もくじ
確かに、公務員試験はレベルや職種によって細かく分かれているため、求める情報を探すのに苦労している人も多いでしょう。
そこでこの記事では、公務員試験の詳細や採用の流れについて、どこよりもわかりやすく解説します。
公務員を目指そうとしている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- そもそも公務員とは?
- 公務員の離職率はどのくらい?
- 公務員採用試験の区分や職種
- 公務員として採用されるまでの流れ
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そもそも“公務員”って?どんな種類があるの?
公務員とは、
- 学校教員
- 消防職員
- 市役所職員
などのように、営利目的の仕事ではなく、私たちの日常生活に必要不可欠な仕事をする人のことです。
民間企業とは異なりお金を稼ぐことを目的としておらず、給与は、国民から徴収した税金を基に国や地方自治体などから支払われます。
公務員の種類は、大きく分けて次の3つ。
- 地方公共団体に所属する「地方公務員」
- 国(政府)や独立行政法人に所属する「国家公務員」
- 国際機関に所属する「国際公務員」
さっそく順番に見ていきましょう。
地方公務員とは
地方公務員とは、市町村や都道府県などの地方自治体に所属する人のことです。
- 市役所や県庁の職員
- 消防職員
- 公立学校の教員
なども地方公務員に含まれます。
- 地域住民の意見を聞きながら行政サービスを提供する
- 地域ごとの課題を把握し、場所の特性を活かした解決策を提案する
といったことが主な仕事内容です。
国家公務員とは
国家公務員とは、
- 裁判所
- 税務署
- 国立国会図書館
など、国家機関に所属する公務員のことです。
国が主導する教育や財政運営など、スケールの大きな業務を行うのが特徴といえるでしょう。
国際公務員とは
国際公務員とは、国際連合やそれに関連する専門機関で働く公務員のことです。
- 国際連合児童基金(UNICEF)
- 世界保険機関(WHO)
- 国連教育科学文化機関(UNESCO)
といった組織に所属します。
世界各地にある地域事務所に配置されることも多く、
- 開発途上国への教育・技術援助
- 世界遺産の保護
- 難民の救済
などの分野で活躍します。
おまけ:漫画やドラマのあの人も公務員!
漫画やドラマにも、公務員は意外と多く登場しています。
おなじみのキャラクターを3人紹介しますので、公務員の仕事をイメージしながら読んでみてください。
両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
漫画『こち亀』でおなじみの両さんは、警視庁新葛飾警察署地域の巡査長。
警視庁は「国」ではなく「東京都」を管轄する都警察の本部ですので、警視庁勤務の両さんは地方公務員です。
ちなみに、彼の最終学歴は「中卒」と言われているので、地方公務員警察官採用試験(高卒程度の学力が必要)を受けての採用だと思われます。
黒崎駿一(半沢直樹シリーズ)
ドラマ『半沢直樹』に登場する黒崎さんは、金融庁検査局の主任検査官。
金融庁は国の経済再生・活性化を図るため、
- 不良債権問題の解決
- 強固な金融システム構築
といった役割を担います。
金融庁という国家機関に勤めている黒崎さんは、もちろん国家公務員です。
経営悪化した伊勢島ホテル関連の検査を指揮した彼は、おそらく国家I種を経て官僚となったエリート中のエリートといえるでしょう。
坂本金八(3年B組金八先生シリーズ)
金八先生は、東京都足立区立桜中学校に勤務しています。
大学の教育学部を卒業後、東京都の教員採用試験を経て中学校教員となっているため地方公務員です。
中学校教員は資格職ですので、当然、金八先生も教員免許を持っています。
余談ですが、私立中学校の教員は、地方自治体から雇用されているわけではないので公務員ではありません。
公務員の“離職率”って実際どう?
ここでは、総務省や厚生労働省のデータを基に、公務員と民間企業の離職率を比べてみましょう。
地方公務員の離職率はどのくらい?
