証券業界での注目はこれ!
代表的な証券会社を知ってもらい、少しずつ業界の特色がわかってきたかと思います。続いては、証券業界で今注目されているものを、厳選して紹介しましょう。
独立系ファイナンシャルアドバイザー:会社に属さない生き方
ファイナンシャルプランナー(FP)という職があります。個人のお客様のファイナンシャルプランの立案をしたり、税務相談に乗る仕事です。ファイナンシャル・プラニング技能士は、資格化されているものであり、国家資格の1つに含まれます。この資格に類似しているのが、銀行業務検定が主催しているファイナンシャルアドバイザー(FA)です。
このFPとFAの違いは、取り扱える商品の違いです。簡単に言うと、FAの方が扱える商品の幅は広くなります。覚えておいてください。
さて、このFA……通常は会社に所属して業務を行うのですが、最近は企業に所属しないで独立している人もいます。それが、独立系ファイナンシャルアドバイザーの存在です。アメリカでは既に普及している制度であり、金融機関のセカンドオピニオンとしての役割を果たすことも多いです。
独立系ファイナンシャルアドバイザーは、証券会社などの金融機関と業務提携を結びます。そして、社員としてではなく独立した立場で、お客様にアドバイスを行います。このシステムを利用することで、複数の金融機関の商品を取り扱うことができますし、個人にお客様をつけることが可能になります。日本ではまだまだ注目され始めたばかりですが、今後どのように独立系ファイナンシャルアドバイザーと関わっていくのかは、各証券会社で考えていく必要があるでしょう。
営業方針の転換:回転売買よりも長期保有を!
証券会社にとっての利益の1つが、商品の売買に発生する手数量です。株を買っても売っても、手数料が発生するのですから、できるだけ細かく売買してもらった方が会社にとっては一見得です。
しかし、業界内では売買の回転を促すよりも、株の長期保有をしてもらうことをお客様に望むようになってきました。
この営業方針の転換の目的は、同一株を長期保有することで預かり資産が増えることです。すると、ストック収入である信託報酬の厚みが増すのです。また、証券商品の信頼度を高める目的もあるので、覚えておくと良いでしょう。
ネット証券:巨大な対抗馬の存在
証券取引には、営業マンとの対面営業の他にネット売買があります。個人投資家にとっては、もはやネットでの売買が主な取引の場になっています。ネット証券の最大手であるSBI証券は、投資信託の販売を開始しましたし、楽天証券のように対面販売を開始した会社もあります。
また、丸三証券のようにネットトレードのためのシステムを開発する証券会社もあり、証券会社とネット証券は、お互いが歩み寄っていると言えるでしょう。
しかし、今後あまりにも歩み寄りが進んでしまうと、今まで行われていた棲み分けが困難になってきます。両者が生き残るために、相手の分野にどれだけ参入するべきなのかは、各証券会社で検討していく必要があります。
コーポレートガバナンスコード:株主である意味が変わってくると予想されている
ここまで何度かコーポレートガバナンスという言葉を使いました。ここで、コーポレート・ガバナンスについて少し説明しましょう。証券業界の中で、注目されているものです。
簡単に説明すると、企業に会社の情報開示を促すことです。これをコーポレートガバナンスコードといい、日本国内では2015年6月から始まりました。まとめているのは、金融丁と東京証券取引所です。
主な内容は、株主の意向を会社に取り入れていくこと、経営戦略や財務の情報の明確な開示、そして社外取締役を2人以上社内に置く、ということです。これらの目的は、企業の価値を高めます。また、今まで以上に株主である意味が出てきます。
本来、株式会社は、株主のものであるはずです。しかし、今まで株主がないがしろにされている会社も少なくありませんでした。コーポレートガバナンスコードによって、株式会社が本来あるべき姿に近づきます。すると、株は売りやすくなりますので、証券会社としては非常に注目をしている、というわけです。