選考において頻出の質問である「学生時代にがんばったこと」。
「ガクチカ」と呼ばれて略されるほど、よく聞かれる質問です。
しかし、しっかりとしたガクチカを答えられる人は多くはなく「そのガクチカだと弱いな」と思われてしまう人がいるのも事実です。
この記事では、人材支援会社UZUZの代表、岡本啓毅氏による解説動画を元にガクチカが弱い人の特徴を解説していきます。
対策も合わせて解説しているので、エントリーシート(ES)や面接でガクチカを答える際の参考にしてください。
▼この記事の元になった動画はこちら
UZUZが徹底サポート!




そもそもなぜガクチカを聞くのか?基礎知識を解説

まずは、なぜガクチカについて聞かれるのか、その理由を確認しておきましょう。
結論としては、入社後に活躍してくれるかどうかを判断したいからガクチカについて質問します。
よくある失敗パターンは、ガクチカを答える際に学生生活を最初から全部思い出そうとしてしまうことです。
それだとなかなか思い出せませんし、目的に沿った内容を答えられないかもしれません。
そんな失敗をしないために、目的から逆算してガクチカを考えてみましょう。
「そんな成果を出しているなら、弊社でも活躍してくれそうだな」と思ってもらうことが目的です。
自分としてはがんばったと思うものの成果が出ていないことを伝えると「仕事でも成果を出してくれなさそうだ」と思われてしまうかもしれませんよね。
採用企業に活躍しそうだと思ってもらえそうな成果は何かを考え、それを起点にして成果につながった取り組み内容を思い出してみましょう。
よくある失敗例5種と対策
ここからは、ガクチカが弱いと思われてしまうよくある失敗を5つ確認していきましょう。
それぞれ対策も解説しているので合わせて確認し、自分のガクチカを効果的に伝える内容にブラッシュアップするために役立ててくださいね。
1.成果が限定的である

▼メーカーの営業志望のガクチカ例
学生時代に力を知れたのは、2年生のときの心理学実験です。 これに力を入れた理由は、2年生で研究の基礎を固めることで卒業研究をより良いものにできると考えたからです。 しかし最初のレポートの点数は低く50点と、とても落ち込みました。 落ち込んでいても仕方がないと考え、先行研究をまとめて理解を深めました。 また実験で得られたデータには何度も目を通し、そこから何を読み取れるか常に考え、レポートに取り組まない日はないようにしました。 その結果、最終的に95点の評価を取ることができました。 |
このガクチカが弱いポイントは「成果が限定的になっていること」です。
このガクチカでは、成果が2年生のときの授業1つだけになっています。
限定的な範囲の成果を示されたとしても、面接官は「1つの授業でがんばれば、そりゃあ良い成績を取れるのは普通じゃないかな?」と思われるでしょう。
似たような事例としては、サークルの新歓で人を増やしたなどの成果も同様で、成果が限定的です。
一年のうちで発揮される期間が短く、なおかつそれがどれだけ全体へインパクトを与えたのか伝わりにくいため、「それだけ?」と思われてしまうのです。
対策は「成果の範囲を広げて伝える」です。
成果が限定的に感じられるときは、そのガクチカの成果をもう少し広い視点で捉え直してみる方法がおすすめです。
例文を元に考えると、一番良かったのがこの授業なら、二番目三番目に成果が出た授業があるはずです。
具体例は代表例として出して「このような取り組み方をした結果、総じて良い点数で、平均的に授業やレポートで高い評価を得られた」というように伝えるようにしてください。
例文の場合なら「〇〇という考え方で勉強した結果、授業では総じて良い点数だった。その代表例が2年生の心理学実験の授業だった」という構成にしてみましょう。
監修者コメント
成果はその目的に合っているかどうかどうかを考えてみよう
成果はその目的に合っているかどうかどうかを考えてみよう
- サークルの新歓で〇人の参加者を集めた。
- アルバイトで〇人集客した。
これらは、実は目的には直結していないことなので、成果として伝わりにくいという特徴があります。
例えばサークルであれば、その競技で優勝することが大きな目的だと思います。
その目的に向けて集まって練習したりチームを作って強くなるために、サークル人数を増やしたいから新歓を行うのです。
アルバイトであれば、本当の目的は売上を上げること。
集客できれば目的達成に近づきますが、集客は目的そのものは本分ではありません。
売り上げを上げるためにお客さんを増やしたいから、集客するのです。
成果を伝える際には「役割の本分を果たしているかどうか」を考えるようにしてみましょう。
- サークルの新歓で〇人の参加者を集めたことで、サークル内対抗戦ができるようになり、チームを増強できたので結果的に〇位入賞できた。
- アルバイトで〇人集客したことで、売上が〇%アップした。
このように「結果として役割の本分を果たす成果が出た」という結論につながるように話すのがおすすめです。
2.取り組みの抽象度が高い

