「半導体」を製造する仕事は、私たちの生活を根底から支えています。普段から利用する家電製品や、通勤に使う交通機関の車両、仕事で使う通信機器などの、インフラを活用する上では外せない存在なのです。そういった「半導体」の技術を武器にする仕事とは一体どういった内容なのでしょうか。
「半導体」の基礎知識から、業界の動向まで、気になる「半導体」を紹介していきます。
半導体の基礎知識
半導体とは
19世紀に発見されてから、現代までに飛躍的な進歩を遂げてきました。生活インフラや、社会インフラにとって、重要な役割を果たしています。その役割の中でも特に重要な部分が、半導体素子と呼ばれるもの。「半導体」を用いて製作される、電子部品などが該当します。
身近なものでは、携帯電話、パソコン、テレビなどには当たり前のように内蔵されています。そういった、私たちの生活を支える「半導体」の、製造・研究・検証・評価などをする重要な仕事です。
半導体の業務内容
「半導体」と一口にいっても、業務内容はそれぞれ分かれています。
大きく以下のように分かれています。
製造
電子製品の基盤となるICチップなどを製造する仕事。
精密機械ですので、埃などが入り込まないようクリーンルームで作業することがあります。複数の機械を操作して、製品を仕上げていきます。
設計
「半導体」の動作目的や、回路の配置を決定するための設計を行う仕事。主に、「CAD」や「CAM」と呼ばれる設計ソフトを用います。
複雑な製品になると、同じ設計の業種でも複数の種類に分かれて仕事行うことも。
検証
製造した製品が、実際に動くかどうかを検証する仕事。「半導体」はもちろんのこと、半導体を搭載した製品も同じく検証します。
検証段階で、正常に動かなければ製品化できないので、なくてはならない仕事です。
半導体業界の国内TOP3
第1位 ルネサスエレクトロニクス
構造改革を行い、発足以来はじめてとなる最終黒字化を達成。自動車用のマイコンでは世界シェア4割を誇ります。
平均年収は868万円、平均年齢は44.2歳です。
第2位 ソニー
CMOSイメージセンサーを強化してるソニー。
スマートドン需要が大きい、アップルとサムスンの二強体制の中で苦戦を強いられています。
第3位 富士通
1989年には、日本勢が上位を独占していた半導体業界。富士通も世界6位のシェアを誇っていました。
巻き返しを狙い、ファブライト化の推進を行っています。
半導体業界に向いてる性格とは?
長く集中力を保つことができる人
「半導体」に携わる仕事には、長時間作業になることも多々あります。ですが、集中力を切らした状態では、仕事になりません。そんな時でも、仕事にしっかりと集中できる人には向いているといえるでしょう。長時間の勉強や仕事でも、苦にならない人にはぴったりではないでしょうか。
ジグソーパズルが好きな人
「半導体」に関わる仕事は、工程が細かく分かれており、一つ一つを確実に仕上げる必要があります。
そのすべての工程がかみ合って、初めて製品が出来上がります。感覚でいえば、ジグソーパズルと似ている仕事といえますよね。全体の調和を考えて、その一部にまっすぐ取り組める人には向いているのではないでしょうか。
新しいもの好きの人
今では、身の回りのほとんどのものが電子機械製品ですよね。日々新しいものを生み出そうと、メーカーも研究を重ねています。新しいもの好きな人にとっては、新製品の製造に携わることになりますので、楽しく仕事ができますね。
国内外問わず、新しい製品をくまなくチェックしている人には、やりがいある仕事なのではないでしょうか。
粘り強い人
「半導体」の仕事は、すべてがスムーズに進むわけではありません。成功と失敗を繰り返して、ようやく一つのものが出来上がります。そんな時でも、一度の失敗でめげずに「もう一回!」という気持ちで挑む姿勢が必要です。ちょっとした失敗では、挫けない精神をもっている人には、向いている業界といえるでしょう。
半導体業界の動向
景気に左右されるため不安定な業界
「半導体」業界は、近年業績が増加と減少を繰り返している状態です。平成19年頃まで増加していた業績も、平成21年頃には減少しています。製造する製品の需要によって、仕事の増減があるので景気がいい時には仕事が増えることも。各社でスマートフォンが急激に発展し始めた、平成25年から現在までは景気は上昇傾向に。
これから、いろんな製品が小型化していく中で、需要を勝ち取れるかどうかが鍵といえますね。
スマートフォン向けの企業が成長中
「半導体」業界に参入している会社は、パソコン向けや家電向けなど、製品毎で分かれています。その中でも、スマートフォン関連の製品を取り扱う会社は急成長しているのです。需要増加に伴って、製品本体を含め、周辺機器の製品も新しいものが続々登場しているのです。
逆に、需要にあっていない製品を製造し続けている会社は、技術力の強化として他社に買収されるケースも。
これからの時代を先読みしつつ、製品の設計や製造を行う会社であれば、チャレンジできる仕事も多いといえるのではないでしょうか。
まとめ
「半導体」の仕事について紹介してきました。今のテクノロジー社会を、根底から支えている「半導体」の技術ですが、IoTの発達とともにニーズは増えると予測されていますが、価格競争もあり国内の各社は伸び悩んでいるようです。ですが、これから私たちの想像もつかないほどの速度で、急速に進化していくであろう業界ともいえます。
私たちの期待を遥かに超えるような製品を生み出す、クリエイティブな仕事なので、好奇心が強い人にとってはやりがいのある仕事ではないでしょうか。「これからの時代は私が支える」という強い気持ちで挑んでいる人が、時代を発展させていくといえますね。
(参考書籍:会社四季報業界地図2016年版 東洋経済新報社)