なぜUZUZホールディングスは上場をしないのか
UZUZホールディングスは上場を目指していません。
今回は「なぜ上場を目指さないのか」についてお話していこうと思います!
まず結論からいうと、以下のUZUZモデルを実現し成長させるためには、上場しない方が成功率が上がるのではないかと判断したためです。
<UZUZモデル>
UZUZモデルでは、上記3つの渦を大きくしてウズウズ働ける若者を世に増やし続けていきます。
ここでUZUZモデルについて簡単に説明しておきましょう!
1つ目の渦は、UZUZホールディングス経営。世の中の課題を1つでも多く解決するべく、順次グループ会社を設立していきます。そしてUZUZホールディングスの中からも、どんどん経営者を輩出していきたいと考えています。
2つ目の渦は、学校法人UZUZの設立。ウズウズ働く若者を増やすには、仕事の前段階である教育分野に力を入れる必要があります。そのため都会に出ずともITを学べる専門学校や、差別なく質の高い授業を受けられる日本語学校、「働く」を学べる専門職大学を作っていきます。
3つ目の渦は、UZUZ奨学金制度。学校法人の中に奨学金制度を導入し、金銭的な問題で学びたくても学べない若者に学習の機会を提供していきます。そして社会で活躍するスキルを身につけた若者を数多く育て、ウズウズ働ける若者を輩出していきます!
なぜ上場を目指す企業があるのか
UZUZホールディングスが上場しない理由を説明する前に、まずは「なぜ上場を目指す企業があるのか」という前提を私の経験も踏まえてお話しておきます。
「上場する一般的な理由」をChatGPTに聞いてみたところ、以下のような回答がありました。
〈ChatGPTの回答〉
<上場する理由①資本調達> 主な理由は資本を調達することです。初回公開(IPO)を通じて調達した資金は、事業拡大・研究開発の資金提供・負債の削減・新規市場への参入など様々な目的に使用することができます。 <上場する理由②流動性> 公開された株式は容易に売買することができ、投資家に流動性を提供します。この流動性は将来的に追加の資金調達する際にも便利です。 <上場する理由③企業評価> 一般的に、上場企業は非上場企業に比べて高い評価を得ることが多いです。これは視認性・透明性・市場の流動性が高まるためです。 <上場する理由④ブランド認知度と威信> 公開企業としての地位は、企業の視認性と信用性を高め、顧客やパートナー・従業員を引きつけるのに役立ちます。 <上場する理由⑤人材の引き寄せと確保> 公開企業は株式オプションなどの株式報酬制度を提供することができ、優れた人材を引きつけるのに有効です。 <上場する理由⑥合併と買収> 公開企業は、自社の株式を合併や買収のための通貨として利用することができます。 <上場する理由⑦透明性とガバナンス> 公開企業として、より多くの監視が必要であり、透明性が求められます。これはより良い企業統治と経営慣行につながります。 |
上記7つが上場を目指す主なメリットであり、上場を志す理由なのでしょう。
ですが多数の経営者と話してきて、上場の目的には7つのメリットの他にも、以下3つが含まれているのではないかと考えています。
- キャピタルゲイン
- 連帯保証からの解放
- 経営者レースにおける優越感
1つずつ、私の考えをお話していきます。
キャピタルゲイン
まずは、そもそもキャピタルゲインとは何なのか。
キャピタルゲインとは、株式や債券など保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。
基本的には代表者の株式比率が一番高いケースが多いので、上場して会社の価値が上がってから売却をすることで、大きなキャピタルゲインを得られます。
【例】「上場時に株式を50%持っている場合」 上場したことで会社の価値が「100億」になる ↓ 株式を50%持っているため「50億円の資産家」になる ↓ それを売ることで「キャピタルゲイン」を得られる |
上記を見て、もしかしたら「上場しなくても、社長なんだから給料を増やせばいいのに」と思う方もいるかもしれません。
