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人事採用担当者への取材(株式会社N-STAFF様)|「人事こそ優秀であれ」その背景とは

2022/09/16(Fri) STORY&WORKS
人事採用担当者への取材(株式会社N-STAFF様)|「人事こそ優秀であれ」その背景とは

はじめに

経営の中枢となる人材獲得の課題について、大手企業から中小・ベンチャー企業との関わりがあるUZUZが、現役の人事・採用担当者にインタビューをする新企画。今回お話を伺うのは、個人向け生命保険のアウトバウンドコールセンターで営業経験を積み、その後フィールドセールス、カスタマーサクセス、WEBマーケティングなど様々な分野の責任者を担い、着々と昇格してきた株式会社N-STAFFコーポレート戦略部 部長の鶴谷さん。
「営業至上主義」から「人事採用」担当になった背景や、鶴谷さんが考える「人事」について取材をしてきました。

鶴谷 重明|株式会社N-STAFF コーポレート戦略部 部長
明治大学卒業後、現職の前身である株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティングでの7年間の営業業務を経て、2019年より採用課へ。中途・アルバイト採用全般、人事制度・福利厚生の新設及び見直し、従業員エンゲージメント向上施策、社内体制整備、社内広報、WEBサイトの制作ディレクションなどコーポレート業務全般を担当。

営業出身者が感じた自社の「人事採用」の課題とは

―鶴谷さん本日はよろしくお願いいたします。まずは、貴社のサービスと鶴谷さんについてご紹介ください。

鶴谷さん:
N-STAFFは、生命保険や損害保険業界に強みを持つ人材サービス会社です。派遣事業と人材紹介事業のほか、コールセンターやセールスサポート(BPO)委託事業にも強みを持っており、大手生命保険会社、損害保険業界を中心に支援してきた実績があります。
その中で私はマーケティング・採用責任者として、主に採用マーケティング、人材・組織開発、社内体制整備(従業員エンゲージメント向上、新入社員研修・リーダー研修、社内のキャリアアドバイザー)に携わっており、今年の8月からは経営戦略という形でHRビジネスパートナー(HPBP)にも注力しています。

―採用マーケティングから人材・組織開発、HRビジネスパートナーまで多岐に渡りますが、どのような背景から任されるようになったのでしょうか?

鶴谷さん:
前職では、生命保険のコールセンターで個人向け生命保険のアウトバウンド、いわゆる営業業務を行っており、営業職員のマネジメントやチームメンバーのマネジメント、コールセンターの責任者業務を行っていました。現在在籍しているN-STAFFの前身なので、転籍というかたちで採用責任者として辞令を受けたことがきっかけです。
当時はまだ採用課ではなかったのですが、採用や新卒面接に入るなどサポートする機会があり、採用面接に入るうちに「保守的な採用活動」に対する課題を見つけました。サービス業である弊社のような労働集約型は、人材を確保することが難しいため「攻めの採用活動」をしていかなければなりません。

その後採用責任者となり、任せてもらえるようになったので、チームのメンバーには「今までやってきたことが正しいということを逆説思考に捉えてほしい」と伝え、事務型のチームから営業的・戦略的な思考を持つように少しずつ波及していくことから始めました。

―事務型思考から戦略的思考への変化に適応できる人もいますが、チーム内での「分散」を想像してしまいます。不安などはありませんでしたか?

鶴谷さん:
仰る通り、これまでのやり方が正しいという考えから「これって正しいのかな」という逆説思考にもっていくことは難しいですね。今でも課題に感じているところです。
しかし、チームビジョンである「人材を採用して活躍できる環境づくり」「一緒に働きたいという仲間を増やす」という最終的なゴールは共通認識としてあったので、新しいことに取り組んでいくときに、1人か2人が賛同してくれれば、そこで成功事例を作ることができます。
成功事例を作ったメンバーが「こっちの道も危険じゃない」ということを見せてあげることで1人から2人、3人、4人…と増えていくのかなと。あとは、人材市場自体が変化の激しい市場のため、現状維持に対する危機感が年々醸成されており「新しいことをやる=ストレス」という考え方は変化してきていると感じます。

求職者と企業は対等である。社員、部署責任者関係なく会社全体の意識改革を

―コロナ禍で多くの企業が「採用休止」に。貴社にはどんな影響がありましたか?

