もくじ
他専攻の学生から見ると「魚を釣っている」イメージが強い水産学専攻ですが、活躍の幅が意外と広いことは水産学の院生なら納得のポイントですよね。
そこで今回は、魚を扱うだけではない、水産専攻の院生がもつ知識や研究成果から能力を発揮できる就職先をまとめました。
大手人気企業の情報から、ちょっと意外な業種まで、多岐に渡る就職先をご紹介します!
就活を前に、どの分野へ向かっていくか悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「水産学」を専攻した院生が活用したいアピールポイント
より専門性を活かした就職ができる
水産学を専攻してきた院生であれば、学部卒生よりもより専門性を活かした就職を目指すことができます。
例えば、水産系食品業界や食費流通業界などなら、専門知識を多くもっていることが有利になります。
「新しい流通施策を研究していた」「水産食品のアイディアを考えていた」といった院での研究成果を生かすこともできますね。
難関の研究職は院生のほうが一歩リード
そもそもの募集人数が少ない研究職は、院生が一歩も二歩もリードできる就職先です。食品業界でも、もちろんですが、特に環境分野での研究職は狭き門となっています。
また、こうした研究職では、院卒を条件としているところもあります。高度な知識・スキルだけでなく、これまで研究してきた内容なども重視されるため、真面目に研究に取り組んでおくことが大切です。
せっかく院を出て修士をとっていても、内容が伴っていなければ、ムダな時間を過ごしただけになり、就活でも有利にはなりません。
一歩リードできるようになるためにも、しっかりと研究はしておきましょう。
「水産系」資格の取得
学部で取得する資格が主にはなりますが、水産専攻の学生の多くが、さまざまな資格を取得して卒業します。潜水士や小型船舶の資格はほとんどの学生が取得済みでしょう。
他にも、食品衛生監視員・食品衛生管理者・博物館学芸員なども必要に応じて取得している人もいます。こうした資格は、実際に仕事を始める上で、スタートダッシュに役立ちます。
資格があることに甘んじるのはよくありませんが、スタートラインで差をつけられるため、アピールポイントとして考えておいて損はないしょう。
「水産学」専攻の大学院生に人気のある業界とは?
農林水産省などの国家公務員・地方公務員
水産学を専攻していた院生にも人気なのが、国家公務員や地方公務員です。
なかでも、農林水産省は専門性も生かせる就職先として人気も高く、募集人数が多くないので優秀な人材が集まる就職先です。
農林水産省の2014年採用者数は、260人。総合事務職などの事務系として採用された17人を引いた243人から水産庁・林野庁などに配属されるため、260人が丸々水産系から採用されるわけではない点は、注意しておきましょう。
水産大手
「魚離れ」が叫ばれる昨今、大手水産会社は、多角化や海外企業のM&Aなどにも力を注いでいます。その結果、大手のなかでも手をどれだけ打てたかどうかで、差が出てきています。
マルハニチロホールディングス
売上高8,637億円・営業利益86億円
調達・流通・海外網などで圧倒的シェアを誇っているのが、マルハニチロです。水産大手のなかで最大手であるマルハニチロは、2014年4月にグループ内合併で、事業会社になり、今では国内外の水産関連企業のグループ化も実現させています。
2016年から完全養殖のクロマグロの本格出荷に乗り出すなど、世界的な多角化を進めている注目企業。マルハニチロホールディングズとして、食品業界全体でも5位にランクインしている大手グループ会社です。
日本水産(ニッスイ)
売上高6,384億円・営業利益181億円
水産に特化した加工食品に強みをもつニッスイ。魚原料から栄養食品や医薬品を製造するなど、収益源の多角化を行っています。
水産卸売の「大水」「中央魚類」「ホウスイ」などに出資。生き残りをかけてさまざまな施策を講じ、売上高では業界2位、食品業界全体で6位につけています。
極洋(キョクヨー)
売上高2,183億円・営業利益24億円
すしネタで有名な極洋は業務用が主体でしたが、2014年から「シーマルシェ」のブランド名で家庭用の冷食事業に参入しています。
こんな業種も狙える!「水産専攻」の院生向けにおすすめの仕事
情報処理
数字に強い水産学出身の院生は、情報処理の分野でも求められています。専門性をいかせる、漁業資源調査の情報処理や環境系情報処理でも活躍できます。
“情報”だから関係ないと思わずに、しっかり職種の内容までチェックしていくと専門性をいかせる仕事も見つけられる可能性がある仕事です。
医薬品化学工業
魚を原料とした、医薬品や化粧品などの製造・研究ができるため、水産専攻の院生にもおすすめの業種です。化学といっても、扱うものが魚などであれば、水産専攻の院生のほうが、専門性が高いため即戦力になる可能性もあります。
就活する上でも有利に働くのでそれぞれの会社で扱う研究内容などもよく調べておくことが就活成功のカギです。
環境アセスメント
水産学のなかには、環境分野での研究をしてきた人も多くいます。そうした人向けの仕事に、環境アセスメントに関わるものがあります。
環境省や地方自治体の環境局、大規模開発を扱う企業など、就職先もさまざまです。より研究を深めていきたい人にもおすすめです。
修士と博士で差がでるのは「研究職」「大学教員」
院卒のなかでも、修士なのか博士なのかで、進む道に差がでるとしたら、「研究職」や「大学教員」などへの就職です。
特に、水産専攻のなかでも難関といわれる「研究職」は、学部卒よりも院卒のほうが、そして修士よりも博士のほうが有利になります。また、博士課程に進むと、院に在籍している時間も長くなるため、自然と大学教員・教授への道が開けていくことも。
反対に、水産系高校などの教員になるには、学部卒でも教員免許を取得していれば可能なので、修士や博士である必要はありません。
水産専攻の院生で博士課程へ進むか、就職するかで悩んでいる人は、博士になってからの就職先を考えてみると選択しやすくなるかもしれませんね。
博士を取ってからの就職に悩んでいるならコチラも参考にしてみてください。
理系の中でも「博士」は就職に不利ってホント!?
まとめ
一口に水産専攻といっても、その就職先はさまざまです。
専門性を生かせる職種は、“水産企業”にこだわらなくてもたくさんあります。
就職先を選ぶときには、広い視野をもって、これまでの経験や知識、資格をいかせるところを探すのがコツです。
数字に強い・研究にじっくり取り組んできた集中力なども自分のアピールポイントとして考えながら、就活に臨んでくださいね!
参考書籍:会社四季報業界地図2016年版 東洋経済新報社