もくじ
確かに、理系新卒の就活においては、
- 大学を卒業した「学部卒」
- 大学院の修士課程を卒業した「修士」
よりも、博士課程を修了した「博士」は不利とされています。
そんな話を聞くと、
- 今まさに博士課程で研究している理系の人
- 博士課程に進むべきか迷っている人
は不安になるかもしれません。
学部卒や修士よりも長い時間をかけて勉強や研究をしたのに、なぜ博士の就職は難しいのでしょうか?
この記事では、以下のような流れで、博士が就職に不利な理由や就職しやすい企業について解説します。
- 博士課程の就職率はどのくらい?
- 理系の就職では学部卒や修士が有利なの?
- なぜ博士は就職に不利なの?
- 理系の博士はどんな企業に就職すればいいの?
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博士課程の就職率は?データをもとに解説
文部科学省による令和元年度「学校基本調査」の結果をもとに見てみましょう。
まず、学歴ごとの就職率は以下の通りです。
- 学部卒:78.0%
- 修士:78.6%
- 博士:69.0%
就職者のうち、正規の職員になった人の割合も見てみましょう。
- 学部卒:75.3%
- 修士:75.9%
- 博士:54.8%
博士号取得者で正規の職員として就職した人は、約半数しかいません。
残りの人は、非正規雇用(アルバイトなど)として就職したり、一時的な仕事に就いたりしているんです。
もちろん、大学院に進学すること自体は悪いことではありません。
- 学部卒より修士を優遇している
- 研究職に就けるのは修士のみ
といった企業もあるでしょう。
ただし、博士課程まで進学すると就職が難しくなってしまうことも事実です。
博士号を取得するメリット・デメリットについては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
参考元:文部科学省「令和元年度 学校基本調査」
理系の就職で有利なのは「学部」や「修士」という事実
その理由としては、
- 学歴だけで採用が決まるわけではない
- 企業側にとって学部卒や修士は若いため教育しやすい
といったことが挙げられます。
順番に詳しく見ていきましょう。
学歴だけで採用が決まるわけではない
企業が学生を採用するときは、
- 学歴
- 専門分野
- アルバイト経験
- 仕事への適正
- やる気
などを総合的に見て判断します。
そのため、やる気やアルバイト経験をうまくアピールすれば、学部卒でも就活を有利に進められるんです。
学部卒や修士は若いため教育しやすい
企業側は、
- 特定の分野に染まっていないため教育しやすい
- 長く会社に貢献してくれる
と考えるため、若い人材を積極的に採用するんです。
仕事は、実務を通してしか学べない部分も大きいため、大学での経験よりも会社での経験を多く積ませたいと考える企業もあるでしょう。
そもそもなぜ博士は就職に不利なのか
- 「推薦枠」があまり使えないから
- 日本企業は「年功序列」が多いから
- 「ポスドク」問題があるから
順番に解説していきますね。
「推薦枠」があまり使えないから
博士の就職が不利な要因の1つは、「推薦枠」を利用できないケースが多いということです。
大学と企業との信頼関係もあるため、推薦枠を利用することで就活を有利に進められます。
しかし、推薦枠は学部卒や修士を対象としていることが多く、博士は推薦の対象から外れてしまう場合もあるんです。
その結果、応募する企業を自力で探して面接を受けることになってしまうため、就活に苦労することも多いでしょう。
日本企業は「年功序列」が多いから
日本にはまだまだ「年功序列」の企業が多いことも、博士の就職が不利になる理由の1つです。
博士号を取得すると、新卒といっても年齢は30歳前後になるでしょう。
企業は、
- ビジネススキルが0なのに年齢を重ねていると正直扱いづらい
- 仕事のパフォーマンスと教育コストが合わない
- 専門分野以外のことには対応できないのでは?
と考えてしまい、博士の採用を避けることも多いんです。
もちろん、博士号を取得するのは悪いことではありません。
ただ、日本には優秀な研究者を活かせる企業が少ないということも事実です。
「ポスドク問題」があるから
大学や研究機関のポストは限られている、ということが大きな理由です。
例えば、大学教員の職位としては、
- 教授
- 准教授
- 講師
- 助教
の4つしかありません。
そこで、正規の職員として大学に就職できない“若手の博士号取得者”の受け皿として設けられたのが「ポスドク」です。
ポスドクとは博士研究員のことで、収入は得られるものの任期があります。
ポスドクは任期中に助教を目指すのですが、
- 1枠しかないポストに多くの人が押し寄せることも多い
- 研究成果を上げて論文発表をする必要もある
といった理由から、なかなか助教にすらなれません。
たとえ助教になれても、数年の任期制とする大学もあることから、安定した就労環境が得られたわけでもないんです。
理系の博士はどんな企業に就職すべき?
- これまでの研究分野に関連する企業
- 専門分野とは異なるけれどスキルや経験を活かせる企業
- 学歴や年齢よりも実力を重視する企業
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
これまでの研究分野に関連する企業
修士課程や博士課程を通して研究してきた分野に関連する企業は、一番狙いやすいでしょう。
- これまでに得た研究成果や専門知識
- 研究分野に対する興味や熱意
- それらを活かして企業にどう貢献するか
といったこともアピールしやすいですよね。
仮に就活がうまく進まない場合は、応募する企業の規模やエリアを広げてみるとよいでしょう。
選択肢を増やすことで、よい企業と出会える可能性も高まります。
専門分野とは異なるけれどスキルや経験を活かせる企業
- 論文を英語で書けるほどの語学力
- 人を説得するプレゼンテーション能力
といったスキルがあれば、専門分野以外の企業にも採用される可能性はあります。
- 留学経験を活かせる企業
- 趣味の世界に関連する業界
などを狙ってみるのもよい方法です。
学歴や年齢よりも実力を重視する企業
学歴や年齢よりも実力を重視する企業に応募するのもよいでしょう。
これらの企業は、年齢が高くても実力さえあれば採用してもらえるケースが多いため、博士でも比較的就職しやすいでしょう。
ただし、その分、スキルに自信のある学生が応募してくるので、ライバルに負けないよう自分の実力をしっかりとアピールすることが大切です。
理系の博士課程での就活に迷ったら……
今回は、理系博士が就職に不利な理由や、就職しやすい企業について紹介しました。
簡単に記事の内容をおさらいしておきましょう。
- 博士課程の就職率は、学部卒や修士より約10%も低い
- 企業は若くて育てやすい学部卒や修士を採用したいと考えがち
- 推薦枠が少ないなどの理由から、博士の就活は不利になりやすい
- 理系の博士でも研究成果やスキルをアピールすれば就職できる
UZUZは、
- 博士課程に進むべきか迷っている
- 現博士課程だけど、やっぱり研究をやめて就職したいと思っている
という方からも相談を受けています。
相談内容を聞いていると、
- 博士課程まで進んだとして、ちゃんと企業に就職できるのかな……
- 研究をそのまま一生続けられる自信がなくなった……
といった共通する悩みがあるようです。
実際、1つの分野を極めるのはすごく大変ですし、進路について悩むのも当然だと思います。
1人で悩み続けると負のループに陥ってしまうこともあるので、そうなる前に一度UZUZにご相談ください。
就職サポートをしている企業と聞くと、「相談したら大学も辞めさせられて就職するしかないのでは……」と思われがちですが、UZUZはそんなことありません。
相談にだけ来られて「やっぱり博士課程に進む!」と決めた方もいます。
1人で悩むよりも「客観的意見」を聞いた方がよい場合も多いので、どうぞお気軽にご連絡ください。
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