総務省によると、平成31年4月時点での地方公務員の数は2,740,653人。[注1]
また、平成30年度中(平成30年4月〜平成31年3月)に希望退職した地方公務員は43,775人です。[注2]
この数字から計算すると、地方公務員の離職率は以下の通り。
- 43,775人 ÷ 2,740,653人 × 100 = 1.60%
25歳未満の地方公務員は263,350人[注3]、希望退職者数は4,641人[注2]ですので、離職率は以下の通りです。
- 4,641人 ÷ 263,350人 × 100 = 1.76%
25歳未満の離職率もとても低いといえるでしょう。
[注1]参考元:総務省「地方公務員数の状況」
[注2]参考元:総務省「平成30年度 地方公務員の退職状況等調査」
[注3]参考元:総務省「団体区分別、職種別、年齢別職員数」
国家公務員の離職率はどのくらい?
人事院の発表によると、平成30年度の国家公務員は279,982人、希望退職者は8,893人でした。
この数値から、離職率は以下のように計算できます。
- 8,893人 ÷ 279,982人 × 100 = 3.18%
25歳未満の離職率も見てみましょう。
同じく人事院の発表によると、平成30年度における25歳未満の国家公務員は18,186人、希望退職者は738人でした。
離職率は以下の通りです。
- 738人 ÷ 18,186人 × 100 = 4.06%
民間企業の離職率はどのくらい?
令和元年における厚生労働省の発表によると、平成28年3月に学校を卒業後、3年目までに民間企業を離職した人の割合は以下の通りです。
- 中学卒:62.4%
- 高校卒:39.2%
- 短大等卒:42.0%
- 大学卒:32.0%
先ほど紹介した通り、25歳未満の公務員の離職率は、
- 地方公務員:1.76%
- 国家公務員:4.06%
でしたので、比較してみると民間企業の離職率はとても高いといえるでしょう。
公務員の離職率が低い理由とは?
- 給料が安定している
- 福利厚生が充実している
公務員は、大きな不祥事を起こさなければ、基本的に減給されることはありません。
コツコツと長く働けば少しずつ昇給していくことは、離職率が低い大きな要因でしょう。
福利厚生が充実していることも、離職する人が少ない理由といえます。
- 有給休暇
- 育児休暇
を取得しやすいことは、公務員の大きなメリットです。
民間企業では、「自由に有給休暇を取りにくい……」と感じることもあるでしょう。
逆に、
- 自由な発想で商品やサービスを作りたい
- バリバリ働いて成果に応じてキャリアアップさせてほしい
といった人は民間企業が向いているかもしれません。
民間企業や公務員へキャリアチェンジしたい人は、次の記事を参考にしてみてください。
公務員採用試験の区分について
ここでは、試験区分や職種についてわかりやすく解説します。
公務員採用試験を受けようと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
地方公務員の試験区分
地方公務員試験はレベルによって、以下のように分けられています。
- 地方上級(1種・1類)
- 地方中級(2種・2類)
- 地方初級(3種・3類)
- 社会人経験者
これらの名称は自治体ごとに異なり、例えば、地方上級は「1種」や「1類」と呼ばれる場合もあります。
それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
地方上級
一般的に「地方上級」と呼ばれる試験は、地方公務員試験の中でもレベルが高いものです。
試験を受けるためには、大学卒業程度の能力が求められます。
あくまでも“程度”であるため、必ずしも大学を卒業している必要はありません。
ただし、実際に大学卒業を要件としている試験もあるので注意しましょう。
年齢制限は21〜29歳程度であることが多いのですが、自治体によって異なるので確認が必要です。
地方中級
地方中級の試験を受けるためには、短大や専門学校卒業程度の能力が必要です。
年齢制限は20〜30歳程度であることが多いでしょう。
地方初級
地方初級は、高校卒業程度のスキルで受けられます。
17〜20歳が対象となることが一般的なため、若くても受けやすい試験といえるでしょう。
社会人経験者
社会人経験者の採用試験を実施する自治体も増えてきています。
