前回までの記事は以下をご覧ください。
既卒のための業界研究|男なら一度はハマったプラモデル業界 Vol.1
既卒のための業界研究|男なら一度はハマったプラモデル業界 Vol.2
既卒のための業界研究|男なら一度はハマったプラモデル業界 Vol.3
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。最後は、日本のプラモデルのクオリティ、プラモデル業界への就職についてご説明していきます。
4.世界から見た日本のプラモデル業界
様々なマイナス要素が目立つ業界ですが、世界の視点から見てもやはりメイドインジャパンのプラモデルは一目置かれている存在であり、ここでも日本のものづくりが認められています。またヨーロッパでは規制で使用することができない溶剤が入った油性塗料を使用できる日本はプラモデルファンの中では憧れを持たれています。
意外かもしれませんが、90年代後半からはアメリカのヒップホップ文化からもプラモデルは注目を浴びていて、オシャレなインテリアの部屋にガンプラなどの精密な模型を飾ることはクールとされているようなのです。実際にヒップホップ界の有名なDJが部屋にガンプラを飾っている様子が映像で見ることができます。
4-1.品質
プラモデルに限ったことではありませんが、やはり品質が評価されており、海外製品に比べると組み立てやすさやクオリティなどが段違いなので海外では高値で売買されています。飛行機のハセガワなどは実際の戦闘機を隅々まで再現していることが評価されており、海外の模型ファンからも注目を浴びている企業の1つです。
プロポーションの形はもちろんのこと、実機のパネルラインを正確に再現しているかを気にする方も多いのですが、そういったファンも納得させています。
4-2.展開スピード
ホビーショーなどで新製品のプラモデルを発表してから商品化するまでに1年以上も掛かる企業があります。それによって2つの企業が同じ時期に全く同じような内容のプラモデルを発売し、バッティングしてしまうことも稀に起こってしまっています。
海外から見るとこの商品化までのスピードの遅さは日本特有らしく、改善が望まれています。その点では中国メーカーの商品開発の早さは目を見張る物があり、そういった元気な企業の方にファンの注目は集まってしまいます。これは日本企業全てに言えることですが、物事の決定スピードをグローバルレベルまで上げることが当面の課題だと思います。
5.プラモデル業界へ就職するメリット・デメリット
縮小傾向にあるプラモデル業界ですが、若い世代にも一定の顧客は存在している為、縮小もある程度で止まることが予想されています。業界の高齢化にあたり、若い人材を受け入れる動きを見せる企業も多く、転職しやすい業界と言えます。また、右も左もプラモデルやフィギュアに少なからず興味を持った人が多いので、そういった点では同じ趣味の人と仕事できるので心の支えになると思います。
5-1.メリット
この業界は狭い故に横のつながりが親密で、ライバル企業同士でも近い距離で仕事することが多い為、コネクションを持っていれば業界内で転職することが容易なのが特徴です。実際に小売店から問屋に転職し、さらにメーカーに転職する人も居ます。その逆もまた然りです。
人を楽しませる商品を扱うので元々フィギュアやプラモデルが好きな方にとっては幸せだと感じる方も多いです。アニメ業界にも近いのでサブカルチャー好きな人にはオススメできる業界と思います。業界内で転職がしやすく、会社が変わっても常に好きなものを扱うことができます。そういった点では職を失い難い業界と言えます。
5-2.デメリット
縮小傾向にあることが最大のデメリットです。これは給料に直結する問題なので、高給を目指す人には厳しい現実が待っているかもしれません。どの分野にも言えることですが、他業界へ転職する時が非常に難しいと言えます。なぜならプラモデル業界で得た経験や知識は他分野ではほとんどが役に立たないからです。それほどに特異な業界なのです。
例えば冒頭で挙げたトップ3のような企業はプラモデル以外の分野でも利益を得ているのであまり問題はありませんが、プラモデル1つで勝負している企業などの今後は不透明な現実が待ち受けています。また小売店の実店舗も厳しい状況に置かれています。
6.まとめ
プラモデル業界の現状を紹介してきました。現在のプラモデル業界が停滞していることは否めませんが、業界人はこだわりを持って働いている人が多く、夢のある業界です。また、プラモデルは日本の先端技術を容易に体験できる身近な商品だと思います。特にここ数年で発売されたバンダイのリアルグレードシリーズやマスターグレードシリーズなどのプラモデルの完成度には目を見張るべきものがあります。
みなさんもおもちゃ屋などに立ち寄った際は是非1つ手にとってみてはいかがでしょうか。「今のプラモデルってこんなすごいことになってるのか!」と、きっと驚くことでしょう。