だけど、大卒じゃないと正社員になるのは難しいって聞いたけど、ホントかな?
ですが、中卒だとしても正社員になれないなんてことはありませんよ!
この記事では、中卒が正社員になるために効果的な就活・転職方法や、正社員として雇用されやすい仕事について解説します。
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「中卒は正社員になれない」は誤解
厚生労働省が平成30年に行った調査によると、最終学歴別の正社員は以下のとおりになっています。
【最終学歴別の雇用・就業形態】
最終学歴 | 正社員比率 |
---|---|
中卒 | 35.4% |
高卒 | 56.3% |
専門卒 | 66.6% |
高 専 ・ 短 大 卒 | 66.2% |
大卒 | 80.9% |
大学院卒 | 84.3% |
ですが「中卒は正社員になれない」というわけではないことも分かりますよね。
確かに、正社員比率が半分以下の最終学歴は中卒だけですが、決して中卒は正社員になれないというわけではありません。
35.4%が正社員なので、中卒で働いている人のうちおよそ1/3は正社員として雇用されているということ。
重要なのは、正社員として雇用されやすくなる方法やポイントを押さえて就活・転職することで、自分がこの1/3に入れるようにすることなのです。
そのための方法は後半で詳しく解説しているので、確認してみてくださいね。
参考:厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」
中卒で正社員になるメリット
ここでは、改めて正社員になることのメリットについて確認しておきましょう。
1.安定的に長く働ける可能性が高まる
厚生労働省が行った調査によると、一般労働者とパートタイム労働者では、一般労働者の離職率が11.1%であったのに対し、パートタイム労働者は21.3%だったとのことです。
つまり、一般労働者のほうが長く働ける可能性があるということを示しています。
一般労働者のなかには正社員と契約社員がいますが、契約社員は契約期間に定めがあるため、時期が来たら辞めなければなりません。
そのため、パートタイム、契約社員、正社員で比べると、やはり正社員がもっとも長く安定的に働ける可能性が高いのです。
参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」
2.非正社員より福利厚生が充実している
正社員は、アルバイトやパートタイムと比べて福利厚生が充実したものになりやすい特徴があります。
契約社員は基本的に正社員と同じ待遇であり、また派遣社員も同じ福利厚生を受けられるようにする法律が設けられています。
ですが、アルバイトやパートタイムとは同じではありません。
アルバイトやパートタイムは退職金がなかったり、加入する保険の形態が異なったりしており、正社員のほうが優遇されているのです。
また、正社員と契約社員と派遣社員は原則として同じ待遇であると決められています。
ただ、実際には「条件を満たせば契約社員も派遣社員も正社員と同じ待遇にする」としている企業も多くあります。
つまり、雇用された段階では条件を満たしていないため、派遣社員や契約社員は利用できる福利厚生が正社員と同じではない場合もあるのです。
総合的に考えて、正社員は非正規雇用と比較すると福利厚生が充実していると考えられます。
3.社会的信用が得やすくなる
ローンを組む際には、信用情報が調査されます。
その中の項目の一つとして、雇用形態や過去の勤務歴が調査されるのです。
正社員かつ過去に転職を繰り返していないほうが、信用できるとされ、ローンを組みやすくなり、かつ利用できる金額も上がります。
このように、正社員のほうが社会的信用を得やすくなっている場面がいくつもあるのです。
4.転職しやすい
転職する際は、前職での雇用形態などを気にされる場合があります。
そのため、正社員から正社員への転職は比較的しやすいものの、非正規雇用から正社員への転職はそれほど簡単ではないのです。
厚生労働省の調査によると、正社員登用の制度がありながら過去1年間で登用実績がないという企業は34%に昇っています。
現職で働いている非正規雇用社員でも正社員に登用されにくいのですから、転職してくる元非正規雇用者が正社員として受け入れられる可能性はさらに低くなるでしょう。
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況」
事前準備がポイント! 中卒から正社員を目指すコツ
でも、どうすればいいの?