59歳まで受験できる自治体も多いので、民間企業から公務員へ転職したい人にとってはチャンスといえるでしょう。
国家公務員の試験区分
国家公務員の試験は、
- 国家総合職
- 国家一般職
- 専門職
などのように分けられています。[注1]
国家総合職
国家総合職は、公務員試験の中でもトップクラスの難しさといえるでしょう。
大学卒業程度で受けられる試験もありますが、大学院卒業が要件となっているものもあります。
中央官庁の幹部候補として重要な仕事に携わり、出世のスピードも早いのが大きな特徴です。
国家一般職
国家一般職は、中央官庁や出先機関で、事務的・定型的な仕事を担当する役職です。
国家一般職の試験は、
- 大学卒業程度
- 高校卒業程度
のようにレベルが分かれているため、自分の能力に合わせて受験できます。
専門職
専門職の試験には、以下のようなものがあります。
- 財務専門官採用試験
- 国税専門官採用試験
- 労働基準監督官採用試験
内容はそれぞれ異なりますので、自分が受けたい試験の内容をしっかり把握しておくことが大切です。
公務員試験における職種
ここまで公務員試験の区分を紹介しましたが、さらに各区分の試験は、
- 行政職
- 心理職
- 福祉職
- 技術職
- 公安職
といった職種別に実施されます。[注2]
行政職
行政職は、一般企業の総合職に近いイメージで、各省庁や地方自治体で事務的な仕事を行います。
配属先も幅広く、所属する機関に合わせてさまざまな仕事をこなす必要があるでしょう。
自治体によっては、
- 事務職
- 行政事務職
などと呼ばれる場合もあります。
心理職
心理職は、家庭裁判所や児童相談所で働く職種です。
仕事内容は配属先によって大きく異なりますが、「誰かを精神的にサポートしたい!」という人に向いているでしょう。
心理職の試験では、心理学のほか、
- 社会学
- 教育学
などの知識が求められる場合もあります。
福祉職
福祉職は、児童相談所や福祉事務所などで働く職種です。
福祉職の試験を受ける要件として、
- 社会福祉士
- 児童指導員
- 保育士
といった資格を求める自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
技術職
技術職は、
- 建築
- 土木
- 電気
といった専門技術を持って働く人のことです。
大学で学んだ専門知識を活かして働けるのが技術職の大きな魅力でしょう。
公安職
公安職とは、警察や消防など、私たちの生活を守る職種です。
安心して暮らせる社会を実現するための“縁の下の力持ち”といえます。
教養試験のみで受験できますが、身体要件があるので注意しましょう。
[注1]参考元:人事院「国家公務員採用試験 受験案内一覧」
[注2]参考元:総務省「地方公務員の職種について」
公務員採用の流れは“6ステップ”
とはいえ公務員採用の流れは、自治体や職種によって異なる部分もあるので要注意。
必ず公式サイトの情報もチェックしてくださいね!
出願(受験申込)
まずは、公務員試験を受けるための申込が必要です。
毎年2〜5月頃に、試験案内がそれぞれの自治体のホームページにて発表されます。
3〜4月頃から出願受付が始まるので、“申込漏れ”がないように注意しましょう。
1次試験受験(筆記試験)
5〜6月頃から、1次試験である筆記試験がスタートします。
- 教養試験
- 専門試験
- 論文試験
の3つを受けるのが一般的で、教養と専門は5択問題です。
自治体や職種によっては、
- 論文試験は2次で行う
- 専門試験はなく教養試験のみ
といった場合もあるので要項をよく確認しておきましょう。
各試験の内容や勉強のコツについても紹介しておきますね。
教養試験
教養試験には、
- 文章理解(現代文・英文読解など)
- 数的処理(計算・図形問題など)
- 人文科学(日本史・世界史など)
- 自然科学(物理・化学など)
- 社会科学(政治・経済など)
といった科目があります。
基本的には、高校レベルやセンター試験程度の知識があればOKです。
出題範囲が幅広く暗記科目も多いので、計画的に勉強を進めましょう。
専門試験
専門試験の内容は、受ける職種によって大きく変わります。
例えば行政職の場合は、
- 法律系(憲法・民法など)
- 経済系(経済史・経済政策など)
- 行政系(政治学・社会学など)
の試験があります。
