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人事採用担当者への取材(株式会社HR Force様)|採用には「共通言語」が必要

2023/04/28(Fri) STORY&WORKS
人事採用担当者への取材(株式会社HR Force様)|採用には「共通言語」が必要

はじめに

経営の中枢となる人材獲得の課題について、大手企業から中小・ベンチャー企業との関わりがあるUZUZが、現役の人事・採用担当者にインタビューをする企画。

新卒採用が難しいと言われるなか、株式会社HR Forceは社員数の半数が新卒。
今回は、人事・広報主任である髙橋さんに、新卒採用の秘訣と若手が活躍するHR Forceの社内副業制度についてお伺いしました。

髙橋 優希|株式会社HR Force 採用・広報主任
明治学院大学卒業後、経営コンサルティング会社へ入社し、中小企業の経営者と共に新卒採用を行うコンサルタント職に従事。2020年5月より株式会社HR Forceに転職し、新規事業や広報部の立ち上げを担当。現在はHR/PR(採用/広報)チームの主任として、コーポレート広報や社内広報、新卒・中途・アルバイト・インターンの採用業務全般を担当。

新卒採用は「魅せ方」と「採用の共通言語」づくりを意識

-まずはHR Forceについてと、髙橋さんがどのような経緯で入社されたのかお聞かせください。

髙橋さん:
新卒で経営コンサルティング会社に入社しました。最初の配属先が営業職でしたが、入社前から新卒採用のコンサルティングに携わりたいという思いが強かったため、「営業職として3ヵ月頑張って成果を出すので、認めてくれたら希望の部署へ異動させて欲しい!」と部長陣に直談判しました。宣言通り3ヵ月後に部署異動が実現し、新卒採用のコンサルティング業務に約2年間携わりました。

経営者と伴走して新卒採用を行う仕事はとても充実していましたが、新卒採用だけでは会社をより拡大させることは難しく、「優秀で定着してくれる中途社員を採用することも重要」だと気づきました。
そこで、自身のキャリアとして中途採用支援の領域も経験したいと考え、転職を考え始めた頃にHR Forceに出会いました。

HR Forceは、中堅・中小企業の経営コンサルティングを行う株式会社船井総研ホールディングス(東証プライム市場上場)のグループ会社として2018年2月に設立しました。船井総研グループのなかでもHR領域に特化したHRソリューション事業を展開しており、広告運用におけるWEBマーケティングのノウハウを採用に取り入れた採用支援を実施しています。

-入社当時から新卒採用を担当されていたのですか?

髙橋さん:
入社当初は、自社プロダクトの求人広告運用ツール「Recruiting Cloud」を活用してお客様の採用を支援するカスタマーサクセス部署に配属されました。その後は事業拡大に伴い新規事業を立ち上げることが決まり、立ち上げメンバーに抜擢されました。

さらに組織の拡大フェーズに伴い、対外的な発信にも力を入れるため、HR Forceに存在していなかった広報チームを2022年に立ち上げることになりました。広報と採用業務は関連性が高いことから、もともとあった採用チームと新設した広報チームをひとつの部署としてまとめ、現在はチームリーダーとして採用と広報を担当しています。

-採用における母集団形成について教えてください。

髙橋さん:
弊社は、雇用形態や募集職種に応じて母集団の形成手法を変えています。例えば、アルバイト・インターンはIndeedなどの検索エンジン型の媒体を中心に、新卒採用はONE CAREER(ワンキャリア)などの就活口コミサイトなどを利用しています。

新卒、中途問わず、私たちが採用したい求職者のペルソナを設計し、その方たちはどんな媒体を利用して、どんな条件で仕事探しをしているのか予測を立て、そこから媒体を選んでいます。直近3年間は新卒採用に注力していたこともあり、約半数を新卒社員が占め、平均年齢は28.6歳と若手が活躍しているベンチャー企業です。

-半数が新卒社員とのことですが、学生に振り向いてもらう施策など何か注力されたことはありますか?

髙橋さん:
これまでとガラッと変えたのは「企業の魅せ方」です。
就職活動時、学生さんは多数の企業情報を収集しています。そのなかで、企業説明会の内容全てを一度で覚えてもらうことは難しいので「HR Forceといえば〇〇」と印象付けたいなと考えました。
その点を踏まえ、HR Forceの仲間になってほしい学生さんに魅力に感じてもらえるであろう特徴を限定的に絞って訴求し続けるため、2つのことを行いました。

まず、自社に対するキーワードをわかりやすくしました。
以前は「HR業界で勢いあるベンチャー企業」や、デジタル領域で展開している「アドプラットフォーム事業」などのキーワードで集客していたのですが、学生さんに馴染みがないサービスという事もありイメージしづらいうえ、強みがわからないことが課題でした。
そこを改善するために、見ただけで業務内容や会社の想いがイメージでき、学生さんにも馴染みがあるような検索されやすい人気のキーワードにしています。

業務内容に関しても、以前は「採用支援サービス」と大きな括りでまとめていましたが、今は「WEBマーケティング×広告運用」のノウハウを掛け合わせたサービスだと訴求することで、人材業界に関心のなかった学生さんからの応募も増えました。

次に、HR Forceの強みを3つに絞りました。求人内容や説明会、選考の間全て一貫してその3つの訴求点を伝えています。
選考フェーズが進むにつれてHR Forceや業務内容の解像度を上げていき「HR Forceといえば〇〇」というイメージ像がより具体的に描けるように設計しました。

