今回は『弁護士』についてお話ししていきます。
最近では弁護士を扱った作品も見られるようになり、弁護士の仕事について何となくイメージできる方も多いのではないでしょうか?といっても、仕事内容は多岐に渡っており、以前放送されていたテレビドラマ『リーガルハイ』のように、毎回毎回法廷で弁論しているわけではないですが……(笑)
ちなみに記事ですが、1回では書ききれないので3回に分けて書かせていただきます。今回は『第二新卒・既卒が知りたい法科大学院(ロースクール) 卒業後のキャリア①~弁護士になるためは~』についてです。法科大学院(ロースクール)を卒業後弁護士になるためには、ご存知『司法試験』に合格することが求められます。
まずはこの『司法試験』について見ていきましょう。
第二新卒・既卒が知りたい司法試験制度
弁護士になるためにはまず、司法試験に合格しなければなりません。2006年度から司法試験制度が大きく変わり、当時とても話題になったのを覚えています。2011年までの試験制度移行期間中は、2つの試験制度『旧司法試験』と『新司法試験』が並存していました。(現在『旧司法試験』は廃止されています)
旧司法試験が適用されていた2006年度までは、学歴等に関係なく司法試験に挑戦できましたが、新司法試験に移行及び『改正司法試験法』が成立してからは、以下のように変更されました。
司法試験の受験資格
法科大学院(ロースクール)課程を修了しているか、もしくは司法試験予備試験に合格していることが受験必須条件です。従って、2年または3年間のロースクールの課程を修了するか、司法試験予備試験に合格していない方は司法試験を受験できなくなってしまいました。(2011年までは暫定的に旧司法試験の枠も残されていました)
司法試験の受験制限
法科大学院修了後5年以内、予備試験合格後5年以内であれば回数の制限なく受験できます。以前までは5年間のうち3回しか受験できなかった司法試験ですが、回数制限がなくなったお陰で挑戦の幅が広がりました。(司法試験は実質1年に1回なので、5年間のうち最高5回まで試験を受けることができます)
司法試験の態様
新司法試験では、5月に短答試験と論文試験が同時に行われ最終合格者が決定します。旧司法試験で行われていた口述試験は廃止されました。
司法試験の合格率
旧司法試験は合格率がわずか数%ととても低く、法曹人口の少なさが課題の1つでした。司法試験制度改革は、裁判期間の短縮、司法過疎地域の解消など、司法をめぐるさまざまな問題に対処することができるとされています。
当時「司法試験のハードルを下げ合格者を増やせばいい」という話もありましたが、そうすると、合格者の「質」の低下が避けられません。そこで、法科大学院という新しい教育機関を設けしっかりとした教育を施すか、法科大学院修了と同等の知識を持つ者を受験可能者にすることにより、質を担保することにしました。
新司法試験の合格率
年度 | 受験者数 | 最終合格 | 最終合格率 |
2006年 | 2,091人 | 1,009人 | 48.3% |
2007年 | 4,607人 | 1,851人 | 40.2% |
2008年 | 6,261人 | 2,065人 | 33.0% |
2009年 | 7,392人 | 2,043人 | 27.6% |
2010年 | 8,163人 | 2,074人 | 25.4% |
2011年 | 8,765人 | 2,063人 | 23.5% |
2012年 | 8,387人 | 2,102人 | 25.1% |
参考元:日本弁護士連合会「弁護士白書」
旧司法試験の合格率
年度 | 受験者数 | 最終合格 | 対受験者合格率 |
2003年 | 45,372人 | 1,170人 | 2.58% |
2004年 | 43,367人 | 1,483人 | 3.42% |
2005年 | 39,428人 | 1,464人 | 3.71% |
法科大学院別の司法試験合格者・合格率(2016年度)
難関の法科大学院に進学するほど司法試験合格率が高くなるため、法科大学院進学にも力をいれなければなりません。(司法試験に合格できる受験者がおのずと難関の法科大学院に進学し、合格率をあげているのかもしれませんが……)
法科大学院 | 最終合格数 | 合格率 |
一橋大学法科大学院 | 63人 | 49.61% |
東京大学法科大学院 | 137人 | 48.07% |
京都大学法科大学院 | 105人 | 47.3% |
参考元:産経ニュース
司法試験に受かるのはやはり難しい
現在、法科大学院の学費は、国立大学では年間約80万円、私大では年間約100~200万円と言われています。法学部出身でなければ3年間で約240万円~600万円。法学部出身であれば2年間で約160万円~400万円。決して安い金額ではありませんよね。
旺文社教育情報センターのデータによると、平成22年度修了者数(平成23年~27年度の司法試験を受験できる者)4,535名に対し、合格者数(平成23年~27年度合計)が2,200名。合格率は48.5%でした。受験者資格を喪失した人の数は2,335名であり、受験資格喪失率は51.5%。
新司法試験の合格率は法科大学院ごとに大きく異なりますし法学部出身かどうかでも違ってきますが、全体平均で見れば、高額な学費と膨大な時間をかけ法科大学院に進んでも(もしくは予備試験に合格しても)、2人に1人しか法曹にはなれないのが現状です。弁護士は日本で最難関と言われる資格の1つですからそう簡単には受かりませんが、現実はなかなか厳しいものがありますね……
次回は第二新卒・既卒が知りたい法科大学院(ロースクール) 卒業後のキャリア②~司法試験に合格!合格後の進路~について書かせていただきます!