ブラック企業に自ら望んで入りたがる人などいないでしょう。皆さん出来る限り避けたいブラック企業ですが、ブラック企業についてどれくらい理解していますか?敵も知らなければ避けようがないので、まず敵を知るところから始めましょう。
ブラック企業って何?
ブラック企業はどのようなイメージをしていますか?
最近、ブラック企業という言葉はネットや日常生活でもよく見かけるようになりました。2ちゃんねるでも企業のスレッドは後を絶たず、就職活動の際に企業情報を調べようと検索してみたら「◯◯株式会社 ブラック」などと予想検索が出てきて不安に思った方も多いでしょう。
しかし「ブラック」という言葉は多くの方が個人的な意見で使っていることが多く、実際に「ブラック企業」かどうかの定義は非常に曖昧です。Wikipediaによると、
「ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す[1]。」
と解説されています。
本記事においては、過重労働・違法労働という観点から、ブラック企業かどうかを判断できる基準を示したいと思います。一般的な残業時間・残業代の有無・休日について知ることで、次に受ける会社、もしくは今の会社が平均よりも「過重労働」であるかどうか判断できるようにしましょう。
残業時間から労働環境を判断する
まずは残業時間から見ていきましょう。「ブラック」と聞いて、残業が多くレッドブルを飲みながら連日泊まり込みで作業をしている……そんな環境をイメージする方も多いのではないでしょか。では、一般的な平均残業時間はどのくらいなのでしょうか。
正社員の残業時間の平均は?
アルバイトだとなかなか残業という概念を持ちにくいですが、正社員の残業時間の平均は月約47時間程度とされています(参考:社会人の残業は平均47時間、残業が多い業界は?)。
月の営業日数が20日だとしたとき、1日の平均は2時間ちょっとになります。例えば9時~18時が定時の企業であれば、実際に会社を出るのは20時くらいになるというのが日本の平均的な働き方と言えます。
「社会人の残業は平均47時間、残業が多い業界は?」の記事によると、中でも20代〜30代の平均残業時間は、全体と比較すると若干水準が上がっていることがわかります。平均して50時間程度になりますので、働いたことがない方も50時間程度は残業するのだなと考えておくといいでしょう。
職種別の平均残業時間を見てみる
また、業界・職種によっても残業時間は異なります。業界別の平均残業時間を見てみましょう。
1位:コンサルティング・シンクタンク(83.5時間)
2位:広告代理店(78.6時間)
3位:建築・土木・設計(70.8時間)
1位のコンサルティング・シンクタンク業界を見てみると、月間80時間の残業は確かに結構多いな、と思いますよね。しかし、これが業界の平均なのだから仕方ありません。このような業界を志望している場合は、残業時間数によってブラック企業かどうかを判断するのではなく、ある程度残業時間は多いことを覚悟して臨む必要があるでしょう。
残業代で労働環境を判断する
残業したら残業代を貰えるのは当然なのでしょうか?実はそうとも限りません。まずは残業代とはそもそもどのような経緯で作られた制度なのか見ていきましょう。
サービス残業、いわゆる「サビ残」はブラックなのか?
一般的に残業代がしっかりと支払われるのは、一部の大手企業くらいと考えておいた方が良いでしょう。なぜなら、時間によって給料が変わるのであれば多くの方が効率を考えずに長く仕事をするからです。
そもそも残業代という制度ができた当時は時間給で働く雇用形態の方が多かったのです。そのため、定時を超えた場合には少し多めに支給することでバランスが保たれていました。しかし現代は月給で成果に対して対価が与えられます。つまり時間に対する対価ではないため、同じ成果を出した人は労働時間に限らず同等に扱うべきだという考え方に変わりつつあります。
しかしながら、日本人は平均47時間の残業をしているわけです。47時間も残業をして全く対価がなければ割にあわない!と思う方も多いでしょう。そこで近年では、次に説明する「みなし残業」を導入している会社が増えてきています。
みなし残業とは?
上述した通り、給料を仕事の成果で考えるようになったために「労働時間」という概念が薄れてきました。また、研究職などの専門職や営業職の場合、個々の労働時間を把握することが困難です。
そこでできたのが「みなし残業」という制度です。固定残業と呼ばれることもありますが、単純にたくさん残業した分給料に反映されるわけではなく、残業時間の有無に関わらず一定時間分の残業代が給与形態に含まれてる制度を指します。
このように残業代がしっかりと支給される会社は実はさほど多くありません。そのため、「残業代がなければ働きたくない!」とお考えの方は、そもそも残業が少ない業種・職種を選ぶことをおすすめします。
休日日数から労働環境を判断する
「ワークライフバランス」という言葉がよく使われるようになってから、休日も大事にしたいと考える方が非常に増えています。土日祝は休みと考えている方が一般的かもしれませんが、実はそのような会社は多くありません。では、まずは「週休2日制」と「完全週休2日制」の違いから見ていきましょう。
「週休2日制」と「完全週休2日制」とは
日本の企業は法律で「週に1日以上の休みを与える」と定められています。その場合、週に1日は休みがあればよく、曜日については特に規定はありません。これが「週休制」です。
それに伴って考えた時「週休2日」と聞くと「週に2日間が休みがあるんだよね」と思うでしょう。でも実は少し違うのです。正しくは「月に1回以上、必ず週2日の休みがある」ことを表しています。それ以外は週に1日のみ休みがあります。一方で「完全週休2日制」というのは、確実に毎週2日の休みがあります。必然的に「完全週休2日制」の方が年間休日は増えることになります。
いずれも曜日に規定はありませんので、土日祝日休みになるとは限りません。ちなみに土日祝日休みの会社は全体で34.4%に留まります(参考:業種別の休日日数 〜一番休みが多い業種は?)。意外に少ないことも覚えておきましょう。
平均の休日日数は121.9日!
年間の休日日数の平均は、121.9日で、夏季休暇は4.4日、年末年始休暇は5.4日、有給休暇の実取得日数は9.1日です(参考: 休日数の多い業種、少ない業種TOP10)。ただ、こちらも残業時間同様業界によって異なるので、志望している業界があれば、要チェックしておきましょう。
一番多い自動車/輸送機器メーカーと、一番少ないコンビニエンスストアでは、年間を通じて約40日も休日に差があることがわかります。休日を大事にしたいのであれば、まずは業種別の年間休日日数を調べることをおすすめします。業種の平均を知ることで、これから受けていく会社の良し悪しを正確に判断できるようにしましょう。
まとめ
本記事では「ブラック企業」を判断するための材料として、残業時間・残業代・休日日数という観点からまとめました。以下、本記事のおさらいです。
- 正社員の残業平均時間は47時間
- 現代は時間ではなく成果に対して給料を払う考えが一般的であるため、すべての企業が残業代を支払うとは限らない
- 週休2日制と完全週休2日制は違う
- 年間の休日日数の平均は、121.9日で
インターネットの情報だけを信じるのではなく、一般的な市場を理解し明確な基準を持って就職活動に臨めば、きっとうまくいくはずです!