ここでは、中卒から正社員を目指す際に、具体的にどのような準備をすればいいかを解説していきます。
しっかりと就活対策をする
中卒と同時に就職し、その際にすぐに正社員として雇用されたいなら、とにかく「しっかりと就活対策すること」が重要です。
まず前提として、仕事に就くためには中学校を卒業しなければなりません。
中学校までは義務教育なので、保護者や後見人が「教育を受けさせる義務」を背負っており、本人も教育を受ける権利があるためです。
つまり、基本的に就職しようとするなら、中学校生活と就活を両立しなければならないのです。
他の中卒就活生が就活対策をしにくいからこそ、しっかり対策をすればその分有利になれるでしょう。
また、しっかりと書類選考や面接選考への対策をしておけば、就職したいという強い意欲を伝えることにもつながり、好印象を与えることもできます。
中学校生活と両立させながら就職対策を行うには、ある程度のノウハウや就活への知識も必要となります。
キャリアサポートを得意とする無料の就職エージェントを活用するなどして、知見を深めましょう。
ビジネスマナーを身につける
ビジネスマナーは社会人の基本ですが、特に新卒や若い世代はまだ身につけている人が少ないと考えられています。
働いていないか、働き始めて間もないことなので、当然と言えば当然でしょう。
中卒の場合、同年代の高卒や大卒と比べて、それだけ早く社会に出ています。
社会でビジネスマナーをしっかり身につければ、同年代が働き始める頃にはしっかりとした「一人前の社会人の振る舞い」ができるようになっているはずです。
基本的な仕事を任せられるようになっていれば、同じ会社内で正社員登用されるにしても、転職して正社員になるにしても、成功する可能性は高くなります。
資格を取得して意欲やスキルの高さを示す
資格を取得することで、意欲の高さやスキルの高さを示すことができるようになります。
学習や仕事に対して意欲が高い応募者は真面目に働いてくれそうだと思われるので、評価が高くなるでしょう。
同様に、スキルが高い応募者も活躍してくれそうだと期待されるため、評価が高くなります。
また、資格は基本的には無駄になることがなく、持っていれば思わぬ仕事で役に立ったり、資格勉強で学んだことが業務が拡大するにつれて有効になったりしてきます。
今すぐ役に立たなくても将来的に役立つ可能性が高いので、資格の取得は中学校卒業と同時に正社員になりたい方にも転職して正社員を目指す方にも、どちらにもおすすめです。
学歴不問の業界を目指す
学歴不問で募集していても、実際には最終学歴によって正社員になれるかなれないかが決まっている会社は存在しています。
求人募集はしていても、例えば中卒や高卒は契約社員までしかなれず、大卒以上しか正社員雇用をしない、という企業があるということです。
学歴で正社員になりにくい会社で働いていては、いつまでたっても正社員になるのは難しいでしょう。
そうならないためにも、学歴不問で正社員になれる傾向がある業界に絞って就活・転職を行うのも一つの手です。
どのような仕事が学歴不問なのか、その一部は次の項で記載しているのでそちらも確認してみてください。
人手不足の業界を狙う
人手不足の業界を目指すことで、そもそも採用されやすくするという方法もあります。
詳しくは後述しますが、介護業界、飲食業界、製造や建設などの業界がそれに当たります。
若い人手を雇用したい会社が多いため、正社員雇用などで待遇を良くしようとしている企業を見つけやすいためです。
長期的な視野で正社員を目指す
正社員雇用のチャンスは、新卒採用時だけではありません。
いきなり正社員になるのは難しいかもしれませんが、最初はアルバイトや派遣社員として新卒入社し、キャリアアップして正社員を目指すのもおすすめです。
実際に社会に出て働いてみると、どういったスキルが求められるのか、どういった人材の価値があると感じられるのかを肌で感じられるという場面も増えていきます。
まずは一旦非正規雇用だとしても働いてみて、そこで社会や企業の実情を知り、スキルアップしながら長期的に正社員を目指すこともできます。
その際には、過去数年で正社員登用の実績がある会社を選んで就職するなどして、少しでも正社員化の可能性を上げるようにすることも効果的です。
