃える闘志を表す意味をこめて帽子・ヘルメットの色が紺色から赤色になりました。ルーツは就任した年の4月に球団首脳との意見の相違から退団してしまったのですが、そのスピリットは選手たちの中に残り、球団初の優勝まで突っ走りました。
「野球に対する情熱を前面に出そう」と言っても具体的に何が変わったのか分かりづらいですよね。私の目から見てカープの何が変わったかというと、それは「徹底的に」勝負にこだわることだったと思うんです。「去年勝てなかったんだから今年も負けるだろう」と考えるのではなく、目の前の勝負に対してできることを「徹底的に」やるという意識が選手に芽生えたように感じました。
確かに意識が変わると、人もチームも見違えるほど変わりますよね?
そうなんですよ。上司や先輩から「あれをやれ、これをやれ」と言われて、ぱっとしなかった若手社員が、ある日急に見違えるように仕事ができるようになることがあります。その若手社員に話を聞くと何かきっかけとなることがあって、劇的に仕事に対する意識が変わったと言うんです。
このように人材教育で重要なことは、意識を変えて自発的に成長できる状態を整えることだと私は考えています。カープが常勝チームに変貌したように、伸び悩んでいる若手社員の意識を変えることで成長をサポートすることが、若手人材を採用する会社には求められていると思います。
教えられるのではなく、自分で気づくことでのみ意識は変わる
ちなみに、KSKテクノサポートでは社員の意識を変えるためにどのような取り組みをされているんですか?
うちの会社の場合だと、まずはKSKカレッジでの新人研修という取り組みでしょう。この研修は、入社前に会社の寮に入って、同期と寝食をともにしながらCCNAという資格を取るためのプログラムです。このプログラムには、新しく社会人として働こうとする若者に対して二つのことを学んでもらうという狙いがあります。
それは「個人としての達成感」と「チームとしての達成感」です。もちろん個人として未経験者から専門資格であるCCNAという資格を取ることによって得られる達成感も重要です。でも、同期が協力し合い、結果を出すことで得られる達成感はより格別だと思います。
仕事というのは、多くの場合、一人ではできません。なので、結果を出すためにチームで協力することの大切さをただ教えるのではなく、集団研修というかたちで自分たちの身を以てその重要性を感じて欲しいのです。これが一方的にノウハウを教えることではなく、社員の「意識を変える」ことに繋がります。
会社と社員が良好な関係を築くための「健康経営」という答え
人材教育以外に会社を良くするために工夫していることはありますか?
会社を良くするための取り組みとして、うちの会社は「健康経営」をコンセプトにしています。「健康経営」とは、その言葉の通り社員が仕事をしながらも心身ともに健康でいられる環境を作ることです。
野球でも「走・攻・守」が揃った選手はチームにとって欠かすことのできない中心選手になります。会社においても「心・技・体」の揃った人材は会社を引っ張るような活躍をしてくれます。うちの会社だとネットワークエンジニアですから、「心(人間性)」「技(知識・技術)」「体(健康)」といったところでしょうか。
具体的に「健康経営」のために何をしているんでしょうか?
うちの会社は全員たばこを吸いません。入社する際にたばこを吸っている場合は、禁煙することが入社の条件です。もちろん、「健康経営」を打ち出した時には社員にも喫煙者はいました。でも、現在は根気強く禁煙のために努力してくれています。リバウンドしてしまい、どうしても吸ってしまう社員もいますが、会社としてフォローしながら無理なく禁煙に近づいてもらっています。
仕事というのは、生活のためにすることですし、人間としてより良い人生を送るためにあると考えています。なので、仕事によって心身を病んでしまっては意味がありません。仕事を楽しむためには人生を楽しいものにしなければなりません。また、人生を楽しむためには仕事を楽しいものにしなければならないと思います。
これからのIT業界に求められる人材は「カープ人材」
変化の早いIT業界において、今後どのような人材が求められると思いますか?
確かにこれからのIT業界は今まで以上に変化のスピードが早くなると思います。「IoT(いろいろなものがインターネットに紐づく世界)」の流れによって様々なものがITによってどんどん便利になっていくはずです。今までの常識が通用しないくらい新しい技術が生まれてくるでしょう。その変化に対応できる人材が求められている。
つまり、ちょっと仕事を覚えたからといって、できることにいつまでもしがみ付いて新しいことを学ぼうとしないというのは全くダメです。常に新しいことに挑戦することを恐れず、自分の意識を変え続けられるような「カープ人材」であれば、これからもどんどん変化していくIT業界をたくましく生きていけると思います。
最後に今年のカープはどうでしょうか?
今年は黒田も帰ってきて開幕前は優勝候補だったけれど、予想に反してあまり結果が出ていない。でも、カープには時には厳しい言葉をかけるけどカープに愛情を注ぐ熱狂的なファンがたくさんいる。私もそんな熱狂的なファンの一人ですが、このファンがいる限り、後半戦は必ず結果を出してくれると信じています。