人事採用担当者への取材(LUF株式会社様)|経験豊富な人事が集結した理由
はじめに
経営の中枢となる人材獲得の課題について、大手企業から中小・ベンチャー企業との関わりがあるUZUZが、現役の人事・採用担当者にインタビューをする新企画。
大手企業の営業として社会人スタートを切るも、ベンチャー企業の未経験広報としてキャリアチェンジし人事のキャリアをスタートさせたLUF株式会社の上村さん。
LUF株式会社は、ほとんどの社員が人事経験者の集まりという特徴的な企業です。この特徴を活かした「全員採用」について伺いました。
上村 真菜|LUF(ラフ)株式会社 2018年法政大学キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科卒業後、新卒で日本生命保険相互会社に営業職で入社。 2020年2月よりスタートアップの広報としてキャリアチェンジし、同時に中途採用から人事に携わり始める。 2021年8月よりCANTERA運営のコアメンバーとして株式会社AllPersonalにジョイン。成長企業の人事全般における支援、自社の採用広報などに従事。また同時期にノマドワーカーとしてライフスタイルを変える。現在は、株式会社All Personalより転籍したLUF株式会社に勤務。 |
大手企業から一新、ベンチャー企業へ転職後キャリアチェンジ
-まず、上村さんがLUF(ラフ)に入社したきっかけと人事・採用の担当になった経緯をお話ください。
上村さん:
新卒で日本生命保険相互会社に入社し、営業職として約2年勤めていました。大手での経験をもとに、別の業界や違う仕事の経験を通じて、20代のうちに飛躍的に成長できると考え転職を決めました。
Webマーケティングを事業とするベンチャー企業の広報として入社しましたが、採用広報からはじまり、徐々に人事業務全般まで行うようになりました。
人事のイロハが何もわからない、社内に相談できる仲間もいないなか、自己成長を目指して参加したのが、All Personalの戦略人事講座「CANTERA(カンテラ)アカデミー」でした。この講座を紹介してくれたのが、前職の人事顧問でもあったAll Personalの代表です。
社外の人として代表の堀尾には、業務の相談に加え、CANTERAで学んだ卒業生としてキャリア相談もさせてもらっていました。
18歳から過ごした東京生活を捨て、ノマドワーカーという働き方を決意。そこから、地域毎の文化と人に触れながら、CANTERAで支援する企業様の人事業務を始めました。これがきっかけで、その後、AllPersonalに入社することになりました。
入社当初は、中途採用の戦略から実行、チームマネジメントまでを行う人事業務支援を行う部署でいくつかのプロジェクトに入っていました。そこから業務を兼務しながら自社のマーケティング業務や採用を行うようになり、人事・採用業務の比重が大きくなったのが経緯です。
相互理解、相互支援、相互成長の循環は“プロ人材が集まる”
-LUF(ラフ)では、「人事経験者が多い」と伺いました。採用の特徴などはありますか?
上村さん:
おっしゃる通り弊社は、ほとんど全員が人事や人材業界のキャリアを持っている特殊な企業です。
だからこそ、この強みを生かして自社採用については「全員採用」を心掛けています。
弊社の社員数は30名くらいで、業務委託として関わってくれているメンバーも多数います。実は、全体のディレクションをしたり、戦略を立てるところは業務委託メンバーが中心となり行ってくれているんです。面接や社内の情報発信と実行についてはメンバー全員で行っています。
求人の内容1つとっても、担当者だけでなく社内各部署を横断しながら情報を連携し決定しています。気になる箇所があればコメントをもらったり、アイディア出しをお願いすることも日常的にありますね。
ハイクオリティな「全員採用」ができるのは、人事のキャリアを持っているプロ集団だからこそできる運用方法だと思います。
本業の合間に副業として関わり、半分コミットしているメンバー、ほぼフルコミットに近いくらいの時間を使って関わってくれているコアメンバーもいます。雇用の違いでパフォーマンスが変わることはないと思っていて、もともと社風的にも個人の活動を応援する文化があります。
なので、弊社には自分の会社を持っている人もいますし、本業とは全く違う活動をやっている人も多く在籍しています。
採用については、雇用の関わり方ではなくて、多様性を大切にしています。特に、企業様の人事支援を行うプロジェクトに関しては副業で関わってくれているメンバーがその中心で活躍してくれています。
この3年くらいで副業に対して求める価値観は、ガラッと変わってきているのではないでしょうか。
これまでは、「副業=稼ぐ」というイメージだったところが、近年の働き方や生き方の変化も後押しし、副業で得た経験をもとに、「次のキャリアを拓く」というニュアンスになっていて、経験や成長の糧となる価値観へと変化しています。
時間が空いたからやるのではなく、在るべき姿に近づくため、圧倒的成長を経て見たこともない景色を見たいなど。
「仲間のためなら飛んでいく。必ず自らの手で事業を成長させたい」と考える人が多く働いています。
-人事・採用の比重が大きくなるなか、最初にどんな業務に取り組んだのでしょうか。
上村さん:
人事支援業務を行っていた時から、最初の段階で組織の課題とその要因をお客様と話していました。
何を伝えたいかと言うと、「どれくらいの時期までに、どんな人を採用したい。」という各論から話すのではなく、「組織では今、どんな人が一番活躍しているのか」反対に、「活躍できていない人はなぜできないのか」課題を紐解く作業を少しずつしていくと、本質的な課題にいち早く辿りつくことができると考えます。
これは、自社採用にも言えることで、自分の立場から見えている組織観や、チームの魅力、自社の強みは何か。強みをメンバーみんなが共通言語として話せているか。そういったうまくいっていない課題や、要因を知るために社内インタビューを実施しました。
中に入ってしまうと気づかない自社の魅力もあるので、入社を決めてくれたメンバーへは必ずインタビューを行い「自社の魅力のアップデート」をしています。
-副業人材の採用基準、そもそも志が高い人材が集まりやすい仕組みなどはあるのでしょうか?