▼商社の営業職のガクチカ例
私が学生時代に一番力を入れたのは、アルバイトの塾講師としての生徒との接し方です。 指導する中で、生徒が試験の点数に伸び悩んだり授業を急に休んでしまったりという問題に直面することがありました。 私は、この現状を打破するために生徒のペースで質問することにしました。 具体的には、段階的に質問したり、間を作ったりすることで生徒が考える機会を増やし苦手を自然と発見できるようにしました。 また、精神面の負担を軽くするために生徒に多く話してもらうことが大事だと思ったので、生徒が快適なペースで話せるように心がけました。 その結果、生徒からは先生と話して気分が楽になったと言われるようになりました。 |
このガクチカが弱いポイントは、取り組みの抽象度が高く、取り組み内容が伝わりにくいことです。
このガクチカは、抽象度が高いため疑問が浮かぶ余地が大きいという点が問題です。
面接官としては、話すペースを相手に合わせたり、間を作るだけで本当に話しやすくなるのか、疑問を感じてしまいます。
この対策は、具体的なイメージを持ってもらえるような伝え方にすることです。
取り組みの内容をイメージできるような、具体的な補足をするのがおすすめです。
例えば「快適なペースで話してもらうように心がけた」とありますが、具体的にどんなペースで話しかけたのかが伝わるようにしましょう。
また「話すペースを変えた」というのは、取り組みとして抽象的かつ少ないと感じられてしまいます。
それをやろうと思った裏には「生徒が“自分のことを見てもらえている”と思えるような関係構築をしようとした」などの意図があったはずです。
勉強の話だけでなく「それ以外に生徒が興味をもつ話をした」などの取り組みも行っていたのであれば、その内容を追加すると具体性が生まれてイメージしやすくなります。
3.取り組み内容が1つしかない

▼化粧品業界の技術職志望のガクチカ例
私が学生時代にがんばったことはアルバイト先の飲食店でメニュー作成のマニュアル作りです。 アルバイトを始めた当初、来店客数が徐々に減少していましたが、私は従業員が毎日手書きするメニューに原因があると思いました。 メニューが目を引く内容になっておらず、おすすめが一目瞭然になっていないと感じました。 そこで、おすすめ商品が一目で分かる、目立つメニュー作成方法を考え、それを店長に伝えました。 5種類のテンプレートを作成し、お客さまをいかに引きつけるかを追及しました。 その結果、メニューを見て足を止めるお客さまやリピーターが増え、来店客数を15%増加させることができました。 |
このガクチカが弱いポイントは、1つの課題に対して解決するための取り組みが1つしかないことです。
「15%」などの具体性がある話が盛り込まれているので、基本的には良いガクチカです。
しかし、取り組み内容が「メニューの書き方の改善」しかないため、それだけしかやっていないのかと物足りなく思われてしまいます。
対策として、関連した取り組みは3つ程度は伝えるのがおすすめです。
ガクチカに関する取り組みは、目的達成のために取り組んだことを3つ程度伝えるようにしましょう。
例にある取り組みでは、実際に「メニューの書き方を改善した」という言葉通りの行為だけではなく、その裏側にはもっと多くの取り組みや試行錯誤があったはずです。
そのメニューの説明の仕方を工夫したり、一人だけでがんばるのではなく周囲を巻き込んでメニューを改善しようとしたりしたのではないでしょうか。
そういった話を盛り込めば、さらに良くなるでしょう。
複数の取り組みを盛り込む際は、以下の視点で取り組みを選定するのがおすすめです。
- 成果に結びついた取り組み
- 志望職種で活躍できそうだなと思ってもらえそうな取り組み
複数の視点で取り組みを行い目的を達成したことを伝えると、面接官に「色々な工夫ができる人なんだな」と思ってもらい高評価を得られる可能性が高まります。
監修者コメント
ESの文字数制限に縛られず、まずはフルバージョンのガクチカを書き起こそう
3つ程度の取り組みを入れたほうが良いと言われても、ESには文字数制限があるからそんなにたくさんのアピールポイントを入れられない、と思うかもしれませんね。
しかしまずは、ESの文字数に縛られずにガクチカを考えてみましょう。
最初に伝えたいことを全部盛り込んだガクチカのフルバージョンを作り、それを元にして文字数制限に入るように短く調整するという方法がおすすめです。
最初からキッチリ文字数を合わせるより、長い文章を削るほうがやりやすいというのが大きな理由です。
フルバージョンのガクチカを用意しておけば、何を削ったかなんとなく覚えているはずなので、文字数制限がない面接の場などで補足することもできます。
4.成果が主観的である

