リーマンショック後、企業の人員削減により苦戦を強いられていた人材業界ですが、ここ最近は景気が回復してきたこともあり、人材サービス業界にも追い風が吹いています。
業界最大手であるリクルートホールディングスは、2014年10月に東証一部に上場し、売り上げ高1兆超えを達成するなど、他社の追随を許さない独走を見せています。
ここでは、「人材サービス業界のポイントはどこなのか」「どのような人が受かるのか」ということをプロの視点でまとめていきたいと思います。人材サービス業界への就職を考えている方は是非参考にしてみてくださいね。
「人材サービス」業界のポイント
人材サービス業界で選考を受ける際、大事なポイントがいくつかあります。もちろん筆記試験や面接での話し方などあげたらキリがないのですが、特に大切なものを以下3つにまとめてみました。
数字を追いかける仕事だということを理解する
まず意識するべきことが、人材サービス業界は数字を追いかける仕事だということです。人材サービスは主に、人材派遣分野、人材紹介分野、求人広告分野、業務請負分野の4つに大別できますが、どの分野においても数字を追うことが求められます。
どのくらいの企業を開拓・稼働させているか、何人の登録者と面談したか、内定者を何人出すことができたかなど、多くが数字によって管理されています。そのため、面接においては数字を意識したエピソードを話すと、面接官に好印象を持ってもらえる可能性があります。
例えば「チームを引っ張っていくため、部長として○○を頑張りました」と言うよりも、「部長としてチームを成長させるため目標を■■と決め、○○を週3回、△△を毎日行い、結果的に■■を達成することに成功しました」と数字を出して語った方が面接官にも伝わりやすいです。
実際の仕事では「何を」「どのくらい」「いつまでに」「どのようにして」行うかを常に明確にしておく必要があるので、数字を意識して話せる方は業務において活躍できるイメージが湧く、ということなんですね。
ある程度のタフさが必要になってくる
どの仕事も同じように大変ですので、人材サービス業界だけ、ということではありませんが、やはりある程度のタフさは求められます。
例えば営業職の場合、商社やメーカーなどでは、取引先と長期的な関係を築くことに重きが置かれますが、人材サービス業界では、テレアポや飛び込みといったある種泥臭いとも言える営業を行っていく必要があります。
もちろん全てがテレアポや飛び込みではありませんが、採用活動は流動的であるため、常に新しい企業を開拓することが求められるのですね。また、人材サービス業界は文字通り人を相手にした仕事ですので、思いもよらないところでトラブルが起こる可能性も少なくありません。
そのため、人材サービス業界では、ある程度のタフさ・身軽さが求められるのです。
「人が好きだから」だけを志望動機にしない
「なぜ人材業界を志望したのですか?」という問いに「人が好きだからです」と答える方は意外にも多いです。ですが、正直この回答はあまりいいものとは言えません。人材業界を選んだ一つとして「人が好き」という理由が来るのは問題ないのですが、それだけだと薄すぎてしまうのです。
少し意地悪な面接官だった場合、「人が好きならより多くの人と関わるであろう接客業の方がいいんじゃない?」などと言われてしまうかもしれません。
お菓子メーカーの面接で「御社の製品が好きだから志望しました」と答えた方は不採用になる、という逸話を聞いたことがあります。あくまで逸話ですし、もちろん「好き」と答えた方全てが落ちるわけではないと思いますが、これはつまり、「自分がその企業でどのような力を発揮していきたいと考えているのか」が答えられていないために落ちてしまう、ということを指しています。
お菓子メーカーが欲しいのは自社の製品が好きな人材ではありません。自社の利益に貢献してくれそうな人材が欲しいのです。
そのように考えると人材サービス業界も同じですよね。人が好きだという人材が欲しいのではなく、利益に貢献してくれる人材が欲しいのです。そのため、「なぜ人材業界を選んだのか?」「なぜこの企業なのか?」という問いでは「この人なら会社の利益に貢献してくれそうだ」と思ってもらえる回答をすることが重要になってきます。
注目の職業別対策
人材サービス業界には多くの仕事がありますが、以下の2つが特徴的な職種と言えるでしょう。
RA(リクルーティングアドバイザー)
RA(リクルーティングアドバイザー)は企業の求人案件を開拓するポジションです。主に人材紹介業で使われる言葉であり、「営業職」を意味しています。このRA以外にも、人材サービス業界全体でみるとリクナビやマイナビのような求人媒体に掲載する業務もあり、一口に営業と言っても様々な業務があります。
一見理系の方にはあまり馴染みがなさそうな仕事に見えますが、理系職専門の人材サービスを展開している企業もあり、そのような企業では専門知識を持っている理系の方は特に重宝されます。
面接では「目標達成経験」を話す
上記でも述べましたが、営業職が一番意識するべきポイントは「いかに数字を追えるかどうか」という点です。そのため、面接官に「営業を任せても大丈夫そう」と思ってもらえることが大切ですので、目標達成経験を具体的に話すといいでしょう。
CA(キャリアアドバイザー)
CA(キャリアアドバイザー)は、企業にエントリーする登録者を開拓するポジションです。キャリアコンサルタントと呼ばれることもあります。登録者を開拓する業務に加え、選考時の書類添削や面接対策などを行うことが多いので、登録者の皆さんにとってはCAの方が馴染みがあるかもしれません。
こまめな対応を求められる
人材業界を志望される方の多くが、このCA業務を希望しているように思います。候補者の方に適した求人が空いた場合すぐに連絡をしたり、転職を考えている方の近況フォローを行ったり、何かとこまめな対応が求められるのがこのCA業務。常にアンテナを張り、候補者とつながりを持つことが苦にならない方は向いている業務と言えます。
また、忘れてはいけないのが、CA業務も立派な営業職であるということ。「登録者のために転職のサポートがしたい!」と考えるだけではなく、数字達成を意識できることが大前提となります。
実は証明写真も大切
登録者の方の最初の窓口となるのがこのポジションです。人と向き合う業務ですので、登録者の方に「暗い」「清潔感に欠ける」といった印象を与えてしまうのは避けなければなりません。そのため、写真も重要な選考ポイントです。
スピード写真は手軽で安いというメリットもありますが、やはり写真スタジオの写りの良さには敵いません。スタジオであれば肌の色など多少の修正も可能ですし、場所によっては撮り直しをしてくれるところも。是非スタジオで撮影することをおすすめします。
RAとCAを両面で行うか分業で行うかチェックしておこう
余談ですが、企業によって1人でRA業務とCA業務を行うケースと、このRA業務とCA業務を分け、複数人で行うケースがあります。前者は中〜小規模の会社でよく見られ、後者は比較的規模の大きな企業でよく見られます。
どちらかによって面接で話すポイントも変わってくるかと思いますので、事前に確認しておくといいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?人材サービス業界のポイントをまとめました。
一見すると理系には縁遠い印象を持つ方もいるかもしれませんが、その専門性を活かして働くことも可能です。研究や開発もいいけれど、もっと人と直に関われるような仕事がしたい、理系の専門性を活かしつつ違った視点で仕事がしてみたい、という理系の方は、是非挑戦してみてはいかがでしょうか?