非正規雇用から正社員登用されるための方法をさらに詳しく知りたいなら、以下の記事も確認してみてください。
中卒に強いエージェントを利用する
「しっかりと就活対策をする」の項目でも少し触れましたが、キャリアサポートを無料で行ってくれる就職・転職エージェントサービスの利用も検討してみてください。
その際、各エージェントサービスには特徴があるので、特に中卒の就活や転職に強みを持っているエージェントを利用するようにしましょう。
大手のエージェントが扱う求人には「大卒」が応募条件になっている募集も少なくありません。
ですが中卒に強いエージェントであれば、最終学歴に関係なく応募できる企業を複数抱えています。
「そもそも応募条件を満たしていないため、求人の紹介が少ない」といったことは起きにくく、納得できる企業を探すことができるでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
採用する側の気持ちを考えながら就活をしてみよう
正社員になりたいと思うのは、あくまでも応募者側の気持ちです。
企業側がなぜ正社員として採用するのか、その気持ちを考えながら就活をしてみましょう。
- 長く続けてくれそうなので、かけた採用費が無駄にならなそう
- 活躍してくれて、成果を上げてくれそう
- 会社に馴染んで、周囲にも良い影響を与えてくれそう
人事は、このように感じた人を採用したいと思います。
「今の自分の能力はどうか」「今の自分の言動はどう思われそうか」という点を意識すると就活対策もしやすくなるでしょう。
もし企業側の目線を考えるのが難しければ、エージェントなどのプロの知見に頼ってみるのもおすすめです。
中卒から正社員になれるおすすめ職種
ここからは、おすすめできる職種とその理由について、それぞれ解説していきます。
事務職
事務職の種類は多岐にわたりますが、一般事務などの学歴・資格不問で就ける事務職は中卒にもおすすめです。
学歴や専門資格が必要ない点がおすすめできるポイントですが、一方で事務職の募集自体はそれほど多くないことには注意が必要です。
最初から正社員雇用の事務職は多くないものの、まずは非正規雇用で事務職として働き始め、その後、スキルアップして正社員化を目指すこともできます。
正社員への足掛かりにするとしても、他の職種と関わりが多い事務職は、知見を広げられるでしょう。
介護職
少子高齢化が叫ばれる日本において、介護職は人手不足の業界です。
そのため採用される可能性が高く、なおかつ専門的な業務以外は学歴や経験に関係なくできることもおすすめの理由です。
また、介護職は現場での就業年数がある程度あれば、本来は受験に介護系学科の卒業が必要な資格試験でも受験することができるものがあります。
資格を取得しながらスキルアップしていけば正社員への道も開けますし、キャリアアップすることで給与面でも上がっていける可能性があるのです。
販売職
販売職も、学歴や経歴に関係なく比較的就きやすい職種です。
また、接客マニュアルが決められていることが多いため仕事を覚えやすいといえます。
しかも働きながら商品知識やビジネスマナー、接客スキルやコミュニケーション能力を身につけられる点も魅力的です。
最初は正社員雇用でなくても、社内資格を取得するなどしてスキルアップすることで正社員登用されることも目指せます。
ずっと販売職のままではなく、販売の仕事で培ったスキルをもとに別の職種に転職し、その際に正社員として雇用されるという方法もあります。
飲食
飲食業界も人手不足であり、調理スタッフやホールスタッフは多くの求人が存在しています。
基本的にホールスタッフであれば学歴・経験不問で就職できますし、調理スタッフの場合でも簡単な調理スキルがあれば採用される可能性があるのです。
自動化された大手チェーンならば調理経験が不要で自社研修で教えてくれる場合もあります。
また、最初は調理スタッフでも調理以外の仕事から初めて段階的に調理を任されるというケースもあります。
マニュアルが設けられていることが多いため仕事も覚えやすく、社内資格などでスキルの状況や任される仕事の範囲が明確されている点も魅力的です。
