就活において、希望の企業を選ぶ際にもっとも気になるのは平均年収ではないでしょうか。株式会社ダイヤモンドヒューマンリソースが公開した「大学生が選んだ就職先人気企業ランキング2015」によると、三井物産を始めとする大手総合商社がTOP4を占める結果に……。
その理由としてあげられるのは、総合商社の平均年収の高さともいわれています。そこで今回は、気になる業界の平均年収についてご紹介します。
平均年収1000万円超の企業は?
東洋経済オンラインの「平均年収が高い」トップ300社ランキング」によると、堂々の1位に輝いたのは、検出・計測機器などの電子部品を取り扱うキーエンスでした。平均年収は1648万円と突出しています。大阪市に本社を構えるキーエンスの売上高は、3,350億円、計上利益は1,757億円(2015年3月期連結)、従業員数は4,450名となっています。
2位は、朝日放送で1,519万円、3位には、伊藤忠商事の1,395万円、4位には三菱商事の1,376円、5位には三井物産の1,361万円と総合商社が並ぶ結果に。注目すべきは、トップ10のなかに五大商社全てがランクしている点です。
丸紅は1,306万円で7位、住友商事は1,300万円で8位につけています。総合商社での1,300万円超の年収は、理系の就活生の人気を後押ししているといえますね。
また、同じ総合商社の双日は1,067万円で26位、豊田通商は994万円で38位でした。五大商社から見ると低いとはいえ、商社は高年収であることには間違いはありませんね。
業界別の平均年収
理系の就活生が目指す業界はさまざまです。企業の平均年収も気になるところではありますが、業界ごとにはどのように推移しているのでしょうか。そこで、業界別の平均年収を見てみましょう。
自動車
米国市場での売上好調を背景に業績を伸ばしている自動車業界。平均年収のトップは、トヨタ自動車の838万円、次いで日産自動車の777万円、ホンダの768万円となっています。
トヨタ自動車は、国内のみならず世界に誇る自動車メーカーとして躍進し続けています。2015年3月期の国内売上高は、14兆4,038億円、営業利益は1兆5,714億円を計上し、国内トップシェアの販売台数を誇ります。デザイン性の高い車種で徐々に売上を伸ばしているマツダは、平均年収は670万円ながら、今後の躍進が大いに期待されています。
住宅
戸建住宅メーカー最大手の大和ハウス工業の平均年収は842万円、積水ハウスは782万円。新築住宅の需要が低迷する中、大手2社は、戸建住宅にとどまらずリフォームや賃貸事業で業績をのばしています。
大和ハウス工業の2015年3月期の売上高は、2兆8,107億円を計上。一方、追い上げを見せる積水ハウスは、売上高1兆9,127億円、営業利益1,465億円となっています。
また、同じ業界でも、不動産事業を扱う企業の平均年収は高めといえます。不動産大手の三井不動産の平均年収は、1,121万円、三菱地所は1,130万円と共に1,000万円超の年収を誇ります。野村不動産は999万円と、大手住宅メーカーと比べると高い年収を得る結果になっています。
電機
電機大手の平均年収トップは、日立製作所の861万円、次いでソニーの859万円、東芝の845万円と続きます。
日立製作所は、2015年3月期の売上高9兆7,619億円、営業利益は6,004億円、グループ全体の従業員数が33万3150人を抱える巨大企業。業績不振が続く電機業界ですが、重電大手を筆頭に日本経済を支える根幹としての役割を果たし続けることは間違いありません。
総合重機
業績好調の総合重機メーカーの平均年収は、住友重機械工業が780万円、三菱重工業が772万円、IHIは731万円、川崎重工業が722万円とほぼ同水準となっています。
技術系職種が多い総合重機メーカーは、理系の就活生にとって注目すべき企業といえますね。高い技術力を背景に、アジア地域へも事業を拡大しており、今後の躍進がおおいに期待されているそうです。
食品
研究開発職を目指す理系の就活生にとって注目を集める食品および飲料業界。加工食品メーカーの大手、キューピーの平均年収は585万円、菓子メーカーの江崎グリコは813万円、カルビーは738万円とややばらつきが見られます。
一方で、酒類販売メーカーの最大手アサヒグループホールディングスは、1008万円、キリンホールディングスは1046万円と高水準となっています。
業界別平均年収のランキングは?
業界別に平均年収をランキングしてみると、圧倒的な収入を誇るのはやはり総合商社です。トップに君臨する総合商社の平均年収は1,142万円。続く2位には、平均年収1,053万円の放送業界。さらにメガバンクの1,039万円、コンサルティングの1,031万円となります。
これらベスト4は、1,000万円超の平均年収を得ているといえます。5位は、生保・保険の918万円、6位には908万円の携帯電話事業者がランクしています。
また、40歳時点での上場企業の平均年収ランキングでは、キーエンスの1,793万円が1位を獲得。2位には、日本M&Aセンターの1,551万円がつけています。伊藤忠商事は、1,343万円で6位、三菱商事は1,289万円で8位と前述の総合ランキングから違いがみられます。
理由として挙げられるのは、企業の平均年齢にあるようです。トップのキーエンスは平均年齢35.7歳と若く、伊藤忠商事は41.5歳、三菱商事は42.6歳なのです。平均年収を計る目安には、平均年齢も加味しなくてはならないようですね。
平均年収の傾向
平均年収は、大企業ほど高くなる傾向にあるようです。平均年収の額は、理系の就活生が大企業をターゲットに希望の企業を選択する理由のひとつとも言えますね。総合商社を始めとする上位は1000万円超の平均年収ですが、下位は300万円台とその格差は大きくなっています。また、男女別にみても男性の平均年収が高いといえそうです。
また、国税庁が実施した「平成26年分民間給与実態統計調査」によると、年間の平均給与は415万円と前年と比較して0.3%の増加が見られるとのこと。男女別では、男性514万円、女性272万円と大きな格差が見られます。さらに、業種別の平均給与では「電気・ガス・水道業」の655万円がトップとなっています。
まとめ
平均年収は、希望の就職企業を選ぶ際には大きな要素のひとつといえます。しかし、生涯年収を考えると、平均年収が必ずしも反映されるとは限りません。さらには、事業の将来性や社風、待遇や福利厚生などの要素も企業選びの重要なポイントといえます。平均年収をひとつの目安として、就活に役立ててみてはいかがでしょう。
(参考書籍:会社四季報|業界地図2016年版)