けれど実は、株式の売却益に対する課税は20%ほどですが、給与所得は累進課税が適応されるため45%の所得税(年収4,000万円〜)がかかります。さらに住民税も10%かかるため、合計すると55%が税金となります(※厳密には非課税分もあるので少し異なります!)。
つまり、税金がかかるなら報酬で受け取るよりも、上場やバイアウトした方が手元にお金が残ると考えている経営者は多いのです。
連帯保証からの解放
ほとんどの会社は銀行から借り入れをしています。そして、借り入れたお金(借金)の連帯保証人は「代表取締役が担う」のが一般的です。
連帯保証人になるということは、会社が倒産したらその借金を肩代わりするということ。
何億円もの借金を背負わなければならない可能性がある状況は、もちろん経営者であっても「苦しいな」「避けたいな」と考えるものです。ですが、上場すると連帯保証人から外れることができます。
なぜなら上場企業が個人に依存する状態は望ましくなく、株式公開にあたって関連当事者取引の解消が求められるためです。
経営者レースにおける優越感
経営者同士が集まると、売上規模や資金調達額などの差による「マウント合戦」が始まることがあります。
きっとあなたにも過去、スポーツや勉強または今の職場で他人と自分の能力を比較して、一喜一憂する場面があったかと思います。
それと同じように経営者同士でも、
- 売上規模(売上が大きいほどすごい)
- 従業員規模(人数が多いほどすごい)
- 資金調達額(赤字でも調達額が大きいとすごい)
- バイアウトした金額の大きさ(2桁億以上だとすごい)
- 上場の有無(上場しているとすごい)
など、あらゆる側面で相手と自分を比べて優越感を覚えようとするのです。
そして、上記の中でも経営者から一番称賛を得やすいのが「上場」です。他人より優れている状態になることを目的に、上場を目指す経営者もいるのではないでしょうか。
このように様々な経営者と話してきて、一般的な上場目的だけでなく「キャピタルゲイン」「連帯保証からの開放」「経営者レースにおける優越感」といった本音も隠れているのかもしれないと私は感じています。
実際、上記3つを達成したことで目的を失い、熱量を失ったまま会社経営を続けている上場企業の経営者の話も数多く聞いてきました。
もちろん、一概に「上場がダメだ!」なんてことを言いたいわけではありません。
世の中には高い志を持って株式上場を目指していたり、上場後も想いを持って経営を続けたりしている方はたくさんいらっしゃいます。それにビジネスモデルによっては、上場して資金調達をしないとゴールが達成できない業態もたくさんあります。
ですが私はさまざまな話を聞いてきて、社員や顧客の前では志の高い話をしても、実際は「お金」や「無意識下でのマウント合戦の勝利」のために上場を目指している人も少なくないと感じています。
上場せず「UZUZモデル」を浸透させる
さて、いよいよ「なぜUZUZホールディングスが上場しないのか」というテーマについてです。
これまでお話してきた通り、ChatGPTの回答や私が経営者から話を聞いてきた経験上、上場にはさまざまなメリットがあります。一方で、デメリットもあるのが「上場」です。
上場のデメリットとは、「株主の声を聞く」「株主への利益還元」が発生する点だと考えています。
上場すれば当然、株主が増えます。そして、その株主は株価が上がることを期待します。
株式会社は株主の利益最大化のために株価向上を目指すものですから、上記の流れは決しておかしいことではありません。ですがUZUZホールディングスの場合、「UZUZがこれからやろうとしていること」は、むしろ「株価を下げること」だと思っています。
なぜなら、株式会社で生み出した売上・利益を学校法人や奨学金制度に流そうとしているからです。
上場している場合、当然「なぜ株主に還元しないんだ!」という声が上がると思います。株式会社は株主のものですから、そうするとUZUZホールディングスは本来やりたいことを自由に行いづらくなってしまうのです。
それに、私はそもそも人口急減フェーズに入る日本が経済成長を続けることは非常に難しいと思っています。