大学で習得する内容であるため、教養試験より難易度は高いといえるでしょう。
全てのジャンルの問題が出題されるわけではありません。
受験する自治体の出題範囲を確認して勉強していきましょう。
論文試験
論文試験は1,000文字程度の文章を書く試験で、論理的思考力や表現力などが試されます。
テーマは自治体や年度によって異なりますが、
- 行政課題型(まちづくり対策・災害対策など)
- 自己PR型(自分の長所・短所・努力した経験など)
- 志望動機型(どのような仕事に取り組みたいかなど)
といった形式が一般的です。
文章は書かなければ上達しません。
60〜90分で行われる試験が多いので、実際に時間を計りながら、時間内に自分の考えをまとめる練習をしましょう。
小論文対策の参考書などを読んで、“文章の型”を覚えておくことも有効です。
官庁訪問(国家公務員受験者のみ)
国家公務員受験者は、1次試験合格後に官庁訪問をする必要があります。
官庁訪問とは、希望する省庁を訪問し、面接や詳しい業務説明を受けること。
事前に志望動機などをまとめ、スムーズに伝えられるようにしておきましょう。
各省庁のスタッフから直接話を聞けるチャンスでもあるので、
- 職場の雰囲気
- 実際の仕事内容
など、聞きたいことを考えておくのも大切です。
官庁訪問をするためには基本的に事前予約が必要ですので、各省庁のホームページで予約方法などを確認しておきましょう。
2次試験受験(人物試験)
最近の公務員試験では、人物試験(いわゆる面接)が重視される傾向にあります。
以下のようにさまざまな形式があるため、志望理由などを暗記していれば受かるという簡単な試験ではありません。
- 個別面接
- 集団面接
- 集団討論
- プレゼンテーション
個別面接や集団面接では、志望動機や仕事をする上での目標などを聞かれることが多いため、事前にまとめておくことが大切です。
集団討論では、5〜10人程度のグループに分かれて、課題となるテーマについてディスカッションします。
リーダーシップや協調性を見られるため、どの役を担当するか、どのように立ち振る舞うかをある程度決めておいたほうが面接官にアピールしやすいでしょう。
プレゼンテーションは、社会問題や自己PRなどのテーマについて発表し、それに対する質問に答える試験です。
事前に説明資料を作成するケースもあるため、試験要項をよく確認しておきましょう。
最終合格発表
2次試験をクリアすると、最終合格となります。
ただし、最終合格と採用内定は異なるため注意が必要です。
公務員試験では、最終合格した受験者を対象として、最終的な意思確認が行われます。
- 併願しているかどうか
- いくつかの試験に受かった場合はどうするのか
などについて問われるのです。
稀なパターンではありますが、最終合格したにも関わらず採用されないケースもあるので、最後まで気を抜かないようにしましょう。
採用内定
最後の意思確認が終われば、8〜9月頃に採用内定を言い渡されます。
基本的には翌年4月から勤務開始となりますが、社会人採用などの場合は10月から勤務するケースもあります。
以上、公務員として採用されるまでの一般的な流れを解説しました。
試験の時期や選考過程は自治体によって異なりますので、それぞれのホームページなどで確認することが大切です。
参考元:人事院「試験情報」
公務員になるには、民間以上に入念な対策が必要
今回は、公務員の種類や試験内容について紹介しました。
ポイントをおさらいしておきましょう!
- 公務員は大きく地方公務員・国家公務員・国際公務員の3つに分けられる
- 公務員の離職率は民間企業の1/10以下
- 地方公務員の試験区分は上級・中級・初級などに分けられる
- 国家公務員の試験区分は国家総合職・国家一般職・専門職などに分けられる
- 公務員として採用されるためには筆記試験・面接試験を受ける必要がある
公務員試験の内容は自治体や職種によって異なるため、まずはしっかりと情報収集することが大切です。
筆記から面接まで幅広く対策する必要があるため、綿密な計画を立てて進めましょう。
公務員試験と民間企業の面接では準備すべきポイントが大きく異なるため、どちらかに絞って対策したほうが合格しやすいといえるでしょう。
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