求人募集が多い業界であるため、最初の会社で正社員でなくても、スキルアップしてから転職して正社員を目指すという手段が取りやすい点も覚えておきましょう。
工場作業員・建築作業員
工場の作業員や建築の作業員など、いわゆる「現場系」と呼ばれる仕事もおすすめです。
これらも人手不足であり、なおかついずれも学歴・経験・資格が不問のことが多く、就職しやすいという特徴があります。
さらに、工場系や建築系は国家資格が豊富にあり、働きながら資格取得を目指すことが可能です。
その後のキャリアアップ先も豊富で、現場を統括する立場もあれば、現場作業員としてのスキルを磨いて専門家として重宝される人材になることもできます。
資格を取得していけば正社員化も近づきますし、他社でも十分に通用する能力があるなら正社員として転職していくことも可能です。
ITエンジニア
ITエンジニアは、さすがにITに関する知識がなければ就職することができませんが、学歴不問でスキル次第で正社員になれる可能性があるためおすすめです。
実力主義の世界であり、学歴に関係なく成果を残せばそれだけ高い評価を受けられる職種であるといえるでしょう。
自分の実力を裏付けるための資格も比較的簡単なものもあれば、持っていると他のITエンジニアから一目を置かれるような難しい資格まで様々です。
勉強する時間は必要なものの、今は自己学習するための教材や公的なIT教育支援もそろってるため、やる気があればいつでも始められる点もおすすめするポイントといえます。
配送・物流・ドライバー
荷物の配達や、トラックドライバー、タクシードライバーも人手不足のため就職しやすい職種です。
車を運転するため運転免許は必要なので、中学校を卒業した直後に働けない点のみが欠点ですが、それ以外は学歴や経験も不問で就職できることが多いためおすすめです。
感染症の流行によって「家で何かをする」という需要が増え、そのため宅配をはじめとした様々な配送サービスは一気に発展しました。
加えて、近年は海外からの観光客が増えたことで、タクシードライバーなどの観光向けドライバーの需要も増しています。
AIの代替などによって、すぐにはなくならない職種である点も魅力的だといえるでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
「なぜ正社員にこだわるのか」は整理しておこう
正社員にはさまざまなメリットがあるのは事実です。
安定しているから、収入が良さそうだからなど、正社員を目指すには色々な理由があるでしょう。
ですが今一度「なぜ自分が正社員になりたいか」は整理しておくことをおすすめします。
なぜなら、将来的な目標と照らし合わせたとき、正社員ではない道もありますし「今すぐ正社員になること」が目指すべき目標ではない、というケースもありうるからです。
正社員にはなれるがキャリアアップしにくく、昇給しにくいということもあります。
一方で、正社員ではないものの給与が上がりやすかったり、スキルアップして将来の目標に近づきやすいという職種もあるでしょう。
自分が何を求めるかを一度立ち止まって考えて、キャリアプランを練ってから応募してみるようにしてみてください。
正社員になることはキャリアのゴールではなく、人生における選択肢の一つに過ぎません。
もし、自分がどうしたいのか、どうすればいいのかが分からなければ、キャリアのプロであるエージェントに相談してみるのも良いでしょう。
なお、正社員と派遣社員の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
まとめ
中卒の場合、正社員比率は他の学歴と比べて低くなっているものの「正社員にはなれない」というほどではありません。
ただし、やはり中卒だと正社員になりにくいのは事実であるため、しっかりとポイントを絞った就職活動や転職活動を行う必要があります。
- ビジネスマナーを身につける
- 資格を取得する
- 学歴不問の業界を目指す
- 人手不足の業界を狙う
- 長期的な視野で正社員を目指す
- 中卒に強いエージェントを探す
上記のようなポイントを押さえるようにしておきましょう。
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