今、銀行業界で注目されているものって何?
続いては、現在の銀行業界で注目されているものを、紹介します。
データガバナンスの強化で今以上にリスクを減らす
リーマンショック以降、リスクデータに関する統制強化に注目が集っています。2016年をメドにデータガバナンスの高度化が求められているのです。既に2014年10月に三菱東京UFJ銀行では、最高データ責任者(CDO)という新たなポストを設置しました。メガバンクの一つが先人をきったことで、銀行業界全体で注目を集めています。
データガバナンスを高度化することで、各業態の事業会社の情報をより正確に掴むことが可能になります。当然、リアルタイムです。そうすることで、今まで簿妙に異なっていたリスク関係のデータが統一されるのです。融資をする際に生まれるリスクを、極限まで減らすことができます。
簡単にいうと、データガバナンスを高度化することで、融資をするべきか、見送るべきかの判断が正確になるということです。融資業務は銀行の収入源ですから、各銀行が注目するのも頷けます。
SNSとの連携でネットバンクへスムーズに誘導
大手SNSの一つであるFacebookが発表したFacebookバンキングも、注目を浴びています。これは主に、銀行離れが進んでしまっている若者層がターゲットです。
NRIが行ったアンケートによると、20代から30代の若者のインターネット利用率は、約82%と非常に高いものです。しかし、ネットバンクの利用率は21%とそれほどでもありません。インターネットは普段から利用しているのにも関わらず、ネットバンクには見向きもしない層が大多数いることになります。そのため、インターネット利用者をネットバンクに誘導するために、大手SNSのFacebookが手を挙げました。
通常では銀行のHPから、ネットバンキングの申し込みをするのが通常です。しかしそれでは、あらかじめネットバンクに興味がある層しか引き込むことができません。その点、Facebookバンキングの場合、Facebookの銀行ページから直接、ネットバンクの申し込みが可能です。
つまり、Facebookを見ているユーザーに銀行の広告を見てもらい、興味を持ってくれた人をダイレクトに、ネットバンクに案内することが可能になっています。
期待も課題も多いネットバンク
2000年初頭に登場したネットバンクですが、急激に利用者が伸び始めたのは2007年以降です。まだまだ発展途上の分野と言えます。登場以降、着実に利用者は増えていますので、今後も銀行業界において期待が持てます。2012年から2014年の二年間の間でも、口座数は25%増加していますし、預金金額の総額は37%もアップしています。
しかし、最も利用者が多い楽天銀行ですら2014年の時点で460万口座と、そう大きいものではありません。まだまだ改良の余地がある分野です。
今後は、未だにネットバンクを身近に感じていない人達への発信が必要です。しかし、普段インターネットを使用していない人には、ネットバンクの存在が届きにくいのも事実です。まだ、ネットバンクに目を向けていない層に、どのようにアピールしていくのかは、各ネットバンクの大きな課題です。効果的な戦略が出現すれば、銀行業界全体の救世主になれる可能性も秘めています。