HR Forceの新卒採用では各部署で活躍している社員が選考官を務めていますが、新卒採用に関わる全てのメンバーが共通認識として各選考の目的や役割、どんな基準で合否を決めるのかを理解してくれています。この全体設計を立てたことも新しい施策です。
採用に関わるメンバー全員で共通認識を持つことで、採用基準の統一が実現し、いつ誰がどんな質問を受けてもブレない形にしています。 

また、週に一度、HRチーム内で採用進捗を確認する場を設けることで、選考フローの遷移率改善を行っています。新卒採用が本格化しはじめた足元では、説明会の参加率や説明会後の選考参加率は常に注目しています。
進捗確認のMTGでは常に「定量数値をもとに適切な課題を特定すること」を意識した会話を心掛け、課題に対する改善サイクルを週単位で回しています。

例えば、説明会参加者にアンケートを取って説明の中で印象に残りやすい箇所がどこだったのかを分析したり、面接時の逆質問内容から学生が求めていた情報は何かを探ったりすることで、次の説明会に反映させることで満足度向上を図っています。事業内容をよりイメージしやすくするために、「マーケティングとは?」といった広義的な説明の導入や成功事例を紹介しています。

この結果、会社や事業への理解度が向上し、選考参加率が約300%改善されました。

新卒も中途も活躍できるHR Forceの社内副業制度

-HR Forceでは”社内副業”という制度があると伺いました。この制度について具体的に教えてください。

髙橋さん:
2022年から導入したもので、自身が所属する部署以外の業務にプロジェクトメンバーとして参加することができる制度です。
導入背景としては、新卒・中途関わらず、従業員へのキャリアを広げる機会を提供したいという想いから生まれました。

特に新卒社員は、入社時にそれぞれの適正と希望を考慮して、活躍が期待できる部署が本配属先として指定されます。ただ、働くなかで他職種に関心を持つことや、長い先のキャリアを考えて若手のうちに身に着けておきたいスキルが出てくることはごく自然な流れですし、その興味関心を大切にしたいと考えています。

「今はセールスとして新規商談を担当しているが、数年後を見据えて、今のうちに既存顧客を対象にした折衝スキル身に着けたいな」とか「自分のキャリアはこのままで良いのだろうか」と思ったとき、「転職したい」「異動したい」という大きな決断ではなく、HR Forceに所属したまま、期間限定で他の部署の仕事を体験してみよう!と社員が思えるような制度にしています。もちろん、単に「やりたい!」だけではなく、各プロジェクトが定める「成果を出す」ことも求められます。

-”社内副業”の事例と評価についてもお聞きかせください。

髙橋さん:
事例として、カスタマーサクセスに所属する新卒2年目のメンバー2名が期間限定プロジェクトで新規商談を担当しています。“本業”というカスタマーサクセスの業務もこなしながら、“副業”として新規商談を行う。ここだけ見ると単に業務量が増えているように思われるかもしれませんが、一切そんな事はありません。
本業と副業の2つの役割それぞれで目標配分を振り分け、リソース配分を行い、負担が増えないよう調整しています。

例えば、本業7割、副業3割という形で目標を設定しそれぞれの目標達成率を評価としています。
本業での成果は3ヵ月毎の査定時に評価され、副業での成果は賞与で還元される仕組みのため、限られたリソースの中で「やってみたい」と思う仕事に携わることができ、自分の適性を体験し、それが評価される仕組みは、定着率にもつながるのではないかと楽しみです。

経営者の視点で経営目標を実現できる”HRBPを目指したい

-髙橋さん自身が思う「新卒採用の秘訣」は何だと思いますか。

髙橋さん:
一昔前と違い、企業と求職者は対等で、お互いが選び、選ばれる関係だと考えています。自社の魅力を実態以上に伝えてしまっては入社後にミスマッチが発生しますし、能力やスキル面だけでなくカルチャーマッチするかどうかという観点も入社後の活躍を左右する大事な要素だと思っています。
お互いの目線から考えられるようになると新卒問わず中途採用もうまくいくのではないでしょうか。

また、新卒採用においては、実務経験が無い分、合否の判断基準が選考官によって左右されてしまいがちです。そのため採用基準の明確化は非常に重要だと考えています。
学生時代にどんな経験をしていたのかではなく、置かれた環境で「素直・プラス発想・勉強好き」の要素が垣間見える言動が取れていたかどうかを最重要視し、面接の時間お互いを理解しあう場として活用する事でミスマッチや採用基準のブレを防いでいます。

-最後に今後の展望をお聞かせください。

髙橋さん:
私たちHR Forceは、中堅・中小企業の採用課題の解決を支援したいという想いのもと、「テクノロジーで“働く”を変える。」という企業理念を掲げています。採用マーケティングやデータドリブンの観点から“働く”を変えていく、そんな大きな挑戦を実現できるような会社を目指しています。
現段階のサービスは採用業務の中で最上流工程にあたる集客部分に重きを置いているため、今後は集客後の改善提案や定着育成などの領域も広げていきたいです。

採用チームとして目指したい姿は、会社の成長を事業責任者の目線から支えるHRBP(HRビジネスパートナー)です。
経営戦略や戦略人事を実現させ、採用領域において経営者や事業責任者の採用における右腕となるような存在を目指しています。
ルーティンワークとして採用業務を行うのではなく、会社の未来計画から逆算して必要な人材を必要な時に必要な場所へ最適配置し、中長期的な視点での採用戦略や従業員の定着育成、エンゲージメントを高めていく業務領域にも積極的に挑戦していきます。

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