上村さん:
自分の友人や知人に声かけを行うリファラルは多いですね。とは言ってもリファラル施策を立てていつまでに何人に声をかけるとか、面談につながったら社員に金銭の還元をするような仕組みにはなっていません。
そこを制度として作るというよりは、声をかけたくなるような組織づくりや、文化づくりをすることに重きを置いてきました。
具体的な事例でお話すると、去年取引先のお客様で窓口をやってくださる方がいました。
ご退職されるとのことで、「お世話になったので上村さんにご連絡しました!」とご丁寧に一報をいただきました。何気ない会話の中からまだ転職先が決まってないことを知ったので「〇〇さんが弊社に興味があれば副業をしながらあるいは転職先が見つかるまで働けるという可能性もありますよ」とお話したところ、想像以上に興味も持っていただきました。
そして翌日には、社内のメンバーに共有してみんなの意見を聞いたうえで入社に至るという事例が自然に起きています。
その方は現在、社内で中心人物の一人として幅広く役割を持ちながら、とても活躍してくれています。
弊社が行う人事業務支援のプロジェクトでは、お客様の課題解決と企業成長に伴奏していくことを意識しています。仲間やお客様のためとあらば、どんなに忙しくても飛んで行ってしまうような、幸せの連鎖が起こるようなおせっかいを、当たり前のようにする“利他の精神”を持つメンバーが集っています。そんな風土があるからこそ、“プロ人材”が集まってくるのだと思います。
事業成長に人事力は不可欠
-人事の仕事でやりがいを感じるときはどんな時でしょうか。
上村さん:
わかりやすく嬉しいなと感じることは、採用したメンバーが入社後に活躍する姿を見るときや、組織に対して行った施策がメンバーに影響を生んでいると実感できたときです。
たとえば、弊社でミッション達成に向けてメンバー全員で何時間も使いながら決めたバリューがあります。
そのバリューを日々の行動レベルで意識して、1人1人が体現するために始めたことが、毎日の振り返りをバリューに従って、全員が必ずスラックに投稿するという施策です。これは現在、組織の大きな財産になっています。
お互いのキャラクターを理解して、成功や困難を共有するのに、最適な場になっています。チームとしての心理的安全性も非常に高まっていると実感しています。
-今後、人事としての目標や上村さんが実現したいことがあればぜひお聞かせください。
上村さん:
ポータブルスキルとも言われる人事の仕事とはずっと付き合っていきたいと思っています。
私自身、地方移住をしたのですが「地域」という単位で見ても人事的観点ってすごく必要とされていると分かりました。それまで自分が理解していた”人事”の世界、範囲は、非常に狭かったんだとも気づきました。
今後の人生において、私自身が挑戦したいと考えていることは、「人が、ちゃんと人間らしく生きること」の実現です。美味しいものを美味しいと感じ、言葉にする。好きな音楽に合わせて踊ったり、笑い合う。けれども辛いときは、とことん落ち込んだり、時には親しい人に愚痴ってもいい。
環境が変わったり、挑戦するフェーズやフィールドが変わっても、人が、“人間らしさ”を失わなければ、ポジティブに未来を創り続けられるのではないかと思っています。そういうところに、“人事的な救い”は絶対に必要だと思うんです。まだ、うまく言語化できていないことも多いですが、人事を武器としたパフォーマンスはずっと磨いていきたいと思っています。
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