現在、すでに数十億円規模(小粒上場といわれる)で上場し、上場時が株価のピークで、そこからどんどん右肩下がりになってしまう会社が多くあります。そして、株価が伸びない企業は今後もさらに増えることが予想されるでしょう。
また、企業の価値が上がらなくとも「社会的に続けた方が良い」「人を雇用し続けた方が良い」ような業界や地域も増えていくのではないかと考えています。
例えば地方や一次産業などでは、利益は出ずともそこで雇用を産んでいること自体が、その地方で暮らす人々が生き続けるため、そして首都圏で効率的な経済活動を続けるために必要不可欠です。
そんな中で「今の自社の株価」を意識しながら事業を推進しなければならないとなると、脳のリソースも使ってしまいますし、展開しようと思っていた事業にブレーキがかかってしまう可能性もあるのではないかと想像しました。
また人口急減社会にいるからこそ「自社が儲けるんだ!」という一方通行のビジネスでは成長し続けることが難しいと感じています。
こんな状況だからこそ、社会的に循環するモデルの方が持続性があり、渦を大きくしていけると思っています。
一見するとUZUZホールディングスがやろうとしている「学校法人を作るのにお金をかけたり、奨学金制度に寄付したりすること」は、株式会社の利益を毀損するような取り組みに見えるかもしれません。
ですが私は「UZUZモデル」の方が循環もするし、拡大もすると思っています!
①株式会社でお金をしっかり稼ぎ、奨学金制度に寄付をする ②奨学金制度の原資を運用をして、学びたくても学べない学生に奨学金を出し学ぶ機会を提供する ③ウズウズ働くことに繋がる学校を作り、そこに通える生徒を増やし、日本の学びをアップデートする ④そこで学ぶ教育コンテンツをウズカレが提供し、学んだ学生の就職支援をしたり、株式会社ESESが採用したりすることでUZUZグループの売上が増加する。そして、奨学金制度にさらに大きな金額の寄付を行う |
株式会社としての取り組みだけでは、市場が変わり業績が下がった時、寄付を続けることは難しくなりますし、時には事業転換が必要なこともあるでしょう。
しかし、そんな状況になったとしても、組織として生き残れるようホールディングス化を行いますし、株式会社に何かあったとしても、若者に価値を届けられるよう奨学金制度や学校法人という別の組織形態を立ち上げようとしています。
でも、このモデルを実現している人はまだ誰もいません。
多くの人に「確かにここにお金をかけるのは合理的だね!」と理解してもらうには、まずは成功事例を作る必要があると思います。
UZUZモデルを一定規模にするためには多額のお金がかかるため、上場することで得られる資金調達力は非常に魅力的です。
ですが、そのメリットとデメリットを比較した時、UZUZホールディングスにとって上場はデメリットの方が大きいのではないかと判断しました。
それに資金は必要ですが、上場という手段を取らずとも現時点でUZUZは毎年億単位の利益を生み出せる組織になりました。
これらの資金を投資に回し、UZUZモデルを作り、伸ばしていくことで「UZUZモデル」の有効性を世の中に証明していきます。
それが証明できれば、きっと「あの経営スタイルいいね!うちもやりたい!」と考える経営者も現れるはず。そうなれば次は、同じようなモデルに挑戦する会社を支援していきます。
そうすることで、世の中の多様な分野でUZUZモデルが広がり、100年後もウズウズ働いている(機能している)世の中が訪れると思っています。
そんな世の中を作っていくために、今後も全力で走り抜けていきます!
〈補足〉
UZUZホールディングスは上場を目指していませんが、グループ会社が上場を目指すのは「あり」だと考えています(親会社が非上場で子会社が上場を目指すのは難易度がかなり高いようですが……)。 グループ会社が上場すれば、グループ会社はどんどん発展してウズウズ働ける世の中に向けて、より大きなアクションを起こせるようになります。 そして、グループ会社の株式を持つUZUZホールディングスも資産が増えることになるので、それはUZUZモデル実現の投資金も増えることを意味するからです。 |