鶴谷さん:
コロナ前は人材獲得が難しく、withコロナまっただ中のほうが人材獲得に困りませんでした。背景として、ビジネスモデル的にさほど影響を受ける業種ではなかったことと、長期的な視点で採用を考えることが重要であり、人材こそ最大の財産であるという考えだったので休止することはありませんでした。
弊社に限った話ではありませんが、withコロナで採用活動がスムーズだった人たちは、入社してみたけど「自分のキャリアを見直したい」という人材も増え、離職率も増える傾向にあると言えます。そのため弊社も、組織づくりについては試行錯誤しています。

―離職率を下げるためにはどのような打ち手があるのでしょうか。

鶴谷さん:
まず、採用という視点を取っ払わなければいけないかなと。
人を採るというスクリーニング、いわゆる企業が選ぶ側ではなくて、あくまでも対等であるということを会社全体に根付かせることが採用においては重要ですね。
求人広告を出して待っていれば人が来てくれた時代は過ぎているので、「今まで通りの方法では自社に関心を持ってくれる人材は採れない」という共通認識を持ち、各社員、各部署の責任者が「もう少し時間や労力をかけよう!」「N-STAFFで働きたいと思わせる仕掛けを考えてみよう!」という気持ちになれるよう会社全体の意識改革をやっていきたいと思っています。

―鶴谷さんのお話の中にもありましたが「キャリアの見直し」「リスキリング」の重要性が高まっています。貴社ではどのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?

鶴谷さん:
e-ランニングや研修は勿論行っていますが、戦略的にリスキリングやリカレントを取り入れて行うことは現状ありません。ただし、活発的な人事異動としては推奨しています。
N-STAFFは複数の事業を立ち上げており、保険以外にも様々な事業や業務が社内にあります。どの部署も人材を募集しているので、A部署からB部署に積極的に異動ができるような「キャリアチャレンジ制度」を設けています。いわゆる社内求人ですね。
「B部署に行きたい」と声を上げればB部署の担当者と話をして、必要とされるスキルや能力、現状で本人に不足しているもの、それをカバーするために何をしたら良いのか、などを1on1の形で具体的に提示しています。

「営業至上主義」から「採用」に携わって感じたギャップとは

―営業を経験して、現職に就いた鶴谷さん。鶴谷さんにとって「人事採用の仕事」ってどういったことだと思いますか?

鶴谷さん:
プロダクト開発をしている企業だと、優秀な人材を集めるためにプログラマーや開発に投資をすると思うのですが、弊社のようなビジネス系のサービスを展開している企業であれば”人事こそ一番優秀な集団であるべき”だと思っています。誰よりも会社や組織の全体構造を理解し、経営者の視点を持っていることは重要ですね。

というのも、これまでは営業チーム至上主義の環境にいて、”営業が上で管理が下”というような感覚に陥っていました。採用は管理に属していたこともあり、人事採用=管理だと思っていました。転籍するまでは…。
しかし、実際に面接やBtoBの交渉を行っていると「営業と変わらない。むしろ会社全体を商品として売っているわけだから大変…。」と思うようになりました。

―ありがとうございます。最後になりますが、ここまでの話を踏まえ、人事採用担当者にアドバイスをお願いできますでしょうか。

鶴谷さん:
色々な考え方や意見があると思いますが、私は「企業=人」だという考えに辿り着きました。ヒト・モノ・カネではなく、ヒト・ヒト・ヒトだと思っています。人事採用は会社の最も大切なところに関わっていて、責任をもつポジションにいることを伝えたいですね。

あとは、自社にプロダクトやサービスなど売るものがあるとしても、「会社」という商品を学生や求職者の方にいかに選んでもらえるか、いわば営業と変わらないことをやります。採用に関わっている人たちは会社を理解しているので、自分たちで会社の魅力をあげる活動もアイディア次第で出来ると思うんですね。
営業でいえばサービス・開発を売るところを、採用は会社という大きな物を売るので、責任も伴いますがそれがやりがいにつながる…だからこそ”人事こそ優秀でなくてはならない”と考えます。

また、会社全体を見ているHRビジネスパートナー(HPBP)のところで申し上げると、常に経営陣の視点を備え、経営戦略と人事マネジメントの両方を踏まえて効果的な人材開発・活用施策を考案することに重きを置いています。流動的な業界でエネルギーを使うからこそ、パワーがある若いときにHRに飛び込むことをお勧めしたいですね。

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