▼IT業界の技術職志望のガクチカ例
学生時代に特に力を注いだことはゼミ活動です。 話し合いの力や周りと協力しても物事に取り組む経験が足りていない自分を変えたくて、力を注ぎました。 2年生までの授業は9割がオンラインで行われていて、グループワークや議論を行う場がありませんでした。 それらをゼミ活動のなかで補っていこうと思ったのですが、緊張した雰囲気のなかで、意見を言うのを思いとどまってしまうことがありました。 そこでふと「本当にこのまま思いとどまっていいのか、このままでは変われないぞ」と思い、そこから発言できるようになりました。 その結果議論が進むようになり、一歩踏み出して発言して良かったと思いました。 |
このガクチカが弱いポイントは、成果が主観的であることです。
成果が主観的すぎると、ガクチカとして弱いと感じられやすくなります。
例文では、エピソードの結果として「一歩踏み出すことの重要性に気づけたこと」になっています。
それ自体は重要であり本人にとっては大きな変化だと感じられるものの、面接官としては「どの程度それができているか」が分からない内容になってしまっています。
これと似たものとしてよくあるのが「自分のマイナスを克服できた」「〇〇ができてうれしかった」という結論になるガクチカです。
それは主観的な意見に過ぎず、成果としては自己満足の域を出ていません。
対策としてできるのは、具体化できる数値などで伝えることです。
ガクチカを伝える際は、成果はなるべく数値を交えて具体的に伝えましょう。
例文の場合、一歩踏み出すことができるようになった結果、どんな成果が出たかを盛り込めばより効果的になります。
- ゼミ対抗のコンペで20チーム中1位になった
- アルバイトで店長やお客さまから、他の人は言われないような高評価をもらった
- 顧客満足度で1位になった
1位でなくてもかまいませんが、上記のように数値や周知との比較で明確化できる具体性があるか、ガクチカを作るときに重要視しておくのがおすすめです。
5.昔すぎるエピソード

具体的な例文ではないですが、ガクチカを作るエピソードを選定する際の注意点を最後にお伝えしておきます。
それが、直近ではなく高校時代や中学時代のエピソードを選ぶと弱くなってしまう点です。
面接官は、ガクチカを聞くことで仕事でどう活躍してくれそうかを知りたいと思っています。
がんばったエピソードが高校時代や中学時代の話だと、「大学時代はがんばらなかったのかな」「もう昔のようにがんばれないのかな」と思われてしまう可能性があるのです。
そのため、ガクチカのエピソードを選ぶ際には、必ず直近の大学時代の話を盛り込むようにしましょう。
「小学生のころからがんばっていて、大学になった今でも続けている」というように、スタート地点は昔であっても問題ありません。
例えば、スポーツで中高生の頃に1位に入賞した経験があり、大学時代はそれほど目立った成果がなくても、それでも大学時代の頃をアピールすることをおすすめします。
昔のエピソードのほうが2段階くらい上のアピールができそうなエピソードだったとしても、直近である大学時代のほうがアピール効果が高いためです。
まとめ
この記事では、ガクチカが弱いと思われてしまう失敗例5つと、それぞれの対策を見てきました。
これからESを作ったり面接に挑むという方は、ぜひこの失敗への対策を万全にしてから挑戦してみてくださいね。
しかし、自分のガクチカが弱くなっていないか、自分だけで判断するのは難しいと感じるかもしれません。
そんな方は、ぜひUZUZのエージェントに相談してみましょう。
エージェントとはキャリア相談や求人紹介、ESや面接を含めた選考対策のサポートまで無料で受けられるサービスのことです。
これまでUZUZのエージェントサービスでは、6万人以上の就活・転職をサポートしながら数々のキャリアに関する知見を得てきました。
この記事は私たちUZUZの代表が出演している動画を元にしていますが、私たちはこの他にもいくつも事例やそれに関するノウハウをもっています。
ガクチカの作り方に悩んでいる方、自分のガクチカをブラッシュアップしたい方は、ぜひ一度UZUZまでご連絡ください。
UZUZが徹底サポート!



